2回連続で標準原価計算…ジャンル丸ごと切ってしまうのは危険です!

  • 投稿者:クリネックスさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約3か月

受験までの経緯

 三十路を迎えた昨年(2010年) 10月、営業から畑違いの経理への異動となり、簿記の勉強を始めました。幸い昨年11月に3級に、今年2月に2級に合格できました。私は私立大の法学部出身で数字が苦手で私立文系を選んだくらいですから、数字のセンスは無いと思います。(なぜ経理に異動になったのかもよくわかりません・笑)

 ただ簿記2級は、しっかり勉強すれば数字が苦手な人でも必ず取得できる資格だと思います。以下、ご参考にしていただけると幸いです。

使用テキスト・問題集

 ①②については、3級はTAC出版のすっきりわかるシリーズのテキストを使いましたが、2級のテキストは同僚からの薦めで、サクッとうかるシリーズを使用しました。

 書店で他のテキストと比較してみましたが、本書は簡潔にわかりやすくまとまっている良書だと思います。また、付録の商業簿記の仕訳問題は、電車の中で何度も繰り返し使いました。

 については、問題を解く際の考え方やテクニックを懇切丁寧に教えてくれます。特に工業簿記の原価差異や仕損、材料の追加投入など、苦手な論点をしつこいくらい強化できます。

 解答中、自分が何をしているのかわからなくなることが多々ありましたが、本書のおかげでそのようなことがなくなりました。独学者には強い味方になる特にお勧めしたい良書です。私の場合、本書無しでは合格はありえませんでした。

 については、ネットスクールつながりでなんとなく購入しましたが、イマイチ使いにくかったです。

 本書の弱点は、【問題文の横にヒントが書いてある】【説明が、一通り2級の内容を理解している前提で書かれている】【問題の並べ方が不規則】の3点です。ただし、各大問の最初にある、各大問のパターン分析わかりやすかったです。

 のネットスクールの予想問題集には魂を感じます。「ウラ予想」で標準原価計算を挙げていたのは本書だけです。⑥については、は簿記検定ナビの管理人さんに感謝、感謝です。過去30回分近い数の仕訳問題を解いていたおかげで、自信をもって第1問に臨めました。

勉強の流れ

  1. 12月上旬~中旬 工業簿記(テキスト)
  2. 12月中旬~1月上旬 工業簿記(問題)
  3. 1月上旬~2月上旬 商業簿記(テキスト・問題)
  4. 2月上旬~中旬 苦手の復習
  5. 2月中旬~下旬 予想問題集・苦手の復習

 簿記3級を終えた12月から勉強を開始しました。周囲から、2級は工業簿記から勉強すべしとアドバイスをもらっていたので、工業簿記のテキストから読み始めました。2週間くらいかけてテキストを読み過去問を解き始めたのですが、そこで詰まってしまいました。

 また、解説を見ても解らなかったので、困ったなぁと思い書店に行き、偶然プラス8点のための問題演習 日商簿記2級を手にしました。この教材で問題の解き方を学んだ後もう一度過去問を解くと、驚くようにスラスラ解けました。

 工業簿記が一通り落ち着いた1月上旬くらいから、商業簿記を開始しました。商業簿記は、本支店会計と問2対策に力を入れました。

苦手部分の管理

 勉強開始当初はノートは作成せず、間違えた箇所や気をつける点はテキストや問題集に直接書き込んでいました。それでも何度も間違う箇所は、パソコンでまとめていました。(本当は手書きのノートのほうが良いと思います。)試験直前で見直すと非常に効果的で、また精神安定剤にもなりました。

原価計算の種類(excelでまとめたもの)
原価計算の種類(excelでまとめたもの)

試験当日の注意点

 ホッカイロ(冬の受験時)と耳栓の持参をお勧めします。3級を受験したとき電卓の音が異常にうるさい人がいたので、その反省をふまえ耳栓を持っていきました。また、電卓を打つ手のポケットにカイロを入れておき、手が冷えて電卓ミスが生じないようにもケアしました。

試験結果と反省点

  • 第1問…16点(のれんの仕訳の貸方を資本金にしてしまいました)
  • 第2問…20点(易しい問題でした)
  • 第3問…12点(本支店会計は得意のつもりでしたが、「損益」勘定でパニくりました)
  • 第4問…16点(提出間際に一部勘違いで直したところがそのまま失点になりました)
  • 第5問… 6点(↓)
  • 合計…70点

 本試験まであまり時間が無いことと、126回で出題済みなので過去の傾向からも2年連続の出題はありえないだろうという判断から、実は標準原価計算を全く勉強しませんでした。

 しかし、現実はご存知の通り2回連続で出題されてしまいました。試験会場で問題文を見た瞬間、体中から変な汗が出ました。後で見返すと標準原価計算とはいえない易しい問題でしたが、パニックのおかげで第5問は6点/20点しかとれていません。

 最近の出題傾向・出題内容を見ると、試験委員がひねくれているとしか思えませんが、そんなことを嘆いても仕方ありません。直前期のヤマ張りはある程度必要かもしれませんが、ジャンル丸ごとのヤマ張りはしないほうがいいと痛感しました。

試験を終えて

 私はかろうじて合格できましたが、失敗の連続でした。無計画に勉強をしたせいで遠回りをしたと思いますし、精神的にも良く無かったです。もっと早く簿記検定ナビを知っていれば…と思っています。これから受験される方には、以下のアドバイスをしたいです。

  • 勉強を始める前に情報収集をしっかりする!

 使用テキストやスケジュールなどの情報収集が大事です。そのために色々な合格体験記を読んで、自分なりの判断をしてください。

  • (3級→2級と来た人には)2級で初めて出てくるジャンルから優先して勉強する!

 特に2級は、工業簿記から逃げていると合格に時間がかかると思います。また、全体の流れを理解できるまである程度時間を要すると思います。3級の流れからだと、どうしてもとっつきやすい商業簿記のテキストの最初ばかり(つまり仕訳問題対策ばっかりやっている状況)やってしまうかもしれませんが、配点から考えれば問2の伝票や帳簿組織、問3の本支店に注力すべきだと思います。問2や問3は、難解な仕訳は出てきませんので。

  • 商業簿記と工業簿記を交互に、忘れない頻度でやる!

 簿記は本当に忘れやすい科目です…。反省点だらけで偉そうなことは言えないのですが、冒頭にも書いた通り簿記2級は努力で必ず報われる試験だと思います。ぜひ皆さんも頑張って合格を勝ち取ってください。

試験日当日の1日の流れ

  • 9:00

 起床(前日寝付けず苦労しました)カロリーメイトをかじる。

  • 10:00

 ワードでまとめた苦手まとめノートを眺める。

  • 11:45

 昼食をとる。

  • 12:40

 試験会場到着。ギリギリに到着するのは精神的にもよくないので早めに移動する。

  • 13:30

 問題用紙の配布と注意事項の説明など。受験番号・名前を書く際に第5問が標準原価計算ということを知り涙目になる。

  • 13:40

 試験開始。何とか気持ちを落ち着かせようと、まずは一通り問題用紙を眺める。しかし今度は、第3問が「損益」の問題であることに気付き焦る。(3級の時やったよなぁ?)一方、第2問が易しい問題だったので、解答順番を急遽変更。いつもは1→4→5→2→3で解く習慣でしたが、1→2→4→3→5の順番に変更する。

 最後に回した標準原価計算は、後で見返すと標準原価計算を知らなくても解ける問題に感じました。しかし、問題文の「標準原価」「パーシャル・プラン」など、標準原価計算のページを開いたことの無い人間を煽るにはこれ以上ない用語が並んでおり、完全にパニくってしまいました。結局、最初のカードの部分(掛け算すれば解答できるところ)だけ正解できました。

  • 15:40

 試験終了。迷ったところが合っていれば、受かるかなぁという感じていました。

  • 17:00

 TACの解答速報会に参加。悩んだところはことごとく違うし、勘で書いたところは全部間違ってました。自己採点では70点でしたが、TACの配点が見事に自分の間違った箇所を外しており、不安一杯。他の予備校の解答速報は見ないで現実逃避しました。

管理人からクリネックスさんへ追加の質問

 今後は簿記1級や税理士などの上位資格に挑戦される予定はありますか?
 現在のところ、予定はしておりません。簿記2級は会計の基礎知識としては十分なものだと思いますので、しばらくは実務に集中しようと考えております。

私は現在、連結決算チーム(有報・短信などの開示資料の作成)に配属されており、仕事の一部分だけ切り取ると、おそらく簿記1級より高度な内容の会計処理能力が要求されています。

 一方、2級の勉強中にも感じたのですが、簿記の勉強が実務に直結しない部分もあると思います。一例を挙げれば、特殊商品売買の仕訳は非常に苦手で何度やってもなかなか覚えられませんでしたが、私の仕事では全く使いません。

こういう勉強をしている時間が合ったら、会計ソフトの使い方や、アクセスやマクロの使い方など、もっと覚えないといけないことがあると焦りを感じていました。

 私は飲み込みが悪い方で、理解できるまで、時間がかかってしまいます。会社は私の資格取得のために給料を払っているわけでもなく、私も社会人が目指す資格は仕事のプラスになるから取得するべきで、資格取得のために仕事が疎かになるようでは本末転倒と思っております。

 こういう状況ですので、 一通り仕事の全体が見え余裕が出来たら1級の勉強を開始するかもしれない、という状況です。ただ、自分の実務と重なる部分を理解するために、簿記1級のテキストは読んでいます。とおるシリーズのテキストは1級は非常にわかりやすいです。

管理人コメント

 クリネックスさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!第127回日商簿記検定2級は、まさかまさかの2回連続で標準原価計算からの出題でした。クリネックスさんがおっしゃっているように、標準原価計算を完全に切っていたとしても、意外になんとかなる簡単な問題だったんですが、問題を見た瞬間に嫌な汗をかいた方も多かったと思います。

 最近の日商簿記検定2級の出題傾向は、今までの「ひたすら過去問の焼き直し」から「新形式の問題を積極的に出す」に変わってきていますので、「前回出題されたからは今回は完全に切っちゃえ!」というのはやめたほうが良いと思います。

 例えば、本支店会計の最近の出題実績(第3問)は【第109回→第111回→第113回→第115回→第117回→第120回→第123回→第125回→第127回】となっており、2回連続で出題される可能性はかなり低いんですが、標準原価計算の連続出題を考えると、第128回でいわゆる普通の本支店会計の問題が出題される可能性も否定できません。

 よって、ヤマを張るのは出来るだけ避けて、全ての分野を満遍なく勉強するように心がけてください。あとは、新形式の問題が出題された場合、すぐに諦めてしまうのではなく、「1点でも多く部分点を取ってやる!」と頭を切り替えて、最後の1分1秒まで粘り強く取り組むようにしてください。どんな問題にも必ず突破口はあります。

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