暗記よりも理解を重視し、とにかく問題をたくさん解こう!

  • 投稿者:勇気さん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回

 予てからの目標であった、第123回日商簿記検定2級に独学で合格することが出来ました。

日商簿記検定を受験するきっかけ

 過去に3級も独学で勉強して一発で合格したことや、経理の仕事に就きたいと考えていることが切っ掛けとなり、今回の2級に挑戦することとなりました。

テキスト&問題集と電卓

  • スッキリわかる日商簿記2級 商業・工業簿記(TAC)
  • 合格する為の過去問題集(TAC)
  • 電卓(CASIOの12桁 製番は不明)

 スッキリ分かるシリーズは、3級のときもこれで勉強したので迷わず選びました。また、同じ専門学校の教材で統一したほうが効率的であると考え、過去問もTACの教材を選択。

 電卓に関しては「メモリ機能」「00キー」が付いている物を選びました。この二つが有ると無いでは、計算の速度や精度は倍以上違うと感じてます。

具体的な勉強方法

  • 基礎期(商業簿記)

 3級の知識があったので、先ずは商業簿記のテキストから勉強を始めました。但し、3級の部分で知識が曖昧な論点に関しては、3級のテキストに戻り、基礎の部分を確実に固めて勉強を進めていきました。私が問題を解く上で心がけていたのは、以下の3点です。

  • 分からない問題があった場合、時間制限を設ける
  • 制限時間内に終らない問題はそれ以上考えず答えや解説を見る
  • 解説をよく読み理解したうえで、もう一度同じ問題を解く

 日商簿記検定2級の問題には仕訳を始め、精算表や本支店会計などの総合問題がありましたが、“仕訳が簿記の基本である”と言う考えが根底にあったので、勉強を始めてから約一ヶ月は只管仕訳の問題を解いて各論点で出てくる会計処理の知識の定着に充てていました。

  • 基礎期(工業簿記)

 商業簿記の知識がある程度定着したところで、同時並行で工業簿記の勉強も始めました。問題を解く上で心がけていたことは商業簿記と何ら変わりませんが、工業簿記は勘定の連絡を理解することが重要であると情報収集の段階で分かっていたので、勉強している間は勘定連絡図を常に頭の中で浮かべながら、各論点を勉強していきました。

 巷では難しいと囁かれる工業簿記ですが、勘定連絡図など全体を俯瞰しながら知識を定着して行こうと心がけていたら、意外に越えられる壁だと自信が湧いてきました。

  • 応用期

 上で書いた基礎期での勉強がある程度終ったところで、過去問を購入してきて本試験の問題に挑戦していきました。ある程度早い段階で過去問に着手したこともあり、過去問は3周程度回しました。1周目は回数ごとに問題を解いていきました。過去問を解く上で気をつけていたのは以下の4点です。

  • 時間を計って解く(試験時間と同じ2時間)
  • 分からない問題があれば時間制限を設け、時間を過ぎたら次の問題に着手
  • 問題を解く際に最低限の下書きで解答する
  • 全て解き終わったら見直す

 過去問を解き尽した後、自分の取った得点のデータでは、全て合格点を取ることが出来ており、基礎は出来ているなと実感はありましたが、違うパターンで問題を出されたら解答できるのかと、自分の中で不安が出てきた時でもありました。

 そこで、次は論点ごとに横断的に行って、論点の知識の定着を図るべきであると思い至りました。今回は点数は関係なく、どの論点が自分の弱点かを見極めながら、弱点である部分に関しては、3日間程度時間を取って、集中的に問題を解きました。その甲斐あってか、自分が苦手であると感じる論点は全て潰すことができました。

 論点ごとの問題解答が終わったら、1周目と同じように回数ごとに問題を解いてきました。2周目で行った論点ごとの問題演習が功を奏したのか、全てに於いて90点以上を取ることが出来ました。

  • 直前期

 試験1ヶ月前になると、殆ど問題を解き尽くしてモチベーションが下降気味であったので、基本に立ち返るという意味でテキストを流し読みして、基本的な問題を解いていきました。基礎期と違うところは、10分以内に問題を解くなど、時間制限を設けて演習を行ったことです。制限を設けたことでだらだらと問題を解くことが無くなり、最短距離で解答を叩き出す訓練を何度も行うことができました。

 また、過去問も次の試験に出そうな論点の問題演習を行いました(所謂、ヤマ張り)電卓に関しても、仕訳問題等で何度も叩いてきたので、知らぬ内にキーのブラインドタッチが出来るようになっていたことが新たな発見でした。

 さらに同時並行で、簿記検定ナビの2級・仕訳問題対策を毎日1回分欠かさずしたり、同じく「簿記クイズ」で自分の仕訳の理解度を試したりしてました。

試験日当日の1日の流れ

  • 午前

 朝はいつも通り起床し、朝食後に以下の二つをしました。

  • 仕訳問題対策122回の問題を解答
  • 精算表の総合問題を解答

 午前中にやった勉強は上記の二つだけで、後は昂る不安を抑えることに尽力した。あと、試験で脳をフル回転させるためにチョコレートを食べたことを覚えてます。

  • 午後

 昼食を食べた後、試験会場に20分ぐらい前に着くよう家を出発。私が受験する会場は最寄り駅から徒歩で20分以上掛かるとても辺鄙な場所にあったので、事前にルートを確認して良かったと今でも思う。不安材料は一つでも無くすべきであると。会場に到着し席に着いた後、少し時間があったので、工業簿記の問題をさらっと解答している途中で、試験官が問題を配り始めたので、過去問を仕舞って準備万端。

 13時30分、愈々試験がスタート。私が解答した順番は以下の通り。

  • 第1問→第5問→第4問→第2問→第3問(→第5問)

 因みに、第5問は工程別原価計算の問題だったので、簡単だろうと判断し問題を解いたのだが、半製品と言う聞き慣れない単語に惑わされ、暫く頭を悩ませていた。時間の無駄なので一旦次の問題に進もうと判断。第2問~第4問に関しては、特に梃子摺ることも無く、第5問に帰ってきた頃には、残り30分ぐらいだっただろうか。

 問題を何度も読み返していると、ふと閃きが自分の頭に降りてきて、この後はスラスラと問題に解答することができ、答案用紙の仕掛品勘定も時間ギリギリで埋めることに成功。見直しは、仕訳問題の第1問をしただけで終了。そのため、仕訳問題は自信が有ったが、他の問題、特に第5問に関しては答えに少々不安アリ。

合格発表

 試験が終ったあと、全部見直すことが出来なかったので、“些細なケアレスミスをしてないだろうか”といった不安を戦いながら、合格発表日に商工会議所のHPを見てみると、何と自分の受験番号が載っている!私のこれまでの努力が報われた瞬間でした。

 商工会議所にて照会した点数は98点。 自分でもこんな高得点を取れるとは思っていなかったので、実力を遺憾なく発揮できたんだと自信が付きました。

管理人から勇気さんへ追加の質問

 勇気さんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 得意な論点は、商業簿記で言えば伝票会計や精算表、工業簿記で言えば、総合原価計算や標準原価計算です。集計するものや、図を描いて解答する問題が好きなので、何度も演習を行って自分の得意科目にしました。いずれの論点も、何度も繰り返し問題を解くことで対処していけると思っています。

 苦手な論点は、帳簿組織でした。過去問を解き始めた頃は、特に試算表作成が苦手で帳簿組織の試算表が出た回の第2問は解答時間も長くなり、平均点が他の問題に比べると低かったです。原因は何かを探っていると、二重仕訳の取引の知識が曖昧であり、さらに下書きも3級と同じようにTフォームで集計していたことが、計算間違いを誘発し、延いては時間が掛かる原因でした。

 すると、簿記検定ナビの過去問分析のページに下書きの書き方が載っていました。ただ、その方法が仕訳を一々取引ごとに書いていくものだったので、逆に時間が掛かるんじゃないかと考えたこともありました。併し、仕訳を書いていくことで、どの取引が二重仕訳かが一目瞭然となり、曖昧な知識が確実なものになって行きました。また、何度も仕訳を書いていくうちに、自分なりの下書きの書き方を確立して行き、過去問の試算表問題が10~15分程度で解けるようになりました。

 スッキリシリーズの教材を選ばれたとのことですが、使ってみた感じはいかがでしたか?他の方にもおすすめ出来ますか?
 結論から言うと、とても分かり易いですので、テキスト選びに迷っている人には是非お薦めです。取引ごとに、どのような仕訳を切ればよいかが強調されており、吹き出しで補足事項もあって、どのような会計処理をすればよいかが、分かるようになっています。

 また、巻末には問題も付いていて一つの論点が終わる毎に、その論点がどの問題に対応しているかも分かりやすく示してあり、一通り読み終えたら問題演習し、分からない場合はまた戻るといった繰り返し演習することが出来るのがとてもいいと感じています。

 基礎期での知識の確立は勿論、直前期に基本に立ち返って知識を確認するには打って付けのテキストだと私は思っています。

 ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 勉強期間中は以下の三点を、いつも自分に言い聞かせていました。なので、これから勉強する人には実践してみても良いのではと考えます。

  • 仕訳を固めろ
  • 演習を何度も繰り返せ
  • パターンを覚えず理解しろ

 私が一番に言いたいのは「先ず仕訳を固めろ!」です。家に例えるならば仕訳は土台の部分。土台がしっかりしていないと家が崩れるのと同じように、仕訳ができなければ検定問題の第1問は勿論、第2問や第3問…にも全く対応できないと言うことになってしまいます。

 それから、同じ問題を何度も解くことを実践して欲しいです。私は過去問を3回程度回しましたが、3回目に突入したときは、仕訳の問題は5分以内で解ける回もありました。最短距離で正解を叩き出せるようになるまで、何度も繰り返すべきです。

 また、過去問を解く際に注意しなければならないのは、解答を覚えているだけでは対応できないということです。パターンを覚えているだけだと、問題の言い回しが変わっただけで、狼狽してしまいます。本試験はただでさえ緊張しているのに、緊張を更に増大させる要因にもなります。対策としては、やはり暗記ではなく理解するべきだと考えます。

 今後は簿記2級をどのように活かすつもりでしょうか?
 経理の仕事に就きたいと思っているので、簿記2級の知識をそのまま仕事に活かせればと思っています。

管理人コメント

 勇気さん、詳細な合格体験記のご投稿、ありがとうございました!

 勇気さんの合格体験記でまず参考にしていただきたいのは「とにかく仕訳を固めよう!」という一文です。仕訳は簿記の基礎中の基礎ですし、仕訳のスピードを上げることが出来れば第2問や第3問の解答時間の短縮にもつながりますので、簿記検定ナビの仕訳問題対策などを使って十分な対策をとるようにしてください。

 また、教材に関してですが、スッキリシリーズは勇気さんだけでなく簿記検定ナビを利用していただいている他の方々からも好評の教材ですので、教材を選ぶ際はぜひ一度チェックしてみてください。合格テキストシリーズがオーソドックスな内容なのに対して、スッキリシリーズは図解を多用した構成になっており、値段もお手ごろです。

 とても参考になる合格体験記を投稿していただいた勇気さんには本当に気持ち程度ですが、amazonのギフト券を送らせていただきます。本当にありがとうございました。

勇気さんが使われた教材や電卓のまとめ

  • テキスト:スッキリわかる日商簿記2級 商業・工業簿記(TAC)
  • 過去問:合格する為の過去問題集(TAC)
  • 電卓:CASIOの12桁(製番は不明)
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