電卓を使いこなせば簿記のスピードは飛躍的に上がる!

  • 投稿者:まー蔵さん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約2か月半

受験のきっかけ

 勤め先で、予算計画や原価管理を行うことが増え、会計知識を身につけたいと思ったことが始まりです。ビジネス数字に強くなりたいと兼ねてから考えており、巷であふれる会計本に背中を押されるように、受験を決めました。財務3表が読めれば、と考えましたが、その作成プロセスや構造を知りたいという好奇心も手伝いました。

使用教材

  • テキスト:スッキリわかる日商簿記3級 (TAC出版社)

 簿記は大学の時に少しかじった程度で、殆どゼロからのスタートでした。そのため少々幼稚さはあるものの、とっつきやすさで選びました。

  • 問題集1:出題パターンと解き方過去問題集(ネットスクール)

 ネットや本のサイトレビューを参考に決めました。特に、出版社が主催するサイトと連動しているため、独学者には心強いと思います。

  • 問題集2:日商簿記3級 第122回をあてるTAC直前予想(TAC出版社)

 試験の雰囲気を少しでも自己演出するためにです。予想は気休めですが、通常の問題集だけよりも効果はありました。

  • 電卓参考本:電卓操作早わかり あなたの知らなかったキー操作!!(日本電卓検定協会)

 計算スピードと正確さの追求には、単に+、-だけではダメです。M+やM-などの電卓の機能をフルに生かした方が断然有利です。

期間別・勉強方法

  • 序盤(開始~2週間)

 テキストを読み、練習問題をこなし一通り理解した後、ネットや資格学校が配布している過去の問題にあたって感触を掴んでみました。ところが、全く歯が立ちませんでした。問われている内容と、テキストの内容が頭の中でつながっていないのです。

 そこで、ネットで勉強法や試験の性格を調べたところ、とにかく問題演習を繰り返すことが大切であることがわかりました。電卓の良し悪しや使いこなしも大きな要因ということがわかり、次の対策をとりました。

  • 電卓の購入:押し間違えない様ある程度大きく、「00」ボタンと取消ボタンがあること。
  • キー操作の習熟:普段はまず使わない「M+」「M-」などのメモリー機能を使いこなすこと。参考本で毎日15分ほど練習しました。これは実際の業務にも役に立ちます。
  • 中盤(2週間目~2か月中旬)

 問題集を3回転、合間にテキストで確認。これをひたすら続けました。勉強パターンは以下の通りです。

  • 寝る前:主にテキスト暗記。(勘定科目、損益計算書&貸借対照表の雛形)
  • 昼間:大きめの単語カードに苦手な仕訳や振替、算出式を書き出しておき、移動中や通勤の合間に「眺める」。
  • 夜と朝:問題を解く。休日は1~2時間集中して模擬テスト。
  • 終盤(2か月中旬~末)

 問題集で間違った点や不安な点を3回転。テキストの確認と単語カードは継続。受験日1週間前に予想問題集を購入し、試験慣れの対策を行いました。これまでの勉強で、苦手分野が単語カードに集まっているため、試験当日は単語カードだけを持っていきました。テキストや問題集はあせりの原因になるため、持ち込みませんでした。

試験勉強を振り返って

 簿記は仕訳が基本だと思いました。精算書にしろ、損益勘定にしろ、仕訳をきちんと理解していないと、正しい数字が求められません。そのため、問題を解くにあたり、仕訳の理解に一番時間をかけました。この時間を確保するためにある工夫をしました。

 それは電卓をたたく時間の省略です。精算表や残高表の問題は、EXCELで解答表を作成しておき、マクロで自動集計、転記されるようにしました。数字を書く手間も省け、何度も繰り返し使えます。勉強のスタイルとして、夜暗記→朝復習は非常に効果がありました。早起きは「三問の解く(三文の徳)」です。

試験日当日の1日の流れ

 朝勉強が習慣づいていたので、試験開始3時間前の6時に起床して、問題集の間違った部分のチェックとテキストの斜め読みを1時間程度。会場には30分前に到着し、余裕を持って臨みました。驚いたのは、私と一回り以上も年下の受験者が9割近くいたこと。この年になってとるものではないのでは、と思いました。しかし、勉強に年齢は関係ないと気持ちを切替え、落ち着いて問題に取り組むことができました。

 開始と同時に、周りが一斉に電卓を叩きだし、そのスピードと音に圧倒されかつ気になって集中するのに時間がかかりました。1分ほど瞑想して深呼吸してから問題を全部眺め、解法が一瞬で思い浮かぶ問題から手をつけ安心感を得ることで、落ちつきを取り戻しました。そういう意味では耳栓はあった方がいいかも知れません。

 問題を解く際に特に気をつけたことは、解法に悩む問題は飛ばし、とにかく解ける問題をまず終わらせるようにしました。他の問題を解くうちに思い出すこともあり、あしたが、この場合は戻らずに余白にメモをしておきました。

 15分前に全問回答。特にあわてることなくここまできて見直していたら、第5問の精算書に痛恨のミスを発見。貸借逆に書いた仕訳のために、合計や当期利益に再計算が必要となり、8箇所の修正をラスト10分で、終わりの合図とともに完了。終わっても手の震えがとまりませんでした。電卓のスキルを磨いていてよかったと思った瞬間でした。

 第5問は、仕訳を頭の中でやって記入していたのですが、仕訳をちゃんと書いておくべきだったと後悔しました。また、ミスに気づいた時、深呼吸して落ち着けば良かったと思います。

管理人からまー蔵さんへ追加の質問

 試験で使われた電卓について、製品名や使用感を具体的に教えてください。
 Canon LS121TUL(家電量販店で980円にて購入)

 使い勝手は試験に耐えうる「最低限」のレベルです。簿記受験のためだけの購入、かつ、価格優先ならお勧めできます。実務で利用されるのなら2,3千円以上の電卓の方をお勧めします。

 まー蔵さんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 得意な論点は、手形取引や掛け取引の仕訳です。苦手な論点は、帳簿組織の勘定元帳作成でした。借方と貸方の仕訳が左右逆になるので、この考え方を理解するのに時間がかかりました。克服には、次の方法をとりました。

・テキストの説明部分のコピーを持ち歩き、合間時間に毎日のように眺める。
・これらの問題を繰り返し解く。最低3回以上。

 ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 電卓のメモリ機能の使いこなしは必須です。大幅な時間短縮になります。あとは、会計の勉強をしたいというのが発端だったので、テキストの内容理解、暗記に重点を置きました。試験という点からみると、問題の意図の汲み取り、求められている回答に辿り着くためにはギャップがあります。このギャップを埋めるには、多くの方がおっしゃっているように問題をこなすのが一番です。試験対策という意味では、問題演習をテキスト学習と並行して、もっとやっておけば自信をもって臨めたのでは、と思います。

 具体的なアドバイスについては、簿記の資格を取得する目的によって変わると思います。

効率的な試験合格が目的の場合

テキストは流し読みにとどめ、早い内に問題集から入り、解答をみながら解法を勉強するのが早道かと思います。テキストは辞書的、解答で理解できない場合の補足に使います。順番としては、貸借対照表、損益計算書、精算表ができれば、他の学習も終わっているといえます。この場合、ひねられると手も足もでないリスクがありますが、満点をとる必要はないので潔く捨てる覚悟が必要です。ただ、問題数をこなすことで、これは軽減できるはずです。

簿記2級や1級など今後のステップアップが目的の場合

オーソドックスですが、テキストに重点をおき、区切り毎に簡単な練習問題を解き、理解をした方がいいと思います。多少回り道になるものの、この方法をとったおかげで11月の2級受験の対策がスムーズできました。

 今後は簿記3級をどのように活かすつもりでしょうか?
 簿記3級は会計理解のほんの一歩に過ぎないと思っています。簿記を通じて財務諸表のつくりを理解し、次は、その読み方を理解できるようになることが目的です。取引先や顧客の経営状況を財務諸表を通じて把握し、自社製品の改善やその拡販戦略の立案に活かしたいと考えています。その一環として、ビジネス会計検定、中小企業診断士といった資格にチャレンジする予定です。

管理人コメント

 まー蔵さん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

 まー蔵さんの合格体験記の中でぜひ参考にしていただきたいのは「電卓の使い方をきちんとマスターすること」です。簿記3級や2級くらいなら、電卓を使いこなさなくても十分合格できるのでは…と考えていらっしゃる方がたくさんいますが、個人的にはそれは大きな間違いだと思います。

 商業簿記では、有価証券売却時の売却損益の計算であったり、工業簿記では、部門共通費の配賦時であったり、様々な場面で電卓の機能を有効活用できる場面がありますので、ぜひM+やM-などのメモリぐらいは使いこなせるようにしておいてください。

 あと、「寝る前:主にテキスト暗記」と書かれていましたが、寝る前に勉強するのもおすすめです。人間は寝ているときに、日中に覚えた情報を記憶する作業を行いますので、就寝直前に暗記作業をすると記憶の定着率が上がると言われています。

 ですから、寝る前になったらテレビを消して、ストレッチでもしながら財務諸表の雛形を暗記したり、簿記検定ナビの仕訳問題対策を使って仕訳の確認をしたりすると効果的だと思います。

 とても参考になる合格体験記を投稿していただいたまー蔵さんには本当に気持ち程度ですが、amazonのギフト券を送らせていただきます。本当にありがとうございました。

まー蔵さんが使われた教材や電卓のまとめ

  • テキスト:スッキリわかる日商簿記3級 (TAC出版社)
  • 過去問:出題パターンと解き方過去問題集(ネットスクール)
  • 予想問題:日商簿記3級 第122回をあてるTAC直前予想(TAC出版社)
  • 電卓:Canon LS121TUL
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