アウトプットの「量」を確保するために、進捗状況を可視化しました!

  • 投稿者:愛美さん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:2回
  • 勉強期間:約1年5か月

はじめに

 会社で経理課に所属している私の業務は、伝票入力・銀行支払処理・締日更新・元帳整理…と毎月やることは決まっているので、簿記の知識がなくてもなんとかなってしまうのが現状です。

 ただ、お世話になった上司があと一年で定年退職で、「どうしてこういう作業になるのか、という知識の裏打ちがないとこれから応用が利かなくなる」と心配してくれたため、簿記の勉強を始めることにしました。

 今考えてみると、出納帳の書き方すら知らなかった私に一から教えてくれた人を、なんとか安心させたいという気持ちが一番強かった気がします。3級を2014年の6月に合格後、衛生管理者の勉強のために間を開け、2014年の11月頃から2級の勉強を開始しました。

テキストについて

日本一やさしく日商簿記2級を勉強しました(とりい書房)

 3級は「日本一やさしく日商簿記3級を解説しました」という教科書を使っていたので、引き続き2級もそれを使用しましたが、工業簿記の仕掛品のあたりでイマイチ理解が進まず、一度挫折。2月の試験は見送りました。

スッキリわかる日商簿記 商業簿記&工業簿記(TAC出版)

 本屋へ行って読んだ印象と、簿記検定ナビの合格体験記から、スッキリわかるシリーズを買って再度勉強を始めました。また、合格TVという無料の動画配信サイトで講義を見ながら、実際の解き方を勉強しました。

 スッキリはその名の通りとてもわかりやすかったですが、実際に自分で解いてみると理解が難しい場所がありました。特に、先入先出法の計算は、合格TVのやり方のほうが私は楽だと思います。

みんなが欲しかった問題演習の本、合格するための過去問題集、TAC直前予想(TAC出版)

 1回目の受験前は、スッキリわかるを一度やってからすぐに過去問へ移りましたが、はっきり言って全然わかりませんでした。解説を読んですら、理解できない状況でした。そこで、2回目の受験では、間に「みんなが欲しかった」を挟んだところ、うまく知識の橋渡しになってくれました。

勉強方法

 1回目の受験勉強は「教科書を読む→問題を解く→その単元の動画を見る→過去問題集をやる」という流れで勉強していました。

 2回目の受験勉強は「テキストの問題を解く→解けなかった部分の教科書を読む→合格TVで解き方チェック→みんなが欲しかった問題演習の本で復習→直前予想の模試を解く→模試でできなかったところを復習→できなかった問題と同じ論点の過去問題集を解く」という流れで勉強しました。

 142回は試験内容改定の影響が大きい回だったので、それへの対応についても考えることになりました。まず、次回から消失する範囲は、出ないと思って対応する教科書、問題部分は大きくバツをを付け、最低限目を通すだけにしました。

 過去問より直前予想を先に解いたのも、この改定に一番対応しているのが直前予想の方だと思ったからです。そこで直前予想の問題を先に解き、その後、予想論点と同じ過去問を解くようにしました。

 1回目の受験に落ちてから勉強方法についても見直し、アウトプットの少なさを解決するために、解いた結果を視覚化するようにしました。

 具体的には、まず問題を解き、その結果を表に書き込みます。1回で自信を持ってできたものは書かず、なんとなくわかっているところ・できないところのページと問題番号をノートの縦軸に書き出します。

 また、横軸を解いた回数にした表を作り、解いた日にちと、できたらマル&できなかったらバツを付けました。できなかった問題は翌日解きます。この時点でできたとしても、前の答えを覚えているかもしれないので、時間をおいて再度解き、合計3回解くことにしました。

 3回もやるのは時間がかかりすぎると思うかもしれませんが、理解しないまま進んでも過去問レベルには歯が立ちません。逆に、ここで理解しておけば、過去問や模試で間違っても、解説を読めば納得できるレベルになります。3回やってもできないところは間違いノートとしてまとめ、見直すようにしました。

 テキストだけで理解が難しい部分は、合格TVの無料動画がオススメです。目の前でテキストが説明していた手順が再生されていくのを見て、理解できることも多いと思います。

 みんなが欲しかった問題演習の本は、1回目の受験で過去問に移る前に何かもう少しレベルを落とした問題で、理解を深めておけば良かったと思ったので買ったものですが、テキストの問題でできなかったところを3回解いた後のせいか、ほとんど復習のような気持ちで解くことができ、自信につながりました。

 直前予想の模試は、ちょうど1ヶ月前の仕事が休みの日に解き始めました。まず、午前中が2時間本番のように模試を解き、午後から解説と復習をしました。2時間ずっと頭を回転させるのは、慣れていないとすごく辛いので、学生さん以外はなるべく何回もやって慣れたほうがいいと思います。

 模試4回分を解いた後は、TACの直前予想と簿記検定ナビの出題予想で、重複している予想論点を先に復習しました。TACの直前予想にも簿記検定ナビにも「やっておいたほうがいい過去問題集の論点」が載っているので、それも重複しているところを先にやりました。

 まとめノートの他に、直前予想の模試問題は予想論点の詰め合わせなのでコピーを取っておき、空白部分にその問題で間違ったところの考え方と、その論点で重要なところ・よく間違えるところを書いておいて、試験前の見直しタイム用にしました。

予想問題の使い方1
予想問題の使い方1
予想問題の使い方2
予想問題の使い方2

 モチベーションの上げ方としては、間違った問題を繰り返しやる時に、1回解いたら10円、2回目は30円、3回目は50円、間違いノートを作ったら100円と決めておき、実際にやったらその金額でケーキを買う、美味しいコーヒーを飲む、というように自分へのご褒美を作っていました。

 また、私はよくネットサーフィンをしてしまい、勉強になかなかやる気が出なかったり続かなかったりしたのですが、いつネットをしてしまうのか、と分析したところ、難しい問題で考えるのが飽きた時や、眠いのに無理やり勉強していた時だとわかりました。

 つまり、難しい問題が解けずイライラする気持ちや、やりたくないのにやっている気持ちをネットをすることで楽にしたかったと気づきました。

 それに気づいてからは、気分転換の方法を短い章でできた自己啓発本を読むことに変えてやる気を高めたり、すっぱり勉強をやめて眠り、早く起きて勉強するように変えたりすることで解決することができました。

 けっして計画通りではなかったし、テキストも多めな私の勉強でしたが、以下の5点が合格のカギになったのではないかと思います。

  • 最新の情報に合わせて勉強すること
  • 基本は一つのテキストでも、どうしてもわからなくて挫折するくらいなら、本屋の立ち読みでいいので他の解説を読んでみること
  • 解けない問題は、繰り返し何度もやること
  • やったことは一目でわかるように表にすること
  • モチベーションが上がらない時は無理にやる気を出すのではなく、状況を分析して状況に合わせた解決策をとること

試験日の1日の流れ

  • 5時半 起床

 朝方の勉強に変えていたので、この時間に起きました。寝直すのも体のリズムが崩れそうなので、起きて予想論点で間違いやすいところをもう一度解き直しました。

  • 10時半頃

 休憩を兼ねて30分ほど仮眠をとりました。

  • 12時

 試験だと知った家族がゲン担ぎにトンカツを作ってくれたので、それを食べ、眠気覚ましのコーヒーを飲みました。あとで思ったのですが、やっぱりトンカツにコーヒーは良くなかったです。ちょっと胃もたれしました…。

  • 13時 会場到着

 3級からずっと試験会場としてお世話になっている商業高校なので、迷うこともなく安心して到着しました。まとめノートといろいろ書き込んだ模試の問題用紙で最後の見直しをして、トイレに行きました。

  • 13時半 試験開始

 解いた順番は、1→2→4→5→4→3。

1問目 仕訳 12点

 どれも見慣れた形式なので簡単だったと思いきや、営業外受取手形の営業外を見落とし、本店を支店名で書いてしまったので、満点にはなりませんでした。

2問目 株主資本等変動計算書 ?点

 配当額の10分の1という文章を読んでいたのに理解しきれず、期首残高で計算してしまったので…ここの配点は読めませんが、半分いけばいい方だなと思います。やっぱり緊張と焦りがありましたがとにかく全部埋めて、検算でのチェックはしておきました。

4問目 標準原価計算 20点

 いつもの解答パターンで直接材料費差異から求めてしまい、全然答えが出ずにかなり焦りました。

5問目 工程別総合原価計算 20点

 いったん5問目へ移動し、普通の工程別計算に落ち着きを取り戻し、もう一度問題文を読み直して気づきました。

3問目 財務諸表 ?点

 埋められるところが少なすぎて、とにかく最後までかかりきりでした。ここを捨てて第1・2問の見直しに回した方が良かったと思ったものの、試験会場では第3問を解くことしか頭にありませんでした。

 多分、貸倒引当金・減価償却累計額が配点部分だろうと思ったので、その部分を時間をかけて解き、あとはとにかく埋められる数字は全て埋めておく、という方針でやったと思います。

 小問をひとつ解くたびに検算を入れて見直したので、ラストは第3問をずっと解いて試験終了を迎えました。

 答え合わせをした時点で確定点数は52点。第2・3問で残り18点…はかなり不安でしたが、合格していて逆にびっくりでした。とにかく時間いっぱい考えて、わからなくても時間をおいてもう一度読むと分かることもあるので、諦めず試験に取り組んでみてください。

管理人から愛美さんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
・日本一やさしく日商簿記2級を勉強しました(70点

 私は途中で挫折してしまいましたが、音声ダウンロードもあり、コストパフォーマンスはいいと思います。自分に合っていると思った方には良いのではないでしょうか。

・スッキリわかる日商簿記 商業簿記&工業簿記(95点

 読む分量とわかりやすさは、皆さんがおすすめしている通りでした。私も自信を持っておすすめします。マイナス5点分は、やはり解法の手順が文章と図表だけだとわかりにくかったところがあるからです。

・みんなが欲しかった問題演習の本(90点

 テキストから過去問への橋渡しをしてくれた教材。電卓の使い方などのテクニックも載っており非常に助かりました。10点分は試験範囲の変更で、不要な部分ができてしまったからです。

 標準原価計算の解法手順は、これで何度も練習しました。過去問がよくわからなかったらこちらで解法手順のおさらいをするのがおすすめです。

合格するための過去問題集(90点

 過去の論点復習に非常に役立ちました。ただ、テキストからすぐに取り掛かるには少し難しい気がします。それでも試験のレベルと傾向は一通り確認できますし、対策としては非常に有効だと思います。

・TAC直前予想(95点

 時間がない方は過去問より先にこちらで的を絞ってやることをおすすめします。仕訳のカードは持ち歩きにも便利でしたし、予想は概ね的中でした。

 今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
 CASIOの「DF-120VG」です。それほど電卓が得意ではなかったので、ちょっと大きめのものにしました。固めの弾力なので、入力飛ばしをした時に気付きやすいです。初心者の方には良いのではないでしょうか。

 ただ、私は試験会場が高校で、大学の講義室のよう繋がった机ではなく、一人ひとつの机でこの電卓を使ったので、ちょっとスペースが狭かったように感じました。

 愛美さんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 得意論点は工程別原価計算です。苦手なのは個別原価計算と第3問です。

 個別原価計算は解法が単純な割りに、丁寧に解かないと計算ミスをするので敢えてゆっくりやり、検算で確認することを徹底しました。

 第3問は難度にばらつきがありますが、満点は難しく、最後まですっきりしない論点で、繰り返すこと自体が嫌で苦手でした。ただ、間違えても繰り返すことで「捨てて良い部分」と「絶対間違えてはいけない部分」が判別できるようになります。

 また、少しひねったり、言葉を変えることはありますが、第3問で問われる部分も他の大問と同じくある程度パターン化されています。

 ある程度解けるまでは、第3問を全て繰り返すのではなく、貸倒引当金・売上原価の算定など、それぞれ仕訳一問ずつの小さな単位でまとめ解きすると、しんどさを感じずに繰り返せると思います。

管理人コメント

 愛美さん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

 勉強の進捗状況を可視化したり、モチベーションを維持するためにいろいろと工夫された部分などはかなり参考になると思います。また、予想問題の使い方もユニークなので、受験生の方はぜひ参考にしてください。

 なお、受験会場(特に商業高校など)によっては割り当てられる机のスペースが狭い可能性がありますので、直前期には「解答時に使えるスペース」も意識して問題を解くことをおすすめします。

愛美さんが使われた教材や電卓のまとめ