自分にあった戦略を立てて勉強することが大事です!

  • 投稿者:yotさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:2回
  • 勉強期間:約3か月

はじめに

 私は、40代半ばのシステムエンジニア(兼プログラマー)です。簿記との関わりは、学生時代における3級レベルの講義出席と、会社員生活が少し落ち着いた平成19年の第116回での3級合格程度です。

 以降、10年近く簿記とは疎遠でありましたが、また少し仕事が落ち着いたので2級にチャレンジしてみようと思い立ち、第142回に不合格ののち、第143回で2級に合格しました。

 ここでは、不合格だった第142回への準備から、途中別の資格試験取得などもあって、丸2ヶ月以上あいだを空けてからの第143回への挑戦までを振り返りたいと思います。

私について

 私自身はコンピュータ関係の仕事をしているので、電卓を打つのは得意かと思われがちですが、むしろ普段電卓を使わない分、電卓での計算にはスピードを求めないようにしました。

 また、私自身の性格による部分もありますが、暗算能力も衰えてきているので、準備の段階から時間は気にせず、一度で正確な解答を導き出す事に重きを置きました。

 その方法で予想問題を解いた場合に、全く時間が足りないのであれば、そこは後から改善していけば良いと予め決めて学習を進める事にしました。

使用したテキストと問題集、電卓

第142回挑戦時

  • サクッとうかる日商2級工業簿記テキスト(2週間)
  • サクッとうかる日商2級商業簿記テキスト(2週間)
  • サクッとうかる日商簿記2級過去問ナビ(3日間) ※一部のみ使用
  • 簿記検定ナビの仕訳問題対策の過去10回分を2周(1週間)
  • ラストスパート模試日商簿記2級(5日間)
  • 大原の予想会で入手した日商ファイナルチェック問題(1日間)

 サクッとうかる日商2級工業簿記テキスト【90点】…工簿の基礎はこの1冊のみ使用。ボックス図は自然と書けるようになります。予想問題を解いた後に、基本に立ち返る参考書としても使用しました。

 サクッとうかる日商2級商業簿記テキスト【80点】…範囲外となった論点を除いたとしても、章立てに疑問。短期間で読破するには適量。使用時は、とにかく短期間で2級範囲の概要を掴むという目的がありました。

 サクッとうかる日商簿記2級過去問ナビ【80点】…範囲改定前の過去問はあまりオススメできません。ただし、付録のサクっとBOOKは、改定に対応していない分だけマイナスで、ほぼ満点。工簿の仕訳、各論点に触れている点が特に良いです。

 ラストスパート模試日商簿記2級【85点】…実力診断には適しているが、本試験の難易度が上がった分、本試験向けとしてはオーソドックス過ぎる気が…。ラスパカード(仕訳問題)は工簿にも配慮している点が評価できます。

第143回挑戦時

  • スッキリわかる日商簿記2級商業簿記テキスト&問題集(3週間)
  • 第143回をあてる TAC直前予想 日商簿記2級(5日間)
  • 大原の予想会で入手した日商ファイナルチェック問題(1日間)

 スッキリわかる日商簿記2級商業簿記テキスト&問題集【95点】…サクっとシリーズで既に知識を得ていた事もありますが、章立ても含めスムーズに取り組める内容でした。当面の範囲改定に別冊で段階的に対応している点も高評価です。

 第143回をあてる TAC直前予想 日商簿記2級【90点】…本試験の難易度に沿っていると思います。上記のテキスト終了後にいきなり取り組むには覚悟が必要です。

 10点減点の要因ですが、私には2色刷り解説の青が不快で集中を削がれました。また、仕訳カードについては基本が多く、もう一段深い問題であるべきと感じました。

電卓

  • SHARP EL-BM621

 以前3級にチャレンジする際に買い直した電卓ですが、SHARP EL-BM621 10桁を使用しました。故障した際のバックアップに EL-N802 も用意しましたが、結局、液晶の数字が読み易い古い方(EL-BM621)ばかり使っていました。

商業簿記と工業簿記の順序

 第142回(試験日 2/28)に向けて、全く準備のない段階で何から手を付けようかと考えましたが、途中で行き詰まって焦る事がないよう、日程に余裕のあるうちにまずは前提知識のない工業簿記からテキストを読み始めました。

 思いのほか時間は掛かりましたが、図を描いて解く癖は付きました。迷った場合には、人間苦手なものを避ける傾向にあるので、前提知識が多少ある商業簿記よりも、工業簿記からの学習をオススメします。

 ちなみに、損益分岐点については、テキスト以外の方程式で解いた方が良い場合もあると感じました。商業簿記については、「さよなら論点」も一部読み込んでしまいましたが、それに気付いてからは丸ごと飛ばしました。

第142回不合格で学んだこと

 大原予想会では「141回の合格率が低かったので、142回は合格率が上がる。すなわち、もう少し基本的な問題が出るであろう」との事でしたので、ラスパ模試でボーダーライン程度の得点が取れていた私は、多少の準備不足を自覚しつつも、ボーダーラインには乗れる気がしていました。

 しかしながらフタを開けてみると、本番の試験は、ラスパ模試のように問題を解いていくうちに最終解答まで誘導されるような事はなく、例えば、第5問の工程別などは、表中に前工程費の欄がないだけで戸惑ってしまいました。同時に、第2問のように落ち着いて解けば満点が得られる問題がある事も知りました。

第143回への始動

 142回と143回(試験日 6/12)の間に別の資格試験を挟んだこともあり、再始動は大原予想会の5/14となりました。ここから、新たな論点も加えた商業簿記をスッキリで再確認。

 工業簿記については、より演習が重要との考えで、特にテキストには取り組みませんでした。その中で役に立ったのは、「サクッとうかる日商簿記2級過去問ナビ」に別冊としてついていた「サクっとBOOK」でした。

 こちらの工業簿記における仕訳や第4、5問で狙われる論点のまとめは、再確認に丁度良いものでした。

 前回の予想問題で、本試験レベルをなめてしまっていた事は、「第143回をあてる TAC直前予想」を解き始めてすぐにわかりました。と同時に、これだけでも何とかなりそうな気がし、実際にボーダーでしたが合格する事ができました。

第143回試験中のセルフコントロール

 143回の試験で合格できたのは、結局のところ、なんとか焦らずに解き切ろうと自身をコントロールできた事だと思います。ネットでは、簿記2級の資格取得者をそういった側面で捉えているなどと解説しているものもありましたが、正直、会計入門者に出す問題ではないなー、と感じる第2問だったりもしました。

 解答順は…普段通り実力がそのまま出る第1問から、続いて第4、5、2、3問と進めました。第4問は見てすぐに時間が掛かる問題だとわかりましたが、一度で正解を導くべく、じっくり時間を掛けて解きました。

 第5問は前回出た分野という事もあり、今回は演習不足を自覚していた標準原価計算の問題でしたので、(シュラッター図は好きなのですが)すぐに解ける前半の小問3問だけを解いて商業簿記に移行しました。

 第2問はこれまで比較的解き易い問題という先入観があったものの、見事にこれを覆された上、下の方にある償却率の表に気付くのも遅れたので、かなり時間を無駄にしてから、逆に後半の小問だけに手を付ける判断をしました。

 意外だったのは、第3問でした。仕訳を書いて解けば、他の項目の影響を余り受ける事なく、勿論ミスもありましたが、それなりに得点できました。

 結局のところ見直しをする時間もほとんどなく、逆に書き直しが間違いにつながったりもしましたが、電卓を叩き過ぎずに落としてはならない問題で確実に解答を導く姿勢が当たったと思っています。

試験日1日の流れ

 普段より休日は起床が遅いので、午後開始の2級には向いていると思っていました。試験場まで30分程度でしたので、午前11時頃に起きて軽食程度で済ませ、12時45分頃に会場入りしました。

 第142回の試験の際には、座席が机に連結されていて、扉を開くように引き出すタイプだったのですが、そのステーが曲がっており、普通に座ると徐々に左側に滑り落ちていくため、試験官に申し出て隣の席に移動しました。

問3の下書き

問4の下書き

管理人からyotさんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?、また、10桁表示で不便に感じたことはありますか?
 購入の経緯ですが、前回3級受験前に、学生時代から使用していた12桁のものが壊れ、とりあえずと購入したものなので余り多く語れませんが、計算ドリルなどで脳年齢を測る機能が搭載されていたりはします。

 購入時より時間が経過しているので、コストダウン等により同じ型番でも打感などに違いは出ているかもしれません。

 それはさておき、出題側も桁数で惑わす出題をしてこない限り、10桁で問題ないと考えます。桁数が多い場合は、単位が「(千円)」として表記されるのが通例ですし、私にとっては液晶表示窓が大きく見やすい点が何より有利でした。

 バックアップとしてデザイン重視で12桁のものも用意しましたが、実務的には、数字キーと演算キーはサイズや色が異なる方が良いのは言うまでもありません。

 大原の予想会の様子・感想等を詳しく教えてください。
 第142回を千葉校、第143回を津田沼校で受講させて頂きました。ネットから正規の申込みをしましたが、当日は特に身分チェックなどはありませんでした。

 参加者は本試験同様、年齢層にも幅があります。ライバルというか同志を知る事ができます。中には、予想会の待ち時間に電卓をタカタカ打って問題演習している人も居ましたが、これも本試験同様と言ったところでしょうか。

 予想会の流れとしては、まず冊子に従いこれまでの合格率の変遷と各問での出題論点に触れ、大原講師陣による各問での出題予想範囲について、多少の補足を加えながら説明がなされます。

 次いで、予想会担当講師独自の意見として、更に狙われそうな論点が追加されたり、各論点をどう絡ませながら出題されそうかなど、冊子にない話もあります。

 最後には、ファイナルチェック問題から一問ピックアップして、解答のポイントがどこにあるか解説して頂けます。

 簿記と関わりの薄い私としては、そもそも「論点」として、商簿なら「○○表」、工簿なら「○○別」等、問題のジャンルを切り分ける概念がなかったので、それまでダラダラと問題をこなしていたところから、今は名前を正確に言い当てられないまでも、「ああ、あのジャンル(論点)ね」くらいの整理ができるようになった点が大きかったと思います。

 yotさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 ボーダーの私が得意とも言い切れませんが…第143回では確実に出題されると思い込んで取り組んだ直接原価計算は、全部原価計算の利益算出の方法と併せて何度も書いて記憶しました。

 余り簿記的ではなかった分、なじみやすかったのかも知れません。工簿においては、制限時間なくじっくり解きたいと思う問題が多かった気がします。

 商簿においては、強いて言うならば得意な順に「精算表>損益計算書>貸借対照表」ですが、誰しも同じ意見かと思います。

 初期は、出題される残高試算表の借方、貸方に金額を書き込むような横着をしていましたが、「やはり、しっかり仕訳せねば」と思い直してからは、いずれもそれなりに得点できるようになりました。損益なのか資産、負債なのかについては、概念として自然と入ってきました。

 yotさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
 そもそもは、久しぶりに会った恩師が未だに新たな挑戦を続けている事に刺激を受けたのが始まりで、ふと自分も何かしらの資格にチャレンジしようと思ったのがきっかけです。

 そういう意味では、次回恩師に会うまでには合格しておかねば、と決めた事でしょうか(もしくは、合格するまでは会えないなと)。

 そんな状況ですので、第141回の難易度が高かったという情報は、142回の大原予想会まで知らず、「試験範囲が広くなる前の方が簡単に受かるのでは」と安易に考えていました。結果、不合格。

 その後は、4月中旬の情報処理資格者試験の受験を決めていたので、こちらに頭を切り替えるのですが、その資格試験についても自己採点がボーダーライン上で、なおかつ合格発表(6/17)の前に143回の簿記の試験日(6/12)が来てしまうので、情報処理も簿記も両方とも落ちてはシャレにならん、という気持ちがもう一つのモチベーションとなりました。

 いずれにしても結果発表まで待たされるのは、余り気分の良いものではありませんね。

管理人コメント

 yotさん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

 yotさんには資格の大原の予想会について詳しく書いていただきましたが、誰でも無料で参加できて、独学だけでは得られない情報が聞けたりするので私もおすすめしています。

 たまに「参加したら強引に勧誘されたりするんじゃないの?」という質問をいただきますが、私の知る限りでは強引な勧誘は一切ありませんので、安心して参加していただければと思います。

 なお、資格の大原は、札幌から沖縄まで全国各地に校舎がありますので、お住まいの近くの校舎の予想会に参加することができます。興味のある方は以下のリンクから予想会の詳細をご確認ください。

 電卓に関しましては、最終的な金額が11桁以上になる問題は出題されないと思いますが、単価計算などの計算の途中で11桁以上になることはありますので、できれば12桁の電卓を使うことをおすすめします。

 簿記検定ナビでもおすすめの電卓を紹介していますので、興味のある方は以下のリンクからおすすめ電卓の詳細をご確認ください。

yotさんが使われた教材や電卓のまとめ