日商が公表している「出題の意図・講評」を読んでモチベーションアップ!

  • 投稿者:みさきさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:2回
  • 勉強期間:約6か月半

はじめに

 私は大学2年生です。高校生の頃に3級を取ったのですが、より専門的な知識が欲しかったので、2級の勉強をはじめました。

日商簿記の受験歴

  • 2015年11月:141回2級不合格(64点くらいでした)
  • 2015年2月:142回2級合格(92点でした)

 勉強を開始したのが夏休み中で、比較的時間もあったことから勉強時間の確保はできていたものの、残念な結果に終わりました。そこからもう一度基礎から洗いなおして2月に合格できました。

 不合格だったときの勉強法も参考になると思うので、合わせて紹介したいと思います。

受験開始時の知識

 3年前に3級を取っているので、大体の仕組みは分かるし、とりあえず2級から勉強しよう!と2級のテキストから取り組みました。一応過去問に入っても問題なく合格点が取れていたので、3級のテキストに戻ることはなく進めていきました。

 しかし、141回の本番で見事にやられました。第2問の帳簿記入が3級の範囲で全く解けませんでした(8点しか取れなかった…)。

 受験後、3級の見直しで、決算の流れや商品売買の仕訳もあやふやなところを見つけました。思い返すと、3級は1・3・5問で点が取れれば合格だから他の部分は軽く触れる程度でした(確か直前予想で次に来るのは精算表だから貸借対照表とかはほぼ手付かずだったような…)

 私のように3級を取得して時間の空いている方や未習範囲のある方は、最初に確認しておくことをオススメします!

出題の意図・講評

 日本商工会議所が出している講評です。公式HPからダウンロードできます。私のやる気が出たのはコレのおかげです。

 141回試験が不合格だったときに読み、もう受けたくないと思うほど厳しく的確に書かれていてショックでした。それなりに自分でしっかりと勉強してきたつもりだったので落ち込みました。

 ただ、書かれていることは本当のことだし、解答・解説では説明されていないどのようなところで間違えやすいのかということがギュっと入っています。

 合格率が低かったから…と甘やかしていたら同じことの繰り返しだ!と意識を変えることができました。これからどのように勉強していけばいいのかと悩んだら、読んで見ることをオススメします。

勉強時間

 勉強中はStudyplus(スタプラ)というアプリを使っていました。勉強時間や量を記録し共有できるアプリです。私は主に勉強時間を管理する機能だけを使用していました。科目や教材ごとに記録できるので、全体の勉強量や偏りが一目で分かります。

2015年の141回試験まで:約240h

  • 8月:36h
  • 9月:70h
  • 10月:100h
  • 11月:35h

2015~6年の142回試験まで:約90h

  • 11月:11h
  • 12月:19h
  • 1月:23h
  • 2月:34h

 合計は約330hでした。250hあれば合格する試験だと聞いていたので、勉強法や効率も考えなければならないのだと反省しました。ある程度2級の基礎は固まっていたので、2度目の挑戦はあまり時間をかけずできない部分を中心に取り組めた気がします。

テキスト

 以下のLECの教材は姉から譲り受けました。

20日で合格るぞ! 日商簿記2級 光速マスターテキスト 商業簿記・工業簿記(80点

 「八百屋の源さん」というキャラクターが登場し、それぞれの仕訳を分かりやすくイラストで表現されています。A5サイズで持ち運びしやすいです。LECの本科で使われているテキストですが、独学でも理解できるくらい一つの問題に詳しい解説が付いています。

 余白にイラストが書かれているので、そこに書き込みができないのが難点(書き込むときは上から紙を貼っていました)。また、工業簿記で、BOX図が2つに分かれていたり(個数と金額)、直接原価計算の説明が分かりづらかったりしました。

20日で合格るぞ!日商簿記 2級光速マスター問題集 商業簿記・工業簿記(80点

 基本10題と応用40題で構成されていて、良問ぞろいだと思います。少なく感じるかもしれませんが、要点はぎゅっとまとまっている気がします。ただ最近は商業簿記が特に難しくなっているので、この問題集の応用問題も基礎的な位置づけになると思います。

 一部、解説が難しく書かれていたり、難しい解き方のような気がする部分があったりしたので、全て読むことはしませんでした。ちなみに、解説にもイラストが書かれています。

 LECは、大原やTACと比べ安価で講座が取れるので、なるべく費用を抑えて受講したい方にはぴったりだと思います(私は独学でした。姉が通信を取っていて、オススメだと言っていました!)

 ただ、独学の場合は最終的に過去問や予想問題などを市販の教材で対策しなくてはならないので、同じ出版社で教材を統一した方がいいと思うところもあります(TACの場合、過去問や予想問題でテキストなどの参照ページがまとめられているなど)

よくわかる簿記シリーズ ’15年11月検定対策 合格するための過去問題集 日商簿記2級(95点

 過去問といえばこのシリーズ!というくらい売れていたので買いました。少し解説が足りないと感じる部分もありましたが、最後まで使い倒した教材です。

 どうしても分からない部分は簿記ナビさんの過去問分析ページを参照しました。驚くほど丁寧に解説されていて、すぐに理解できました!

第142回をあてるTAC直前予想 日商簿記2級(90点

 過去問演習だけでは足りないと思ったので、すぐ予約して購入しました。難易度が過去問より難しく、本番でもこの教材があったから解けた問題がたくさんありました。

勉強方法

商業簿記

 テキストをざっと読み、テキストの問題を解き、仕訳を完璧に覚えるようにします。分からない部分も一応進み、覚えてから理解する方法でも構いません。

 なるべく書いて解くようにして、慣れてきたら略したり、頭に浮かべて解くようにしていました(そのくらいパッとできるようにしました。)

工業簿記

 最初は流れが分かりづらかったので、とにかくテキストを進めました。工業簿記はこの流れが重要だと思います。勘定連絡図がかけるようになれば理解しやすいはずです。その後、ひとつひとつの単元を詳しく見ていきました。

問題集の解き方・復習の仕方

 商業・工業ともに、インプット2割・アウトプット8割を目安にしました。やはりテキストだけ読んでいても問題が解けるようにはならないと思います。問題を解いていくうえで、できない部分をテキストで確認するという方法をオススメします。

 最初は全く解けなくても、問題集を2、3周するうちに解けるはずです。さらに回数を重ねると、何度も間違える問題や、ちょっとしたミスをしてしまう問題など苦手な部分が出てくると思います。

 その場合は、その問題をなぜ間違えてしまったのか、どうして理解できないのか、また正解するためにはどうすべきなのかということをノートなどにまとめると良いと思います。ちょっとしたミスでも本番では間違いとされてしまいますから、漢字のミスや桁数の間違えなど軽いミスでも厳しく書いておきます。

 そしてその間違えた箇所だけをもう一度やり直し、さらに間違えたら原因を探り後日解きなおしていきました。週末、1週間後、1ヵ月後…と解けないものは何度もやりました。

 あと、間違えた問題は2回以上正解するまでやりました。逆に1回で正解した問題は1度くらいしかやり直しませんでした。

 私ははじめ間違えた部分を問題集の解答・解説にそのまま1問ごとチェックしていたのですが、全体を見渡せないことに気づき、この方法にしました。

 これをすることにより、自分の本当の苦手分野が客観的に見えるようになります。小さなミスもこの方法で少なくなってきました。

 ただ、最初のうちからこの方法を取ると、間違える量が多くてノート作りで時間が終わってしまうので、ある程度力が付いてきてからが良いと思います(私は問題集1冊でルーズリーフ片面だけでした)

間違いリスト
間違いリスト

間違いノート1
間違いノート1

間違いノート2
間違いノート2

間違いノート3
間違いノート3

過去問・予想問題・直前模試

 やり方は問題集を解くときと大体同じです。

 ただ、本番を意識した方法で私はやっていました。1回分時間を計って解き、答え合わせをし、間違えたところだけやり直しました。過去問の最近の分と予想問題は正解したものも含め、3回以上は解きました。

 大切なのは得点を気にしないことです。私は最初得点を出し、全て合格点に達していたので、安心しきっていました。でも見返してみると、基礎的な部分で間違えていたり、理解していないところが意外とあったりしました。

 最近は初見で解くのが難しい問題が出ます。その問題で点数がある程度取られてしまうので、基本的な部分で落とすとギリギリになってしまいます。

 なので、テキストに載っているものは全て完璧に解けるようにしておく必要があります。以前の過去問で70点以上取れていても、本番では合格点に達しないことがあるので、注意してください。

試験日の1日の流れ

9時 起床

 間違いノートを眺め、荷物のチェックなどをしました。

11時半

 昼食。家で軽く食べていきました。

12時50分

 会場に到着。11時半から入場可能だったのですが、141回試験のときその時間に行ったら誰もいなくて、会場にずっといるのも疲れたので、今回は30分前に到着するようにしました。

 トイレに行き、筆記用具や受験票を置いて、間違いノートを眺めていました。欠席者が多く、私は5列目でしたが、前が誰もいませんでした。あとは、学生が私だけで、周りが皆社会人の方でした。

試験場に何の教材(ノートなど)を持っていくか?

 私は自分の間違えた部分のノート(ルーズリーフ)だけ持って行きました。テキストなど1冊丸ごと持っていくのもいいですが、事前に何を持っていって、どう過ごすのかを考えておく方が良いと思います。

13時半

 注意事項の説明開始。問題用紙、答案用紙、計算用紙A41枚配布。答案用紙に受験番号、名前、生年月日を記入。解答欄が見えて、解く順をある程度決めました。株主資本計算書で()付きだったので、少し安心しました。

 試験官は2名いました。試験官の一人が試験中、空いている机を移動させて、後ろで座って問題?を見ていました(紙の音がしたので多分…)

13時40分 試験開始!

 全ての問題をパラパラと見て、5→4→1→2→3の順で解くことにしました。

第5問

 総合原価計算は得意だったので、スラスラ解けました。

第4問

 差異分析の分類はテキストや問題で何度もやっていたので大丈夫でした。

第1問

 前回の教訓を踏まえ、捨て問覚悟で行ったら素直な問題が多くて驚きました。

~ここで約30分経過~

第2問

 2で少し戸惑ったけれど、解答欄がヒントになって全て埋められました。仕訳もほとんどしませんでした。

第3問

 ここまでで合格点は取れている自信があったので、気持ちが楽になりました。とりあえず全て仕訳していって、解答欄にうつしました。
分からないところはそのままにしておきました。

~ここで1時間経過~

 残り1時間で見直しをしました。

第3問(見直し)

 もう一度仕訳しなおして、少しでも部分点を稼ごうとしました。やっていくうちに()があまって、「ここは何入れるんだろう?」と見直すと、9の未収還付法人税等があって、よく分からなかったので放置していたのですが、多分借方で入るのはこれだろうということで記入しました(適当に書いちゃいました)

 どんな意味のある仕訳なのかもよく分からず書きましたが、正解だったのでよかったです。後の分からない仕訳はそのままにしました。合計欄も埋めませんでした。

 他は書き写しの漏れや間違いがないか、金額・利率の間違いはないかなど、チェックをしました。

15時40分 試験終了

 すぐに解答速報を見て、答え合わせをしました。

反省点

 141回のときを振り返ると、第1問・第2問で間違いを連発して不合格でした。解き方として変わりはなかったものの、第2問は動揺して最後まで解き終わりませんでした。

 その反省を生かして、142回ではなるべく時間を余らせて見直しできるように、早く正確に解く練習をしていました。また、基礎固めをしっかりやっておいたのも、冷静に問題と向き合うことができた秘訣だと思います。

最後に

 再度の挑戦で合格できましたが、試験直前まで不安で仕方がありませんでした。合格できたのも141回の教訓を生かせたからだと思います。

 独学は不安になることも多かったですが、教材はそろっているし、通学しても最終的に自分で勉強しなくてはならないので、大きな差はないと思います。

 今合格点に届いていなくても、その差を一つひとつ埋めれば絶対合格できます。少しでも私の勉強法が参考になれば幸いです。

管理人から さんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
 「シャープ 実務電卓 EL-N942X」を使用しています。ディスプレイが大きくて見やすく、キーは軽いタッチで少し反った作りになっているのでしっかり押せて、とても使いやすかったです。そしてサイレント機能が付いていたので、周囲の人を気にせず使用できました。

 本当は「カシオ JS-20DT-N」を買おうと思っていたのですが、値段が高くて…。でもシャープは比較的安価で機能も劣っていないし、Amazonレビューも高かったので決め手となりました。多分これから先も電卓はこれを使っていくと思います。

 得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 商業簿記は得意な論点はありません。基礎の仕訳の習得は早かったように思えますが、過去問だとミスを連発してしまっていたので、最後までどの分野も満遍なく取り組んでいました。

 苦手な論点は全部と言いたいところですが、直前まで難しいと感じていたのは第3問に必ず出てくる「期末商品の評価」です。未処理事項が出てきたり、与えられた数字が通常と異なると分からなくなっていました。

 対策としては基礎を踏まえた上で、過去問や予想問題レベルの応用問題を解き、BOX図のどこに当てはめて計算すれば良いのかということを意識して勉強していました。

 工業簿記は大体得意でしたが、唯一苦手だったのは直接原価計算です。全部原価計算との問題は多分いきなりP/L作成から入っていたから分からなくなったのだと思います。

 勘定連絡図を書けるようになってからはイメージしやすくなったので、やはり全体の流れが重要なのだと思いました。

 CVP分析では問われ方が変わるとできなくなったので、「もしこの部分を求めるとしたら、どんな計算をすればいいか?」と自分で問題を考えて解いていたこともありました。

 勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
 143回から範囲が変更になるので、それまでに合格しなければ!と思っていたのが一番やる気に繋がったと思います。141回がダメだったときも142回を受けることを決めていたので、簿記を勉強すること自体は嫌ではありませんでした。

 ただ、やはり不合格だったときはこれからどうやって勉強すればいいのかと悩みました。そんなとき、商工会議所の講評を読んで、ある程度指標を立てたのですが、勉強方法をガラっと変えることにしました。

 やった分だけ力がつくというより、できない部分をできるようにする方が大事だと気づきました。

 正解した問題や理解している部分はある程度時間を置いても忘れないもので、再び間違えることも少なかったことから、やる量が大幅に減り以前より勉強時間を削ることができました。以前と同じように勉強していたら途中でやる気が途切れていたかもしれません。

 ちょっとした時間で確認できるように工夫したり、勉強した過程より結果が大事!と思うようになったりしたのが、勉強を継続できた理由なのかと思います。

管理人コメント

 みさきさん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

 まず、勉強時間のところで「250hあれば合格する試験だと聞いていた」と書いていただきましたが、最近の問題の難度を考えますと、一般的には400hぐらいの勉強時間が必要だと思います。

 社会人の方が400hの勉強時間を確保するのは大変だと思いますが、通勤や昼休み等の細切れの時間を有効活用して、少しでも多く勉強時間を確保できるように努めてください。

 あと、みさきさんは「出題の意図・講評」を読んで、意識を変えることができた(モチベーションを上げることができた)とおっしゃっていますが、この点はぜひ見習ってください。

 内容的にはかなり手厳しいことが書かれることが多いですが、作問者がどのように考えて出題したのか、またどのような間違いが多かったのか…などを知ることができます。

 よって、過去問対策で各試験回の問題を解いたあと、復習のさいに該当回の「出題の意図・講評」に目を通すことをおすすめします。

みさきさんが使われた教材や電卓のまとめ