テキストは実際に手にとって色々と見比べて決めましょう!

  • 投稿者:チーズさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約3か月

はじめに

 私は現在44歳女性、パートで一般事務(経理補助含む)の仕事をしています。小学生の子どもが1人おります。

 この年齢でも受験しようと思ったきっかけは、現在の職場に経理リーダーとして社外の方が来られていて、その方がせっかく経理にも少し携わっているのだから、簿記2級の取得を目指してみたらと言われたからと、このご時世いつ離職を余儀無くされるかわかりませんし、簿記の知識を身につけるのもいいかもと思ったからです。

 ただ家族は「今更いらんのちゃうか?」などと全く興味なさそうでした…というか簿記って何?と…。確かに合格しても給与が上がるわけでも、正社員になれるわけでもないのですが、とにかく11月の検定を目標に始めることにしました。

 大手の資格学校に通うのが一番近道だろうと思われましたが、費用も割とかかるし何より仕事の後は主婦業が待ってますのでなかなか通学するのは難しいと思い独学することに決めました。

使用した教材と電卓

  • TAC 簿記の教科書日商2級 (商業簿記)
  • TAC スッキリわかる日商簿記2級 (工業簿記)
  • TAC 合格するための過去問題集
  • TAC 日商簿記2級 網羅型完全予想問題集
  • SHARP EL-N732K (電卓)

 まず馴染みのない工業簿記から勉強を始めたのですが、ネットの評価等で分かりやすそうだと思いスッキリのテキストを選びました。確かに取っ付きやすかったのですがちょっと物足りない感じでした。

 商業簿記のテキストは大きい書店でいろいろ見比べて簿記の教科書の方にしました。他の方はあまり使われていないようですが私はこの教科書シリーズが非常に分かりやすかったです。工業もこちらにしたら良かったと思いました。やはり最初に全部手にとって見比べるべきですね。

 電卓は家電量販店で試し打ちして決めました。勉強を始めたころはスーパーで売っていた500円位のものを使用していましたが、00キーがないので不便を感じ新しく購入しました。使いやすいです。諸事情により電卓は(右手ですが )ブラインドタッチでかなり早く打てます。但し爆音を轟かせてしまうのでサイレントキーは必須でした。

簿記の教科書
簿記の教科書

使った教材一覧
使った教材一覧

勉強スタイル

 平日はほぼ毎日、だいたい21時ごろから23時ごろまで勉強していました。土日は時間が取れる限りやっていました。こんなに勉強したのは何十年ぶりかです。巷でよく言われるように、合計200~250時間は勉強したと思います。私の感想としては、やはりその位必要だなということ、結構勉強が必要でモチベーションの維持が大変だなということでした。

8月中旬~9月初旬

 (工業→商業の順に)テキストを読み込み、テキストにある演習問題をする。

9月中旬~試験直前

 過去問題集12回分をまず1周。一周目は分からない部分が多く、すぐに解答・解説を見て解き直ししました。工業は理解が浅いと感じたので工業だけテキストの演習問題をもう一度しました。

 過去問の2周目はそこそこ解答出来るようになり、合格点に届く回も多くなってきました。ただ中には解答方法を暗記してしまったものがあり、少し言い回しの違う問題文だと大丈夫だろうか?と感じました。

 そこで書店で見つけた TAC日商簿記2級 網羅型完全予想問題集に取り掛かることにしました。網羅型というだけあってほとんどの論点が10回分の模擬試験に含まれていたのではないかと思います。これを連続で2周、その後過去問題集を1周→網羅型1周→過去問題集1周、結果この期間に過去問題集を計4周、網羅型を3周しました。かなりしんどかったです。

網羅型完全予想問題集
網羅型完全予想問題集

 隙間時間は簿記検定ナビさんの仕分問題や簿記クイズに取り組み、この期間は仕事・食事の用意・簿記しかしてなかったかもしれません。家の中は恐ろしく汚部屋状態となっていましたが、この頃にはほぼ全ての回で90点以上取れるようになりました。

 過去問題集をする時に気をつけたことは、必ず時間をはかる事と前回より下書きを減らす事、より間違いにくい下書きや解答用紙の記入方法がないか試してみる事でした。

 また簿記検定ナビさんの過去問分析を毎回参考にしました。解説が分かりやすいし、この問題は○点取れたらOKなど本音の意見がとても参考になりました。本支店の下書きも簿記検定ナビさんのおかげでコレだ!と思えるやり方が見つかりました。

 本当にしんどかったので最後は「やりきった。これで不合格ならこの資格は私にはムリ、不合格であればもう諦める。」と考えていました。直前期に大原などの模擬試験を受けたかったのですが、子どもの習い事の行事や学童保育の運動会と重なり、残念ながら無理でした。試験前日は大方の出題予想にあった標準原価計算の問題を4問やって、試験勉強はこれで終わりにしました。

試験日の1日の流れ

 偶然にもこの日が年1回の小学校の日曜参観の日でしたのでいつもの平日と変わらないです。参観は午前中だけなので終わったら自宅で普通に昼食を食べ、車で早めに試験会場へ向かいました。

 会場の近くに幾つかコインパーキングがあるのですが一番近いところが満車の場合、他を探す事も考慮して早めに向かいました。実際には駐車場も空いていて会場へは1時間前に着きました。時間があったのでトイレを済ませて、試験会場の中に入りました。

 気ががりだった繰越利益剰余金の配分についてメモを確認し、自分で自分への励ましの言葉を書いたメモをみました。その後は他の受験者の方をボンヤリ眺めて過ごしました。以外と同年代と思われる方もチラホラみられ、何と無くホッとしました。

 問題用紙・解答用紙が配られ名前の記入になった時、予想外の第2問・勘定記入の解答欄が見えて心配になりましたが、まあいつも通り1問目から解き始めました。

 解答の順番は1問目からそのまま順番通りです。2ヶ月間ずっとそうしてきたからです。決してお勧めとはいえませんが、飛ばして次へ進むと前の問題が気になってしょうがないタイプなので、余程のことがない限りそうしようと決めていました。

 2問目は何から始めたら良いか迷ったので、まず資料の個々の仕訳をしてみました。仕訳は固定資産に関わるものばかりで普通に仕訳できるものだったと思います。(しかしここで唯一のミスをしていたのですが…)

 勘定記入は「英米式」?!どんなだっけ?と戸惑いながらも、既に解答用紙に記載されていた繰越金額などを参考に、ここにはこれしか入らないなあ、じゃあこっちはこれか?とあまり自信なく記入していきました。

 3問目は一番得意の精算表。存分に電卓たたきました。まさか出題されるとは…嬉しい誤算でした。4問目は部門別。前半の予算の表はすんなり記入。後半、予定配賦する際に機械稼働時間を基準にしなければならないのに、それを無視して解答。でもどうもおかしい、違和感を感じもう一度問題文と資料をよく読み、間違いを確信し書き直しました。

 5問目は標準原価計算。やはり来た!と思い大丈夫と思って取り掛かると、いつもの「基準作業時間」の文字がない!!探しに探して、これしかないよね~と「正常作業時間」なるものを基準作業時間にしてシュラッター図を書いて計算しました。

 全て解き終り、時間は25分ほど余りました。念入りに見直ししました。

試験結果

 結果は98点で合格しました。唯一のミスは2問目の火災損失の額でした。当期分の建物の減価償却費の計上忘れにより火災損失額を間違えました。見直しの時も気づかないで、あと3分ですとアナウンスされてしばらくしたころ、全体をボンヤリ見ていた問題文のその部分とバッチリ目が合い、ああっ!!と声をあげそうになりました。残念ながら訂正する時間がありませんでした…。

 最後の1ヶ月は「満点」を目指して頑張ってきたのに、この間違いを見つけ、他もいっぱい間違いあるかな…とたちまち自信をなくしてしまったので、合格と点数を確認した時はとても嬉しかったです。それでも2点失点は悔しいですが。

最後に

 簿記の勉強を始めて、仕事で経理ソフトへ入力する際も理解が深まったと思います。実務に即直結するわけではありませんが、満足しています。なぜ帳簿をつけるのか?私が行き着いた考えは、ある一定の期間に儲かったのか損したのか、また金勘定は合っているのか、を知りたいんだよねと思うと、損益計算書に現れるべき勘定科目、貸借対照表に現れるべき勘定科目がおおよそ見えてきました。

 その頃から勉強も進み始めたと思います。また、過去問では変化球問題に対応できないという意見もありますが、私はやはり必要ではないかと思います。本試験で過去問類似の問題で無かったとしても、取り掛かりの糸口は自然と見えてくるような気がしました。そして簿記検定ナビ様、ありがとうございました。年齢がもう少し若かったら、オフ会に参加してみたかったです*(^o^)/*

管理人からチーズさんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
①TAC スッキリわかる日商簿記2級(工業簿記)・・・80点

 例えがわかりやすいのですが、載っていない論点も結構あったと思います。重要論点に絞った感じでした。

②TAC簿記の教科書日商2級(商業簿記)・・・100点

 手書き風文字で書かれている「モヤモヤ解消」のコメントがとても良かったです。ページ構成の雰囲気が私に合っていました。女子のノートぽい感じです。

③TAC合格するための過去問題集・・・90点

 最新の問題も載っていましたし、解説も丁寧でした。でも解説の文章が固い…ので合わせて簿記検定ナビさんの過去問分析を読むとより一層効果的ですね。

④TAC日商簿記2級 網羅型完全予想問題集・・・95点

 過去問を少しひねった感じでした。実力がついたと思います。形式も本試験形式で使いやすいかな。解説はやっぱり固い…。私は使いませんでしたが、ネットで下書きの書き方をダウンロードできるサービスがあったようです。価格はお得感ありました。オススメです。

 チーズさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 得意な論点は精算表です。仕訳は頭で切って、修正欄に直接記入していましたので短時間で解答できるようになりました。まあ仕訳はだいたいパターン決まってますしね。

 苦手な論点は本支店会計です。簿記検定ナビさんの下書きを参考に少し自分なりのアレンジを加えて、毎回下書きを調整していくうちに、しっくりくるものが出来ました。下書きの定型化が重要だといわれるのがよく分かりました。それと、とにかく問題を解きまくる!事につきました。

 チーズさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
 意地ですね。年齢に負けないぞ!の意気込みでした。それと、こんなしんどい勉強を長々やってられない、絶対3ヶ月以上無理だ!の一心ですね。時間のやりくりをしながらの勉強ですから、集中してやりました。

 あとは受験を勧めてくれた方が同世代で、難易度の高い中小企業診断士の勉強をされていたので、影響されたところもあります。もちろん簿記ナビさんの合格体験記も全部読みました。合格へのイメージって大切ですよね。

管理人コメント

 チーズさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

 まず教材選びについてですが、チーズさんも「使用した教材と電卓」のところで書いていただいているように、実際に手にとって色々と見比べて決めることをおすすめします。

 「ネット上で評判が良い=必ず自分に合う」とは限らないので、可能な限り書店等で中身を比較して、自分に一番しっくりくるものを選んでいただければと思います。TACやネットスクールの教材であればまず問題はありません。

 あとは、過去問を解く際に気をつけたこととして「必ず時間をはかる事と前回より下書きを減らす事、より間違いにくい下書きや解答用紙の記入方法がないか試してみる事」と書いていただきましたが、これもぜひ見習ってください。

 なんとなく惰性で問題を解いても力はつきません。チーズさんのように1問1問を大事にして、常に目的意識を持って取り組むようにしてください。

 最後に、過去問については「過去問では変化球問題に対応できないという意見もありますが、私はやはり必要ではないかと思います。」と書いていただきましたが、個人的には変化球問題は出ても1問。残りの4問は過去問類似問題なので、過去問対策をきちんとやっていれば変化球問題が0点でも合格できる、と考えています。

 昔も今も過去問対策は重要なので、きちんと対策しておいてください。

チーズさんが使われた教材や電卓のまとめ