問題演習は「量」だけでなく「質」も大事!考えて問題を解くべし!

  • 投稿者:attacksusanさん
  • 勉強形態:専門学校(通学)
  • 受験回数:2回
  • 勉強期間:約8か月

簿記2級を受験するきっかけ

 仕事におけるスキルアップのためです。3級は学生時代(商学部)に取得しました。現在の職業は公務員です。仕事に直接関係ないと思われるかもしれませんが、財務に関する部署に配属されることになり、お金にかかわる部署にいるのなら最低限、会計の知識として簿記2級が必要だと感じて、受験を決意しました。

第126回受験「不合格体験記」

  • 勉強形態をどうするか?

 最初、2級の勉強は「独学」を検討していたのですが、テキストを書店でパラパラ読んでみたところ、「工業簿記」という未知なる世界、そして簿記3級を取得したのが5年前だったためブランクがかなりあると勉強が大変になるという不安要素がありました。そのため、早く、確実に合格できることを考えた結果「通学」を選びました。

  • 試験までの流れ

 7月中旬から10月初旬までは基礎講義。週4回でした。私の職場は毎年夏に大きな人事異動があり、その対応に追われたためになかなか勉強の時間がとれないこともありました。授業に出席できない時は、MP3による音声補講を利用していました。ipodにダウンロードして、自習室で聞いていました。とても便利です。

 試験1か月前からは答練。事前にある程度の範囲は発表されますが、なかなか応用力がつかずだいたい50点前後でした。特に第1問の仕訳問題で伸びませんでした。良くて4問。平均で2、3問でした。それでもなんとかふんばり、試験1週間前の模擬試験は66点でした。

  • 本番でまさかの…特殊商品売買

 11月20日、第126回試験本番を迎えました。ご存じのとおり、まさかの「第2問」でした。特殊商品売買を大のニガテ分野としていた私。部分点狙いで一つ一つがんばったのですが、ここでわずか4点…。鬼門の第1問も2問しか正解できず、合計62点で不合格でした。直前でかなり巻き返したんですが、日商簿記検定試験は甘くなかったです。

第127回受験「合格体験記」

  • リベンジ!

 幸い、出席数が基準を満たしていたため、127回の分は無料で受講できる「合格サポート制度」を使用し、もう1度リベンジすることにしました。あと8点ということを考えるとかなり悔しかったので、もう1度予備校へ通うことに。ただ、基礎講義はかなりスケジュールが消化されていたので、1月中旬から行われる「総まとめ講座」から参加する ことにしました。

  • 勉強を再開する前に

 「なぜ不合格になったのか」を多面的に分析してみました。ただ落ちて「次がんばろう」というのは簡単に言えますが、合格者と不合格者との差は何だったのか?そして自分には何が足りなかったのかが絶対にあるはずなんです。ただやみくもに勉強していると、勉強の本質も見失うんじゃないかと。

 分析のために簿記検定ナビの「合格体験記」をいろいろ拝見しました。たとえば、前回の126回試験についても、確かに第2問は「難問」に分類される問題でしたが、それにもかかわらず合格率は20%を超えていました。逆を言えば、他のところで点を稼いだり、難問でも部分点を積み上げたりして「20%の人は合格点をとった」ということになります。ここに 何かしらのヒントが隠されているんじゃないかと思いました。

 そこでいろいろ分析をしてきてわかったのが以下の4点です。

  • 第1問で失点が多かったこと(わずか2問=8点)
  • 第4問・第5問の工業簿記で安定した点数をとれていること
  • 難問が来てもあきらめず、1つ1つ仕訳をしたこと
  • そもそも、勉強時間が足りなかったこと(1週間で12時間くらいでした)

 特に「仕訳」というものは、第1問だけでなく全ての問題に関わる「基礎」です。 第126回の第2問も、ちゃんと「仕訳」ができていれば10点はとれていたと言われます。「仕訳を制する者は試験を制する」という言葉は、本当に的を射ていると思います。

  • 新たな勉強方法の確立

 第127回へ向けての勉強は、まず第1問の「仕訳」対策中心に取り組みました。過去問+簿記検定ナビの「仕訳問題類題」ができれば仕訳はOKです!答練や模試の第1問のやり直しも行いました。これらだけでも相当な問題数です。繰り返し、繰り返し行った結果、第1問は悪くても12点、平均で16~20点を取ることに成功しました。

 そして、基礎は前回の試験である程度できていたので、模擬試験のような問題をどんどん解くことにしました。予備校の「答練」がペースメー カー代わりとなり、試験と同様の気持ちで取り組みました。直前期、自習をしていく上で重要なのは「時間を測ること」と「計算用紙をチェックする」ということです。

 「時間を測ること」は言わずもがなですが、「計算用紙」というのは簿記において「自分を映しだす鏡」のようなもので、「どこで計算をミスしたか」とか「どこで考え方を間違えたのか」という細かな部分までチェックをすることができます。間違った部分は「間違いノート」を作成し、時間を見つけてはそのノートに目を通していました。

間違いノート
間違いノート

 これらの勉強法を毎日行ったことでメキメキと点数が上がっていきました。2月から行われた答練は、6回中5回が合格点、模試は過去最高の「96点」でした。勉強時間のほうですが、平日、予備校のある日はそれを含めると1日4時間くらい、ない日は2時間くらい。土日祝日はお休みでしたので、1日5時間くらい勉強していました。予備校は週2回でしたので、週にすると約24時間くらい。前回平均の倍の時間をかけて勉強していたことになります。

簿記の勉強を通じて得たモノ

 たしかに簿記2級というのはとてもすばらしい資格だと思うのですが、ただ「とったからこれでいいや」というのでは、資格の「価値」も下がりますし、そもそも受験する意味がないと思うのです。簿記の勉強を通じて、得たものは大きく3つありました。

  • 財務諸表の読み取り

 直接、今の仕事で使うことはないのですが、部署によっては許認可の事務で、企業の財務諸表をチェックするところもあるんです。ダイレクトに仕事の役に立てるというのは非常に大きいと思っています。

  • 数字や会計用語に強くなった

 毎日、問題を見たり電卓をたたいていたので、数字に慣れ、計算も速くなったと思います。仕事柄、見積書や積算資料に目を通すことが多いので、常に数字を読む環境を作ったことは今後の仕事にも生かせると思います。

  • タイムマネジメント

 社会人になると仕事を抱えますから、どうしても時間の制約があります。1日=24時間は全員平等です。でも、その24時間をどう使うのかは1人1人に任されています。時間を作ることの大切さ、そしてどうやった時間を捻出できるかということも、頭をふりしぼりました。両立したおかげで、時間を無駄なく過ごすことができたかなと思っています。

試験日当日の1日の流れ

  • 7:30 起床
  • 8:00 朝食。トーストとコーヒー。
  • 9:00 自宅を出発。地下鉄内で間違いノートを読む。
  • 10:00 会場である予備校到着。開いている自習室で最後に以下の3つを復習。
  • 答練・模試の第1問で間違った問題をピックアップして再度解きなおし。
  • 第3問は本支店会計をさらっと復習。
  • 工業簿記は間違った問題を復習。
  • 11:30 早めの昼食。コンビニへ。
  • 12:30 試験会場へ。試験時間ぎりぎりまで間違いノートを読む。
  • 13:30 スタート。 今回もなかなか一筋縄ではいかない試験でした。

 第1問は「販売基準」にもかかわらず「割賦仮売上」を書いてしまって不正解となった以外はすべて正解。買収の問題の「商品」をどう扱うか迷いましたが、そのあとこの商品は引き継いで売られるんだろうと考えたら「仕入」に組み込まないといけないのかな?と思い、仕入にしたら正解でした。結果は16点でした。勉強の成果が出ました。

 第2問は、伝票が出るかと思いきや「帳簿組織」でした。「一部当座取引」で2つも二重仕訳が出ていました。1つマークしておらず、現金と受取手形の金額が違っていました。それでも16点確保。

 コメントすべきところは、おそらく第3問の本支店会計だと思います。出題パターンが珍しく「損益勘定」の問題も出題されており、新形式と言わざるを得ません。前回の試験でこの手の問題でやられたので、1つ1つ、コツコツと仕訳をし続けました。わからない部分もありましたが、とにかく部分点をとるつもりで解答したら、ちゃんと14点とれました。

 第4問・第5問の工業簿記は比較的平易な問題でした。第5問でまた標準原価計算が出るとは思いませんでした。最後の問題2つを落としてしまいましたが、ここで40点中36点とれたのは大きかったですね。

  • 15:45 試験終了。
  • 16:30 解答速報で自己採点。82点!

管理人からattacksusanさんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた電卓・教材は他の方にもおすすめ出来ますか?
 専門学校(大原です)のテキスト以外で使ったのは以下の2つです。

★ネットスクール 出題パターンと解き方過去問題集(パタ解き)
★ネットスクール 第127回 ラストスパート模試(ラスパ)

 この2冊はお勧めです。特に「ラスパ」はかなり当たります。今回の第5問の標準原価計算を当ててますし。あと、意外にも強力な武器となったのが、専門学校でもらった「第1問対策 宿題プリント」(以下の画像)です。

仕訳プリント
仕訳プリント
 今回、通われた専門学校の講座の良かったところ、イマイチだったところを教えてください。
 受講したのは大原の「2級フルセット」です。

 よかったところ…平日、仕事で行けなかったときでも土日で振り替えがあったので、そちらに出席できたこと。直前期、自習室を開放したり、予想問題を数セット用意してくれたり、最後の最後まできめ細かな対策をしてくれたこと。万が一落ちても、出席数が基準を満たしていれば、次回の分を無料で受講できる合格サポート制度があったことです。

 イマイチだったところ…わかりやすい先生と、そうでもない先生との差が大きかったこと。本来は、どの先生が来てもわかりやすいというのが理想なんですが…ざっとこんな感じです。

 ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 1回目、不合格だったのは、明らかに「演習不足」が原因でした。簿記の試験は「たくさん勉強した者が勝つ」試験だと思います。しかし、ただやみくもに問題演習をするのではなく「考える」プロセスも大事です。そうすれば、基礎ができるだけでなく、基礎からさらに応用の部分も鍛えられるので、いざ本番で新形式の問題が出たときに対応することができます。

 「考えて」解く。これは簿記だけでなく、仕事や他の検定試験、そして生活のあらゆる場面でも応用可能なことなので、ぜひ演習するときは意識して取り組んでいただきたいです。 それと、1日5分でも簿記の問題を解いてください。時間がないなと思ったら、第1問の仕訳問題を1問やるだけでも違ってきますよ。

管理人コメント

 attacksusanさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!第126回試験では惜しくも不合格になってしまったとのことですが、試験後に不合格の要因をきちんと分析して、その分析結果を勉強方法にフィードバックしたことが、第127回試験のリベンジにつながったようです。

 ドラゴン桜の英語教師のモデルになった、竹岡広信先生も「何も考えずに適当に問題を解いても実力は伸びない。もっと一問一問を大切にしてじっくり考えて勉強することが大事なんだ。」とおっしゃっていましたが、これは英語も簿記も同じですので、なんとなく問題演習をしてしまっている方は、「考える勉強」に切り替えてください。

 具体的には…例えば、attacksusanさんもおっしゃっていますが、総合問題を解く際に「時間を測ること」と「計算用紙をチェックする」の2点に気をつけることも「考える勉強」のひとつの形だと思います。ただ漫然と問題を解くのではなく、常に目的意識を持って取り組むように心がけてください。

attacksusanさんが使われた教材や電卓のまとめ