公益法人主催の簿記セミナーを有効活用!使えるものは賢く使いましょう。

  • 投稿者:まるさださん
  • 勉強形態:通学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約3か月

はじめに

 『簿記には原因と結果がある』…この言葉が経理を毛嫌いしていた私の心を動かし、勉強を続けることができました。数学は赤点ばかり、簿記は数学だと思っていた私にとって衝撃でした。

 私は理屈にこだわるタイプなので、ある程度、”こういうものなんだ”と受け止めながら勉強を進めることも大切、その時は分からなくても、後から”そういうことだったのか!”と気づくこともありました。

 勉強のきっかけは、会社での失敗です。経理に疎く、年度をまたいで使う経費の事務手続きを間違えてしまい、ひどく怒られました。その時の私は、知識がないのでなぜ怒られているのかが分かりませんでした。

 その反省も込めて、経理を少しでも理解したいという気持ちが芽生え、検定試験の勉強を始めることにしました。

 勉強を進めていくうちに、【前払費用】を知らなかったから失敗したんだと分かった時、初めて『経理の人に申し訳ないことをした』という気持ちになりました。

 検定に受かることはもちろんですが、周りの人の仕事を理解するきっかけにもなり、とても良い機会だったと思っています。

 ちょうど会社を退職し、自分の足りなかったところを考え、これからのステージを見つけたいと思っていたので、簿記の勉強は新しい自分探しの機会でもあったのだと思います。

3か月の流れ

  • 1か月目:NHK高校講座「簿記」視聴
  • 2か月目:夜間学校での講義受講(計45時間)
  • 3か月目:独学で復習&過去問対策

使用テキスト

  • よくわかる簿記シリーズ 合格テキスト 日商簿記3級(TAC出版)
  • よくわかる簿記シリーズ 合格トレーニング 日商簿記3級(TAC出版)
  • よくわかる簿記シリーズ 合格するための過去問題集 日商簿記3級(TAC出版)

勉強方法

1か月目:NHK高校講座「簿記」視聴

 20分番組の高校講座をただ見て、大まかに簿記ってなんなんだろう?ということをつかみました。寸劇や演習も含まれていて、楽しく視聴できたので、入り口としては大いに役立ちました。

2か月目:夜間学校での講義受講(計45時間)※テキスト2冊使用

 「山梨県職業能力開発協会」が主催する能力開発セミナーの一環で、1回3時間の講義が15回、計45時間の簿記の講座を受講しました。

 求職者(離職者)、在職者、企業の人材開発を目的としたセミナーということもあり、受講料は4,200円と破格の安さでした(※テキスト代別途)。10人定員の少人数制で、希望者8名で受講しました。

 私を含む離職者、実際に経理業務に携わっている人、会社から資格取得を指示された人、挑戦することが好きで、簿記検定にチャレンジしている主婦など…20代~60代まで、様々な方がいました。

 スケジュールがタイトだったこともあり、講師がしゃべり続けるタイプの講義で、当てられることもなく(とにかく時間がない)質問は講義終了後に各自で、という形でした。

 講師の「予習はしなくていい、必ず復習を」という指導方法を守り、1日3時間程度、前回の復習をしたうえで3時間の講義に臨みましたが、講義終了後は、毎回「また分からなくなった」と落ち込み、復習をして「なんとか分かった」の繰り返しで、一進一退でした。

3か月目:独学で復習&過去問対策

 講義終了後、試験まで1か月あったので、ひたすら演習問題を解きました。この頃から、分かるところと分からないところ、得意と不得意、ケアレスミスの繰り返しなど、自分の癖や理解度がはっきりしてきました。

 また、略語でメモを取れるようになったのも、この時期です。当座預金を「当」、売掛金を「売×」などです。過去問は、最初は時間をはかるだけ、次は時間を制限して問題を解きました。

 ところが、1日7時間程度勉強していたら、試験2週間前に突然「嫌」になりました。集中力も続かなくなり、分からないことにイライラし始めました。

 そこで、自分を安心させることが必要だと思い、簿記検定ナビの仕訳問題対策を220問を全て解きました。これで少し気が楽になり、第一問をすべて解ければ20点取れる!と自分に言い聞かせました。

 最後の1週間は精神的な安定が大事だと思い、「残高試算表」や「合計残高試算表」などの『電卓の打ち間違いで数字が合わないストレス』(自分がいけないのですが)を避けて、新範囲になった伝票の見直しをしたり、苦手ノートを作成しました

苦手ノート1
苦手ノート1

苦手ノート2
苦手ノート2

 結局、最後の最後まで分からないところ(現金過不足と訂正仕訳のMIX)、自信がないところがあり(見越しと繰延べ)、不安が残ったまま検定試験を迎えました。

試験日1日の流れ

6:30 起床

 おにぎりとコーヒーで朝食を済ませる。苦手ノートやテキストをちらちら見直し、持ち物の確認をする。

8:00 出発

 車で5分の会場だったため、すぐに到着。しかし、ここでまさかの腹痛…。体調不良のため、家へ一度戻る。(※開場前ということで、お手洗いを貸してもらえませんでした)

8:35 二度目の来訪で会場へ

 正露丸を飲んで、お腹にホッカイロを貼って席に着く。ここからは、テキストを読むのは止めて苦手ノートだけを見る。いろんな人がいるなと周りを観察しつつ、空席が目立つのも少し気になる。

9:00 試験官の説明開始

 ここで、配布された問題用紙に不備がないかを確認するよう指示があったので、開始前に「問題を見る」ことになった。もうやるしかないのだが、開始前に問題が見れるのはなぜか心の準備?につながった。

9:10 試験開始!

 ざっと問題を見て、第1問(仕訳)→第4問(仕訳日計表)→第2問(減価償却)→第3問(合計残高試算表)→第5問(B/SとP/L)という順番で解くことにした。

 また、全体的に普通預金がやたら出てくることを確認する。「最近は『普通預金』が良く登場します。」という講師の言葉を思い出し、『当座預金』と間違えないようにしないとな、と気持ちを落ち着ける。

  1. 第1問の仕訳は、難しいというよりは緊張が先に走り、字が震えた・・・。
  2. 第4問の仕訳日計表は、ボーナス問題。冷静に向き合う。
  3. 第2問の減価償却の問題でちょっと「おや?」と思ったので、一部保留にすることにした。
  4. 第3問の合計試算表は、借方と貸方が、お決まりの『合わない』。ここで時間を取られると命取りになると判断し、やりっぱなしのまま、第五問へ進む。こういう時に、『気にしない精神』『知らんぷり精神』は大切だと感じた。未完成でも、後からやれば良い。これは自分の性格に反することなので、良く我慢できたと思う。
  5. 第5問のB/SとP/Lは、意地悪要素もなかったので素直に問く。
  6. 残り30分。第2問に戻り、減価償却を『自分ルール』で片づける。
  7. お待たせ~と、第3問の『合計試算表』へ舞い戻る。何回やっても仕訳を見直しても合わない。残り20分になっても『合わない』まま。残り10分で、借方と貸方どっちに合わせようかなぁと本来であればやるべきではないことを考える。仕訳が間違っているのか、電卓の打ち間違いかをよーく考えて、仕訳は間違っていないと判断し、「貸方」に合わせることにした。
  8. 残り5分。凡ミスがないかを再度ざっと確認し、解答を問題用紙に軽く書き写す。
  9. 試験終了。自宅に帰り、WEBの解答速報と照らし合わせながら、どうやら、大丈夫そうだとホッとする。

おわりに

 「検定と実務は違う」ということを、講師から繰り返し言われていたので、理屈にこだわる私でも、柔軟な心で!と、思って勉強することを心がけました。

 簿記3級は「誰でも取れる」と言われがちですが、全くの初心者だった私は、勉強しないと絶対に受からないと思っています。

 また、勉強を通じて知識を得たことはもちろんですが、たくさんの方が一生懸命勉強していることを知り、励みになりました。管理人さんにも、心から御礼申し上げます。

管理人からまるさださんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
合格テキスト:80点
→勘定科目などの専門用語に振り仮名が振ってあり、初心者でも分かりやすかった。

合格トレーニング:85点
→解答の解説が分かりやすかった。

(※上記2冊は、夜間学校での講義で指定されたテキストでした。)

合格するための過去問題集:80点
→第一問~五問までの攻略テクニックが前半100ページにわたり書かれていて、鉛筆と紙がなくても、読み物として使えた(お風呂での勉強など)。後半は全12回分の過去問が掲載されている。
ただ、問題1→解答1→問題2→解答2…という作りではなく、問題1→問題2→問題3→…問題12→解答1→解答2…という作りだったので、いちいち各回の解答を探すのが面倒だった。

 私は、出版社を統一したほうが解説や言い回しの違いなどに左右されず頭に入りやすいと考えるタイプなので、総合的にはTACで統一してよかったと思います。

 今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
 CANONのHS-1210TUです。入社した時…10年以上前に買ったものなので、もう売ってないと思います。講師から、「自分の手のひらよりも一回り大きいものであれば、大丈夫」と言われたので、買い直すことなく使いました。使いやすかったです。

※編集注:現在は「CANON HS-1210TU」の後継機として「CANON HS-1220TUG」が販売されています。

 まるさださんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 得意なのは「精算表の作成」です。試算表→修正記入→損益計算書→貸借対照表と、それぞれ段階を経てそれぞれ合計が順番に出るので、「借方と貸方が合っていること」をちょくちょく確認できるところが、安心できて好きでした。

 一方、苦手なのは「①見越しと繰り延べ」と「②現金過不足と訂正仕訳」です。

 ①は保険料の「毎年同額問題」と、「地代を年に2回に分けて、過去1年分をさかのぼって支払う」など、過去と未来を行き来する(こういう言い方する時点でダメですね)ことが、苦手でした。線を引いて、今がいつで、決算がいつで、どこまで払って…と整理して考えました。

 ②は「途中(期中)で原因が分かったのに、その仕訳を間違えていた」という、MIXの問題が理解できませんでした。基本的な仕訳を理解できるよう、仕訳問題をたくさん解くことで慣れていきました。

 まるさださんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えてください。
・講義に来ていた60代の女性から「1回で受かるような試験じゃないわよ」と言われたあと、「でも若いから大丈夫よ」と言われ、勉学は若いからではない、やるからできるようになるんだということを自身で証明したかった。

・時間を意識するためにカレンダーに数字を書き込み、カウントダウンしていった。

・その日の勉強が終わったら、好きなことを1時間すると決めていた。勉強だけして疲れて寝るということはしなかった。

・今日はどこまでやる、ではなく時間で区切っていた。

・もし、検定でダメだったとしても、誰にも責められるわけではないし…と、楽観的に考えるようにしていた。次があるさ、と。

・検定の雰囲気が分からなかったので、どんな状態でも集中できるようにと、家族に「勉強してるから話しかけないで」と言わなかった。テレビの音、ゲームの音、料理の音、爪切りの音…例え電卓を叩いているときに話しかけられても動じなかった。

管理人コメント

 まるさださん、簿記3級試験の合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

 まるさださんは、簿記の勉強を始める前にNHK高校講座「簿記」を視聴されていますが、この講座は楽しみながら簿記の仕組みを学ぶことができるので私もおすすめです。現在もWEBで無料視聴できるので、勉強の休憩時間にちょっとずつ観ていくのもアリだと思います。

 あとは…試験開始後、すぐに問題を解かずに、まず問題を解く順番を考え、注意すべき点をきちんと確認している点はぜひ見習ってください。3級の時点でこのクセをつけておくと、解答時間がよりタイトになる2級以降で必ず役に立ちます。

 ちなみに、私は「試験開始→注意すべきところに印をつけながら、すべての問題に目を通す→解く順番を考える→目を閉じて大きく深呼吸する→解き始める」という一連の作業に5分使います。闇雲に解くのではなく、出来るだけ効率良く点が取れるように頭を使って準備をしましょう。

まるさださんが使われた教材や電卓のまとめ