工業簿記をきちんとマスターすることが合格のカギになります!

  • 投稿者:のびたさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約2か月

資格を取ろうと思ったきっかけ

 現在、離職中ですが再就職に向けて、10年前に挫折した簿記を再度挑戦してみようと思い、前回の141回の簿記3級から勉強に取り組み始めました。

 10年前にチャレンジしたときは仕訳の意味が全く理解できず、仕事が忙しかったこともあってあっさり挫折してしまいましたが、改めて取り組み始めてみると、約10年間、資材の事務職を通じて会社の仕組みをある程度理解できていたこともあり、思っていた以上に貸借対照表や損益計算書の仕組みが頭にすんなり入ったこともあって、勉強を続けることができました。

 前回の第141回で3級に合格したものの、実務経験がほとんどない場合は2級以上持っていないと就職にあまり役立たないことや、簿記検定ナビ等で2級も独学でどうにか勉強できそうなことを知り、チャレンジしようと思い勉強を始めました。

使用テキスト

  • サクッとうかる日商2級商業簿記テキスト(ネットスクール)
  • サクッとうかる日商2級商業簿記トレーニング(ネットスクール)
  • サクッとうかる日商2級工業簿記テキスト(ネットスクール)
  • サクッとうかる日商2級工業簿記トレーニング(ネットスクール)
  • 日商簿記過去問題集2級(ネットスクール)

 上記のテキストを使用したのは、過去問題集以外は職業訓練を受けていた友人より譲り受けることができたためです。過去問題集は3級を受けた時もこちらのものを使用しており、とても使いやすかったため同じシリーズの2級を購入しました。

 前回「Study Pro」という簿記3級勉強サイトを大いに活用したので、2級でも動画サイト等いつくか試してみたのですが…あまり優れたサイトに出会えず結局テキストにて勉強することとなりました。

テキスト

 商業・工業どちらも分かりやすい部分がたくさんあったものの、意味の理解できない部分も数か所あり、本質的な意味を理解できない部分については、簿記検定ナビの「簿記2級質問掲示板」を利用させていただき、先輩方の丁寧な解答に助けられました。また、読んでるだけでは覚えられないので、すべて手書きでまとめながらテキストを読み進めました。

トレーニング

 商業簿記…ほぼ使用しませんでした。主に活用したのは簿記検定ナビの「仕訳問題対策」と、ネットスクールの過去問題集のみです。

 工業簿記…テキストの章ごとに対応した問題があるので、そちらを都度解きました。また「本試験レベルにチャレンジ!編 第4問対策・第5問対策」はひととおり工業簿記を勉強してから解くと、自分の理解度を全体的に測定でき、どこが理解できていないかをわかりやすく把握できました。こちらは大変役に立ちました。

過去問題集

 制度改正にきちんと対応しており、過去問でも今回の試験にはほとんど出ないと思われる内容がわかりやすくマークされていました。私は時間も余裕もなかったこともあり、今回の試験にはほとんど出ないと思われる内容については全く触れませんでした。

 過去3回分以外は横解き(第1問なら各回の第1問のみ集中的に解くなど問題別に解く)で、問題に慣れることに主眼を置いてトレーニングしました。試験の2週間前くらいから第○○○回を時間を計測して解きました。

勉強の仕方

 簿記3級を受けた時は、仕訳を理解できたらそれほど難しくなかったので週5時間くらいのペースで3か月かけて勉強しましたが、その感覚でのんびり構えて年明けから勉強始めたら、商業簿記の難しさと工業簿記もというボリュームの多さに驚き、とても前のような悠長なことでは無理だと思い、アルバイトを週1・2回に減らし、それ以外をほぼ勉強にあてて集中的に取り組みました。

1日のスケジュール

  • 午前:2時間
  • 午後:2~3時間

2か月間のスケジュール

  • スタート~約3週目:商業簿記のテキスト、仕訳問題をこなしました。
  • 4週目~5週目:工業簿記のテキスト、過去問横解きをしながら工業簿記の理解を深めました。
  • 6週目~7週目:過去問の間違えたところの再チャレンジ。時間を計測しながら解きました。
  • 試験直前1週間:本試験のように2時間で過去問を解いたり、予想問題を解いたりしました。

ノートについて

 テキスト使用時は理解を深めるため、まとめノートをつけてました。問題集を解くようになってからは自分の理解できていないところを改めて書き出し、「理解できてない編」という感じで一目でわかるようにまとめてました。

理解できてない編 商業簿記
理解できてない編 商業簿記

理解できてない編 工業簿記
理解できてない編 工業簿記

材料に関するメモ
材料に関するメモ

差異分析に関するメモ
差異分析に関するメモ

過去問の解き方

 どの仕訳が間違っていたのかがわかるようにするため、第3問によくある精算表や財務諸表は必ず仕訳を書き残しておきました。

 また、財務諸表は資料1によくある精算表に追記していかなくてはいけないので、精算表に載ってない勘定科目は仕訳とは別の部分に書き出してまとめておき、最終的に集計するときに見落としのないようにしました。

 工業簿記については、まずは一通り全部解いてみて、間違えた回は再度チャレンジしました。内容的にかぶる回もあるので、できなかったところがあっても2回解けば覚えられると思います。

商業簿記について

 3級に比べ内容が深く、かつ複雑になっているので工業簿記より難しいと思います。ネット上のいろいろなアドバイスを見ても、レベルの上がってる商業簿記のほうが難しいとありました。

 そのため、そもそもテキストで内容を理解することに時間がかかりました。仕訳が基本であることには変わりないのですが、年度を超える処理など当期と次期処理で混乱することもあったので、精算表・財務諸表も過去問でそこそこ慣れておくことが大切だと思います。ひたすら数をこなし、慣れることが大事です。

工業簿記について

 内容的には商業簿記より優しいですが、やはり初めから勉強するとなると3級の商業簿記並みのボリュームがあるので勉強する時間はそこそこ確保する必要があると思います。

 また、材料から製品になるまでの仕訳の全体像をつかむのに苦労しました。テキストは個別で書かれているため、自分がいまどの部分のことをやっているのかを把握することが必要だと思います。

 全体像を把握するのに役立ったのが「山梨簿記学院 お役立ちPDF」です。また試験ではいかに工業簿記の点数を落とさないかに半分はかかっていると思うので、勉強をスタートする場合は工業簿記から始めるといいかもしれません。

お役立ちPDF
お役立ちPDF

総括

 3級から勉強を始めると商業簿記ならなんとかなるかと勘違いしやすいですが、上位級だけあって理解するのに苦労しました。なので、合格のポイントは工業簿記をいかに点数を落とさずに解けるかだと思います。

 そういった意味では、まずレベル的に優しい工業簿記をマスターしてから商業簿記にじっくり取り組むことが大事かと思います。問題を解くことを体になじませることが大事だと思うので、テキストをひととおり勉強したらひたすら過去問を解いて慣れることが必要です。

試験日の1日の流れ

前日

 理解できてない編のノートを見直し、そこに関する実際の問題を軽く解いてみました。また苦手だった損益計算書の問題を解答の解説を見ながら書き出しておさらいしました。

当日

 前日と同じく理解できてない編のメモを見直すだけで、特に問題を解いたりはしませんでした。普段と同じ感覚でいるよう、詰め込みすぎないようにしました。

 試験会場に30分前に到着。3級の時と同じ中学校の教室だったので前ほどは緊張はしませんでしたが、少しでも緊張を抑えるために、試験直前まで携帯で関係ないサイトを見たりしていました。

 試験が始まると、まずは第1問仕訳問題から、次に第4問、第5問と解いていき、第2問と第3問を比べ、第2問の方が解きやすかったので第3問は最後に残しました。

 第2問以外は、どれも1つくらい悩んでわからない部分があり少々焦りました。第3問を解く時間は1時間強あったものの、悩みに悩み結局時間をほとんど費やしましたが、わからない部分が4割近く残ってしまいました。

本試験第3問の下書き
本試験第3問の下書き

自己採点の結果

  • 第1問:16点(◯◯×◯◯)
  • 第2問:20点
  • 第3問:8点~14点
  • 第4問:13点(◯×◯・予算◯ 能率◯ 操業×)
  • 第5問:16点(第1工程月末仕掛品の原料費×)
  • 合計:73点~79点

管理人からのびたさんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
・サクッとうかる日商2級商業簿記&工業簿記 テキスト編(80点

 ところどころ処理の意味が理解できない点がありました。例えば、繰越利益剰余金の利益準備金の求め方などはテキストを読むだけでは理解できず、実際の問題を解いてようやく理解できました。

・サクッとうかる日商2級工業簿記 トレーニング編(100点

 「本試験レベルにチャレンジ!編」はテキストでは理解でき切れていない細かい部分を明確に浮き彫りにしてくれました。それだけでも使う価値はありました。商業編は使用してないのでわかりません。

・日商簿記過去問題集2級(100点

 試験対策はこちらでほぼできました。解説も丁寧ですし、「講師の下書き」というメモの取り方の見本が載ってたり、出題傾向と対策についても細かく分析してあり、過去10年以上の傾向をなんとなくつかめました。秀逸だったのは平成28年度の試験範囲から外れる過去の問題をしっかりチェックしてあったところです。

 今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
 「SHARP ELSIMATE EL-N862」を使用しています。画面が大きいこと、音が静かなこと、大きさ、キーの反応がいいことなどが決め手でした。

 しかし、00表示が「000」であること、「C/CE」「訂正→」などの配置はいまいち使いづらいので、おすすめはできません。

 簿記検定ナビでもおすすめされている「CANON HS-1220TUG」の方がボタンの配置がいいので、そちらの方がいいと思います。

 得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 得意な論点は「有価証券」と「有形固定資産」です。正確には、得意というよりもそんなに悩まずすんなり理解できたと言ったほうが正しいかもしれません。

 一方、苦手な論点は「消費税の税込・税抜き」の考え方、「不渡手形」、「本支店会計」、工業簿記全般です。とにかく過去問を解いて、いろんな角度からの問題を解くことによって論点の理解を深めました。

 テキストの説明だけでは見方が単純だったり、限られた側面だけしかわからなかったりするので、問題の質問内容から論点の全体像を少しずつ掴んでいったと思います。

 勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
 来年度から試験範囲が大きく改定されるので、今回受からないと今までのテキストが使えないのでどうしても受かりたいとは思ってました。

 しかし、問題を解いてるとよくわからなかったり、何度テキストを読んでも理解できなかったりすることもあったりして、そういう時はやる気は落ちていました。

 ただ、問題を解いてるとスイスイと解ける瞬間とかもあるので、そういう時はやる気が出るという、上がったり下がったりを繰り返していました。

 気分が乗ってるときはとことん勉強し、気が乗らないときは少しの間勉強から離れる時間的余裕(勉強と家事以外ほぼ何もしていませんでした)が、短期間で合格できた大きな要因だと思います。

管理人コメント

 のびたさん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

 工業簿記は「今どの部分を勉強しているのか」を常に意識して勉強することが大事なので、のびたさんのように全体図をいつでも見れるように準備しておくと良いと思います。

 あと、どうしてもモチベーションが上がらない場合は、のびたさんのように思い切って1度離れてみることをおすすめします。中途半端にだらだらと惰性で勉強を続けるよりも、1日ぐらい簿記のことをさっぱり忘れて気分転換しましょう。

のびたさんが使われた教材や電卓のまとめ