間違えた問題や解答に悩んだ問題はしっかり見直すことが重要です!

  • 投稿者:鮎さん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約1か月

はじめに

 法律事務所で事務全般を行っています。主に弁護士業務の補助として関係機関への事務手続きや書類の校正などを行っているので、簿記は業務上で必要不可欠な知識というわけではありません。

 しかし、勘定科目や数字の処理に「正確性」と「迅速性」が求められる簿記検定は自身のスキルアップにつながると思い、このたび受験することに決めました。

 フルタイムで働くようになってから机に向かって勉強する機会はほぼ無く、長らく勉強から遠ざかっていましたが、5月から6月にかけて集中して試験対策に取り組んだ期間は、今思えばとても充実したものであったと感じています。

 ただ、受験を決めてから勉強に取り組み始めたのは試験日のほぼ一か月前で(GWの連休明けから)、切羽詰まった状況のまま試験日を迎えたので、余裕を持ってじっくり勉強したい方にとっては、私の体験記はあまり参考にならないかもしれません。

 もっと工夫すれば良かった点など反省することは多々ありますが、勉強期間が短くても集中して取り組み続ければ何とか合格できる、ということが伝われば幸いです。

使用したテキスト・電卓など

  • みんなが欲しかった簿記の教科書(TAC出版)
  • みんなが欲しかった簿記の問題集(TAC出版)
  • よくわかる簿記シリーズ 合格するための過去問題集(TAC出版)
  • 簿記ナビさんの仕訳問題対策(※第121回~第148回分のみ)
  • 電卓 CASIO DF-120VG(普段から使用している使い慣れた電卓です)

 このほか、間違えた問題やなかなか覚えられない点などを中心に、携帯電話にテキストや問題集の解説の写真を撮って、移動中などの隙間時間にひたすら眺めるということもしていました。

 携帯電話の写真フォルダがまとめノートや間違いノートのような役割だったと思います。試験会場にもテキストなどは持って行かず、それまで撮影してきた写真を眺めていました。

基本的な勉強方法

 テキストを読み込む時間がなかったので「ひたすら問題を解いて解答手法を身に付ける」というやり方で勉強を進めました。

 実践方式というのでしょうか、問題を解いて分からなければ解説をじっくり読む、それでも分からなければテキストで調べる、というようにテキストは辞書のように使用しました。

 このような使い方をしていたので、テキストと問題集が連動している「みんなが欲しかった」シリーズはとても使いやすかったです。

 また、試験対策として答案用紙のサイズに気を配りました。「みんなが欲しかった」シリーズの問題集・過去問題集ともに、1ページが(試験本番と同じ)A4サイズになるように拡大コピーして使用しました。さらに、過去問題集に関しては、問題にも書き込めるよう、問題用紙もコピーして使用しました。

 このようにサイズにも気を配って準備したのは、試験本番のシミュレーションをするにあたり、時間を計って問題を解くのはもちろんのこと、書き込む文字のサイズなども考慮できるので、本番と同じサイズの答案用紙と問題用紙を使用することは重要だと考えていたからです。

簿記ナビさんの活用

 勉強開始時から試験前日まで、とてもお世話になりました。

 日商簿記検定がどのような試験なのか把握しようと検索した際に簿記ナビさんのサイトを見つけたのですが、試験情報や簿記Q&Aのおかげで試験そのものを詳細に知ることができ、大変ありがたかったです。

 些細なことであっても、まず試験自体がどのようなものか早い段階で確認しておくことは、とても大事だと思います。

 また、本試験ではA4サイズの白紙の下書き用紙が1枚配られるとのことだったので、普段の勉強の際も下書きにはA4サイズの白紙を使いました

 罫線があるルーズリーフのほうが使いやすいですが、試験対策のためにあえて白紙のものを使い続けました。折って使用したり、コンマに合わせて桁数を揃えたり、見返す際に分かりやすいよう整えてメモする練習になったので良かったです。

 合格体験記も熟読させていただきました。性別、年齢問わず、様々な生活環境で多くの方々がそれぞれ真剣に取り組んできた姿が実感でき、参考にならない合格体験記は一つもありませんでした。

 特に、「試験1日の流れ」は試験当日を追体験することで流れがイメージでき、興味深く読ませていただきました。影響を受けた手法としては、勘定科目の略し方、Tフォームの記載方法、下書き用紙を折って使用する方法など、合格体験記を参考にした部分が大きいです。

 一番最初に解いた仕訳問題が簿記ナビさんの第147回仕訳問題対策でしたが、第1問の現金過不足の問題からすでにサッパリ分からず非常に焦りました。しかし、試験日まで時間が許す限り続けようと毎日繰り返し取り組みました。

 勉強方法としては、間違えた問題は「第●回 問●」とだけメモし、次の日に解く、正解するまで解く、というシンプルなやり方です。固定資産の売却など最初はまったく分かりませんでしたが、とにかく続けることが大事です。

 解答だけでなくとても丁寧な解説を付けてくださっているので、何度も読んで、何度も解いて…を試験当日まで毎日続けました。仕訳はやればやるほど身に付いていくものだと思います。

試験一か月前 勉強開始時

 使用したテキスト三冊は4月中に揃えましたが、なかなか勉強を始める気になれず、気が付けば5月の連休が終わってしまっていました。

 平日は仕事、休日は家事の処理と趣味の時間という習慣がすっかり身に付いてしまっており、机に向かって勉強すること自体が億劫で仕方がなかったので、受験の申込みを行い、逃げ道を断つことが私のスタートでした。

試験三週間前

第5問対策

 簿記ナビさんの仕訳問題対策とみんなが欲しかった簿記の問題集を解いて、仕訳に関しては概ねこういうものだとなんとか理解できるようになりました。

 しかし、合格するためには配点の高い第3問と第5問の対策が不可欠であり、一日でも早く対策することが必要だと思い、まず第5問の勉強を始めることとしました。

 簿記の大きな流れを色々と飛ばして決算の勉強に入っており、邪道に思われるかもしれませんが、結果的に大きな流れを把握できるようになれば勉強する順番も人それぞれだと思います(それでもやはり、仕訳の次は帳簿への記入、と順番に勉強した方がイメージしやすいかと思いますが…)。

 第5問対策としては、出題される論点を大まかな内容とともに把握し、『みんなが欲しかった簿記の教科書』の基本問題を正解するまで解き続けました。

 『みんなが欲しかった簿記の教科書』には基本問題が付いていますが、決算の部分だけは知識が身に付くまで繰り返し解きました(決算以外の基本問題は解いていません。応用問題が多い問題集に重きを置いていました)。

 精算表への書き込み方は勉強開始当初はまったく分かりませんでしたが、答えを見ながらでも一つ一つ確認しながら書き込んでいくと徐々にコツが掴めてきました。

 例えば、「当期分の保険料に含まれている次期の分は、前払保険料として繰り延べて減額するから、マイナスになる位置に前払の分を記載して…」というふうに、自分の言葉で噛み砕きながら解くように努めていました。

 また、第5問の勉強をしている中で仕訳の重要性を改めて感じたため、第1問対策は継続して行うべきだと思い、簿記ナビさんの仕訳問題対策を毎日続けていました。

 第1問を解いていただけでは分からなかった仕訳問題(再振替仕訳など)も、第5問の対策をしたおかげで解けるようになったり理解が深まることも多かったので、第5問の対策に早めに取り組んだことは結果的には良かったと思います。

第3問対策

 最初の頃は解答に時間が掛かりました。丁寧に、ミスのないように、と勘定科目を略すことなく仕訳をメモしたうえでTフォームに記載していたので、基本的な合計試算表の問題でも一時間ほど掛けていたと思います。

 さすがにこのままではまずいと思い、スピードアップのためメモの仕方を工夫するようにしました。ここで、簿記ナビさんの『勘定科目の省略一覧表』は大いに参考にさせていただきました。

 よく出てくる「売掛金」を「う×」と略すだけでも相当なスピードアップに繋がりますし、簿記ナビさんのサイトを見なければ略して仕訳を切るという発想すらなかったので、その手法を知ることができて本当に助かりました。

 また、合格体験記にあった下書き用紙の折り方も取り入れさせていただきました。下書き用紙を縦に三つ折りにし、細長くなった状態からさらに二回折って広げて使用するという方法です。Tフォームをメモするにあたり、12項目の勘定科目を整った形で書き込むことができ、非常に重宝しました。

 第3問の自分の解き方として仕訳をメモする作業は不可欠であったため、仕訳をメモしてからTフォーム、という手順は最後まで変わりませんでしたが、最終的にはおかげさまで遅くとも40分ほどで解ききることができるようになりました。

 勉強の最初の段階では時間を掛けても良いので、焦らず丁寧に解くことを心がけて、自分なりの解答手法を身に付けていけば良いと思います。解くスピードは徐々に上がっていくので心配いりません。

試験二週間前

 そろそろ過去問をやりたいと思いながらも、試験範囲の対策を一通り終わらせることに手一杯だったため、過去問題集には手を付けられずにいました。

 本来ならば、最低でも二週間前には過去問に着手する必要があると思います。この時期に過去問を消化しつつ、苦手分野をまとめ解きすることが理想的だったのですが…。

第2問・第4問対策

 問題集を3回ほど解き、それでも間違えた問題は4回、5回と解きました。

 第2問・第4問に関しては予想がつかない設問であり配点も高くはないので、メリハリをつけて対策する必要があると感じ、小口現金出納帳などの帳簿全般の勉強には時間を掛けませんでした。

 特に日計仕訳表・商品有高帳は前回、前々回と出題されたので、今回出題される可能性は低いだろうと考えていました。

 それでも念のため、基本的な解き方は理解しておくよう努めました。帳簿に関しては、コピーした答案用紙に書き込む作業を数回こなせば解答のコツがつかめると思います。

 勘定記入は問題集にあるものと、過去問題集の第一部に収録されている問題を繰り返し解きました。いくつか問題を解いた結果、勘定記入は難易度に当たり外れがありそうなので、満点を目指すより部分点をもらえればいい、という姿勢で取り組むことにしました。

試験一週間前

 ひたすら過去問に取り組んでいました。

 『合格するための過去問題集』に収録されている分をできる限りやろう、と毎朝4時に起きて時間を計って解いていました(朝早いように思われるかもしれませんが、完全な朝型人間なので就寝時間は夜9時とか10時とかです)。

 知識定着のため、最低でも収録分12回分すべてを解く…できれば過去問は各回二回は解きたいと考えていましたが、試験日までに解けたのは7回分だけでした(しかも一回ずつ)。


 過去問を解いていて感じたのは、間違えた問題や解答に悩んだ問題をしっかり見直すことが重要性です。

 解答する力が付いてくると、ミスの見直しもそこそこに新しい問題にどんどん取り組んでいきたくなりますが、一歩立ち止まり、間違えた問題の見直しに時間を掛けることを忘れないよう心掛けていました。

 具体的には、朝に解いた問題の中で間違えたものの解説部分などを携帯電話で写真に撮り、通勤時間や昼休みなどに眺めて記憶を定着させる、という習慣を付けていました。

 自分で間違いノートなどを作成する余裕がなかったためこのような手法でしたが、移動中など隙間時間に携帯電話の写真フォルダを眺めることができるので、ノートを持ち歩くよりも自分にとっては都合が良かったです。

試験日1日の流れ

起床~移動

 前日は試験会場への持ち物を揃えて夜10時には就寝し、5時半に起床しました。

試験会場の様子

 試験会場は自宅最寄りの試験会場ではなく、職場の近くを選びました。休日ダイヤではありますが慣れた交通機関を利用できたので迷うこともなく、安心感がありました。

 試験会場は公立高校でしたが生徒さんが案内役をしてくださっており、その様子が微笑ましく、おかげさまでとてもリラックスした気持ちになりました。

 教室内がやや蒸し暑かったり机が狭かったり、最適な環境とは言えませんでしたが、いざ試験が始まると解答に必死なので、集中力が削がれるようなことは特にありませんでした。

試験開始までの過ごし方

 自分の席を確認してからトイレに行き、席に戻ってから試験開始までは携帯電話の写真フォルダを眺めていました。

試験中の出来事

第4問

 「1→2→4→5→3」と解こうと思っていましたが、全体を見ると第4問の穴埋めが易しそうだったのでウォーミングアップに最適だと思い第4問から解きました。この時点で「第3問は合計残高試算表か…。時間が掛かりそう」と心の準備はしていました。

第1問

 解答に時間が掛からなかった第4問のおかげで、他の問題に時間を掛けることができたので助かりました。

 ただ、過去問を解いている中で感じたことですが、簿記3級の問題はよくできていて、各設問ごとに難易度のバランスを取っているはずだと想像できたため、他の問題は易しくないだろうと第1問から覚悟して取り組みました。

 第1問の問1に手形貸付金が出題されて「珍しいなぁ」と思うくらいの余裕はありましたが、第1問でのミスは絶対に避けたかったため念入りに見直ししつつ解きました。

第2問

 第2問の勘定記入で立ち止まり、危うく時間を掛けそうになってしまいましたが、「部分点狙いでいいや」と割り切って、さっさと第5問に進みました。それでも6点取れたので、完璧を目指すよりも第3問や第5問に時間を掛けるほうが合理的だと思います。

第5問

 第5問と第3問はひたすら集中して解きました。過去問を解いていた時の手順で解き、本番で特別なことはしていません。

 第5問で出題されたのは問題集や過去問で何度も見た論点だったので、ケアレスミスに気を付けて、丁寧にメモを作成しました。

 見直す時間はほとんどありませんでしたが、いくつも問題を解いていたおかげで落ち着いて転記する習慣は身に付いていたため、メモから答案用紙への転記ミスは無いだろうと思っていました。

第3問

 第3問は合計残高試算表で書き込む量が多くボリュームがあるように感じましたが、一つ一つの仕訳は易しいものばかりでした。やはり簿記3級の問題は、非常にバランス良く作成されていると思います。

試験終了

 読みにくい文字は無いかどうか、また、受験番号・氏名・生年月日の記載は問題ないかどうか確認し、試験終了となりました。

 解答をメモする余裕がなかったので自己採点はできていません。ただ、上出来とは言えないまでも大きなミスは無いはずと思いつつ、のんびり帰宅しました。

試験を終えて

 試験の結果は約二週間後にメールで知りましたが、「おめでとうございます。合格です。」という言葉をいただいて、かなりホッとしました。

 切羽詰まった状況のまま勉強し続けたので必死でしたが、焦らず丁寧に問題を解くこと、間違えた問題をしっかり見直すことなど、要所では冷静な姿勢でいたことが良かったのかなと思います。

 また、簿記ナビさんのおかげで、独学で簿記の知識がまったく無かった自分でも様々な情報を得ることができ、本当に感謝しております。この場をお借りしまして、心より御礼申し上げます。

管理人から鮎さんへ追加の質問

 数あるテキストの中から「みんなが欲しかったシリーズ」を選んだ理由はなんですか?
 簿記の知識ゼロだったので、初学者にとって分かりやすいものを、という点を最重視して選びました。

 その観点から、テキストと問題集が収録されている「スッキリわかるシリーズ」も一冊購入しており、テキスト部分を読んで問題部分を消化して…という手順でじっくり勉強できれば良かったのですが、とにかく時間がありませんでしたので、「みんなが欲しかったシリーズ」の問題集から始めました。

 問題集から始めたのは一日も早く本試験レベルの問題に取り組むべき、と思ったからです。そのような問題を厳選収載していると謳われている問題集だったので、こちらを選びました。

 同シリーズのテキストは問題集と連動しているということだったので、念のため購入しました。テキストには第5問の論点が分かりやすく解説されているので、そこは基本問題も併せてとても重宝しましたが、実は決算の部分以外はほとんど読んでいません。第5問以外の設問は、問題集の解説だけでもよくまとまっていると思います。

 時間に余裕があればテキストをしっかり読み込みたかったです。テキストは多色刷りですがごちゃごちゃしていて見づらい、何が重要部分か分からない、といったことは無く、優しい色合いでデザイン性に優れており、頭の整理に最適だと思います。

 カラーペンでテキストの線を引くだけで勉強した気になってしまうタイプの人にとっては、もともとカラフルで線を引く必要がないこちらのテキストが適当ではないでしょうか(私がそのタイプなので…)。

 ただ、テキストも問題集も良い意味で単純化、簡素化されているぶん、詳細な説明が省かれ、内容が薄いようにも感じます。そう感じつつも結果的に合格したので、「これはこういうものか」とザックリ把握できるように編集されていて、問題集で解答練習を繰り返していくうちに理屈が身に付いていくよう作成されているのだと思います。

管理人コメント

 鮎さん、簿記3級試験の合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

 まず、基本的な勉強方法の欄に書いていただいた「問題用紙・答案用紙を本試験と同じA4サイズに拡大コピーして使用した」という方法は、私自身、あまり意識したことはありませんでしたが、鮎さんのおっしゃるとおりだと思います。これから勉強される方はぜひ見習ってください。

 また、鮎さんは過去問対策と並行して仕訳対策にも力を入れられていますが、仕訳対策は第1問だけでなく(間接的に)第2問以降の対策にもなるため、費用対効果に優れています。なるべく早いタイミングで始めることをおすすめします。

 さらに、試験一週間前の欄に書いていただいた「間違えた問題や解答に悩んだ問題をしっかり見直すことが重要」というのもそのとおりだと思います。

 ドラゴン桜の英語講師のモデルとなった竹岡先生も「適当に問題を解いて、適当に丸付けしても力はつかない。1問1問じっくり考えて解くことで力がつく」とおっしゃっていました。ぜひ参考にしてください。

 最後に、受験地に関してですが、日商簿記検定は好きな商工会議所で受験できるため、鮎さんのように職場の近くの商工会議所で受験するのもアリですし、家から近い商工会議所、合格発表日の早い商工会議所を選んで受験することも可能です。

鮎さんが使われた教材や電卓のまとめ