簿記2級は仕訳と工業簿記が合格のカギを握ります。早めの対策を!

  • 投稿者:gorohiro127さん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:5回
  • 勉強期間:約1年3か月

はじめに

 私は現在30歳で、経歴は商業高校(全商簿記検定1級に合格)→大学の商学部(商業の教員免許を取得)→現職が経理課配属の社会人です。

 日商簿記検定2級を受験しようと思ったきっかけは、職場で昇格(2017年4月)するにあたって、せめて2級に合格していないと後輩にしめしがつかないと思ったからです。

 私は5歳と2歳の子持ちのため、学習時間が大体毎日22時以降となってしまい、今回5回目の受験でようやく2級に合格することができました。

 少しでも2級の受験生様の参考になればと思い、合格体験記を投稿いたします。

受験履歴

  • 2017年04月:第一種衛生管理者試験【合格
  • 2017年06月:第146回日商簿記検定3級【合格
  • 2017年11月:第147回日商簿記検定2級【不合格】
  • 2018年02月:第148回日商簿記検定2級【不合格】
  • 2018年06月:第149回日商簿記検定2級【不合格】
  • 2018年11月:第150回日商簿記検定2級【不合格】
  • 2019年02月:第151回日商簿記検定2級【合格

 社会人になってからは勉強をしたことがなかったので、毎日の勉強するクセをつける意味と合格の喜びを知る意味で、比較的合格率が高い「第一種衛生管理者試験」と、簿記の復習も兼ねて「日商簿記検定3級」を受験しました。

使用したテキスト

  • スッキリわかる日商簿記2級 商業簿記(TAC) A
  • スッキリわかる日商簿記2級 工業簿記(TAC) A
  • 合格テキスト日商簿記2級 工業簿記(TAC) A
  • 合格トレーニング日商簿記2級 工業簿記(TAC) A
  • 新論点問題集 日商簿記2級(カリアック) A
  • 合格するための過去問題集 日商簿記2級(TAC) A
  • 究極の仕訳集 日商簿記2級(TAC) B
  • 日商簿記2級 網羅型完全予想問題集(TAC) C
  • 直前予想 第(147回・148回・149回・151回)をあてる(TAC) C
  • 無敵の簿記2級 第(147回・148回・149回)直前総まとめ(TAC) C
  • 簿記検定ナビ 仕訳問題 SS
  • 簿記検定ナビ 無料模試 S

 以上が今回の勉強で使った全教材になります。各教材の右側のS・A・B・Cは、私の個人的な評価です。

 電卓はCASIOの「JS-20WK」を使いました。CASIO製の電卓は全体的に価格が高めですが、長年使用できるため長い目で見るとコスパが素晴らしいと思います。また、キータッチが吸い付くような感触で、何もない時でも常に電卓を叩きたくなるくらい素晴らしいです。

学習の進め方

 147回・148回は子供を寝かしつけた後に、平日22時頃から24時までの約2時間を学習に充てていました。スッキリわかるの商簿・工簿とも練習問題と、TACのあてる(予想問題集)をやっておけば合格できるという意味不明な先入観があったので、試験1か月前ぐらいからぼちぼち勉強していました。

 スッキリの練習問題を2周ぐらいしたあとにあてるに取り掛かりましたが、問題が難しくて解けなかったので答えを見ながら3周ぐらいしました。結果的には知識が定着せず、2回とも不合格になりました。

  • 第147回:33点(不合格)
    • 第1問:8点
    • 第2問:3点
    • 第3問:4点
    • 第4問:12点
    • 第5問:6点
  • 第148回:52点(不合格)
    • 第1問:8点
    • 第2問:2点
    • 第3問:10点
    • 第4問:12点
    • 第5問:20点

 149回からは簿記ナビさんに出会い、学習スタイルを変えて簿記ナビさんの仕訳問題を全てプリントアウトし、毎日、簿記ナビさんの仕訳問題1回分と過去問をこなしました。

 この時も直前期にはあてるを頼ってしまい、追い込み時にはあてるばかりやっていました。3度目の正直と思い試験に臨みましたが、点数は伸びたもののまたまた不合格になってしまいました。

  • 第149回:58点(不合格)
    • 第1問:16点
    • 第2問:0点
    • 第3問:12点
    • 第4問:10点
    • 第5問:20点

 150回こそは絶対受かる!と意気込み、新たに購入したカリアックの新論点問題集と簿記ナビさんの仕訳問題を前回同様に毎日1回分やりました。

 加えて、簿記ナビさんのサイトに掲載されていた「絶対に解いておくべき過去問5題」をやり込みましたが、結果的にはまた不合格になってしまいました。

  • 第150回:58点(不合格)
    • 第1問:8点
    • 第2問:10点
    • 第3問:12点
    • 第4問:12点
    • 第5問:16点

 この時点で1年間で約500時間ぐらい学習していて、流石に私も疲れてしまい次で最後にしようと思い、簿記ナビさんの質問掲示板に意を決して投稿し、学習のアドバイスを受けました。ここでやっと仕訳と工業簿記(特に第4問)で点数が取れていない事に気付くのです。

 そこで、これまでと同様に仕訳の対策に力を入れるとともに、TACの合格トレーニング工業簿記を徹底的にやり込みました。

 また、簿記ナビさんの出題予想のページに「課税所得の計算・税効果会計・連結会計の出題可能性が高い!最近は消費税が松岡修造なみに熱い!」と書いてあったので、これらの論点を重点的に学習しました。

学習スケジュール
学習スケジュール

簿記ナビの予想
簿記ナビの予想

試験日1日の流れ

8時30分:起床

 いつも通りの時間に起床し、トーストを食べてコーヒーを飲みました。

 9時から11時頃まではいつもどおりテキストの流し読みをしていましたが、何故か工業簿記の等級別が出題されるような気がしたので、処理の方法や積数の使い方などを改めて確認しました。

 あとは、電卓・受験票・身分証明書・筆記用具の忘れ物がないか確認しました。電卓は、万が一のことを考えて職場で使っているもの(CASIO AZ-24SE)も持っていくことにしました。

 前回の試験までは前日から徹夜で勉強して出発ギリギリまで問題を解いていましたが、試験前に頭を使うと集中力が落ちると聞いたので、前日は早めに寝て当日も軽めの調整にしました。

12時30分:出発

 妻がコンビニで買ってきてくれた明太子おにぎりを食べながら、「泣いても笑っても簿記の勉強は今日で卒業だ」と割り切って清々しい気持ちで会場に向かいました。

13時:会場到着

 3級の受験から数えて6回目になる試験会場に到着。頭を休めるために試験開始までただじっとしていました。

13時30分 答案用紙・問題用紙の配布開始

 答案用紙に受験番号・氏名を記入するさいに、答案用紙の内容から出題論点を推測することができます。

 第1問は今回も仕訳、第2問は巷の予想どおり株主資本等変動計算書!これはいけるかも…と思ったのもつかの間、第3問の連結子会社が2社あるパターンの連結精算表に衝撃を受けました。

 率直に「今回は実質80点満点の試験か。やっぱり日商2級の壁は厚い…」と思いましたが、泣いても笑っても今回が最後の挑戦になるので、できることを精一杯やろうと覚悟を決めました。

 なお、解く順番の予定は「第1問→第5問→第4問→第2問→第3問」と決めていたので、予定通りに解くことにしました。

13時40分 試験開始!

第1問

 20点満点を取るつもりで取り掛かりましたが、問題文の表現が初めて見るようなパターンのものが多く、疑心暗鬼になりながら慎重に解きました。

 税効果と法人税は簿記ナビさんの仕訳対策をかなりやりこんでいたのですんなり解答でき、200%定率法の減価償却の問題もなんとか落ち着いて解答することができました。

第5問

 家を出る前にひととおり確認していたのでスムーズに解けました。

第4問

 部門別は表形式の問題ばかり解いていたので今回のような問題は正直解きづらかったですが、問題文をよく読んでどんな処理が問われているのか考えながら解き進めました。

第2問

 この問題を見たときは本当に簿記ナビさんと出会えて良かった!と心から思いました。簿記ナビ模試の予想が的中したおかげで完答できました。

第3問

 この時点で残り40分。第3問は最初から部分点狙いでいく問題だと判断していたので、30分で解けるところだけ埋めて残りの10分で見直しをしよう決めました。

 のれん償却や土地売却益、売掛金や受取手形などB/S項目は3社を単純に合算するだけで点数が貰えると思ったので、時間をかけずに埋められるところだけをどんどん埋めていきました。

 残り10分は第1問の仕訳の見直しをしたり、自己採点用に解答を書き写したりしてギリギリまで使いました。

15時40分:試験終了

 終わった直後は手応えがなく、「また落ちたな…」と思いました。実質80点満点の試験ということを考えると、10点以上は落としていると感じたからです。

試験結果

 帰宅後、さっそく自己採点をしてみたところ、予想以上の点数(80点)が取れていました。

 書き損じや記入ミスなどで点数が下がると思ってビクビクしながら結果発表までの1週間を過ごしましたが、自己採点よりも2点高い82点で無事に合格していました。

  • 第151回:82点(合格)
    • 第1問:16点
    • 第2問:20点
    • 第3問:8点
    • 第4問:18点
    • 第5問:20点

 合格を知った瞬間は心から嬉しかったです。何度落ちても諦めずに喰らいついて行く気持ちが今回の合格に繋がったのだと思います。

合格証書
合格証書

反省点

 今回の勉強の一番の反省点は、色々なテキストや問題集を買いあさってしまい学習効率が低くなってしまったことです。テキスト・問題集は一冊をやり込んだほうが効率が良いと感じました。

 また、簿記2級は仕訳と工業簿記が合格のカギを握るので、工業簿記の知識をもっと早い時期に定着させるべきでした。商簿にシフトチェンジしている間に今までやってきた工簿を忘れてしまっている事が多々あり、商簿と工簿の学習バランスが物凄く重要だと思いました。

家族に対する感謝の気持ち

 家族に対しては感謝の気持ちでいっぱいです。妻が積極的に子供を寝かしつけてくれたり、私に気を遣って子供と出掛けてくれたりと協力的だったので本当に助かりました。

簿記ナビさんへのお礼

 日商簿記検定2級を受験するにあたり、簿記ナビさんには本当に助けられました。

 最終的に簿記ナビさんの仕訳問題と模試をやって今回合格できたようなものなので、市販のテキストを何冊も購入するより簿記ナビさんの学習資料を参考にした方が良いと感じました。

 特に仕訳問題は仕訳力の底上げにすごく役立ったので感謝してもしきれません。正直、もっと早くに簿記ナビさんに出会いたかったです。独学者の強い味方だと思います。この投稿をご覧になった方は簿記ナビさんを上手く利用しないと絶対に損をします。本当に簿記ナビに出会えて良かったです。

管理人からgorohiro127さんへ追加の質問

 カリアックの新論点問題集を購入されていて「A」と評価されていますが、具体的な感想があればぜひ教えてください。
 この問題集は商工会議所から出版されている教材で、商工会議所が公開しているサンプル問題の問題・解答だけでなく解説も付いていると聞いたので購入しました。

 内容は商業簿記だけですが、新論点の色々なパターンの問題が掲載されています。私は、税効果会計・連結会計・(未だ出題されていない)製造業会計などの問題を中心に解きましたが、この教材のおかげで今回の仕訳問題の問2と第3問の数点をもぎ取れたと思っています。

 TACのあてるの予想問題や無敵の簿記の一発的中予想問題は難しすぎるので、新論点の対策教材としては難しすぎない本教材が適していると思います。

 gorohiro127さんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
【得意な論点】

 商業簿記は「固定資産」です。職場でも固定資産に携わるため、減価償却費の計算は徹底的に勉強しました。

 工業簿記は「総合原価計算」です。ひとつの誤りが全体に響くので、ボックスが大好きになるまで練習問題を何度も解きました。というか最終的には工業簿記全般が得意になりました。
 最初のうちは本当に工業簿記が嫌いで理解に苦しんでいましたが、工簿で点数が取れないと合格できないので、一定期間徹底して工業簿記の練習問題ばかりをこなしていた期間がありました。
 その結果、勘定連絡図が無くても頭の中で勘定の流れをイメージできるようになり、安定して点数が取れるようになりました。

【苦手な論点】

 商業簿記は「連結会計」です。この論点に関しては体得度が浅く、理解を深めるのが最後まで難しかったです。

 工業簿記は「製造間接総差異の分析方法」です。シュラッター図の予算差異・操業度差異・能率差異は、最後まで意味がよく解らなくて苦手でした。

 仕事と育児をしながら勉強は、奥様の理解が必要不可欠とのことですが、他に気をつけていたこと・工夫したことなどがあればぜひ教えてください。
 仕事と育児をしながらの勉強は相当ストレスが溜まり負担になります。家族の協力はもちろん重要ですが、それ以上に「絶対に受かってやる!」という強い気持ちを持ち続けることが大事です。

 また、最初から日商簿記2級は結構敷居が高いと思っていたので、自分が合格したらどれだけ達成感を得られるだろうと常に考えながら日々勉強を続けました。

 簿記ナビさんの合格体験記で皆さんの歓喜の言葉を拝見して、自分もできると言い聞かせて鞭を打ってモチベーションを高めました。

 あとは、簿記は1日でも勉強を怠ると忘れてしまう気がするので、「継続は力なり」で5分でもいいので毎日簿記に触れる事を心がけていました。

 ただ、毎日勉強ばかりではさすがに息が詰まるので、勉強後に大好きなビールを飲んで寝るというご褒美を自分に与えてモチベーションを維持しました。

 さらに、職場や家族に簿記の試験を受けることをわざと広めたのも良かったと思います。不合格の回数が増えるにつれて恥ずかしい気持ちが強くなっていくため、なんとしてでも合格したい!と良い意味で自分に圧をかける事ができました。

管理人コメント

 gorohiro127さん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

 5回目の挑戦での合格、喜びもひとしおだと思います。簿記検定ナビも微力ながら合格のお手伝いができたようで、私もとても嬉しいです。

 今回の合格体験記に関しては、現役受験生の方はなかなか合格できなかった要因に着目していただきたいと思います(gorohiro127さん、ごめんなさい!)。


 まずひとつは、gorohiro127さんもおっしゃっているように教材の量です。不安な気持ちからいろんな教材に手を出してしまう気持ちは良く分かりますが、勉強できる時間は有限のため、たくさん買ってもあまり意味がありません。

 むしろ、教材を買っただけで満足してしまいがちですし、全てが中途半端になってしまう可能性が高いです。まずは、最初に決めた教材を徹底的に使い倒し、もうこれ以上はやる必要がない!という状態まで仕上げたうえで次の1冊を検討しましょう。


 もうひとつは構成の関係で掲載できませんでしたが、テキストを通読せずに、問題演習でつまずいたときだけ(辞書代わりに)使っていたという点です。

 市販教材の多くは「テキストを読む→問題を解く→テキストを読む→問題を解く…」というテキストの利用を前提とした作りになっているため、勉強がめちゃくちゃ得意という方でない限り、あえてイレギュラーな勉強スタイルを採用するメリットはありません。

 短期合格・一発合格している方の多くは、基本テキストの冒頭で紹介されているスタンダードな方法で勉強を進めているのに対して、受験期間が長引く人は「いきなり過去問」「あえて後ろからやる」「テキストは読まない」など独自の方法にこだわりすぎているケースが散見されます。

 簿記2級の勉強に関しては、奇をてらう必要は全くありません。スタンダードな方法でコツコツ勉強することが合格への一番の近道になります。ぜひ参考にしてください!

gorohiro127さんが使われた教材や電卓のまとめ