仕訳対策をきちんとやる!下書きの書き方を工夫する!

  • 投稿者:テツ52さん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:2回
  • 勉強期間:約4か月

はじめに

 私は製造業に携わる会社員です。今年53歳になります。業務では簿記的な知識は全く必要ありません。そんな私が簿記検定を受けようと思ったの理由は、以下の2点です。まったくもって邪な考えからでした。(スミマセン)なお、勉強期間の4ヶ月は1回目と2回目の合計の期間です。

  1. 勤務先で推奨されている検定の1つに『QC検定』というものがあり、その2級に合格したのですが、その上の1級はかなりハードルが高く、次の受験までのつなぎとして(勉強する習慣の継続)。
  2. 私の会社は管理職には簿記検定3級取得を義務づけており(私はただのヒラです)、管理職で合格した人がいるとの話を聞いていない事から、合格したら管理職に対してドヤ顔をしてやろうと考えた。

1回目の受験(第135回)(勉強期間:約1ヵ月)

 はっきり言って、完全に試験をなめてました。長女が全商ですが簿記2級を取得しており、長男からも「高校生が受かる資格だろ?」と言われ、私もすっかりその気になってしまい、楽勝気分で約1ヵ月前から始めました。使用テキスト・電卓は以下のとおりです。

スッキリわかる 日商簿記3級(TAC)

 簿記に関しては全くの初心者だったので、『簿記検定ナビ』さんやAmazonの書評でこのテキストに決めました。他のテキストと異なり、問題集付きというのが決め手でした。初心者には分かりやすいテキストだと思います。

とある会社の経理さんが教える 楽しくわかる! 簿記入門(日本実業出版社)

 副読本として。元帳の書き方の所など、ためになる事も多く有益でした。

CASIO JS-20WK

 Amazonで購入。ブラインドタッチも早打ちもできない私にはオーバースペックではありますが、キータッチ音も静かで非常に良いと思います。おすすめです。

CASIO JS-20DT

 JS-20WKの予備としてAmazonで購入。こちらは上記と異なり日数計算ができるの惹かれて購入しました。(その機能は今まで使ったためしが無いのですが)

CASIO JF-120GT

 家からの持ち出し用としてAmazonで購入。キータッチ音はJS-20WK/JS-20DTと比べるとやはりうるさいです。(JS-20WKと違い、きっちり押さないと入力されない事もあり、それが音の大きさにつながっているかもしれません)

勉強方法

 テキストを読み、練習問題を解くというオーソドックスな方法で2周しました。2周目の終わりにチャレンジ問題を解き、たまたま70点は超えていたので安心しきっていました。過去問は全くしていません。する余裕もありませんでした。

試験結果

 惨憺たるものでした。覚えているのは以下の2点ぐらいで、合格発表の前に結果は明らかでした。

  1. 第1問での手形割引の仕訳で『手形売却損』としなければならない所を、あろうことか、『手数料』と書いてしまった事。
  2. (この時は1→2→4→5→3の順で解いていたのですが)第5問の精算表の問題で合計が合わず何度も計算をし直し、結果として第3問の試算表を全て埋める前にタイムアップとなってしまった事(この時は直接Tフォームを作る技能?も持っていなかった)

2回目の受験(第136回)(勉強期間:約3ヵ月)

 私のような不純(?)な動機で受験する場合、1回落ちたら懲りて「やーめた」となるのがほとんどだと思います。

 ですが、私の場合は『落ちた』という事実が許せなくて、また、(こちらが本音ですが)1回目の受験のため、形から入る私は前述の通り、試験のためだけに電卓(CASIO JS-20WK、JS-20DT、JF-120GT)を購入しており、このままではこれらの電卓が死蔵品(?)なってしまうのが惜しくて再受験を決めました。

 11月の中旬から勉強を再開しましたが、使用テキスト・電卓は以下のとおりです。

スッキリわかる 日商簿記3級(TAC)

 前回の試験から3回目の繰り返しとなりましたが、後述のテキストを購入したため、3回目は試算表の前で中断しました。

簿記検定ナビさん日商簿記検定3級・仕訳問題対策

 前回の試験の反省として、演習(アウトプット)が全く足らなかった事過去問を全くしていなかった事があります。特に仕訳の訓練が足りなかったと考え、『仕訳問題対策』をダウンロードして印刷し、会社の始業前に1回分をする事から始めました(11月下旬より)。

 これは試験直前まで続け、紆余曲折はあれど、休日にまとめてやったりして、結局5回繰り返しました(3巡目位から1回分を7~8分位で解けるようになっていました)。結局、本試験で全問正解とはならなかったのですが、仕訳に関しては自信を持つ事ができました。

 『償却債権取立益』のような試験範囲から外されたり戻されたりする勘定に対応するためにも、ある程度古い過去問をやっておくのは有益だと思いますし、今回の『手形貸付金』勘定の仕訳についても『手形借入金』勘定の仕訳問題をしていなければ解けなかったと思います。この仕訳演習が勉強のベースとなりました。

仕訳演習(3回転目)
仕訳演習(3回転目)

仕訳演習(4回転目)
仕訳演習(4回転目)

日商簿記3級 合格これ1冊(ネットスクール)

 『スッキリ』も練習問題を中心に再度繰り返す事を始めたのですが、正直、苦痛になっていました。そんな時、12月中旬に所用で上京する事があり、立ち寄った書店でこの本を見つけました。内容を見て、『スッキリ』の学習で予備知識は多少なりともあるだろうから、帰りの汽車(言い方が古い?)でザッと読めるかなと思い購入。

 もちろん車中では読み切れなかったのですが、私には分かりやすかった事もあり、結局、『スッキリ』に代わりこの本を中心に進める事になりました。12月中旬~1月下旬位まで使用しました(付属の過去問と模試は2月)。何等かのテキストで学んでいる方にも『実戦編』はおすすめします。

出題パターンと解き方(ネットスクール)

 上記のテキストですっかりネットスクール贔屓となり、3、5問対策のために購入。1月下旬より使用し、3、5問共2~3回繰り返ししました(付属の最新過去問は時間を計って各1回)。問題には目標時間があるのですが、結局到達はしませんでした。

 1問対策は『仕訳問題対策』でしている事であるし、2,4問対策は分からなければ仕方がないとあきらめて全くしませんでした(スミマセン)。

ラストスパート模試(ネットスクール)

 試験2週間前から使用。過去問(128回)も含め2回繰り返しました。ネットスクールで行われた『「インターネットLive 予想大会DX」日商簿記3級』も視聴したのですが、これがすごくためになりました(取引別試算表の重複する取引について、見越し・繰り延べの考え方)。

 この動画は試験前日まで勉強中はおろか、勉強終了後の晩酌時にも毎日繰り返して視聴しました(最後の方はほとんどBGM代わり)。なお、ラスパカードは使っていません。

勉強するうえで気をつけたこと

Tフォームについて

 第3問対策として、前回までは律儀に仕訳をして、それをTフォームに転記していました(前回のタイムアップの原因でもある)。今回の受験では最初からTフォームに記述するように過去問を通して練習(?)しました。

 また、そのTフォームを記述しやすいように書くために計算用紙の折り方も考えました(横に三つ折り、各三つ折りをさらに借方/貸方に分けるために二つ折りに、最後に縦に四つ折りにしました。上から「仕入れ・買掛金・支払手形」「売上・売掛金・受取手形」「当座」「現金」とし、右下1/4はその他の取引を記入する)。

 さらに、試験直前に発見(?)したのですが、桁を間違えないように、そのTフォームに書く金額も桁を合わせるようにしました。これによって計算ミスが減ったような気がします(私はおっちょこちょいな性格のせいか、計算での桁間違いが結構ありました)。

本試験の下書き(受験1回目)
本試験の下書き(受験1回目)

本試験の下書き(受験2回目)
本試験の下書き(受験2回目)

時間計測について

 過去問・予想問題を通して解く時は必ず時間を計って行い、その際使用したキッチンタイマーは99分までしか設定できないため、99分以内に解く事を心がけました。これが本番で役にたちました。

 当日の第5問での支払利息の年利率が変わった決算整理事項で一瞬パニックに陥ってしまったのですが、充分時間が余っていたため、落着きを取り戻して解く事ができました(問題自体もよく考えれば何て事はないのですが、最初は変わる前の年利率を方程式を使って求めたりと完全に舞い上がっていました)。

試験前日まで

 平日は業務があるため、必然的に休日が勉強時間の大半を占めます(私の場合、土曜日に近所の子供達を集めて空手道を教えているため、日曜日に集中しますが)。

 ところが、一番勉強をしなければならない週末に2週続けて積雪があり、特に2月14日(金)から始まった雪は私の居住地の気象観測史上最大の倍(!)の積雪となり、金・土・日と雪掻きに終始し、勉強どころではありませんでした。(私の家の被害は車のワイパーがひん曲がってしまった位で済みました)

 試験の前々日(金曜日)に有休、前日の空手道の稽古も後輩指導員にお願いして休み、何とか帳尻を合わせた感じです。

試験日の1日の流れ

 前日は晩酌も控えめにし、6時起床。鮭フレークを掛けたご飯と味噌汁の朝食を取り、熱いほうじ茶をマグボトルに入れ、手を温めるための使い捨てカイロを持って7時半出発。8時過ぎには会場(大学)に到着しましたが、持ってきたテキスト『合格・・・』には目を通す事もなく、トイレに行ったり、ブラブラしてました。

 試験開始の前に答案用紙に受験番号と名前を書く時間があるのですが、第5問を見て精算表の問題である事が分かりホッとしました。財務諸表の対策が疎かになっていたため財務諸表の問題が出たらどうしようと正直ビクビクしていました。

  • 試験開始!

 当初、1→3→5→4→2の順番で解く事を決めていましたが、1が10分程度で終わったため、問題を見て試験開始後30分を区切りとして2、4を先に埋め、それから3→5の順で解きました。

 5問で途中、パニックに陥りましたが、結局、終了20分前には全て埋める事ができ、残りの時間を見直しと答えを問題用紙に転記(但し、3は残高、5は当期純利益の金額のみ。2は転記せず)に充てて時間終了となりました。

 その日の夕方よりネットスクールさんの解答速報を視聴し、自己採点では88点だったので多分合格しただろうとは思いましたが、合格発表までは気が気でありませんでした。

発表日

 はやる心を抑えて昼休みにスマホから商工会議所のホームページにアクセスし、確認。最初、私の番号は無く真っ青になりましたが、何のことは無い、2級の合格発表を見ていました。改めて3級の合格発表をみると私の番号があり、安堵した次第です。

 後日、地元商工会議所に合格証書を受け取りに行った時、点数も聞いたのですが、問1(16)、問2(6)、問3(32)、問4(6)、問5(30)の計90点でした。

最後に

 2回の受験の勉強の過程で簿記そのものに興味を抱くようになっており、今回の受験の前には2級を受験する事を決めました。モチベーションが下がらないように、去年の暮には2級用のテキストと問題集を購入しており、折に触れ「3月からは世話になるからな」とテキストと問題集につぶやいていました(気持ち悪いですね)。

 簿記3級は誰でも合格する試験だと思います(私のように50歳を過ぎた者が受かる資格です)。但し、勉強していない人は絶対に受かりません。勉強(と言うより練習)あるのみです。私も次は2級合格目指して頑張ります。

管理人からテツ52さんへ追加の質問

 テツ52さんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 期中の仕訳に関しては、過去問をやりこんだので特に苦手な論点はありませんが、『繰延・見越』の仕訳については苦手意識があります。また、本文にも記述した通り、第2・4問対策は全く疎かにしていたので、帳簿記入・伝票記入も苦手です。

 精算表・試算表は仕訳さえ間違えなければ大丈夫と思える位勉強したと思いますが、財務諸表については試験前日まで過去問で満点を取れず、今でも苦手意識を持ってます。正直、苦手な論点を克服したとは言い難いです。

 ただ、精算表・試算表についても、相当苦手にしていましたが、問題を解く(電卓を叩く)過程で克服できました。特に試算表については2回目の試験勉強時は最初からTフォームを作成して解くようにしたことで時間短縮にもなりました。

 テツ52さんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
 元々、簿記に興味があった訳ではないので、2回目の試験勉強を再開する時はただの意地ですね(笑)。その後は簿記そのものに興味を持って来ていたので、只々、受かりたいという気持ちだけでした。

 また、試算表・精算表の問題を解く過程で、当初は問題を解くのに時間が掛かったり全く数字が合わなかったりしたのが、解く時間も早くなり、電卓もそれなりに正確に打てるようになり、正解率も増えてくると問題を解くのが楽しいと思えるようになったので、勉強を止めてしまいたいと思った事はなかったです。

 簿記の勉強自体を好きなっていたと思いますが、今、やっている事が幸せと思う事が一番なのではないでしょうか。

 ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 仕訳問題の数をこなす事でしょうか。私は簿記ナビさんの仕訳問題対策第100回~第135回を計5回やりましたが、ここまですると問題を見た瞬間に鉛筆(と電卓)が動くようになります

 また、仕訳の過去問専用のノート(A5版60枚)を作り、2冊消費しましたが、そうすると、大体、同じ傾向の問題を間違えている事に気づきます(なお、5回転目は「これで最後」と問題用紙に直接記入)。試算表・精算表等、大物の問題をする前にも、エンジンを掛けるために仕訳1回分していました。

 仕訳問題は過去問のため、それなりの数字が出てきます。市販のテキストはどこでも読めるように、数字が10円とか100円とか電卓を使わずに勉強を進める事ができます。

 論点の把握という意味ではそれでも良いですが、正確に電卓を叩く習慣を作るためにも、テキストを1周したら仕訳問題に手を付けるのが良いと思います。(但し、私はブラインドタッチも早打ちも未だできません(笑))

 私は会社勤めのため、学生さんと比べると勉強時間は少なくなります。なので隙間時間を有効に使ったつもりです。始業前や昼休みのわずかな時間に仕訳の1問でも解いていました。ただ、この隙間時間(特に昼休み)に第2・4問対策をやっておけば良かったかな、と思う事はあります。

 また、教材については、1冊にこだわる事はないと思います。特に3級では『どの教材も似たり寄ったりなので1冊で充分』という事も言われますが、私の場合は2冊目の書籍『合格これ一冊』に出会って新鮮な気分で勉強する事ができました。

 なので、自分に合わないと思ったり、飽きてきたら思い切って教材を変えるのもありと思います。(1回で合格する人はそんな事は考えもしないでしょうが、私は2回受験しているので)

管理人コメント

 テツ52さん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

 簿記はスポーツと同じで、毎日の反復演習(アウトプット)が合格のカギになります。なかなか合格できない方はアウトプットが不足している可能性が高いので、テツ52さんの勉強法を参考にしてアウトプット中心の勉強法に切り替えることをおすすめします。

 なお、仕訳問題対策の目安としては、テツ52さんのように「問題を見た瞬間に鉛筆(と電卓)が動く」ぐらいのレベルです。仕訳力をこのレベルまで持っていくと、第2問以降のスピードアップにもつながりますので、何度も繰り返し取り組むようにしてください。

 あと、テツ52さんは総合問題を解く際の「下書きの書き方」もいろいろと工夫されていますが、ぜひこの点も見習ってください。下書き用紙を折ったり、ケタを間違えないように線を加えたり…問題を解くたびに工夫をして、自分の「型」を作ると点数が上のほうで安定するはずです。

テツ52さんが使われた教材や電卓のまとめ