大手専門学校の直前対策コースは、費用対効果が抜群です!

  • 投稿者:appleさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約2か月半

概要

 勉強を始めたのは9月上旬からです。簿記の知識ゼロ、そもそも簿記って何?という状態からのスタートだったのと、検定日まで2ヶ月半しかなかったのもあり、当初は11月に3級、2月に2級を受験するプランでした。勉強の進捗度次第では11月に2級も受けれたらいいな、という程度です。

 しかし、3級の勉強を始めるとすぐに「簿記って面白い。もっと勉強したい」と感じ、思いのほか早く進める事ができたので、11月にダブル受験する事を決めました。

3級は大原の直前対策セット(総まとめ+答練+公開模試)を利用

 大手予備校の講座を体験してみたかったので受講しました。10/24開講だったのですが、それまでに2級の基礎を終わらせる自信がなかったので、3級のみ受講。このプランはちょっと失敗だったかな…と思っています。

 大原の講座自体は大変素晴らしい内容だったのですが、実際に10/24を迎えてみると、2級の基礎はほとんど終わり、3級の問題は目をつぶってても解ける!という状態でした(笑)講座までに「完璧に」仕上げる必要はないわけですし、もっと強気に2級で申し込んでおけば…と後悔しました。

 繰り返しになりますが、大原の講座は素晴らしい内容でした。答練はやや難しめなので力がつきますし、分からない事をすぐに質問できるのが頼もしいです。私は「仕訳問題の科目は書く順番が決まっているんですか?」等くだらない質問をしましたが(笑)、講師の方はこんな質問でも非常に丁寧に解説して下さいました。直前対策セットは1万円ちょっとで受講できますので、独学の方は是非利用してみて下さい。

使用テキスト

  • 簿記3級
  • サクッとうかる日商3級 商業簿記 テキスト
  • サクッとうかる日商3級 商業簿記 トレーニング
  • サクッとうかる日商簿記3級 厳選過去問ナビ
  • 簿記2級
  • 簿記検定ナビの仕訳対策(プリントアウトして使用)
  • サクッとうかる日商2級 商業簿記 テキスト
  • サクッとうかる日商2級 商業簿記 トレーニング
  • サクッとうかる日商2級 工業簿記 テキスト
  • サクッとうかる日商2級 工業簿記 トレーニング
  • サクッとうかる日商簿記2級 厳選過去問ナビ
  • ラストスパート模試 日商簿記2級
  • 日商簿記2級 出題パターンと解き方 過去問題集(試験1週間前に購入)

 ご覧の通りネットスクール一色です(笑)出版社ごとに表現や解法が違う時が多々あるので、情報の混在を避けたかったのと、色々なテキストに目を通せるほど時間がなかったので、今回は教材を統一しました。

 厳選過去問ナビは使っている人をあまり見かけませんが、なかなかオススメです。収録問題数は「パタ解き」に劣りますが、設問ごとに効率の良い下書きの仕方が載っていたり、「パタ解き」とは違った切り口で面白いです。特に2級・第2問の下書きの仕方は目からウロコでした。

 大人気?の「パタ解き」は、2級の試験1週間前に苦手論点の演習用に買いました。問題の横にヒントが書いてありどうしても目についてしまうので、個人的には肌に合いませんでした。

 どうやら私は「サクッと」「厳選ナビ」の著者・福島三千代先生が好きなようです(笑)独学者がテキストを選ぶ際は、風評に惑わされず、自分に合うシリーズをしっかり見極める事が大切だと思います。

電卓

 地味に頭を悩ませたのが、日商簿記検定の電卓の規定です。関数機能はダメ、日数計算機能もダメ、あれもこれもダメ…と規定が多い!違反してもそう簡単に失格にはならないのかもしれませんが、そういう不安要素は少しでも取り除いておきたかったので、SHARPのEL-G34を買いました。

 EL-G36の改良版で「日商簿記受験者のために開発された電卓」らしいのでまず間違いないと思います。TACのCyber Book Storeで買えるので良かったら見てみて下さい。

勉強の流れ&所要時間

  • 9月上旬~下旬
  • まずは3級から。10日間で「サクッと」テキストを1周、トレーニングを2周。
  • 5日間で厳選過去問ナビ(6回分)と簿記検定ナビの予想問題を1周。平均90点ぐらい。
  • 以降検定日まで、3級の勉強は大原の直前対策講座(週1)のみ。
  • 9月下旬~10/26
  • 1週間で「サクッと」商簿テキスト&トレーニング終了。
  • 10/7から工簿の勉強を開始。連日遊びに行ったりしてだらけたので予想外に時間がかかる。
  • 10/17に大原の3級無料模試を受ける(83点)
  • 10/26に「サクッと」工簿テキスト&トレーニング終了。工簿の正味勉強時間は2週間ぐらい。
  • 10/27~10/31
  • 過去問に入る前の確認として、2級商簿と工簿のトレーニングを各1周。
  • 11月第1週
  • 厳選過去問ナビ(7回分)と簿記検定ナビの予想問題を1周。平均点は80点ぐらい。
  • 日曜は大原の3級講座が夕方まであったので、2級の勉強はほどほど。
  • 11月第2週
  • 厳選ナビで出来が悪かった回(2回分)を1周、ラスパ模試(4回分)を2周。
  • 苦手分野と得意分野の洗い出しを行い、残り1週間は第3・4・5問を重点的に対策する事に。
  • 日曜は大原の3級公開模試があり100点をマーク。
  • 11月第3週
  • 苦手分野に特化した演習を中心に、第1・2問の対策は程ほど。
  • 工簿の過去問サンプルが足りないと感じ、パタ解きを購入。
  • 手持ちの過去問・予想問題から第4・5問・第3問(財務諸表のみ)を抽出し、2周ずつ演習。
  • 大原HPでDLした予想問題を1周、ラスパ4回分を1周。前日に大原予想問題をもう一度解く。

過去問を解く際の解答順序

  • 【3級】1→3→5→4→2

 第3、5問は回答に時間がかかり消耗するので、頭が疲れる前に対処出来るよう2番と3番です。第2問はややこしいわりに配点が低い問題が出たりするので最後に回しました。

  • 【2級】1→4→5→2→3

 工簿は回答時間自体は短いのですが、ちょっとした見落としが致命的なミスに繋がってしまうので、集中しやすい前半に解きました。第3問は解答に時間がかかり、他の設問次第では時間切れも有り得るので、部分点狙い前提で最後に回してあります。

勉強する際のポイント

 まず、丸暗記をしない事だと思います。なんとなく覚えるのではなく「何故そうなるのか?」を常に考えながら理解していけば、新形式の問題にも対応しやすいのではと思います。

 それと、2級は工簿の扱いがキーではないでしょうか。工簿は1問間違えると芋づる式に失点してしまう形式が多いですし、1問あたり4点といったシビアな配点も見かけます。満点を取るつもりで臨まないと厳しいかもしれません(私は本番で27/40点でしたが…)

 あと、3級と2級に共通して言えるのは、やはり仕訳の重要さです。高配点の第1問はもちろん、精算表などあらゆる場面に絡んでくるので、まずは仕訳を完璧にする事が大切だと思います。

2級の得意論点・苦手論点

 得意なのは仕訳と、第2問の伝票・特殊仕訳帳です。仕訳は簿記検定ナビの仕訳対策で演習し、過去問ではほぼ毎回満点でした。伝票・特殊仕訳帳は下書きせず、資料に直接書き込むことで仕訳の代わりに見立てていたため、早い時間でコンスタントに満点を取れていました。

 苦手だったのは財務諸表、社債の処理全般です。財務諸表は過去問を解き始めたばかりの頃、決算整理仕訳を間違えたり、集計ミスしたり散々でした。ひな形の理解が不十分だったのもあり、6/20点なんて酷い点を取っている時もありました。

 社債は買入償還がややこしかったり、利払日≠決算日の時は利息を見越し計上する等ルールが煩雑で、問題文の指示を見落とすなどケアレスミスが絶えませんでした。また減価償却にも言えることですが、慣れないうちは月数のカウントミスがとにかく多かったです。これに関しては、こまめに数直線を書く事ですぐに解決しました。

 苦手論点はいずれも個別に対策し徹底的に演習したので、今では逆に得意論点になりました。決算整理仕訳の集計ミスは、集計済みの仕訳や、集計する必要がない科目(B/Sしか書かない問題における費用・収益など)に打ち消し線を引く事で克服しました。

試験日当日の1日の流れ

  • 6:00 起床

 大原の先生が「脳は起床から3時間後に活発になるので、3級受験者は6時には起きて下さい」とおっしゃっていたので6時に起床。眠いので、支度が済んだらネットを見てダラダラ過ごしました(笑)

  • 7:00過ぎ 出発

 試験会場まで50分ほど。間違いノート、ラスパ、大原3級総まとめテキストを持参しました。大原の団体申込を利用したので、試験会場は大原の校舎でした。

  • 8:00 到着

 教室は一般受験者と大原受講生(昼・夜間)で分かれており、私は大原受講生(昼)の教室だったのですが、一番少数派だったようです。夜間と一般はすでに超満員で、うちの教室はまだ2人しか来ていませんでした。

 コンビニで買った朝食を食べながら、大原の3級総まとめテキストをチェック。精算表の解答を見ながら電卓を叩いて手の運動をしてみたり、手形記入帳など2級でご無沙汰になっている論点を中心に目を通しました。

  • 8:45 説明

 試験官による説明、および問題用紙等の配布。名前と受験番号を書く際に解答用紙を見て、簿記検定ナビの出題予想が100%的中と悟りびっくりしました(笑)

  • 9:00 3級・試験開始

 ざっと見渡してみて異常な問題は見当たらなかったので、普段通り1→3→5→4→2の順に解きました。過去問と比べてかなり簡単に感じ、第3・5問は特にひねった箇所もなく、第4問は3分で瞬殺。1時間ほど残して解き終わりました。

 何回か見直して答案を書き写し、第1問の仕訳は1から解き直してみて、それでも時間が余りまくったので退室。「これ100点いったんじゃない?」と自己満足に浸りつつ、自習室へ。

  • 10:30 自習タイム+昼食

 午後の2級に備えて、間違いノートの仕訳問題を解きました。このノートは、簿記検定ナビの仕訳対策や予想問題を解いた際、初見で間違えた仕訳だけ抜粋してあります。第4・5問の対策もちらっと書いてありますが、間違いノートというよりほとんど仕訳対策ノートかもしれません。

 ノートの仕訳は特殊商品売買と社債関連がかなり多かったのですが、ここでこれらの論点を復習した事が午後の試験で大いに役立つとは、夢にも思いませんでした。

 自習の合間に隣のコンビニへ行き、昼食のミートドリアを購入。どうも大原に来るとドリアを食べたくなるらしく、直前対策講座の時も毎週ドリアを食べていた事に最近気付きました(笑)昼食後は少し標準原価計算の復習をし、製造間接費差異分析の問題を1問解きました。

  • 13:15 説明

 試験官による説明の後、問題用紙等の配布。「さて第2問は伝票かな?特殊仕訳かな?ワクワク」と答案用紙を開いてみて、唖然。試算表と、何故か損益計算書まで書いてある!(しかも一部!)第4問もやや苦手な勘定記入形式だったので、ドキドキしながら開始を待ちました。

  • 13:30 2級・試験開始

 いざ問題を見て更に唖然。第2問が見たことの無い形式で、特殊商品売買の科目が並んでいる!一目見て「これはヤバイ」と感じ、第2問は見なかった事にして(笑)他の設問をチェック。第4問も見慣れない問題だし、第5問は差異分析じゃなさそうだし、ものすごくイヤ~な感じ。

 とりあえず第2問が一番ヤバイのは間違いなかったので、回答順を1→4→5→3→2に変更しスタート…と思ったら、第1問の問1でいきなり見たことも聞いたことも無い論点が…。古い手形を新しい手形に?どういう事??とチンプンカンプンでした。他の問いも少し難しかった気がします。もうこの時点で「落ちた\(^o^)/」と思ったのですが、なんとか食らいついて突破。

 問5は、この時は「(借)京都支店 48,000 (貸)本店 48,000」と解答しました。第4問は費目別計算。特許権使用料は「サクッと」テキストに直接経費として載っていたのを思い出し、問題なく処理出来ました。少し微妙な感触だったものの何とか通過。

 第5問は標準原価計算でしたが、大好きな差異分析が出ず、肩透かしを食らった気分に。妙に単純だったので「資料から書き写すだけ?いや、そんなはずは…」と深く考えすぎてしまい、ここも微妙な手ごたえのまま通過。第3問の精算表はボリュームも少なく、過去問と比べるとやや簡単だったと思います。特にひねった箇所もなかったので、一発で貸借一致。

 最後に第2問。試験開始直後にチラ見した時は拒絶反応が出たのですが、冷静に問題文を読むと「これ、特殊商品売買の仕訳を機械的に切るだけでいいんじゃ?」と思えてきました。直前の自習タイムに特殊商品売買を一通り復習していたのも大きかったです。

 割賦販売の仕訳に関しては、過去問で一度も見かけなかった気がするのですが、テキストの内容をしっかり覚えていたので問題なく対処できました。原価率は意味が全く分からず、一応粘ってはみたのですが、上手い考えが浮かびませんでした。

 売上高はケアレスミスで割賦仮売上を含めてしまいアウト。時間が30分ほど余ったので見直しタイム。第1問・問5の間違いに気付き「(借)広告宣伝費 48,000 (貸)本店 48,000」に修正。他は特に修正する箇所もなく、解答を書き写して見直ししながら終了時間を待ちました。

  • 15:30 終了

 試験中は夢中だったものの、終わってみると「これは落ちたな」と意気消沈でした。第126回は難しくなるとあちこちで噂されていたので、覚悟はしていたのですが…。11月で受かって早く1級の勉強を開始したかったので、しょんぼりしながら帰路につきました。電車で携帯から某巨大掲示板を見たのですが、工簿で色々やらかした事を知り更にしょんぼり(笑)

  • 17:00 帰宅、自己採点

 帰宅後すぐにPCを起動し、TAC、大原、LEC、ネットスクールで2級の自己採点をしました。案の定、第4問の得点率が低かったのですが、意外にも第2問で16点取れていることが発覚。第1問も問5を終了間際に修正したおかげで16点取れており、全体としては75~80点ぐらい。 3級は第2問で1個落として98点でしたが、こちらは自信があったのであまり心配していませんでした。

 11/30に合格発表があり、大阪商工会議所だった為メールで成績表が届きました(サクラサクメール)98点確定のはずの3級が何故か92点で「書き損じでもあったのか?」と少し後味が悪かったです(笑)2級は16/16/20/12/15の計79点で、ほぼ自己採点通りでした。

最後に

 今回はイレギュラーな出題が多く、過去問や予想問題だけに固執してきた人にとっては辛い試験だったのではないでしょうか。予想問題集は私も3~4周しましたが、正直今回はほとんど役に立ちませんでした。本当の意味での『基礎力』が試される回だったと思います。

 一見難しく見える第2問も、特殊商品売買の基本を理解していれば高得点が狙える問題でしたし、第4問の特許権使用料もテキストをしっかり読み込んでいれば問題なかったはずです(私はぼっちーさんの解説を読んで気付きましたが、消去法でも処理できますし)

 簿記検定自体の難易度が上がってきている中、今後こういった出題はどんどん増えてくると思います。これから受験される方々は、まずテキストを完璧に理解して基礎を固めた上で、過去問や予想問題を解き、どんな形で出題されても対処出来るようにしておく事をオススメします。そしてもし新形式の問題が出ても、焦らず冷静に最後まで諦めず食らいつく事が大切だと思います。

appleさんの間違いノート(まとめノート)などの画像

間違いノート(仕訳対策)
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間違いノート(第5問対策)
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電卓
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下書き用のノート
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本試験で使用した計算用紙
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管理人コメント

 appleさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!「独学+専門学校の直前対策コースを受講」というのは、僕が独学で簿記3級&2級を勉強したときと同じ組み合わせでしたので、読んでいてちょっと懐かしかったです(僕の場合はもう10年も前の話しになりますが・笑)

 appleさんの勉強方法についてですが…もう全部取り入れちゃってください。それぐらい完璧です。テキストの選び方・テキストの使い方・勉強する上で気をつける点・試験時に気をつける点など、それぞれ詳しく書いていただいていますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

 なお、専門学校の直前対策コースについては、通常コースを受講するよりも安い金額で、大手専門学校の受験ノウハウを得ることが出来るのでおすすめです。資格の大原だけでなくTACにもありますので、一度資料を取り寄せてみることをおすすめします(通学コースだけでなく通信コースもあります)

 最後に、電卓についてですが、日本商工会議所の公式サイトではあれやこれやと細かいことが書かれていますが、京都商工会議所の公式サイトには「要項をよく読んで、世間一般常識でいう「電卓」をご持参下さい。(公認会計士試験や税理士試験で通用するような物)」と書かれており、よっぽど変な電卓でない限り問題なさそうですので、あまりナーバスになる必要はないと思います。しかし、日本商工会議所の規定っていったい何なんでしょうねぇ…。

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