カテゴリー: 簿記2級

  • 第151回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.158

    勉強のスタンスを明確にすることが大事。メリハリを付けて勉強しましょう!

    • 投稿者:黒ぶちめがねさん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約19か月

    はじめに(受験の動機含む)

     私は30代の公務員です。人事異動により簿記の知識が必要な部署(公営企業)に配属されることとなりました。

     平成24年度の第3回(第133回)で簿記3級に合格していましたが、ブランクにより借方・貸方の向きすら危ういほど知識が抜けていたので、知識の再確認とスキルアップのため2級に挑戦しようと思いました。

     家族の仕事の都合もあり、休日でも子供の世話をする必要があったことから、まとまった勉強時間を確保することが難しかったため、勉強期間が約1年半と長いものとなりました。

     ただ、もともと「資格の取得」自体が目的ではなく、「知識の再確認・習得」が目的でしたので焦らずに「忘れては覚える」を繰り返し、頭に定着させていくようにしました。

    使用したテキスト・教材など

    1. サクッとうかる日商2級 商業簿記 テキスト【ネットスクール】
    2. サクッとうかる日商2級 工業簿記 テキスト【ネットスクール】
    3. サクッとうかる日商2級 工業簿記 本質理解問題集【ネットスクール】
    4. 超スピード合格!日商簿記2級 商業簿記 実戦問題集【成美堂】
    5. 合格するための過去問題集 日商簿記2級【TAC】
    6. パブロフ簿記2級 商業簿記(アプリ)

     1~3および5は、3級取得時に使用したテキストと同じシリーズを選びました。

     4は、1~3のテキストとは異なる出版社の問題集を使用し、違う視点(作者)で出される問題に慣れるために購入しました。仕訳の最終確認用です。

     6は、まとまった勉強時間を確保できない対策として、平日の昼休みなどの空いた時間にコツコツ勉強するために利用しました。

    使用した電卓

    • SHARP ELSIMATE EL-N922

     気に入っている点は、以下の3点です。

    • 重みと背面の滑り止めにより強めにキーを打っても電卓自体が全く動かないところ
    • ディスプレイの角度が無段階に調節でき、ディスプレイの視認性に優れているところ
    • 仕事でも毎日使用していて苦楽を共にした戦友であること

    勉強の仕方

    インプット期

    勉強開始~一時中断(H29.8~H29.11)

     商業簿記については、「2級は3級に毛が生えたようなもの」と思い(かなりの剛毛&量)、まず3級の知識の再確認を行いました。

     基本的な仕訳を確実に処理できる状態になってからでなければ、知識が曖昧なものになりますし、2級からの新論点を読んでも正しい理解ができないと思ったからです。

     3級取得時に使用したテキストを本棚の奥から出してきて、問題集を1周しました。忘れていた部分はテキストに戻り、改めて勉強しました。

     工業簿記は新たに取り組む分野でしたので、テキストの1ページ目から丁寧に読みこみました。項目ごとに、テキスト→例題→問題集の流れでまず一周しました。

     その後、仕事が繁忙期に入り一時期勉強を中断しました。

    勉強再開~試験2か月前(H30.6~H31.1)

     工業簿記から再開しました。問題集の2周目に取り掛かり、「どこを覚えていて、どこを忘れているか」を確認する作業を行いました。解き方を忘れている項目はテキストに戻ってもう一度勉強し、改めて考え方を理解するようにしました。

     工業簿記の2周目が終わったところで、商業簿記2級で新たに学ぶ論点の勉強にとりかかりました。新たな仕訳の考え方を理解するまで頭の中で咀嚼して、「なんとなく理解できたかな」と思ったところで問題を解き、正解に辿りつくか項目ごとに繰り返しました。

     また、問題の数をこなすため、スマホアプリ「パブロフ簿記2級商業簿記」をインストールし、移動時間や昼休みなどの隙間時間を利用して仕訳の練習を始めました。

    直前対策期

    試験1か月前から試験前日(H31.2月~)

     これまでの勉強は知識の習得を目的としていましたが、最後の1か月(期限ギリギリに受験申込をしてから)は、試験対策に勉強方法を切り替えました。

     自分の得意分野・不得意分野を確認し、大問ごとの目標得点を定め、ミスを減らして確実に点数を積み重ねられるように反復練習を行うことで得点源を増やしていきました。

     スマホアプリでの仕訳練習はこの頃から頻度を高め、朝起きてから20分、昼休みに30分、寝る前に30分など徹底的に仕訳の練習を行いました。第1問だけでなく、第2問・第3問は、仕訳ができなければ部分点も狙えないので、仕訳を重点的に練習しました。

     スマホアプリはテキスト・ノート・鉛筆・電卓のどれも必要としなかったので、いつでもどこでも取り組めて、仕訳問題に強くなれたと思います。

     過去問題集を古い回から2回分使って時間配分の練習をしました。残りの回は工業簿記のみ、第2問のみなどと解き、実際に出題される問題のレベルに慣れるために横断的に使用しました。

     第3問のうち、自身の実務で使うことが無い連結決算や本支店会計の財務諸表についてはインプット時期から読み飛ばしていましたが、試験対策時期も改めて対策を立てることはありませんでした。第3問が連結決算だったら合格は諦めると開き直っていました。

    学習に際して重要なこと

     勉強をする際のスタンスを明確にすることだと思います。

     私の場合、当初は実務に必要な知識の習得を目的に勉強を開始しましたので、ゆっくり時間をかけて論点を理解することを目的に勉強していました。

     「第●回の試験で合格する!」といった目標を無理に掲げなかったので気持ちにも余裕ができ、勉強時間を確保できなくてもストレスをあまり感じませんでした。

     試験対策勉強に切り替えた最後の1か月は、点数を取る練習に特化しました。早起きや徹夜勉強は、仕事・家事・育児をしながらでは体力的に辛いものがありましたので、1か月という短期集中で仕上げました。

     簿記の勉強をしているのか、簿記試験の対策勉強をしているのか、曖昧な気持ちでは中途半端な知識と中途半端な対策になると思います。

    試験日1日の流れ

    7時半 起床

     妻に「今日だけは!」とお願いして前日から子供と実家に帰ってもらったので、当日の朝は一人で迎えました。パンとコーヒー、オレンジジュースで簡単に朝食を摂りました。

     午前中は、最近出題範囲に加わった論点のおさらいと、「ここが出るのでは?」とヤマを張り、仮に出たら即答できるか、商業簿記の仕訳の問題を中心に自身の理解度の確認をしていました。

    11時過ぎ 早めの昼食を摂る

     気持ちがソワソワしているのか、この辺りから当初の予定より前倒しで行動していました。

     試験会場は、自宅から車で15分程度の距離にある地元の商業高校でした。途中のコンビニで糖分補給用にいちご大福とオレンジジュースを購入し、会場に着いてから車の中で食べました。

     試験会場に入り、掲示に従って教室に向かいました。私が受けた2級は2部屋に別れており、別の部屋の受験生は制服を着ていたので商業高校の生徒なのだと思いました。

     私の席は教室の一番前でした。久しぶりの資格試験ということもありかなり緊張していたと思います。

     試験開始までは商業簿記の仕訳の確認と、あらかじめ試験会場でもう一度確認すると決めていた「処理法方が複数ある論点」の整理をしていました。

    13時40分 試験開始

     白紙、答案用紙、問題用紙が配られ、答案用紙の全ページに受験番号・生年月日・氏名を書くよう指示がありました。

     この時に答案用紙の全ページを見ることができますが、第3問が対策をしていない連結決算の精算表のフォーマットだったので「合格は厳しいか。。。」と少しガッカリしました。

     試験はじめ!の合図があり、問題にとりかかります。

     私の作戦は、第1・4・5問で高得点を取り、第2・3問で部分点を狙って70点を取るというもので、問題は「4→5→1→2→(3)」の順番で解きました。第3問はほとんど点数が取れなさそうだったので、他の大問に時間をじっくりかけました。

     第3問以外の解答・見直しも終わり、残りの20分で改めて第3問を見ると、連結決算・子会社2つ・連結時期・比率が違うなどなど…付け焼き刃では対応できない内容で、中途半端な準備をして時間を無駄にしないでよかったと開き直りました。

     白紙で出すのも癪でしたので、せめて部分点を2点でも4点でももぎ取ろうと答案用紙に数字を埋めていきました。

    試験終了後

     第1・2・4・5は想定内の難易度で手応えを感じました。特に、第2問が比較的簡単な株主資本計算書でしたので、ここで部分点を取れれば…と思っていた私にとっては嬉しい誤算でした。

     ただ、第3問。これが大問題です。まったく手応えがなかったので、これに引きずられ不合格になると半ば諦めていました。合否には拘っていませんでしたので、自己採点はしませんでした。

     その日は、第3問を中心にザワつくネットの解説やツイッターのつぶやきを見て「大変な回だったんだ…」と思いながら、久しぶりの解放感に包まれて床につきました。

    試験成績

    • 合計:76点
      • 第1問:16点
      • 第2問:20点
      • 第3問:2点
      • 第4問:18点
      • 第5問:20点

     第1問の問3はケアレスミスでした。答案用紙に解答を記入するさいにも違和感がありましたが、そのまま放置してしまいました。

     第3問の連結精算表は対策していませんでしたので、想定内の失点です。結果的には2点しか取れませんでしたが、白紙提出を拒んで悪あがきした自分を褒めたいと思うくらいです。

     第2・4・5問は対策済みの問題で、納得の行く点数が取れました。

    勉強開始から試験終了までを通しての総括

     3級を取得した独身時代のように十分な勉強時間を確保できなかったので、長期的な視点で2級に向き合いました。

     覚えては忘れ、覚えては忘れ…を何度も繰り返し、少しずつ定着していった知識は簡単に忘れることもなく、今後の実務に役立つ知識が手に入ったのではないかと思っています。

     それに「合格」という素敵なおまけまで手に入ったのでとても嬉しかったです。

    管理人から黒ぶちめがねさんへ追加の質問

     今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
     どの教材が欠けていても合格に辿り着くことは無かったと思いますが、あえて採点・評価をするなら以下のとおりです。

    ネットスクールのテキスト・問題集:90点
    成美堂出版の問題集:70点
    TACの過去問題集:100点
    パブロフ商業簿記アプリ:95点

     ネットスクールのテキスト・問題集は、3級取得時から使用していたこともあり解説や構成に馴染みがあったので自然に読み進めることができました。お堅くなりがちな簿記ですが、所々出てくるキャラクターにも癒されて、やる気を起こさせてくれました。
     ただ、パブロフ簿記アプリなどにより気付きましたが、論点によっては解説や問題が少ないものもあり他の教材での補強が必要だと感じました。

     成美堂出版の問題集は仕訳の理解度の確認に役立ちましたが、1ページあたりの文字の量が多すぎると思いました。今回の試験勉強においては終盤に導入しましたが、仮に理解度の低い序盤に使用していたら商業簿記を敬遠していたかもしれません。

     TACの過去問題集は、試験対策に大変役に立ちました。前半の大問別の解説で理解していない論点の確認をすることができましたし、解答・解説は読みやすい丁寧なものでした。

     パブロフ商業簿記アプリは、まとまった時間の確保が難しい私の勉強スタイルにピッタリのツールでした。隙間時間に仕訳の練習ができ、分野別・レベル別・間違えた問題のみ、など問題へのアプローチが様々でしたので飽きることもなく活用することができました。

     おそれ多くも採点・評価をさせていだきましたが、どの教材も適切な時期に活用することにより合格できましたので、オススメできると思います。
     特に社会人やご家庭の事情で勉強時間の確保が難しい方にはテキストを使用した勉強も必須ですが、アプリはオススメです。

     黒ぶちめがねさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
     得意な論点は工業簿記全般です。最初は原価計算などは馴染みが無かったので取っ掛かりにくいと感じましたが、一度理解してしまえば難しいことはしていないことが分かったので、最後には得点源にできるほど自信が持てました。

     苦手な論点は第三問全般です(笑)。本来なら商業簿記の最も重要な分野だと思いますが、各仕訳が財務諸表のどこに計上されるかよく間違えていました。

     パブロフ簿記アプリには、勘定科目の表示区分をひたすら答える問題がありましたので、パブロフの名のとおり反射的に解答できるまで繰り返し問題を解きました。

     黒ぶちめがねさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えてください。
     インプット期に「焦らずゆっくり」と決めていたことです。試験合格に重きをおいていなかったので変なプレッシャーを感じずに長い期間で簿記と向き合うことができたと思います。

     また、勉強時間は家族と離れたいわゆる「一人の時間」でしたので、時には好きな音楽を聴いたり本を読んだりして、机に向かうことが苦痛にならないように息抜きもしてました。

    管理人コメント

     黒ぶちめがねさん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

     「試験日1日の流れ」のところで「(第3問の連結で)せめて部分点を2点でも4点でももぎ取ろうと答案用紙に数字を埋めていきました」と書いていただきましたが、この姿勢はぜひ見習ってください。

     作問者も「難しい問題→ほとんど解けない」ことはじゅうぶん分かっています。そのため、難しい問題を出題する場合は簡単な処理をいくつか用意したうえで、そこに重点的に配点している可能性が高いです。

     よって、今回の第3問のような極めて難しい問題が出題された場合でも、すぐに諦めてしまわずに点数が取れそうなところを探して必死に食らいつきましょう。

     問題を解いているときに手応えがなくても、諦めずに粘った結果、予想以上に点数を取れていたという話しをよく聞きます。諦めたらそこで試合終了です。

    黒ぶちめがねさんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第151回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.157

    基本テキストを何度も繰り返し読み込み、理解を深めることが重要です!

    • 投稿者:へびさん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約2か月

    はじめに

     「資格も、経験の積み上げもない仕事を続けていていいのか・・・」と思い、転職したのが3年前。ただ、現職も以前の職も「簿記」を活用する仕事ではありません。

     それでも簿記2級の資格に挑戦したのは、今後自分が「どのように生きられるか」その選択肢を広げたいと思ったからです。

     様々な資格を獲得し、再度転職せねばならない状況になっても、柔軟に対応できる人間となる、それが最終的な目標です。簿記は「自分の可能性を広げる」ためのツールとして考えています。

     転職直前になんなく3級は取得できたのですが、転職後、他の資格取得を優先させたため、なかなか2級に挑戦することが出来ませんでした。

     このままでは他の資格を「言い訳」にして、ずっと2級を受験することが出来ない。ダメ元ではあっても、まず受けてみないことには始まらないと思い、年始に思い切って簿記2級の受験申込をしました。

     他の方よりも、受験動機や学習期間、状況等も若干特殊かとは思います。それでも、少しでもご参考になればと思いますので、よろしくお願いいたします。

    使用したテキスト・アプリ・電卓

    テキスト

    • スッキリわかる日商簿記2級 商業簿記(TAC出版)
    • スッキリわかる日商簿記2級 工業簿記(TAC出版)
    • スッキリとける 日商簿記2級 過去+予想問題集(TAC出版)

     受験に必要なものは3級の経験を思い出しながら揃えていきました。商業・工業で1冊ずつと、3級の経験から過去問の問題演習が重要と考え、過去問題集を準備しました。

     3級のときは正美堂出版の「超スピード合格!」を使ったのですが、今回はTAC出版のスッキリシリーズに切り替えました。

     前年に受験したFPの試験でもTAC出版のテキストを使って感触がよかったこと、TAC出版のサイトから購入すれば割引が適用されるのが大きな理由です。

     基本テキストの2冊は、内容もわかりやすく系統立てて書かれていたと思います。特に工業簿記の「シュラッター図」はわかりやすかったです。問題集の解答も説明がわかりやすく書かれていました。

     イマイチな点があるとすれば、テキストと問題集とを独立させて使えないことです。資格によっては、一体式テキストであっても「テキスト」と「問題集」とを分冊にできるものがありますが、こちらは「問題集の解答のみ」を分冊にできる形でした。

     過去+予想問題集は、レベル・解答解説ともに満足いたしました。解答用紙がネット公開されているので、2回目以降の解き直しもしやすかったです。

     なお、直前予想問題は別のテキストを購入してまでは取り組みませんでした。各テキストに付随している予想問題で充分と感じたからです。

    アプリ(パブロフ簿記2級 商業簿記)

     上記の3冊とは別に、仕訳は常に意識してトレーニングしなければならないと思い、アプリのなかで比較的評価の高かった「パブロフ簿記2級 商業簿記」をダウンロードしました。

     3級のときはアプリではなく「きおっくす装置」のサイトを使っていましたが、新課程に対応してないっぽく感じましたので変更いたしました。

     実際に使ってみた感想は、ほぼ仕訳の選択に特化しており、計算もややこしくならないよう工夫されているため、「仕訳の仕組みを学ぶ」にはちょうどよく感じました。

     ただ、一部問題は解答解説が簡略化されすぎていてわからず、テキストに戻って復習しなければなりませんでした。

    電卓(CASIO JF-120GT-N)

     自宅でも会社でもカシオの電卓を使っています。「CASIO JF-120GT-N」は3級受験の前に購入し、資格勉強と試験の時のみに使っています。カシオ製の電卓、あるいはカシオ式の配置であれば私としてはこだわりがありません。

     ボタン配置は異なりますが、普段、自宅で使用している「CASIO MH-10T」でもあまり問題は感じなかったと思います(※2級は10桁の計算までで事足りるため)。

    資格受験ロードマップ

     資格の勉強をするさいには、私はいつも以下のようなロードマップに沿って勉強を進めます。ミスノートやまとめノート等の作成を推奨されているところが多いですが、それらを作成したことはありません。

    • 私のロードマップ
      1. まずテキストを「理解できたつもり」になるまで読む。
      2. 問題を解く、たいていあまり出来ないが、わからないときは解答を見ながらでも解く。わからなかった問題はチェックをつける。
      3. 解答を見てもわからない問題はテキストに立ち返る。
      4. チェックをつけた問題をもう一度解く。
      5. 「2」「3」と同時並行で、通勤電車の中で学習できるアプリに取り組む。間違った問題やチェック問題の復習、ランダム出題機能があるものを用いる。
      6. 過去問に取り組む。
      7. テキスト付随の予想問題に取り組む。

     今回も若干のアレンジを加えながら勉強を進めました。1日の勉強時間は、基本的に毎日1時間程度(過去問や予想問題演習のときのみ2時間程度)+仕訳アプリを30分~40分程度です。

    1.テキスト読み込み(4週間)

     個人的には、ここが一番重要と感じています。テキストを「わかったつもり」にならないと、全体的な難度や量的なものが把握できず、効果的な予定が立てられないからです。

     今回は商業・工業の2冊があったため、商業→工業の順番で徹底的に読み込みをしました。最初の感想は以下の通りです。

    • 商業簿記:3級よりはるかに難しい。特にここ数年で拡大した範囲が特に難しそうだ。仕訳がしっかりと出来ること、問題のパターンに慣れることが重要そう。
    • 工業簿記:今までの簿記と全く異なるが、内容はそこまで難しくない。差異の内容だけがとっつきにくい。計算間違えしなければ点が取りやすそう。

     そこで、今後の方針を以下のように決めました。

    • 商業簿記は基礎となる「仕訳」に時間を費やして、第1問でしっかりと点数を取る。
    • 商業簿記の第2問・第3問は半分の得点を目指す。
    • 工業簿記の第4問・第5問で点数が取れないと合格は難しいので、演習時間は工業簿記に重きを置く。

    2~4.問題演習~再履修~再演習(2週間)

     テキスト巻末に問題集が付随しているものであったため、その問題をそのまま活用しました。前述通り工業簿記を重視したいと思ったため、工業簿記だけはこの流れを三度行いました。「工業簿記→商業簿記→工業簿記→商業簿記→工業簿記」という順です。

     問題演習をしてみると、想像していたよりはるかに出来ない!と感じました。商業簿記は仕訳がしっかりと理解できていない。特に新出題分野となった税効果会計・連結会計が苦手。工業簿記は原価差異分析や直接原価計算等の「仕組み」を考えることが苦手であることがわかりました。

     そこで、商業簿記は仕訳に別途時間を割くこととし、工業簿記はとにかく問題を解き、慣れることを重視しました。

    5.アプリ使用(4週間)

     とにかく仕訳の経験を増やすため、通勤時に使用できるようアプリを導入しました。

     実際にやってみると、間違いの多いこと!いかにうろ覚え、しっかりと理解せずに仕訳をしていたか思い知らされました。毎日の通勤で40分程度、アプリに取り組む時間が確保できたので、有効な勉強になったと思います。

     ただ、アプリを回してみても、税効果会計・連結会計は苦手なままでした。問題の解き方ばかりを優先させるため、しっかりとした理解ができていなかったように思われます。

    6.過去問(10日程度)

     2~5で明らかに苦手な部分があったにもかかわらず、いまいち解消できないまま時間に押される形で過去問をはじめました。時間を計りながらやってみたのですが、一番最初に取り組んだ過去問は全く時間が足りませんでした。その後も、時間内には解けていても、ケアレスミスを連発していました。

     時間が足りない理由は、単純に実力が足りていなかったこともありますが、1問から5問まで難度を考えず順番に解いていたことも影響していると感じたので、時間の使い方にひと工夫を加えることにしました。

     具体的には、先に問題すべてをじっくりと読み、難度順に取り組むこと。また、後で見直しをする時間は確保できないので、解いた後すぐに簡単な見直しを行うこと、の2点です。

     特に工業簿記は序盤で処理を間違えてしまうと全て間違う可能性があるので、見直しに細心の注意を払うように心がけました。

     また、ケアレスミスは時間よりも深刻に感じました。「単純な四則計算のミス」「記入ケタ間違い」「『営業外手形』や『未収金』等、営業外収益支出の科目間違い」「工業簿記で年間と月間との読み違い」など、テスト形式になると多くのミスをすることに気付きました。

     ケアレスミスはとにかく「気付いて直す」しかありませんので、前述の「解答直後の見直しタイミング」をしっかりと確保し、ケアレスミスがないかしっかりと確認するようにしました。

    7.予想問題(3~4日程度)

     過去問を全て解き終えたうえで、テキスト付随の予想問題(3回分)に取り組みました。本番を想定して105分を制限時間としたところ、どの回も85点程度取れていたのでひと安心。

     さあ、本番に臨むぞ!と思ったところで…テキストにさらに「新出題論点からの予想問題」があるのに気付きました。これぐらい余裕だろうと思って取り組んだのですが……全然わかりません。

     当たり前ですが過去問でも出題が少なく、問題に当たった回数も少ないため、考え方からなにからがいまいちわかりません。しかし、もう直前のため完成度を上げることも出来ず、「出ないこと」を祈るしか出来ない状態でした。

     商業簿記の新出題分野も苦手なままだったため、もうとにかく「新出題分野出ないで!」という気持ちで当日を迎えました。

    試験日1日の流れ

    9時 起床

     軽く食事をとる。アプリでもう一度、間違えが多かった分野の仕訳に軽く取り組む。

    12時 出発の準備

     試験会場は自宅から歩いて10分ぐらいだったため、開始30分前の13時着となるように準備を始める。テキストは何を持っていこうか悩んだ末、直前に何を見直したいか直前にならないとわからないため、とりあえず商業簿記・工業簿記のテキストを持っていくことに。

    13時 試験会場に到着

     試験会場に着いてすぐにテキストで弱点部分のチェックをする。商業簿記は「税効果会計・連結会計」、工業簿記は「原価差異分析」を中心に見直す。

     隣の席の方が全く同じテキストで勉強し、同じ電卓を机に置いていたを見て「受ける人は自分と同じような人ばかり」と少しリラックスする。

    13時40分 試験開始

     問題全体を見る。最悪のケースを避けられたことにほっとしたものの、第3問の「3社の連結精算表」は見たことがない…と少し焦る。

     とりあえず苦手な連結精算表は部分点狙いで最後に回すと決め、「1→2→4→5→3」の順に解いていくことにした。

    第1問:仕訳問題(30分程度)

     計算が難しい問題や考え方がわからない問題が多く大苦戦!

    1. 本支店仕訳というのはわかったし、「販売のつど売上原価勘定」の記載があるので商品勘定を使うのはわかった。ただ、「車両減価償却累計額」をどう扱っていいかわからず悩む。
    2. 苦手の税効果会計だったが、シンプルな問題であったため問題なし。
    3. 支払免除とあったので、割引か割戻かわからず、結果「割引」の仕訳を選択、間違えてしまう。
    4. 追徴課税の問題は解いたことがなかったが、基本的な考えは同じと考えて解答した。
    5. 減価償却を複数年しなければならないため、計算に手間取る。

     問1と問5とで時間を費やしてしまい、思いのほか時間が経っていることに気付く。ここまでは計算式や仕訳を計算用紙に丁寧に下書きしていたが、走り書きに切り替えてスピードアップを図る。

    第2問:株主資本等変動計算書(20分程度)

     過去問で一度解いていた問題なので、引っかかりなく解ける。自己採点のために合計額のみを計算用紙に転記…というところで、(単位:千円)に気付いてあわてて書き直す。

    第4問:部門別計算(30分程度)

     工業簿記の問題は「問題なりに解答していくと、最後の問題に行き着く」という方式がとられていることが多い。この問題もその例から漏れず、順番に解答していった。そんなに難しくは感じなかった。

    第5問:等級別総合原価計算(25分程度)

     第4問と同様にそんなに難しく感じなかった。自信を持って解けた。

     この時点で、残り時間は15分程度になっていた。それぞれを解くごとに見直しをしていたので、解いた問題に大きな不安は感じなかったが、第3問を完答する時間はなさそうだと感じた。

    第3問:連結精算表(15分程度)

     問題をしっかりと読んでみて、これは無理だ…と思った。題意がわからないものも多く、完全に部分点狙いに切り替える。なお、時間がなかったため、多くの方が引っかかった「X4年度」のところは全く気にならなかった。

     科目「のれん」を書かせる問題があったため、のれんの計算はしっかりとした。また、【資料2・3・5】は読み取れる部分だけしっかりと記入した。【資料4】は題意すらわからず、時間がないため無視。また、計算が難しくなるであろう「非支配株主持分」は最初から計算しなかった。

     出来るところまで、出来るところまで…と思って必死に解いたが、やはり全て埋められずに終了した。試験終了直後の手ごたえは、正直合格は難しいな…という感じだった。

    試験中の余談

     退室可能となる試験開始30分後に離席をされた方が相次いだため、今回はとても難しいんだ…と改めて実感した。また、監督の方が一度「試験終了10分前」を誤って20分前に伝えたため、そこで焦る気持ちがさらに強くなった。

    自己採点と試験結果

     全てを転記していたわけではなく、特に第3問は計算用紙にいくつかの仕訳を転記していただけなので、自己採点は難しい状態だったが、TACの模範解答を使ってわかるところだけ確認した。

    • 第1問:8~16点?
    • 第2問:10~20点?
    • 第3問:0~6点?
    • 第4問:12点?
    • 第5問:20点

     なんとなく低めの採点が正しいような気がしたため、合格は難しいな…と改めて実感。今年度は他に受験する予定の資格がいくつかあるため、簿記2級は来年に改めて受験しようと思っていた。

     受験した商工会議所は4日に結果発表であったため、4日0時にさっそく確認。まず合格者番号を恐る恐る見てみると…番号があった?!思わぬ合格に喜びもひとしお。合格率を見て、改めて「過去最高難度」だったんだと実感する。

     実際の結果は以下の通り。思っていた点数より全てが高めだった。

    • 第1問:16点
    • 第2問:20点
    • 第3問:8点
    • 第4問:18点
    • 第5問:20点

    結びに

     簿記3級から2級まででかなり間隔が空いていたこと、勉強時間がそんなに長く取れなかったこと、また、直前に受験した資格と異なり、とにかく計算がメインであったため、勉強そのものが非常に苦痛でした。

     簿記の勉強を始めるなら、間髪をいれずに3級→2級と受験されることをおすすめします。

     今回の勝因は、仕訳の反復練習により仕訳の仕組みを改めてしっかりと考えられたこと、最終的に工業簿記で苦手な問題がなくなったこと、ケアレスミス対策がうまくいったこと、の3点だと思います。

     また、苦手な分野を放置しっぱなしの受験は本来邪道ですが、苦手問題が複数出題されなかったこともよかったです。これから受験される皆さんは、解けない問題がないようしっかりとご準備いただければと思います。

    管理人からへびさんへ追加の質問

     勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えてください。
     他の方に失礼な話かもしれませんが、もともと「やる気が出ない」なかでなんとか勉強するため、なかば強引な形で申し込みをしました。

     勉強した期間も短期間ですので、モチュベーションが低下したタイミングはなかったです。個人的には短期間集中型の方が向いているような気がします。

     また、さぼらずにしっかりと取り組めるよう、学習時間を日々のルーチンに組み込んでいました。

    管理人コメント

     へびさん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

     最近の簿記2級試験は第2問・第3問が難しくなることが多いため、第1問の仕訳と第4問・第5問の工業簿記でしっかり点数を取る必要があります。

     へびさんも「結びに」のところでおっしゃっていますが、なるべく早い時期に仕訳や工業簿記の対策に取り掛かるのが効果的です。ぜひ見習ってください。

     また、勉強期間が短い場合やじゅうぶんな勉強時間を確保できない場合は、へびさんのようにある程度割り切って苦手分野を切ってしまうのもひとつの方法です。

     頻出論点の連結・税効果会計を切ってしまうのはリスクが高いのでおすすめできませんが、すべてが中途半端になってしまうよりは良いかもしれません。

     短期合格を目指す場合はある程度のリスクを取って、極端にメリハリを付けて勉強を進めるのもアリだと思います。

    へびさんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第151回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.156

    受験は訓練。どれだけ抜けなく仕上げていくかの勝負になります!

    • 投稿者:福さん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:2回
    • 勉強期間:約6か月

    はじめに

     税理士法人で、クライアントの決算・日々の記帳・コンサル等を行っています。大学院までは、理系で薬の研究、仕事は製薬企業で研究⇒企画⇒品質保証⇒戦略と色々な畑で学んできました。

     働きながらMBAをとって、卒業とともに税務関係の職場でお世話になることになったので、簿記3級・簿記2級を取得することにしました。

    使用したテキスト・電卓

    • みんなが欲しかった簿記の教科書 日商2級 商業簿記
    • みんなが欲しかった簿記の教科書 日商2級 工業簿記
    • 合格トレーニング 日商簿記2級 商業簿記
    • 合格トレーニング 日商簿記2級 工業簿記
    • 2018年度版 日商簿記2級 網羅型完全予想問題集
    • 第150回をあてるTAC直前予想 日商簿記2級

     簿記に関してはど素人だったので「簿記の教科書」を読みながら、簿記ってこういうことをやるんだというところから学びました。

     問題集は「簿記の教科書」に対応している「簿記の問題集」ではなく、TACの別シリーズの「合格トレーニング」を選びました。

     第150回を受けた時(※3級・2級のダブル受験)に、本番では問題集の難易度を超えた問題が出ることを痛感したため、どんな問題が出ても確実に7割を取るために「合格トレーニング」にしました。

     今回の151回をクリアー出来たのは、「網羅型完全予想問題集」「第150回をあてるTAC直前予想」の2冊を繰り返し解くことで、第1~5問がどれぐらい出来れば合格できるか、という細かいそろばんが弾ける様になったことが大きかったと思います。

     なお、予想問題については毎回2時間を確保するのは大変なので、20分ほどの空き時間があるごとに大問を1問ずつ解きました。

    • 電卓 CASIO JS-20WK

     事務所の会計士さんが使っていた電卓です。デザインが良く、キーを叩いた時に一番しっくりきて、長く使えそうだったので選びました。ずっと使っていますが、使うほどに良さが分かってきます。

    簿記検定ナビの活用方法

     結局のところ、受験は訓練であり、試験問題にあたるところを含めて、どれだけ抜けなく仕上げていくかの勝負になります。

     直近で出たところは出ないとか、トレンドはどうであるかという統計的なところを簿記検定ナビで確認し、出る可能性が高いところはどんな問題が出ても20点近くまでいけるように準備したら、鬼に金棒だと思います。

    試験日1日の流れ

    起床から家を出るまで

     今回は「連結」と「株主資本等変動計算書」が出そうな気がしたので、当日の朝、最後に見直すつもりで9時に起床。

    試験までの時間の過ごし方

     普段、ロッテリアで勉強していたので、いつものロッテリアで最後の見直し。試験中にトイレに行くリスク回避するため、カフェインの摂取を控える。

     ロッテリアでは「連結」と「株主資本等変動計算書」だけを見直すつもりでしたが、思いのほか早く終わってしまい、試験場に早く行こうか悩む。

    試験会場へ向かう

     試験会場は駅から30分、バスがあまり来ないという極悪環境だったので、奥さんに車で連れて行って貰いました。いい気分転換になったので、結果的に良い判断でした。

    試験開始

     答案用紙に名前と受験番号を書いているときに、「第2問の株主資本等変動計算書は簡単な問題だな」「第3問の連結はややこしそうだから、最悪4~10点取れればいいかな」「第4問・第5問は簡単そうな問題だから各14~20点取りたいな」「簿記ナビさんの予想的中率、恐るべし」と思って笑ってしまいました!

     いざ、問題を開いてみて、以下の分類に約5~10分。

    1. 仕訳:ちょっと難しい
    2. SS:20点取れる問題
    3. 連結:部分点で2~10点くらい
    4. 部門別:20点狙える問題
    5. 等級別:20点取れる問題

     問題を一通り確認して、「③の連結はヘビーな問題だけど、②④⑤で20点×3をあげるから、残りで部分点を取って合格圏内に入るんだよ。取りこぼした人は落とすよ。」という、今回の試験作成者のコンセプトを理解する。

     これまでの練習で「①⇒④⇒⑤⇒②⇒③」と決めていたので、その通りに解く。

    • ①は8点は確実で、追徴法人税を含め、残り12点は絶対とは言えない状況であったが、どこが微妙なのかメモ書きしたうえで次の問題へ:所要時間10分
    • ④は解いたことがある内容だったので、比較的さらっと終了:所要時間約12分
    • ⑤は類似問題を解いたことがあったので、直ぐ終了:所要時間10分弱
    • ②は超類似問題を直前に解いていたので、3回ぐらい見直して終了:所要時間10分

     ①②④⑤を解いた段階で、②④⑤で56~60点、①の仕訳で12点取れていそうなので、③の連結は部分点を少し取れば合格できると確信する。また、残り1時間10分あったので、③を解き始める前に、③以外の問題を完璧に見直しする作戦に出る。

     20分かけて見直ししたところ、④で計算ミスをしていることに気づき修正する。①の法人税の追徴課税に関して、貸方は未払法人税等なのはすぐに分かったが、借方を法人税等で行くか追徴法人税等にするか最後まで迷い、一度も見たことがない追徴法人税を捨てる。

     万全の状態で③に進む。問題文を読むと、連結内の相殺だけで部分点が取れそうなので、確実に解答できそうなところから順番に処理する。

     ただ、10点以上は望めそうになく、不確実なところに時間を割いても今回の試験では無駄なため(高得点を狙う試験ではないため)、③の確実な解答箇所のみを見直して、再び③以外の解答のミスがないかに時間を費やす。

     ③を終えた段階でざっと計算したところ、ケアレスミスがあると68点になる恐れがあったため、確実に文字をなぞりながら解釈のミスや漢字のミスがないかを確認。

     何度も見直し、72点以上は取れているであろうことを確信。一息ついて軽い気持ちで全体を見直しところでタイムアップ。

    試験結果

    • 合計:78点
      1. 第1問:12点
      2. 第2問:20点
      3. 第3問:6点
      4. 第4問:20点
      5. 第5問:20点

     自己採点との差異はなく、結果的には余裕のある点数で合格することが出来ました。

    管理人から福さんへ追加の質問

     家ではなくロッテリアで勉強されていたとのことですが、外で勉強するメリット・デメリットを教えてください。
    メリット
    ・他の人に見られているという緊張感
    ・身近な誘惑が無くなり勉強と向き合わざるを得ないという隔絶性
    ・珈琲や食事などにかかったコスト分は勉強しようという義務感
    ・外に出ることでいつも通りいくというルーティンの醸成

    デメリット
    ・コストがかかる(自分にあったところを見つけるところ見つけるところも含めて)
    ・迷惑な人が来た場合は、家よりもはかどらない(店の客のトレンドが分かれば、問題なし)

     福さんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
     特に苦手な論点はなかったのですが、問題を解く周期が空いてしまって、同じミスをしてしまうことが多々ありました。苦手分野を克服するために、徹底的に問題を解きました。
     福さんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えてください。
     自分の成長を見える化すること。最終的に合格トレーニングを4周しましたが、各大問ごとの点数を表紙に記載していくと、2周目以降、前回の点数と比較でき、確実にに成長していることを実感できます。

     あとは、周りに優秀な会計士・税理士の人が沢山いて、皆さん「簿記2級⇒簿記1級⇒士業」という流れでステップアップされていたので、ここでつまづいていられないという危機感がありました。

     また、簿記2級を受けると周りに公言して、やらざるを得ない状況、受かるために本気になるしかない状況に自分を追い込みました。

    管理人コメント

     福さん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

     「試験日の1日の流れ」のところで、「(第3問の)問題文を読むと、連結内の相殺だけで部分点が取れそうなので、確実に解答できそうなところから順番に処理する。」と書いていただきましたが、ここは非常に重要なポイントだと思います。

     第151回の連結の問題は満点が取れる問題ではありませんし、そもそも満点を取る必要もありません。問題資料2の債権債務の相殺、問題資料5の土地売却益の相殺、あとは「当期ののれん償却」と「当期末ののれん」の金額を計算するだけで8点は確保できます。

     難しい問題に遭遇した場合は、福さんのおっしゃるように確実に解答できそうなところを探して優先的に処理し、捨てるべきところ(=時間かけて計算しても間違う可能性の高いところ)は最初から思い切って捨てましょう。

     あとは、追加の質問の「モチベーションの維持方法」のところで、自分の成長を見える化することをご紹介いただきましたが、こちらもぜひ参考にしてください。

     通常、問題演習の回数を重ねるごとに点数は上がり、解答時間は短くなっていきます。客観的なデータを通して自身の成長を確認できるため、可能なかぎり記録を残しておきましょう。

    福さんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第150回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.155

    2つ以上の資格を並行して勉強する場合、勉強プランをうまく工夫しましょう!

    • 投稿者:クマ吉さん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約2か月

    はじめに

     38歳のとき、ある税務の勉強会に参加した事をきっかけに簿記などに興味を持ちました。試験勉強は20年ぶりになるため不安はありましたが、チャレンジしてみようと思い簿記3級の勉強を開始しました。

     簿記3級に合格する頃には簿記の魅力に取り憑かれ、どうせなら極めてみようと思い、すぐに2級へチャレンジする運びとなりました。

     また、簿記の勉強を始めてから他の資格にもチャレンジしたいと思うようになり、興味のあったFPや宅地建物取引士の取得も決意しました。

     ちなみに、私の実際の受験スケジュールは以下のとおりです。少しでもこれから勉強・受験をされる方のお役に立てれば嬉しいです。

    • 2018年06月:第149回日商簿記3級[合格
    • 2018年09月:FP3級[合格
    • 2018年10月:宅地建物取引士[合格
    • 2018年11月:第150回日商簿記2級[合格

    使用したテキスト

    • スッキリわかる日商簿記2級 商業簿記
    • スッキリわかる日商簿記2級 工業簿記
    • 第150回をあてるTAC直前予想 日商簿記2級
    • 無敵の簿記2級 第150回直前総まとめ
    • 2018年度版 スッキリとける日商簿記2級 過去+予想問題集
    • CASIO JS-20WK(電卓)

     2級のテキストは3級と同様、総合的な評価が高く、簿記検定ナビでもおすすめされていたTACの「スッキリわかるシリーズ」にしました。

     テキストの内容に関しては、他のテキストを使った事がないので評価のしようがないのですが、自分的には合っていたと思います。

     電卓も簿記検定ナビでおすすめされてたものを選びました。最後は、実際に売り場で見てCASIOのJS-20WKを購入しましたが、叩いた時の音や感触が良く凄く気に入ってます。

    学習の進め方

    勉強スケジュール(第1期:6月11日~7月22日)

     この期間の目標は、全体の把握と巻末の問題集をスラスラ解けるところまでもっていくことでした。

     簿記3級の試験が終わったあと、簿記2級の試験までは約5ヶ月程度ありましたが、その間にFP3級(9月)や宅地建物取引士(10月)の試験があります。

     これらの試験が終わってから簿記2級の勉強を開始しても到底間に合わないと思い、簿記3級の試験後すぐに簿記2級の勉強を開始しました。

    • 勉強の進め方
      1. テキストを読み進める
      2. 対応する巻末の練習問題を解く
      3. 前日に解いた練習問題を復習する

     基本的には1~3の作業を繰り返しました。また、テキストは常に携帯し、移動時間などスキマ時間を利用して何度も読み込みました。

     途中、意味がよくわからない&なかなか理解できない論点が出てきましたが、ひとまず最後まで解くことを優先して勉強を進めました。

     1週間に1度、まとまった時間がとれる時は、それまでに進めたところをサラッと読み返したうえで、再び練習問題を解き、何度も間違えてしまう苦手論点についてはテキストに付箋を貼るなどして、いつでもチェックできるようにしていました。

    付箋を貼ったテキスト1
    付箋を貼ったテキスト1

    付箋を貼ったテキスト2
    付箋を貼ったテキスト2

     また、巻末の問題を解く際には、正解は○、間違いは×と印をつけていました。答え合わせをする際には、自分の答えが間違っていてもすぐに解説を読まずにテキストを見ながら再チャレンジし、なるべく自力で解答までたどり着くことを心がけていました。

    各問題に記した◯×の印1
    各問題に記した◯×の印1

    各問題に記した◯×の印2
    各問題に記した◯×の印2

     なお、まとめノートなどは一切作ってないです。らくがき帳を使って、ひたすら問題を解く、書くを繰り返しました。

    勉強スケジュール(第2期:10月22日~10月30日)

     この期間の目標は、まずは簿記の頭に切り替え、第1期の記憶を掘り起こすことでした。

    • 勉強の進め方
      1. 巻末の練習問題を解く
      2. 解けなかった問題をテキストに戻って復習する
      3. 前日に解いた練習問題を復習する

     残り期間の都合上、テキストの復習をせずにいきなり問題を解き始めましたが、正直、絶望するほど忘れてしまっていて、商業簿記・工業簿記ともにほとんど解けませんでした。

     結局は、ほとんど最初からテキストを読み返すことになったため、「試験日まで1ヶ月切っているのに間に合うのだろうか…」と精神的に焦ってしまい、勉強しても内容がなかなか頭に入ってこなかったです。

     このままではまずいと考え、10月いっぱいは第1期の復習に全てを費やすと決め、過去問などの直前対策は11月(第3期)から頑張ろうと仕切り直しました。

    勉強スケジュール(第3期:11月1日~11月17日)

     この期間の目標は、過去問6回分と予想問題3回分を解きまくることでした。

    • 勉強の進め方
      1. 過去問を解く
      2. 過去問を解く
      3. 過去問を解く

     本当は全ての問題を3周したかったのですが、スケージュール的に厳しかったこともあり、3周目は「2周目までに間違えた論点の問題」や「満点が狙える第1問・第4問・第5問の問題」を優先して解きました。

    試験日1日の流れ

    5時 起床

     特別早く起きた訳ではなく、いつも通りの時間に起きました。出発時間まで問題演習や復習をしました。

    12時30分 出発

     受験票・電卓・筆記用具など、忘れ物がないかを確認。テンションの上がる音楽を聴いて気分を盛り上げました。

    13時 到着

     試験会場は専門学校だったのですが、席の間隔が非常に狭くて出入りが大変でした。トイレを済ませ、持ってきたテキストの付箋が貼ってある部分を読み返しました。それと同時に電卓で指の運動をして、指をほぐしました。

    13時30分 試験開始!

     全体に軽く目を通し、予定通り「第1問→第5問→第4問→第2問→第3問」の順で解答スタート。

    第1問

     得点源と考えていた第1問からつまずいてしまい、完全にペースが崩れてしまいました。

     役務収益と役務原価の問題は自分が考えた勘定科目がどこにもなく、何度も何度も見返しましたがやっぱりなく、この時点で完全にパニックになってしまいました。

     役務の未払いは未払金で処理する問題しか解いたことがなかったので、営業活動の中で生じた役務の未払いを買掛金で処理する発想までたどり着けなかったです。

     今振り返ってみると、分からない問題は飛ばして次に行けばよかったのですが、変にこだわってしまって無駄な労力と時間を費やしてしまいました。

     また、冷静な状態であれば解けたはずの消費税の問題も、問題の読み取りを間違えて誤答。とにかくここで一旦リセットしようと、深呼吸をして気持ちを落ち着かせました。

    第5問

     CVP分析は得意分野だった事もあり、ここでなんとかペースを取り戻せました。解答欄がさらっと(%)表記になっていて見逃しそうになりましたが、気持ちを落ち着かせた事で見逃さずに対応できたのかなと思います。

    第4問

     費目別計算に関する仕訳問題。見たことがある内容でしたが、1問だけ誤答。

    第2問

     税効果会計・アップストリームなど、集中的に問題を解いてきた論点が出たのでしっかり解けました。問題文上部にさらっと「直接法」と書いてありましたが、なんとなくいつもの流れで「間接法」で解き始めそうになりヒヤッとしました。問題文はよく読まないといけないです。

    第3問

     貸借対照表の問題でしたが、これは損益計算書を下書きする余裕もあるぐらい簡単で、ゆっくり見直す時間もあったのでバッチリでした。

    試験結果と反省点

    合格証書
    合格証書

    • 第1問:12点
    • 第2問:18点
    • 第3問:20点
    • 第4問:16点
    • 第5問:20点
    • 合 計:86点

     第2問だけ自己採点よりも2点引かれてましたが、その他は自己採点と同じ結果でした。

     今回は「第1期→(FPや宅建の勉強のため中断)→第2期・第3期」というスケジュールで勉強を進めましたが、今振り返ってみるとこのプランは失敗だったと思います。

     なぜなら、一度時間を空けてしまうと、もう一度簿記の脳に切り替え、エンジンをかけるのに思った以上の労力と時間、そしてストレスがかかってしまったからです。

     完全に止めてしまうのではなく、1日10分でも良いから簿記に触れ続けておけば良かったと強く思います。

    管理人からクマ吉さんへ追加の質問

     クマ吉さんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
    ■商業簿記
     最初の頃は税効果会計と連結会計の未実現利益の消去が苦手でした。克服するために、原始的ですが何度も何度も過去問や問題集を解きました。

     この論点は、ここだけにフォーカスした問題を解くとイメージがわかなかったのですが、決算整理や一連の流れの問題を解いているうちに、直前期になって急に考え方ややり方がスッと頭に入りまして、逆に最後は得意分野になりました。

    ■工業簿記
     標準原価計算が苦手でした。こちらも原始的ですが何度も何度も過去問や問題集を解きました。工業簿記は得点源にしたいと考えていたので、直前までたくさん問題を解きました。

     ただ、逆に「工業簿記を得点源にしないといけない」という余計なプレッシャーが重荷となって、最後までスムーズに解けませんでした。

     最後の最後は、理解うんぬんはひとまず置いておいて、過去問等でやったことがあるパターンは絶対に落とさないという気持ちで取り組みました。

     クマ吉さんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
     簿記3級を受けようと決めた時、なんとなく簿記2級までは取ってみようと決めていましたが、その後、簿記の魅力にハマってしまい、簿記2級を受験する時には「2019年に簿記1級に合格すること」が最終目標となっていました。

     この目標を達成するためには、簿記以外の資格試験日の関係上、150回試験で簿記2級に合格する事が絶対条件となっていたので、なにがなんでも合格するんだ!という気持ちがモチベーションの源泉になりました。

    管理人コメント

     クマ吉さん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

     まず電卓について。クマ吉さんもおっしゃっていますが、CASIOの高級電卓はキーを叩いたときの感触がしっとりとしていて気持ちがいいです。電卓の購入を検討されている方は、ぜひ家電量販店等で実際に打ってみてください。

     また、勉強スタイルについては「自分の答えが間違っていてもすぐに解説を読まずにテキストを見ながら再チャレンジし、なるべく自力で解答までたどり着くことを心がけていました」という点をぜひ見習っていただきたいです。

     ドラゴン桜の英語講師のモデルとなった竹岡先生も、プロフェッショナルという番組で「適当に問題を解いて、適当に丸付けしても力はつかない。1問1問じっくり考えて解くことで力がつく」とおっしゃっていました。勉強は「時間」だけでなく「質」も大事です。

    クマ吉さんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第150回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.154

    商業簿記・工業簿記ともに各仕訳の意味をきちんと理解することが重要です!

    • 投稿者:のんすーさん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約5か月

    はじめに

     私が簿記2級に挑戦しようと思ったきっかけは、資格を取得して仕事と家庭を両立できる職場に転職したい!と思ったからです。

     教育大学を卒業後、総合病院で医療事務として5年程働いていましたが、月の半分程度を占める残業や深夜業務をこなしており、結婚を期に「今後も子育てをしながら同じ環境で働き続けられるのか…」と疑問を抱きました。

     そうした中、もともと興味のあった簿記を勉強しようと思い立ったことと、簿記の知識を活用しワークライフバランスを保ちながら働けそうな経理職に就きたいという思いが重なり、学習を始めました。

     簿記の知識はほぼゼロでしたが、3級を受験後に2級を受験していたら半年以上かかってしまう…。同日に受験するなんて疲れそう…。なにより、2級を目指しているのに3級に費やす受験費用が勿体無い!と感じ、いきなり2級を受験することに決めました。

     私のように、いきなり2級の資格取得を目指して勉強されている方、これから目指そうとしている方の参考になればと思います。どうぞよろしくお願いします。

    使用したテキスト・電卓

    • 簿記3級
      • みんなが欲しかった簿記の教科書 日商3級 商業簿記
      • みんなが欲しかった簿記の問題集 日商3級 商業簿記
    • 簿記2級
      • みんなが欲しかった簿記の教科書 日商2級 商業簿記
      • みんなが欲しかった簿記の教科書 日商2級 工業簿記
      • みんなが欲しかった簿記の問題集 日商2級 商業簿記
      • みんなが欲しかった簿記の問題集 日商2級 工業簿記
      • 無敵の簿記2級 第150回直前総まとめ
      • 第150回をあてるTAC直前予想 日商簿記2級
    • その他
      • 資料請求をした際頂いた前回分の本試験模範解答集
      • CASIO NS-S10-PK-N(電卓)

     まず、簿記を受験するうえで必要な参考書を選ぶことから始めました。全てTAC出版で揃えた理由を一言で言えば、受験生の評判が良く、簿記検定ナビでもおすすめされていたし、書店に置いてある実物で内容をしっかりと確認できたからです。

     さらに、私が教材を選ぶうえで重要視したのは以下の2点です。

    1. 学習途中で挫折しないよう、分かりやすく丁寧なつくりになっていること
    2. 書籍のみで効率良く学習を進められること

     前述のとおり、簿記の知識が全くない状態で2級受験する事を決めたので、時間をかけてでもまずは基礎を定着してから応用問題に挑戦したいと考え、数ある書籍の中から自分が見て理解できそうなレイアウトで構成された本書を購入しました。

     電卓は、前職で使用していたものをそのまま使いました。10桁でしたが全く問題なかったです。なお、メモリー機能を使いこなせるようになると計算の手間が省け、時間ロスや計算ミスを減らせると思います。

    勉強の流れ

    簿記3級(2018年8月)

     8月上旬に学習を開始しました。

     「みんなが欲しかった簿記の教科書 日商3級 商業簿記」の教材を読みながら、知識の定着を図るために基本問題も解きました。最後まで読み終えたら「みんなが欲しかった簿記の問題集 日商3級 商業簿記」の小問を解き進めました。

     そのさい、分からない問題はすぐに解答を確認するとともに「みんなが欲しかった簿記の教科書 日商3級 商業簿記」の該当するページを探して内容を確認しました。この作業を何度も繰り返し行いましたが、教科書の確認だけでは不充分と感じた場合は別途、ノートにまとめました。

     8月下旬からは「みんなが欲しかった簿記の問題集 日商3級 商業簿記」の問題を何度も繰返し解きました。この時期は1日10単元以上の小問を解いていたと思います。最終的には小問だけでなく模擬問題も含めて3周しました。

     8月の最終日には「資料請求をしたさい頂いた前回分の本試験模範解答集」に掲載されていた3級の問題(※第149回の本試験問題)を解きました。無事に満点をとることができたので、9月から2級の勉強に進むことにしました。

    簿記2級(2018年9月~)

     9月上旬から10月上旬ぐらいまでは商業簿記に取り組みました。勉強の進め方は3級と同じです。

     まず、「みんなが欲しかった簿記の教科書 日商2級 商業簿記」を2週間程度でひと通り読み込み、その後はひたすら「みんなが欲しかった簿記の問題集 日商2級 商業簿記」の問題を解きました。

     10月中旬ぐらいから工業簿記の勉強を開始しました。

     工業簿記は範囲が狭いため、「みんなが欲しかった簿記の教科書 日商2級 工業簿記」と「みんなが欲しかった簿記の問題集 日商2級 工業簿記」を併用し、2週間くらいで一気にアウトプットまで終えました。

     その後は「みんなが欲しかった簿記の問題集 日商2級 商業簿記」と「みんなが欲しかった簿記の問題集 日商2級 工業簿記」を試験直前までに6周しました。

     また、一度覚えても既存学習の内容はすぐに忘れてしまいがちなので、机に座らない時もこまめにテキスト・問題集を読み込んだり、重要論点をノートにまとめたりして知識の定着を図りました。

    まとめノート1
    まとめノート1

    まとめノート2
    まとめノート2

    まとめノート3
    まとめノート3

    まとめノート4
    まとめノート4

     11月からは「無敵の簿記2級 第150回直前総まとめ」「第150回をあてるTAC直前予想日商簿記2級」を使って勉強を進めました。

     最初は全く解けず、さらに解説を読んでも理解できなかったため、教科書と問題集の該当ページを何度も行ったり来たりしましたが、何度も繰り返し解いているうちに少しずつ理解できるようになりました。

     「資料請求をしたさいに頂いた前回分の本試験模範解答集に掲載されていた2級の問題(※第149回の本試験問題)」は、時間配分と問題形式を把握するために活用しました。

     上記のような勉強を続けた結果、試験前日には全ての予想問題・過去問で9割以上取れる状態になっていました。

    試験日1日の流れ

    7:00 起床

     いつもと変わらない時間に起床し、食べ慣れたメニュー(玉子ト-スト・ヨ-グルト・麦茶)で朝食タイム。

     慣れない早起きや徹夜、さらにお腹が緩くなりやすい食事を摂ると不調の原因になりそうなので、いつも通りの生活を心掛けました。朝食後は解きなれた問題集や仕訳問題を復習しました。

    11:30 出発

     出発前に持ち物を再度確認しました。時計と電卓、筆記用具、受験票と参考書、そして甘味菓子と飲料水です。

     試験会場は自宅から自動車で15分程の場所でしたが、駐車場を利用するのに台数制限があったので早めに会場入りしました。

    12:00 到着

     すでに会場設営が整っていたため、お手洗いを済ませて着席し、電卓と受験票、筆記用具を机の上に出した状態で参考書と仕訳カードを活用して最終確認を行いました。

     試験会場へは自分が勉強に使用した参考書をすべて持って行きました。試験開始までにすべてに目を通すわけではありませんが、「自分はこれだけ勉強したから大丈夫。」と安心できるお守りのようなものです。

     なお、試験会場へは最低でも試験開始1時間前に着くようにして、お手洗いの場所や会場の雰囲気に慣れておくことをおススメします。ギリギリになると、気持ちが焦って試験に集中できないと思います。

    13:30 試験の説明

     周りを見渡すと、ところどころに空席が目立ちましたが、遅刻してきた人はいませんでした。受験生はざっと120名程度、男女比率は半々くらい、年齢層は20~50代くらいと幅広かったです。学生さんと思われる人たちが目立ちました。

     試験監督者からひと通りの説明が終わると、A4サイズの白紙と答案用紙が配布され、答案用紙を一枚ずつ切り離すように指示されました。

     この作業は想定外だったため驚きましたが、指示通り切り離して各ページに受験番号と氏名を記入。全員の記入が完了した後に試験問題冊子が配られました。

    13:40 試験開始!

     初めて簿記の試験を受験したので終始緊張していました。

     まずは問題に目を通し、過去問の形式と大幅な違いがないことを確認して「1→4→5→3→2」の順に解くことと決めました。苦手意識を持っていた第2問を後回しにする作戦です。

     なお、試験と同時進行で、試験監督者による受験票の確認と本人確認書類の突合が行われました。

    第1問

     第1問の仕訳問題は、率直に難しいと思いました。すぐに解答できる問題もあれば言葉の言い回しを理解しにくい問題もあり、ここで15分程かけてしまった記憶です。勘定科目を間違えないように、その都度、選択肢を確認しながらすべての解答を記入しました。

     今振り返ってみると、かけた時間に比例して点数が取れたわけではなかったので、「自分がわからないものは難問なのだ。」とすぐに見切りをつけるべきだったと反省しています。

    第4問

     第4問は費目別計算の仕訳でした。材料副費など、参考書では時間がある人が勉強するために応用問題として掲載されていた内容もありましたが、こうして出題されることがあるので、試験範囲の内容は隅から隅まで勉強することが大切なのだと感じました。ここは5分もかからなかった記憶です。

    第5問

     第5問はCVP分析でした。得意分野のひとつでしたし、解き慣れた出題形式の問題だったため10分程で解答を終えました。

    第3問

     第3問は貸借対照表の問題でした。予想問題などで応用問題ばかり練習していましたが、実際に出題されたのは3級レベルの簡単な内容でした。このあたりでようやく気持ちに余裕が出てきました。10分程かかった記憶です。

    第2問

     第2問は固定資産の総合問題でした。個別問題の中でも固定資産は苦手意識がある分野でしたが、解いていくうちに自分が得意とする連結会計と税効果会計を含んだ問題だと気づき、結果的には得点源にすることができました。10分程かかった記憶です。

     このような流れで1時間を残して全問解答。その後、時間をかけて見直しをすることができました。見直しのさいは、勘定科目の記入ミスや計算誤りがないか入念に確認しました。

    自己採点の結果

    • 第1問:8点
    • 第2問:20点
    • 第3問:20点
    • 第4問:12点
    • 第5問:12点

     自己採点の合計は72点。合格発表時に通知された採点結果も同じ点数でした。

     合格ギリギリの点数でしたが、合格証書には点数は記載されません。合格証書を持っていれば100点であろうと70点であろうと「簿記2級の合格者」です!…と私は自信を持っています。

     この体験記を閲覧された方が、「簿記は満点でなくても合格する試験なのだ」と気楽に勉強に取り組み、ポジティブな気持ちで試験に挑めますようにと願っています。

    管理人からのんすーさんへ追加の質問

     2018年8月上旬に学習を開始されたとのことですが、トータルの勉強時間はおよそどれぐらいでしょうか?
     3級の範囲を勉強していた頃は1日2時間程、2級に入ってからは1日4時間程、11月に入った辺りから試験前日までは1日7~8時間程でしたので、机の上で行った勉強時間は約380時間程です。

     その他、時間がある時にテキストの流し読みを1日1時間程したので、合計で460時間程です。

     今回、勉強に使われた各教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
    ■みんなが欲しかったシリーズ:90点
     絵や図が効果的に使われており、解答までたどり着く手順が分かりやすくまとめられています。独学者に優しい教材だと思います。

    ■無敵とあてるシリーズ:70点
     本試験を意識した構成で、時間配分や予想問題を考えながら解けるので良かったです。ただ、試験まで時間がない場合や基本問題を理解しきれていない場合は手を出さない方がいいかもしれません。本試験では、基礎問題を落とさず解答できるかが合格のカギになるからです。

    ■資料請求をした際頂いた前回分の本試験模範解答集:50点
     前回と同じ問題は一部を除き出題されませんが、試験形式を知るうえでは良い参考資料になると思います。

     のんすーさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
     得意な論点は、連結や税効果会計です。

     苦手な論点は、商業簿記の有価証券の個別論点です。克服するためにひたすら同じ問題を解きました。特に苦手な個別論点の問題は8回くらい解いたと思います。

     のんすーさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
     勉強は苦しくなると捗りませんので、理解できないところが出てきても「簿記は全体的に楽しいものだ」とイメージして勉強を続けました。

     あとは、定期的に全く勉強しない日を設けること。たまに息抜きする事で、コンスタントに勉強を続けることができました。

     ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
     商業・工業ともに各仕訳の意味をきちんと理解することが重要です。試験内容が簡単ならば丸暗記で充分対応できますが、150回の問題のように少しひねって出題されると丸暗記だけでは対応できないからです。

     また、試験までの学習計画の作成することも重要です。教材に付いている学習カレンダーなどを有効活用して、試験当日に自分のモチベ-ションと理解度が最高点になるようにうまく調整してください。

    管理人コメント

     のんすーさん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

     のんすーさんは今回の受験にあたって約460時間ほど勉強されたとのことですが、これぐらいきちんと勉強すれば試験問題の難易度に関係なく順当に合格を勝ち取ることができます。

     解いた問題の数、勉強に費やした時間は決して裏切りません。今も昔も「勉強量」は合格の最重要ポイントです。これから受験される方は、なるべく多くの時間を確保して勉強に取り組んでください。

     なお、のんすーさんの合格体験記にたびたび出てくる「前回分の本試験模範解答集」というのは、TACや大原が無料で配布している前回試験の過去問冊子のことです。

     無料請求したら電話やDMで講座に勧誘されるのでは…?と不安を感じる方もいると思いますが、私が知るかぎりではそのような勧誘は一切ありません。むしろ、もうちょっと勧誘してもいいのでは…と思うくらいです。興味のある方は安心して無料請求してください。

    のんすーさんが使われた教材や電卓のまとめ