育児と勉強を見事に両立して満点合格!ママさん必見の合格体験記です。

  • 投稿者:shimoneさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約2か月

はじめに

 私が簿記の勉強を始めたのは再就職のためです。現在は専業主婦で2歳と0歳の子の育児中なのですが、諸々の事情で、下の子が8ヵ月になる頃にはパートという形で復職したいと考え始めました。

 簿記3級を持っていれば応募できる求人の数が増えることと、直接は役に立たなくても「乳児の育児をしながら簿記をとりました!」と言えば少しはやる気をかってくれるかもしれないという考えから、挑戦することにしました。

 勉強を始めたもう一つの大きな理由は、実は簿記は4年程前に一度挫折していて、その時に購入したテキストが新品同様のまま残っていたからでした。

 「せっかく買ったのにもったいない、そして挫折したままじゃかっこ悪い…」とずっと気になっていたので、「とりあえずやってみて、無理そうだったら辞めよう」と軽い気持ちで勉強を始めました。

テキストと電卓

  • 『サクッとうかる日商3級商業簿記テキスト』(改訂二版)
  • 『サクッとうかる日商3級商業簿記トレーニング』(改訂三版)
  • 電卓 SHARP EL-M332

 4年前に購入していたテキストです。他のテキストを見たことがないので比較はできませんが、7日間で終わるように作られているので、計画は立てやすいかなと思いました。

 私の場合は1日分を4日かけてやって、4×7=28で約1か月でテキストが終わればいいかなと思っていました(実際はそれ以上かかりましたが)。

 電卓は元々家にあったものです。電卓は使い慣れていなくて良し悪しもあまり分かりませんが、カラフルで見やすいとは思います。

テキストと電卓
テキストと電卓

勉強方法

 勉強を始めたのは試験の2ヶ月前。下の子はまだ生後2ヶ月でしたが、幸い夜はまとまって寝てくれる子だったので、子どもたちを寝かしつけた後に大体2~3時間は勉強時間を確保することができました。

 それでも、たまに時間が遅くなったり、疲れているなと思った時は、次の日のことも考えて諦めてあっさり寝ることにしていました。

 勉強の合間には一度コーヒータイムを挟んでいいことに決めて、少し甘い物も用意していました。昼間慌ただしい分、この夜のコーヒータイムが楽しみで、そのおかげで簿記の勉強も続いていたように思います。

 具体的な勉強方法ですが、私は書いて覚える派なので、とにかくテキストの内容をノートにまとめていきました。後で見返すことはないので、色分けも何もなくかなり汚いです。

 そしてサクテキでは1トピック終わるごとに「トレーニングの基本問題〇〇へ」「本試験レベル〇〇へ」と案内してくれるのですが、本試験レベル問題は後にとっておこうと思い、基本問題だけ解くようにしていました。

 詳しい学習の流れは以下の通りです。

好調に進んだ仕訳(サクテキ Day1~5)

 前半の仕訳はクイズ感覚で面白く、わりと好調でした。「テキストの1日分を4日かけてやる」という計画よりも早く進んで、さらにやる気が出ました。

急激に失速した「帳簿」(サクテキ Day6)

 ここまでやってきた仕訳は、借方/貸方という1つの決まったフォームに当てはめて考えればよかったので比較的覚えやすかったのですが、帳簿に入ると「仕訳帳」「小口現金出納帳」「仕入帳」…と続々と新しいフォームが出てくるので、かなり苦戦しました。

 また、1つのフォームでも適用欄の書き方、内訳欄の書き方、月末の締め方など内容が盛りだくさんで、一度ノートに書いたぐらいでは覚えられない、でも何度も書くのは手間がかかるし…と頭を悩ませました。

 そこで、帳簿のフォームだけ印刷して、そこに書き込めればいいのに!と思って検索したところ、ダウンロードできるところを見つけたので、全ての帳簿を数枚ずつ印刷。そこに書き込みながら覚えるようにしたら、効率が上がりました。

仕入帳への書き込み例
仕入帳への書き込み例

 もう1つ、帳簿で私が苦戦したのは、線を引く位置です。帳簿によって、1つの取引ごとに適用欄に線を引いたり、締めの時に決まった欄にだけ実線を引いたり二重線を引いたり…という具合だったのでかなり混乱しました。

 今考えると試験で帳簿に線を引かせるような問題はないと思うので、そんなにこだわらなくてもよかったのですが、一度気になりだすとダメで、ここでだいぶ時間を使いました。

 結局「もういいや!」と思い、分からないながらも先に進んでいくと、色んな帳簿を見るうちに「この線は合計の意味で、この二重線は締めで、この類の線は適用欄には引かないのか」など、自然とルールが分かってきました。

 この時、簿記の学習は、繰り返しやって慣れることが理解につながるんだと感じました。

大混乱の「決算手続き」(サクテキ Day7)

 最終章はかなりのボリュームで苦しみました。まだ先が長いと思うとやる気を失い、勉強を始めるとすぐにうとうと。ほとんど頭に入らないまま無理やり先に進んでいるような状態でした。

 その時は決算整理をやっているところでしたが、なぜこんなに頭に入らないんだろうと考えた時、今自分がやっている「決算整理」がなんのための作業なのか、そもそも簿記の全体像が理解できていないからかもしれないと気付きました。

 そこで、自分なりに簿記の全体像を1枚のポスターにまとめてみると、今までのもやもやがなくなり、一気に理解が深まりました。このポスターはリビングの壁に貼って、時々眺めました。

簿記の全体像をまとめたポスター
簿記の全体像をまとめたポスター

 昼間は下の子を抱っこしてあやしている時間が長いので、そういう両手がふさがっている時にも簿記の復習ができて、とても役に立ちました。

 その後は、それなりに時間はかかりましたが、なんとかテキストの最後まで辿り着くことができました。

トレーニングと過去問

 テキストが終わったので、『サクッとうかる~トレーニグ』の本試験レベル問題、続いて模擬テストを解きました。初めて時間を計りながらやってみると第5問は全然時間が足りず、「これは時間との戦いだ!」と思ったのですが、その後繰り返し解くうちに慣れてきて時間は余るようになりました。

 続いて、簿記検定ナビを見て無料請求した大原の過去問、あと第130回・131回の過去問も手に入ったので順に解いていきました。新しい問題を解く度に、初めて見る用語があったり、見たことのないタイプの問題に出会ったりして、勉強になりました。

 この時期には、「分からないことがあったらネットで検索してみる」という方法を初めて覚えました。

 キーワードで検索すると、大体知恵袋などの質問サイトで既に誰かが質問していて、ずっと疑問に思っていたこと(例えば、仕訳で勘定科目が複数ある場合、書く順番に決まりはあるのか?など)があっさりと解決するので、なぜもっと早くこうしなかったのかと後悔しました。

 ここまでやって試験日まであと数日残っていたので、一度解いた模試、過去問の2周目に入りました。これでかなり時間を残して合格点がとれるようになったので、本番もまず大丈夫かなと思っていました。

試験日の1日の流れ

7:00

 起床。子どもの朝食を準備。自分も朝食をとって身支度をすませる。

8:00

 パパと子どもを起こす。下の子の授乳。

8:20

 持ち物を確認してから、パパに子ども2人を頼んで出発。試験会場になっている大学は近所なので徒歩。

8:30

 20分かかる想定だったが10分で到着。校舎の入ってすぐのところに試験が行われる講義室の案内掲示があったが、渡り廊下を渡って別の棟へ行ってさらに階段で上の階に上がらなければいけなかったので、迷いそうでドキドキ。

8:35

 講義室の番号をブツブツ言いながら、なんとか無事に辿り着く。受験番号を確認して席に着き、受験票、免許証、筆記用具、電卓を机の上に配置。

 周りを見ると、受験者は年配の人もチラホラいるが、大学生ぐらいで近くの友達と会話している人も多かったので、この大学の学生が多いのかなと思った。

 とりあえず持ってきたテキストを開いて眺めるが、「うわ、こんなのもあったな。これも覚えてないかも!」と思ったりして不安になってくる。

 結局、目はテキストを見ながらも、近くの学生2人の会話を聞きながら試験までの時間を過ごす。「やばいよ、全然勉強してないよー」と言い合っているのが微笑ましく、それで緊張がほぐれました。

9:00~

  • 試験開始!

 1~4問はとくに問題なく解く。しかし5問が損益計算書であることに気付き、ギクッとなる。このタイプの問題は一度も解いたことがない。とりあえず埋められるところから埋めて、後はテキストでやった損益計算書の書き方を一生懸命思い出す。

 と、段々記憶が蘇ってきて、なんとか全部埋めることができた。まだ時間が余っているようなので、軽く見直しをしながら、あとで自己採点できるように回答を問題用紙の方にメモしていく。ちょうどメモし終わるぐらいで試験時間終了。

 子どもの授乳時間が迫っていたので急いで帰る。

11:20

 帰宅。午後になって、LECの解答速報でざっと自己採点。大体合っていそうだったので大丈夫だろうと安心しました。

 後日、合格証書を貰いに行ったら満点だったのでびっくり!嬉しかったです。

受験を終えて

 最初に勉強を始めた時には、「一度挫折してるし、小さい子どもがいてあんまり時間もないし、無理かな…」と本当にダメ元の感覚だったので、こうして合格できて驚いています。

 今になって考えると、4年前には挫折して、今回は挫折しなかった要因は大きく2つあると思います。

 1つは、4年前は時間がありすぎたということ。当時は結婚して間もない頃で、私は子どももいないのに気ままな専業主婦でした。

 昼でも夜でも、やろうと思えばいつでも勉強できるという状況が、逆に「今やらなくてもいいか」と甘えにつながり、勉強を習慣化させることができませんでした。

 今回は、この夜の数時間しか勉強できない、という状況があったからこそ、「この時間を逃す手はない!」と強い気持ちで学習に取り組めたのだと思います。

 もう1つは、私が主婦業を通して、4年前よりもお金の話に強くなっていたからだと思います。

 私はもともと節約、貯金、そしてお金の話が大の苦手で、4年前に簿記の勉強を始めた時には、「収益、費用、利益…」などの用語が出てきた時点でもう嫌で、早々に勉強の手が止まってしまいました。

 しかしその後、4年間主婦をやってみて、子どもが産まれたり家を建てたりと色々なことがありました。住宅ローンの検討や保険の見直し、家計の節約も必要に迫られてやるうちに、いつの間にかお金の話にも強くなっていたようです。

 今回4年ぶりにテキストを開いてみると、簿記の内容が抵抗なくすんなりと頭に入ってくるのを感じました。主婦業も捨てたもんじゃないなと思いました。

 そんなわけなので、1度挫折した経験のある人も何がプラスに働くか分からないので、試しに再チャレンジしてみるといいと思います。

 これからの就職活動で、この簿記3級がどのぐらい活かせるかはまだ分かりませんが、取得できたことで「私もまだまだスキルアップしていけるんだ」と自信が持てました。

 勉強をしている間は充実して楽しかったですし、就職活動に向けて自分を勢い付けることもできたので、本当に受験して良かったです。

管理人からshimoneさんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
『サクッとうかる日商3級商業簿記テキスト』…80点

 要点がよくまとまっていて、それなりにサクッと勉強できたような気がします。イラストが多用されていて、ダラダラと長い文章もないことで、テキストのかったるさはかなり抑えられているという印象でした。

 マイナス点は、要点がよくまとまっているということの裏返しですが 、試験に直接関係の無さそうな点はあまり説明がなく、さらっと流されている点です。

 「説明がないってことはそんなに重要じゃないんだな」と流せる人なら問題ないと思いますが、きちんと理解したい人は「あれ?これの説明は?」と引っかかるかもしれません。

 とはいえ、私自身このテキストで2ヶ月間勉強して合格できましたし、十分おすすめできると思います。

『サクッとうかる日商3級商業簿記トレーニング』…85点

 マイナス点を先に挙げると、本試験レベル問題の第5問対策が「財務諸表の作成→あまり出題されていません」ということで精算表作成の例題のみだったのですが、私は本番でちょうど損益計算書作成の問題に当たってしまってドキドキしたので…。財務諸表作成の問題も1問ぐらい載っていても良かったのでは、と思いました。

 それ以外は全く問題なく使えました。基本問題→本試験レベル問題→模試、と段階を追って使える点が良かったです。おすすめできます。

 今回、勉強に使われた電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
 カラフルで見やすく、キーもそこそこ大きくて打ちやすかったので、いいと思います。ただ、使い慣れているものがあるならそれが一番だと思います。
 ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 ネットを有効に活用できると強いかなと思います。既に書きましたが、私は試験が間近になって初めて「分からないことがあったらネットで検索してみる」という技を覚えました。キーワードで検索するだけで、「あの1人で悩んでいた時間はなんだったんだ」と思うぐらいあっさりと答えに辿り着きました。

 また、こちらの簿記検定ナビさんでダウンロードできる模試、仕訳問題、大原で無料請求できる過去問など、ネットで探してみると練習問題や過去問は無料でも結構手に入ります。

 もちろんテキストでしっかり勉強することがメインになるとは思いますが、それを補助する役割として、ネットを活かせると強いと思います。

管理人コメント

 shimoneさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

 shimoneさんは育児と勉強を見事に両立して満点合格されていますが、簿記の全体像を1枚(のポスター)にまとめるという作業はぜひ見習っていただきたいです。

 テキストの構成上、各章ごとに簿記のルールや処理を学んでいくことになりますが、取引の発生から帳簿の締め切りまでの一連の流れをきちんと把握し、「今自分はどの部分の処理をしているのか」を意識して勉強を進めると力がつきます。

 具体的には…取引が発生する→仕訳をする→総勘定元帳に転記をする→集計して試算表を作成する→決算整理を行い貸借対照表と損益計算書を作成する→帳簿を締め切り繰越試算表を作成する…という流れになります。

 きちんと理解できていない方は、この機会にきちんと確認しておきましょう。

 あと、shimoneさんはネットをうまく使って情報収集されていますが、この点もぜひ見習っていただきたいところです。

 簿記検定ナビ以外にも、動画やマンガなどを使って考え方や解き方を紹介しているサイトやブログがたくさんありますし、資格の大原では無料の直前対策講義や模試を全国各地の校舎で実施しています。

 これらを有効活用することが独学合格のカギになる、と言っても過言ではありませんので、上手に利用してみてください。

shimoneさんが使われた教材や電卓のまとめ