デジタル(Webサイト・スマホアプリ)とアナログ(ミスノート)を有効活用!

  • 投稿者:じろーさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約1か月半

はじめに

 私は24歳で社会人です。売上を常に求められる中で、会社の数字をみて考察できることに魅力を感じ、最終的には公認会計士を目指し、勉強をはじめました。

 勉強方法を調べるにあたって、様々あり、どれを選んだらよいのか悩みましたので、これから勉強される方には、こんな方法もあるんだと参考にしていただければ幸いです。

勉強開始時の知識レベル

 会社において、毎月の売上や大雑把な費用等を見てはいたものの、知識がなかったのでふーん程度でしか見ておりませんでした。

 また出身大学の学部は経営学部でしたが、会計学は退屈そうで勉強は一切しませんでした。そのため、簿記に関しては初心者からのスタートです。

使用した教材

簿記3級

  • 簿記検定日商3級に面白いほど受かる本・基本編(中経出版)
  • 簿記検定日商3級に面白いほど受かる本・実践編(中経出版)

 4年ほど前に買ったもので、今は書店にはおいてありませんでした。サクサク進められるので導入としては良かったと思います。

簿記2級

  • スッキリわかる日商簿記検定2級 工業簿記 第四版(TAC)
  • スッキリわかる日商簿記検定2級 商業簿記 第七版(TAC)
  • 合格するための過去問題集 日商簿記2級 128回ー139回(TAC)

 3級の学習が終わる前に、2級のテキストは何がいいか探していたところ、圧倒的にスッキリシリーズが人気があるということを知りました。実際に購入してみると「わかりやすく」かつ「サクサク進められる」のでやりやすかったです。

 ただ、過去問にうつった時に、記載されていない項目(スッキリでは委託買付などが書いてなかったと思います。)があったので少し焦りました。しかし、合格するための問題集には過去問とは別に頻出問題が第1問~第5問でそれぞれあったので、知らない知識もそこで穴埋めできました。

 スッキリを使う方で時間に余裕ある方は、過去問にうつる前に「TACのみんなが欲しかった問題演習の本」をやった方が、応用問題等の解き方が丁寧に書いてあるのでいいと思います。私も購入しましたが、余裕がなく過去問に取り組む時間がなくなるためやめました。

使用した電卓

  • Canon HS-1220TUG

 いろいろネットで調べて、悩みましたが結局ホームセンターでこれを見つけ購入しました。比較的安い電卓ですが、標準機能は備わってますし、試験会場でもこれを使っている方がたくさんいました。

 ただ、少し(サイズが)大きいので、試験会場の机が小さいと少し窮屈に感じるかもしれません。

その他利用したもの(ウェブサイト&アプリ)

 独学する上で、効率の良い下書きの書き方や時間のかかる第3問をどう解いていくかがわからなかったため、上記2つのサイトに無料で動画がのっているので参考にしました。結果的に、効率の良い下書きの方法がわかり、解く時間や計算ミスが減ったので良かったです。

 過去問をやる上で、どの問題がみんな解けず、どこを得点源に、どこを捨て問とするのかを判断するために過去問分析のページを利用しました。また、出題傾向も参考になりました。

 勉強時間を管理できるスマホとPC対応のアプリです。1日の勉強時間と進捗を毎日記録していました。自分と同様に簿記の勉強している人の勉強時間や教材、こんなところでつまづいた等がわかるので、お互いに励まし合ったり、もっと頑張らねばと思えたり、モチベーションの維持につながりました。

勉強時間

  • 簿記3級:約50時間
  • 簿記2級:約200時間

 試験日の1か月半前から勉強を開始し、10日間で3級、10日間で2級商業、10日間で2級工業、残り2週間ほどで過去問対策という計画で行いました。漠然とした計画でしたが、1日平均6時間やって計画通りに行えました。

勉強方法

 まずテキストの各論点を読んで、各章の練習問題を解く。最後のページまでいったら練習問題のみもう一周解く。さらに解けなかった問題をもう一周解く。このような形で問題集を3周回すことをやりました。また復習は必ず翌日行うようにしました。

 また、わかりにくかった部分などは付箋を貼り、さらに間違えたところなども含めてミスノートにまとめていました。これを直前期は1日の終わりに見直すことで、同じミスは繰り返さないよう心がけました。

ミスノート1
ミスノート1
ミスノート2
ミスノート2

 さらに、どうしてもわからない部分はネットの動画を探せば、参考動画がたくさん出てくるのでそれらを参考にしました。

 過去問をやっている中で、最初は決算仕訳の貸倒引当金や期末商品・棚卸減耗費などの計算ミスが多かったのですが、上記のミス対策のせいか徐々になくなっていきました。

 また、過去問を一通り解き終わった後で、各回の点数をみたところ、合格点にいたっていない回が必ずといっていいほど工業分野の得点率が5~6割ほどでした。

 そこで、試験5日前に動画を参考に曖昧な知識を挽回し、解答をじっくり読むようにし、ミスノートにも図を書いて理解するように努めました。その結果、工業簿記は得点源にできる自信がつきました。

 最後に他の方とは違うと思うのは、3級の過去問対策をしなかったことです。

 これは2、3級同時受験とはいえ、やはり2級の合格に重きをおいたので、2級の理解が進めば、必然的に3級も解けるだろうと考えたためです。そのため3級の過去問分の時間を2級にまわすことができました。

試験日の1日の流れ

 午前に3級、午後から2級の日程でした。

 不安な問題や予想問題は前日に行い、当日はすっきりとした気持ちで挑むようにしました。しかし、予想問題があまりに難しく、これは当日の昼休みに見直そうと思い、少し遅めの午前2時に見切りをつけて就寝しました。

  • 7:30

 起床し、眠くなることを避けるため朝食を取らず、準備して電車で会場へ。

  • 8:10

 試験会場に到着しました。教室内は100人以上はいたと思います。高校生から中年の方まで幅広くいました。幸いにも机2つ分を1人で使えたので、机の上は余裕がありました。

 トイレをすませ、「今から受験するのは3級なんだ」と気楽な気持ちで試験開始まで待ちました。

  • 9:00

 3級試験開始です。問題を一通りみて解けそうな問題を探しました。

 過去問をやってなかったのでわからなかったのですが、第3問の試算表問題と第5問の精算表問題で60点分の配点ということに気がつき、さらに2級の学習でこれらには自信があったので最初はこの2題から取り組みました。

 簡単と思ったものの…試算表は合計の金額が、精算表は当期純利益が一致せず焦りました。ひとまず後回しにすることにし、他の第1、2、4問に取り組みました。

 第1、2問はあっさり解けましたが、第4問が3伝票制の伝票会計で、2級では見かけない問題だったので少し焦りました。自分の持ってる知識の中で空欄を埋めました。

 一通り問題が終わった時点で残り1時間余ったので、第3問と第5問の数値合わせと、第4問の考える時間に残りをあてました。結局、第5問の当期純利益は求められましたが、どうしても第3問の数値が合わずに時間切れになってしまいました。

  • 11:10

 3級終了後、やはり眠気を防ぐために昼食はとらず、トイレを済ませすぐに2級の教室へ。誰もいませんでしたが、3級と違うのは机が1つ分で、電卓を置くと少し邪魔だなということが気がかりになりました。

 13時の開始までまだ時間はたっぷりあるので、前日にやった予想問題の見直しに取りかかりました。

  • 12:10

 予想問題の見直しを終え、最後にこれまでの集大成であるミスノートを見直しをし、試験ではこんなミスはしないと自信をつけ、時間まで待ちました。

  • 13:00

 2級試験開始です。誰もが驚いたと思うのが、第2問でまさかのもう出ることは少ないと思われていた伝票会計でした。しかし、過去問をやった限りで得点源になっていたので安堵です。

 他は第3問が財務諸表で、やはり137回からの傾向通り、決算仕訳と未処理事項をいかにかみ砕いて理解するかが難しい問題でした。これは難問だと思ったので後回しに決定し次へ。

 第4問と第5問もぱっと見でとくにひねりは感じず、ただ過去問ではあまり見なかったシングルプランが第4問に、積数が第5問にだされている程度で、いけそうという印象。

 全体を一通りみたところで、簡単そうな工業簿記から終わらせました。2つで30分ほど。次に第2問。これも得意にしていただけあって15分ほどで終了。次に第1問。3つ目の仕訳問題で、売上割戻引当金の処理がわからず、適当に埋めましたが、これは落としたなと捨て、いよいよ問題の第3問へ。

 残り1時間ほどありましたが、まあ難しく、部分点狙いで簡単な決算仕訳から対処しました。

 残り10分になったところで、全体を見直し。第2、4、5問は満点の自信があり、第1問は3つ目以外はできただろうということで、合格点はいったんじゃないかという気持ちに溢れました。

 残り数分は引き続き第3問に取り組みましたが、あまりいい感触は持てずに試験終了。

 あと蛇足ですが、試験中、電卓を打つ音が凄まじく早い人が教室内にいて、遅い私は焦りました。早いにこしたことはないものの、全体を通してそこまでの早さが必要とは感じない内容でしたので、途中からはあまり気にならないようになりました。

試験結果と反省(簿記3級)

  • 第1問:12点/20点
  • 第2問:10点/10点
  • 第3問:28点/30点
  • 第4問:07点/10点
  • 第5問:24点/30点
  • 合計:81点/100点

 過去問対策しなかった割には解けたので、おそらく比較的簡単な回だったとは思います。

 また、予備校の解答速報では第2問の帳簿名が「買掛金元帳」となっておりましたが、実際に2級の知識から「仕入先元帳」と書いてしまい、しくじったなと思ったのですが、第2問は満点の点数だったのでほっとしました。

試験結果と反省(簿記2級)

  • 第1問:12点/20点
  • 第2問:20点/20点
  • 第3問:09点/20点
  • 第4問:20点/20点
  • 第5問:20点/20点
  • 合計:81点/100点

 3級と同じ点数でした。おおむね予想通りの結果でしたが、第3問に関しては過去問の見直しが不十分だったと痛感しました。もし、第2問に伝票会計ではなく個別論点などの難問がきていたら、合格点は厳しかったと思います。

最後に

 教材の選択から、過去問での自分の苦手分野や予想問題などいろんな部分で分析と決断をしました。独学ではどれが正解なのか判断しにくいですが、今回の試験では運良く有効だったのだと思います。

 実際に勉強管理アプリを使っている中で、予想問題に時間を割きすぎたために、今回の第2問などの予想外の問題に対処できない方もいたので、予想問題とのつきあい方も注意が必要だと思います。

 過去問の傾向から次回試験が予想しにくいようなのが最近のようなので、山を張りすぎず満遍なく学習するのが近道だと思います。

 長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。これから学習する方々を応援しております。

管理人からじろーさんへ追加の質問

 じろーさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
■商業簿記:第三問(とりわけ決算整理事項の貸倒引当金、期末商品の期末整理)

 精算表や財務諸表の問題は解くのに30分~1時間など時間がかかります。しかも、一つ間違えると連鎖的に点数を落としてしまうことになるので、過去問をやっていてもなかなか点数が安定しませんでした。

 基本はスッキリシリーズの問題でできていると考え、あとは過去問を解きながら慣れることにしました。実際にやったこととして、過去問を間違える度、ミスノートにどう間違えたのか、こうすれば正しいということを書きました。そして毎日寝る前にノートを見返しました。

 その結果、試験の約1週間前には「貸倒引当金は数値の誤記入がしやすい」「本店と支店の数値をごちゃまぜにしやすい」など、自分の間違える習性の多く理解できるようになりました。

■工業簿記:全般

 解ける時と解けなかった時の差があまりに大きかったので、これは本当の意味で理解できていないと思い、今までさっとしか見ていなかった過去問の解答部分をちゃんと読むことにしました。

 それから、勘定連絡図などをちゃんと書き、仕掛品・製品などの流れをつかむようにし、少し時間はかかっても解き方を変えるようにしました。

 また、改めて丸2日間かけて、Youtubeの解き方動画等を参考にしながら過去問の工業のみに取り組み、ミスノートにも勘定連絡図の書き方など書き込むなどして毎日見返しました。

 じろーさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
 簿記の知識を身につけていき、キャリアアップにつながっていくイメージを強くもつようにしました。また、勉強時間管理アプリで、同じように2、3級を勉強している人達の状況を見て励みにしていました。

管理人コメント

 じろーさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

 デジタルツール(Webサイト・スマホアプリ)とアナログツール(ミスノート)をうまく使って短期合格された、じろーさんの合格体験記には参考になる点がたくさんあると思います。

 簿記関連のWebサイト・スマホアプリは玉石混交で、全く使えないものもたくさんありますが、パブロフ簿記さんや弥生カレッジCMCさんは、私も自信を持っておすすめできるサイトなので、ぜひ一度アクセスしてみてください。

 また、ミスノート(間違いノート)に関しては、追加の質問の回答のところに「毎日寝る前にノートを見返しました」と書いていただきましたが、この点はぜひ参考にしていただきたいポイントです。

 ミスノート(間違いノート)は、苦手な論点・よく間違える論点を脳に意識づけすることが目的なので、とにかく何度も目を通す必要があります。通勤・通学の移動時間や、昼休みや就寝前のちょっとした細切れの時間を有効活用してください。

 あとは、2級受験時の「全体を一通りみたところで、簡単そうな工業簿記から終わらせました」という一文も見逃せません。

 本試験では、得意な問題・点数が取れそうな問題を優先して解くのが鉄則なので、試験開始後にすぐに問題を解き始めるのではなく、じろーさんのように全体をひととおりチェックしましょう。

じろーさんが使われた教材や電卓のまとめ