商業簿記・工業簿記ともに各仕訳の意味をきちんと理解することが重要です!

  • 投稿者:のんすーさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約5か月

はじめに

 私が簿記2級に挑戦しようと思ったきっかけは、資格を取得して仕事と家庭を両立できる職場に転職したい!と思ったからです。

 教育大学を卒業後、総合病院で医療事務として5年程働いていましたが、月の半分程度を占める残業や深夜業務をこなしており、結婚を期に「今後も子育てをしながら同じ環境で働き続けられるのか…」と疑問を抱きました。

 そうした中、もともと興味のあった簿記を勉強しようと思い立ったことと、簿記の知識を活用しワークライフバランスを保ちながら働けそうな経理職に就きたいという思いが重なり、学習を始めました。

 簿記の知識はほぼゼロでしたが、3級を受験後に2級を受験していたら半年以上かかってしまう…。同日に受験するなんて疲れそう…。なにより、2級を目指しているのに3級に費やす受験費用が勿体無い!と感じ、いきなり2級を受験することに決めました。

 私のように、いきなり2級の資格取得を目指して勉強されている方、これから目指そうとしている方の参考になればと思います。どうぞよろしくお願いします。

使用したテキスト・電卓

  • 簿記3級
    • みんなが欲しかった簿記の教科書 日商3級 商業簿記
    • みんなが欲しかった簿記の問題集 日商3級 商業簿記
  • 簿記2級
    • みんなが欲しかった簿記の教科書 日商2級 商業簿記
    • みんなが欲しかった簿記の教科書 日商2級 工業簿記
    • みんなが欲しかった簿記の問題集 日商2級 商業簿記
    • みんなが欲しかった簿記の問題集 日商2級 工業簿記
    • 無敵の簿記2級 第150回直前総まとめ
    • 第150回をあてるTAC直前予想 日商簿記2級
  • その他
    • 資料請求をした際頂いた前回分の本試験模範解答集
    • CASIO NS-S10-PK-N(電卓)

 まず、簿記を受験するうえで必要な参考書を選ぶことから始めました。全てTAC出版で揃えた理由を一言で言えば、受験生の評判が良く、簿記検定ナビでもおすすめされていたし、書店に置いてある実物で内容をしっかりと確認できたからです。

 さらに、私が教材を選ぶうえで重要視したのは以下の2点です。

  1. 学習途中で挫折しないよう、分かりやすく丁寧なつくりになっていること
  2. 書籍のみで効率良く学習を進められること

 前述のとおり、簿記の知識が全くない状態で2級受験する事を決めたので、時間をかけてでもまずは基礎を定着してから応用問題に挑戦したいと考え、数ある書籍の中から自分が見て理解できそうなレイアウトで構成された本書を購入しました。

 電卓は、前職で使用していたものをそのまま使いました。10桁でしたが全く問題なかったです。なお、メモリー機能を使いこなせるようになると計算の手間が省け、時間ロスや計算ミスを減らせると思います。

勉強の流れ

簿記3級(2018年8月)

 8月上旬に学習を開始しました。

 「みんなが欲しかった簿記の教科書 日商3級 商業簿記」の教材を読みながら、知識の定着を図るために基本問題も解きました。最後まで読み終えたら「みんなが欲しかった簿記の問題集 日商3級 商業簿記」の小問を解き進めました。

 そのさい、分からない問題はすぐに解答を確認するとともに「みんなが欲しかった簿記の教科書 日商3級 商業簿記」の該当するページを探して内容を確認しました。この作業を何度も繰り返し行いましたが、教科書の確認だけでは不充分と感じた場合は別途、ノートにまとめました。

 8月下旬からは「みんなが欲しかった簿記の問題集 日商3級 商業簿記」の問題を何度も繰返し解きました。この時期は1日10単元以上の小問を解いていたと思います。最終的には小問だけでなく模擬問題も含めて3周しました。

 8月の最終日には「資料請求をしたさい頂いた前回分の本試験模範解答集」に掲載されていた3級の問題(※第149回の本試験問題)を解きました。無事に満点をとることができたので、9月から2級の勉強に進むことにしました。

簿記2級(2018年9月~)

 9月上旬から10月上旬ぐらいまでは商業簿記に取り組みました。勉強の進め方は3級と同じです。

 まず、「みんなが欲しかった簿記の教科書 日商2級 商業簿記」を2週間程度でひと通り読み込み、その後はひたすら「みんなが欲しかった簿記の問題集 日商2級 商業簿記」の問題を解きました。

 10月中旬ぐらいから工業簿記の勉強を開始しました。

 工業簿記は範囲が狭いため、「みんなが欲しかった簿記の教科書 日商2級 工業簿記」と「みんなが欲しかった簿記の問題集 日商2級 工業簿記」を併用し、2週間くらいで一気にアウトプットまで終えました。

 その後は「みんなが欲しかった簿記の問題集 日商2級 商業簿記」と「みんなが欲しかった簿記の問題集 日商2級 工業簿記」を試験直前までに6周しました。

 また、一度覚えても既存学習の内容はすぐに忘れてしまいがちなので、机に座らない時もこまめにテキスト・問題集を読み込んだり、重要論点をノートにまとめたりして知識の定着を図りました。

まとめノート1
まとめノート1

まとめノート2
まとめノート2

まとめノート3
まとめノート3

まとめノート4
まとめノート4

 11月からは「無敵の簿記2級 第150回直前総まとめ」「第150回をあてるTAC直前予想日商簿記2級」を使って勉強を進めました。

 最初は全く解けず、さらに解説を読んでも理解できなかったため、教科書と問題集の該当ページを何度も行ったり来たりしましたが、何度も繰り返し解いているうちに少しずつ理解できるようになりました。

 「資料請求をしたさいに頂いた前回分の本試験模範解答集に掲載されていた2級の問題(※第149回の本試験問題)」は、時間配分と問題形式を把握するために活用しました。

 上記のような勉強を続けた結果、試験前日には全ての予想問題・過去問で9割以上取れる状態になっていました。

試験日1日の流れ

7:00 起床

 いつもと変わらない時間に起床し、食べ慣れたメニュー(玉子ト-スト・ヨ-グルト・麦茶)で朝食タイム。

 慣れない早起きや徹夜、さらにお腹が緩くなりやすい食事を摂ると不調の原因になりそうなので、いつも通りの生活を心掛けました。朝食後は解きなれた問題集や仕訳問題を復習しました。

11:30 出発

 出発前に持ち物を再度確認しました。時計と電卓、筆記用具、受験票と参考書、そして甘味菓子と飲料水です。

 試験会場は自宅から自動車で15分程の場所でしたが、駐車場を利用するのに台数制限があったので早めに会場入りしました。

12:00 到着

 すでに会場設営が整っていたため、お手洗いを済ませて着席し、電卓と受験票、筆記用具を机の上に出した状態で参考書と仕訳カードを活用して最終確認を行いました。

 試験会場へは自分が勉強に使用した参考書をすべて持って行きました。試験開始までにすべてに目を通すわけではありませんが、「自分はこれだけ勉強したから大丈夫。」と安心できるお守りのようなものです。

 なお、試験会場へは最低でも試験開始1時間前に着くようにして、お手洗いの場所や会場の雰囲気に慣れておくことをおススメします。ギリギリになると、気持ちが焦って試験に集中できないと思います。

13:30 試験の説明

 周りを見渡すと、ところどころに空席が目立ちましたが、遅刻してきた人はいませんでした。受験生はざっと120名程度、男女比率は半々くらい、年齢層は20~50代くらいと幅広かったです。学生さんと思われる人たちが目立ちました。

 試験監督者からひと通りの説明が終わると、A4サイズの白紙と答案用紙が配布され、答案用紙を一枚ずつ切り離すように指示されました。

 この作業は想定外だったため驚きましたが、指示通り切り離して各ページに受験番号と氏名を記入。全員の記入が完了した後に試験問題冊子が配られました。

13:40 試験開始!

 初めて簿記の試験を受験したので終始緊張していました。

 まずは問題に目を通し、過去問の形式と大幅な違いがないことを確認して「1→4→5→3→2」の順に解くことと決めました。苦手意識を持っていた第2問を後回しにする作戦です。

 なお、試験と同時進行で、試験監督者による受験票の確認と本人確認書類の突合が行われました。

第1問

 第1問の仕訳問題は、率直に難しいと思いました。すぐに解答できる問題もあれば言葉の言い回しを理解しにくい問題もあり、ここで15分程かけてしまった記憶です。勘定科目を間違えないように、その都度、選択肢を確認しながらすべての解答を記入しました。

 今振り返ってみると、かけた時間に比例して点数が取れたわけではなかったので、「自分がわからないものは難問なのだ。」とすぐに見切りをつけるべきだったと反省しています。

第4問

 第4問は費目別計算の仕訳でした。材料副費など、参考書では時間がある人が勉強するために応用問題として掲載されていた内容もありましたが、こうして出題されることがあるので、試験範囲の内容は隅から隅まで勉強することが大切なのだと感じました。ここは5分もかからなかった記憶です。

第5問

 第5問はCVP分析でした。得意分野のひとつでしたし、解き慣れた出題形式の問題だったため10分程で解答を終えました。

第3問

 第3問は貸借対照表の問題でした。予想問題などで応用問題ばかり練習していましたが、実際に出題されたのは3級レベルの簡単な内容でした。このあたりでようやく気持ちに余裕が出てきました。10分程かかった記憶です。

第2問

 第2問は固定資産の総合問題でした。個別問題の中でも固定資産は苦手意識がある分野でしたが、解いていくうちに自分が得意とする連結会計と税効果会計を含んだ問題だと気づき、結果的には得点源にすることができました。10分程かかった記憶です。

 このような流れで1時間を残して全問解答。その後、時間をかけて見直しをすることができました。見直しのさいは、勘定科目の記入ミスや計算誤りがないか入念に確認しました。

自己採点の結果

  • 第1問:8点
  • 第2問:20点
  • 第3問:20点
  • 第4問:12点
  • 第5問:12点

 自己採点の合計は72点。合格発表時に通知された採点結果も同じ点数でした。

 合格ギリギリの点数でしたが、合格証書には点数は記載されません。合格証書を持っていれば100点であろうと70点であろうと「簿記2級の合格者」です!…と私は自信を持っています。

 この体験記を閲覧された方が、「簿記は満点でなくても合格する試験なのだ」と気楽に勉強に取り組み、ポジティブな気持ちで試験に挑めますようにと願っています。

管理人からのんすーさんへ追加の質問

 2018年8月上旬に学習を開始されたとのことですが、トータルの勉強時間はおよそどれぐらいでしょうか?
 3級の範囲を勉強していた頃は1日2時間程、2級に入ってからは1日4時間程、11月に入った辺りから試験前日までは1日7~8時間程でしたので、机の上で行った勉強時間は約380時間程です。

 その他、時間がある時にテキストの流し読みを1日1時間程したので、合計で460時間程です。

 今回、勉強に使われた各教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
■みんなが欲しかったシリーズ:90点
 絵や図が効果的に使われており、解答までたどり着く手順が分かりやすくまとめられています。独学者に優しい教材だと思います。

■無敵とあてるシリーズ:70点
 本試験を意識した構成で、時間配分や予想問題を考えながら解けるので良かったです。ただ、試験まで時間がない場合や基本問題を理解しきれていない場合は手を出さない方がいいかもしれません。本試験では、基礎問題を落とさず解答できるかが合格のカギになるからです。

■資料請求をした際頂いた前回分の本試験模範解答集:50点
 前回と同じ問題は一部を除き出題されませんが、試験形式を知るうえでは良い参考資料になると思います。

 のんすーさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 得意な論点は、連結や税効果会計です。

 苦手な論点は、商業簿記の有価証券の個別論点です。克服するためにひたすら同じ問題を解きました。特に苦手な個別論点の問題は8回くらい解いたと思います。

 のんすーさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
 勉強は苦しくなると捗りませんので、理解できないところが出てきても「簿記は全体的に楽しいものだ」とイメージして勉強を続けました。

 あとは、定期的に全く勉強しない日を設けること。たまに息抜きする事で、コンスタントに勉強を続けることができました。

 ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 商業・工業ともに各仕訳の意味をきちんと理解することが重要です。試験内容が簡単ならば丸暗記で充分対応できますが、150回の問題のように少しひねって出題されると丸暗記だけでは対応できないからです。

 また、試験までの学習計画の作成することも重要です。教材に付いている学習カレンダーなどを有効活用して、試験当日に自分のモチベ-ションと理解度が最高点になるようにうまく調整してください。

管理人コメント

 のんすーさん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

 のんすーさんは今回の受験にあたって約460時間ほど勉強されたとのことですが、これぐらいきちんと勉強すれば試験問題の難易度に関係なく順当に合格を勝ち取ることができます。

 解いた問題の数、勉強に費やした時間は決して裏切りません。今も昔も「勉強量」は合格の最重要ポイントです。これから受験される方は、なるべく多くの時間を確保して勉強に取り組んでください。

 なお、のんすーさんの合格体験記にたびたび出てくる「前回分の本試験模範解答集」というのは、TACや大原が無料で配布している前回試験の過去問冊子のことです。

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のんすーさんが使われた教材や電卓のまとめ