自分を追い込んで勉強するのは大事!…だけど、ほどほどに。

  • 投稿者:きなこさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:2回
  • 勉強期間:約4か月

はじめに

 もし自分の行った勉強方法などがこれから受験する方の参考になって頂けたらと思い投稿しました。

 わたしは、100円ショップで働く24歳の女性です。将来の夢とか希望とかなりたい職業もなく、高校卒業してからただ働いてるだけの生活をしていました。他の方々の体験記を読んでいた所、皆さんの受験を始めたきっかけが転職の為、スキルアップの為など、とても輝いてるように見えてとても恐縮です。

 高校時代に簿記という勉強に出会いました。授業の一環で電卓検定や情報処理など様々な資格を取得してきた流れで簿記の勉強をし検定は全商の2級まで取得しました。

きっかけ

 きっかけは昨年の9月下旬に高校時代の簿記の先生と偶然再会したことが始まりでした。他愛のない会話中に先生が「簿記はもう勉強してないよな、きなこ(わたし)成績良かったのに」と苦笑していて思わず「実は今、日商2級を勉強していて…」と嘘をついてしまいました。

 家に帰ってから「どうしてこんな事を言ってしまったのか」と後悔してしまいました。すると、高校生の頃テストの点数が良かったり様々な検定に合格した時、先生はわたしのことをとても褒めてくれたのを思い出しました。もしかしたら2級に合格するとまた先生に褒めてくれるかも、と期待して嘘をついてしまったかもしれないです。

 このような形でわたしは簿記の勉強をはじめることになりました。

2度の挫折

 実は日商2級の勉強をしようとして過去に2回ほど挫折しました。

 1回目→高校3年の春。大学への推薦入試の手段として勉強したところ家庭の経済的事情により進学を断念せざるを得なくなり、自暴自棄となり放棄。この頃1回目の受験(点数はここでは言えないくらい酷いものでした)。

 2回目→高校卒業して3年目の春。失業中に3級を受験し合格しました。自信をつけ2級勉強しましたが難易度が高く受験まで至らずに断念。それから3年の時を迎える秋、先生との再会をきっかけにもう1度勉強するチャンスを得ました。

使用した電卓と教材

  • 電卓
  • SHARP EL-G35(高校入学時に学校から購入。ちなみに電卓は左打ちです)
  • 教材
  • すいすいマンガみて日商2級(商業)
  • すいすいマンガみて日商2級(工業)
  • サクッとうかる日商2級テキスト・トレーニング(商業簿記)
  • サクッとうかる日商2級テキスト・トレーニング(工業簿記)
  • サクッとうかる日商2級厳選過去問ナビ
  • 仕訳攻略ナビ

 『すいすいマンガみて~』(商業と工業)は2回目の勉強に使っていた物です。新しく購入しようと思ったのですが、本屋さんで中身を確認したところ大きく内容が変わっていなかったのでそのまま使用しました。

おおまかな学習スケジュール

  • 10月~12月:商業簿記、工業簿記の基本問題
  • 1月:商業簿記、工業簿記の応用問題
  • 2月:過去問ナビで過去問対策

 勉強時間は約2時間。午前中は家事、午後は仕事が夜遅くまである為、夜12時~2時の時間帯です。

勉強方法その1 ~先生に聞いてみよう!~

 勉強方法として簿記教室へ通おうと思っていたのですが、地方の山奥に住んでいる自分にとって通学は難しく、仕事もシフトが不規則ということもあり独学を選ばざるを得ませんでした。通信教育は金銭的な面で諦めていました。

 独学で一番の難点といってもいいのが、『分からないところを聞ける相手が居ない』だと思います。前に勉強したときも、その難点によって行き詰りました。

 そこで、以前再会した先生の勤めている高校へ事前連絡も無しに訪れ「○○先生の元教え子の者です。○○先生に会わせてください。」と事務員の方に告げたら校内へ通してもらいました。

 職員室の前にいた先生は、わたしの超が付く突撃的な訪問に多少驚きつつも心優しく勉強を教えてくれました。すると、「きなこ(わたし)の休みに合わせて分からないところを教える」と言ってくれたので週に1度、授業が終わる放課後に指導するという約束をしました。

 少しの勇気で自分の周りの環境が大きく変わると実感した瞬間でした。過去に学校で簿記を習ったことのある人は、かつての恩師に相談するという手段もあるかもしれないです。もちろん、きちんとアポイントは取りましょう(笑)

勉強方法その2 ~自分を追い込む~

 これは勉強方法として入るのか分かりませんが個人的に効き目のあった荒行です。趣味が読書、旅行、テレビゲーム、DVD鑑賞、手芸、100円グッズ集め、スイーツを食べること、芸能人の追っかけ、カードゲームetc上げればきりがないくらい多かったです。

 よって勉強を始めた10月から2月の試験までに読書は1日15分、DVDは1週間に1本(普段4~5本)、100円ショップ通いは1週間に3日まで(普段週5日)、あとの趣味は全て禁止にしました。また、大好きな食べ物チーズケーキを合格するまで決して食べないと誓いました。

 それから、周りに居る人やブログやツイッターなどのSNSで『日商2級に絶対合格します!!』と宣言し、挫折できないように怠けないように徹底的に自分を追い込みました。

勉強方法その3 ~参考書丸写し~

 3級での勉強方法は『参考書を読む→問題を解く→答え合わせ→間違い直し』でした。しかし、2級の参考書を読みいざ問題を解こうとしたらまったくと言ってもいいほど問題を解くことが出来ませんでした。

 そこで、どんなに基本中の基本でも参考書の例題や重要語句の解説をノートに丸写ししました。その作業でじっくりと参考書を読むようになり、問題も比較的解けやすくなりました。

 『参考書を読む→「重要事項をノートに丸写し」→基本問題を解く→答え合わせ→間違い直し』という手順を踏んで勉強をしました。また、ブランクもあり計算方法や勘定科目などを忘れていたときは3級の参考書を引っ張り出して理解できるまで読み込みました。

参考書丸写ししたノートの中身
参考書丸写ししたノートの中身

新年早々踏んだり蹴ったり

 これ等3つの勉強方法を12月末まで行い、1月には応用問題に取り組む予定でした。しかし1月に入ってからわたくしの住む地方で類稀なる程の豪雪の日が続きました。その結果毎日2時間家の周りの除雪作業に追われ予定通りに勉強が進まなくなってしまいました。

 週に1回行う先生との勉強会はお互いのスケジュールが合わなくなり、連絡も途絶えがちになってしまいました。さらに職場で店長から『1月末に店舗(職場)を閉店する』と告白されました。ですがどんなにショックでも雪が積もったら除雪して、疲れて勉強が出来なくて焦って落ち込んで、結局1月の勉強時間は2日に1回で1時間半のペースでしか勉強が進みませんでした。

 2月になってからは勉強のペースがさらに遅くなりました。職場が閉店してから家に居ることが多くなり、外に出ず部屋に閉じこもる日が続きました。不眠にまで陥ってしまいました。

 さすがに同居している家族が心配しだし病院に連れてかれ医師から「うつ病一歩手前」と診断されお薬を頂きました。簿記の先生からは「今、目の前にあることに進むことだけを考えて、自分を追い詰めすぎないで」と連絡がありました。

 SNSでの友達からも励ましや心配の連絡が続々と来て「このままではいけない」と思い、試験の2週間前、本格的に勉強を再開しました。

ラストスパートは仕訳を解きまくり苦手をつぶしまくり

 試験までの残り2週間は仕訳をひたすら解いていきました。簿記検定ナビさんの『仕訳問題対策』を使用しました。一通り問題を解いて仕訳問題リストに間違った項目をマークしていきました。そこから自分の苦手分野(わたくしは社債と受託販売)を割り出し、参考書「すいすい~」を読み返しました。

間違えた問題の目次にラインマーカーを引く
間違えた問題の目次にラインマーカーを引く
間違えた問題に赤ペンを引く
間違えた問題に赤ペンを引く

 いまさら、と思われるかもしれませんが基本である仕訳を身に付けなければ問2問3の問題はとくことが出来ないと思ったからです。

 『厳選過去問ナビ』は2月に始めて、2回ずつ取り組みました。いずれも1回目は70点ギリギリで2回目は90点近くまで取れました。
間違えたところは必ず解説と参考書を読んでいき、苦手な分野(わたくしの場合は本支店会計)を克服していきました。

 あと「女性は原価計算が苦手」とよく聞きますが、わたくしは原価計算のほうが得意だったのでコレといって苦手な箇所がありませんでした。

試験前日

 試験前日はいつもと変わらず趣味の読書、DVD鑑賞をしました。ちなみに読書は仕訳攻略ナビ、DVDは2時間映画や1時間ドラマより30分のアニメやドラマが勉強の合間にちょうどよかったです。

 それから勉強は夜の8時から10時までして、当日に持っていく物の準備をしました。筆圧の強く、よくシャーペンの芯を折ってしまう自分はシャーペンに芯が十分入ってるか確認までしました。

 試験当日に雪が降っていれば早めに家を出ないと試験開始に間に合わないので、寝る前には天気予報の確認をして就寝。

試験日の1日の流れ

試験開始前

 試験当日。この日は朝から最大の寒波が襲撃しました。まるでこの世の終わりかというような猛吹雪。簡単に言うと最悪の天気でした。電車は運休、高速道路は閉鎖。自宅から試験会場までクルマで50分。

 無事に車で行けるかと苛まれながら午前11時半頃、家を出ようとしたら、たまたま仕事が休みの母親から「試験会場まで送っていくから、あなたは助手席でゆっくりしてなさい」と提案され、わたしは助手席に座り母の運転するクルマで試験会場へ向かいました。

 道中、事故を起こした車や吹雪の影響で立ち往生した車が多々ありましたが1時間半かけて試験会場に無事到着しました。母の臨機応変な行動に心底助かりました。そして思ったことは雪国にお住まいの方は2月の受験はお勧めできません。

 会場に着いたのは試験開始30分前、受験者は高校生が多く社会人の方もちらほら見かけました。何度か試験を受けてきたはずなのにやはり緊張してしまいました。緊張を和らげるため、母からもらったチョコレートのお菓子をかじりながら先生が書いた問題の解説を読み心を落ち着けました。

 それから「赤は脳に刺激を与える色」と聞いたことがあったので仕訳対策で間違えたところを赤ペンで書く作業をしました。

試験開始!

  • 午後1時35分 第1問(10分)←問題に取り組んだ時間。

 最初に取り組んだのは第1問でした。問題は4→5→1→2→3と進んだほうがいいと聞いたことがあったのですが、試験直前まで仕訳ばかりしていた自分は1→2→3→4→5と順番に進みました。

  • 午後1時45分 第2問(20分)

 2問目は仕訳日計表と総勘定元帳と仕入先元帳の作成です。今まで過去問ナビで仕訳日計表の借方と貸方の合計を一致させたことがあまりなかったので、少し緊張してしまいました。

 ですが緊張しながらも落ち着いて問題を解いたおかげで借方と貸方の合計が一致し、総勘定元帳と仕入先元帳への転記もスムーズにできるようになりました。

  • 午後2時07分 第3問(20分)

 第3問は本支店の損益計算書の作成でした。本支店の計算(未達事項の整理)を克服したわたしにとってラッキー問題でした。しかし本店と支店の税引前の利益の問題を初めて見ました。内部取引と内部利益の調整前って何!?という状態で計算の仕方がちっとも分かりませんでした。

  • 午後2時27分 第4問(13分)

 第4問は仕訳問題でした。仕訳は得意のはずが、製造の流れが分からなくなってしまいました。第3問で躓いたことを引きずってしまったと思います。

  • 午後2時40分 第5問(13分)

 第5問は個別原価計算でした。個別原価計算は比較的得意な問題でひたすら電卓を打ち続けていました。しかし途中で備考欄の製造着手と完成と引渡の日時を勘違いしてしまい、最初からやり直してタイムロスをしてしまいました。

  • 午後2時53分 第3問に再び挑戦、見直し

残りの時間は見直しと第3問に再び取り掛かりました。第3問は何回考えても書き直しても本店と支店の税引き前の利益が分かりませんでした。分からないところをいくら考えても分からなかったので、他の問題の見直しへ切り替えました。それから、自己採点用に計算用紙として配られた紙へ問題の答えを書き出しました。

試験終了

 自宅に帰り、自己採点した結果は80点台でした。ですが、もし採点箇所によっては落ちてしまう、計算で桁違いに電卓を打ってないだろうか、名前ちゃんと書いたっけ、などと様々な不安要素が押し寄せました。

合格通知

 試験の約1週間後、わたしの名前宛に商工会議所から封筒が来ました。息を呑みながらペーパーナイフで封筒を開けました。紙には『合格』の2文字が。一瞬何て書いてあるのか分からず、もう1度目を通して自分の努力してきた結果が書いてあることに理解しました。

 嬉しくなり早速先生にメールで報告をし、SNSでもブログでも友達に合格の報告をしました。友達や家族から『おめでとう!!』と祝ってもらい、久しぶりに自分の成果を認められた気分を感じました。

 先生からも『久しぶりに受けて合格とは凄いな!!』と褒めてくれて、自分がこの4か月簿記の勉強をして良かったと身にしみてケータイの液晶画面に涙をぽたぽたと落とし泣いてしまいました。そして、いままで食べることを我慢していたチーズケーキを頬張り至福の時を過ごしました。

さいごに

 わたしが合格できたのは、己の力だけではありません。分かりやすい参考書と問題集、心配してくれた家族、応援してくれた友達、試験対策に大変役立った簿記検定ナビさん、そしてわたしに簿記の再勉強のきっかけをくれて合格までサポートしてくれた先生のおかげです。

 はじめは不純な動機で取り組みましたが、今では自分のやりたいことに段々気づき、それに夢とか希望を持ってもいいんじゃないかなと思えるようになりました。

 『このまま簿記を勉強する習慣を身に付けたいので何か目指せる資格はありますか?』と簿記検定ナビの管理人田口さんにTwitterで相談したところ、田口さんからの返信で『簿記の先生になりたければ・・・』という言葉で気づきました。

 わたしのなりたい職業は『簿記の先生』です。先生のように優しくて熱心で授業が分かりやすく、ひとりの社会人として尊敬されるような人間になりたいと思いました。

 なので、ただいま来年の6月に行う日商簿記1級の試験に向けて勉強中です。大変長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださりありがとうございます。

管理人からきなこさんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
 点数は98点です。他の方にもオススメ出来ます。特に「すいすい~」は他の参考書に比べマンガやイラストが豊富に載っていて、マンガ好きの方にとってはとても分かりやすいと思います。減点した2点は『委託買付』と『受託買付』がどの教材でも少々分かりづらく理解するまで時間が掛かりました。
 今回、勉強に使われた電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
 高校入学から約8年、電卓はSHARPの『EL-G35』使っているので耐久性はバッチリだと思います。大きさも程よくボタンも押すとき静かでとても使いやすいです。他の方にもオススメしたいですが市販されてないと聞いたのでサブ電卓として購入した、ほぼ同型のSHARPの『EL-G34』をオススメします(^^)

管理人コメント

 きなこさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

 独学のウィークポイントの1つに「分からないところや勉強方法を気軽に相談できる相手がいない」というのがありますが、きなこさんのような「頼れる恩師」がいない場合は、TwitterやmixiなどのSNSを使ったり、簿記検定ナビ主催のオフ会に参加して簿記友達を見つけることをオススメします。

 簿記友達は良き相談相手にもなりますし、時には良きライバルにもなります。今の時代、探す方法はいくらでもあるので、少し勇気を出して自分から動いてみてください。

 あと、きなこさんは試験前日に持ち物の準備をされていますが、この点はぜひ見習ってください。簿記検定ナビでは日商簿記検定を受験する際に必要な持ち物を一覧にまとめた日商簿記検定の持ち物チェックシート(PDF)をご用意しておりますので、有効活用していただければ幸いです。

きなこさんが使われた教材や電卓のまとめ