簿記1級を短期合格&一発合格するためのエッセンス満載!

  • 投稿者:ぶーやんさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約6か月

はじめに

 私は商社の経理として働いています。仕事後の時間を有効に使いたいという思いから、日商簿記の勉強を始めました。

  • 2010年6月頃から同年11月の日商簿記2級に向けて勉強開始→合格(勉強期間:約6か月)
  • 2010年12月頃から翌年6月の日商簿記1級に向けて勉強開始→合格(勉強期間:約6か月)

勉強方法

 1級の勉強開始時は税理士を目指すといった明確な目標があったわけではなかったので、最初から独学で勉強することを決意。2級の試験後、あまり間隔を空けずに1級の勉強を始めたので、合格に向けてスムーズにスタート出来ました。

2010年11月下旬 市販のテキスト・問題集を購入

 ダイエックス出版の「2か月 180時間でうかる!日商簿記1級 最短合格テキスト」4冊と、「2か月 180時間でうかる!日商簿記1級 最短合格問題集」4冊の合計8冊を購入。

2010年12月上旬 1級の勉強開始

 市販のテキスト・基礎問題集では1級の試験範囲の把握、全論点を頭でイメージ出来るようになることを目的とし、短期間で頭に叩き込むため、テキストの重要論点やポイント等を自分ノートにまとめて、それを常に持ち歩いて通勤時間やちょっとした移動の合間に確認していました。

  • 26穴B5リングファイル ¥100
  • ルーズリーフ(B5)100枚入り×2冊 ¥200
自分ノート 商会1
自分ノート 商会1

自分ノート 工原1
自分ノート 工原1

自分ノート 商会2
自分ノート 商会2

自分ノート 商会3
自分ノート 商会3

自分ノート 商会4
自分ノート 商会4

自分ノート 商会5
自分ノート 商会5

2011年2月中旬 テキストの全範囲終了&基礎問題集2回転終了

 この時点では基礎のみを徹底的に行いました。応用は一切行っていません。頭の中で、自分がテキストに沿って簿記の講義をするイメージをして、そこで詳しく説明できない部分(=自分の理解が弱い部分)を見つけ出しました。

 その上で、その部分をテキストに戻って覚え直したり、テキストに載っていないところはインターネットで検索して調べる等して、徹底的に弱い部分をつぶしていきました

2011年2月中旬 過去問題集を開始

 TAC出版の「出題パターンでマスター 過去問題集(第96回~第126回掲載)」を使いましたが、1回転目は悲惨な点数でした。日商独特の問題文に苦戦し、ケアレスミスのオンパレード。問題の意味がわからず途中で解くのを諦めてしまったり、集中力もなかなか持続せずこの時期は本当に苦しみました。

 それでもなんとか勉強は続け、平日は1日あたり過去問1回分、休日は2~3回分をこなしました。この時期の過去問平均点数は34~41点/100点でした(泣)

2011年3月以降 勉強時間を大幅UP(平日:平均4時間、休日:平均6時間)

 過去問の手応えから、このままでは6月の試験までに合格レベルには達しないと感じ、これまでの勉強時間を見直し大幅に増やしました。

  • 3月の勉強時間(平日)
  • 通勤途中:1.0時間
  • ランチ後:0.5時間
  • 就寝前:2.5時間
  • 平均:4.0時間/日

2011年4月中旬 市販の本試験形式の模擬試験問題集を開始

 TAC出版の「第128回をあてる TAC直前予想」と、ネットスクール出版の「ラストスパート模試」の計2冊を購入しました。基本的には過去問をメインに、平日は過去問、休日に模試問題集といったかたちで解いていました。

2011年4月下旬 過去問題集(第96~第126回)3回転終了

 約2か月間、過去問題集を繰り返し解いていくうちに日商のクセのある問題文にも徐々に慣れていき、1級合格に求められるレベルが分かってきました。

 本試験の商簿の総合問題は基本的な仕訳が多く出題されており、一般的に多くの方が苦手とされる連結の問題も、ある程度パターン化されていることを発見。似たような問題をとにかく1問でも多くこなしていけば、独学でも合格の可能性はあると強く感じました。

 また、この時期から問題を解くのが楽しくなってきました。勉強の成果が点数に現れてきたからだと思います。この時期の過去問平均点数:52~67点/100点。(それでも合格点の70点には1回も届かず…)

  • 理解レベル
  • 基本レベルの問題は解ける。でも引っ掛け問題には見事に引っ掛かる(泣)
  • 応用問題は25%くらいしか解けない。
  • ケアレスミスは相変わらず多い。
  • 得意な論点、苦手な論点の点数の差が著しい(割合:得意な論点40%、苦手な論点60%)
  • 4月の勉強時間(平日)
  • 通勤途中:1.0時間
  • ランチ後:0.5時間
  • 就寝前:3.5時間
  • 平均:5.0時間/日

2011年5月上旬 理論対策テキスト(ネットスクール出版)を開始

 この時期には過去問題集を終了し、模擬試験問題集のみを継続して解いていました。理論対策テキストは自分ノート同様、常に鞄の中に入れて持ち歩き、通勤時間を利用して読んでいました。また、ネットスクール出版のラストスパート模試に付いていたラスパカードも、会計学・原価計算に分けてまとめ、それぞれ3日に1回の割合でチェックしていました。

ラスパカード
ラスパカード

 私の場合、最初にテキストの基礎を徹底的に頭に叩き込んでいたことにより、理論はあまり苦にならず理解できたように思います。また、この時期から勉強を朝型にシフトし朝勉を始めました。(平日7時に出社し、始業時間8時50分迄の約2時間)

  • 理解レベル
  • 基本レベルの問題は解ける。引っ掛け問題にも少々引っ掛かる(汗)
  • 応用問題は45%くらい解ける。
  • ケアレスミスで4~8点くらいロスしてる状態
  • 得意な論点、苦手な論点の点数の差が著しい(割合:得意な論点65%、苦手な論点35%)
  • 5月の勉強時間(平日)
  • 通勤途中:1.0時間
  • 始業前:2.0時間
  • ランチ後:0.5時間
  • 就寝前:1.5時間
  • 平均:5.0時間/日

2011年6月上旬 模擬試験問題集・公開模試・苦手分野の総復習

 この時期は単純な計算ミスや問題文の読み間違え等のケアレスミスをなくすことを目標に問題を解くよう心がけてやっていました。

 また、休日はカフェで本試験の試験開始時間(AM9時)と同じ時間に模擬試験の問題を解くようにして、頭を午前の試験に慣れさせるようにしていました。

試験合格にかかった費用(1級のみ)

  • ¥28,684(日商簿記検定受験料、証明写真代込み)

各月の勉強時間

  • 12月: 60.0時間程度(テキスト+基礎問題集)
  • 1月: 70.0時間程度(テキスト+基礎問題集)
  • 2月: 90.0時間程度(過去問題集)
  • 3月:145.5時間(過去問題集)
  • 4月:157.5時間(過去問題集+模試問題集)
  • 5月:162.0時間(模試問題集)
  • 6月: 58.5時間(テキスト+模試問題集)
  • 合計:743.5時間程度

本試験結果(自己採点は63点~67点)

  • 商:18点
  • 会:13点
  • 工:16点
  • 原:23点
  • 計:70点

勉強を振り返って

 私の場合、試験までの勉強期間が短かったので、最初の方に覚えた基礎をあまり忘れることなく次のステップ(過去問、模試問題集)に進んでいけました。使用したテキスト・問題集も、短期間で試験の全範囲を把握したかったため、全テキスト数が一番少ないダイエックス出版を選びました。

 試験までの時間に余裕があり、細かい部分まできっちりおさえて勉強したいと思われる方は、他のテキストの方がいいかもしれません。2月中旬(本試験3か月半前)の過去問題集を始めた頃は勉強の成果が点数に全くといいほど現れず、精神的にかなり苦しかったです。

 でも途中で諦めず、たとえ1時間でも1問でも毎日継続して勉強したことが今思えば合格に繋がったのではないかと思います。その後、勉強の成果が点数に反映されてくるようになると、問題を解くのが楽しくなっていきました。

 また、勉強予定表を週単位で計画したことも良かった思います。週の終わりに進行度・理解度をチェックし、その都度予定の見直しを行ったことで、結果自分が一番ベストな状態を試験日にもっていくことが出来ました。簿記検定ナビのダウンロードコンテンツにある「勉強予定表」は、細かい工夫がたくさん詰まっていてすごく使い勝手の良い予定表だと思います。

 最後に、ネット等で「独学での日商簿記1級合格には無理がある」といった書き込みをよく目にします。確かに簡単ではありませんが、私は実際の手応えとして全然無謀だとは思いません。量的にも2級に比べると多いですが、一つひとつの論点を個別に見ていくと実はそんなに難しくなかったりします。

 たとえば、有価証券も売買目的・満期保有目的・関係会社株式・その他有価証券でそれぞれ期末の評価方法は違いますが、評価額の算出方法は結構簡単にできます。またなぜそれぞれ評価方法が違うかにもちゃんとした理由があるのです。

 頭で暗記しようと思うと、いろいろな計算方法がごちゃまぜになって混乱してしまいますが、なぜそのような算出方法をするのかを常に考えながら理解していくと、忘れることなく定着します。

 日商1級の勉強方法は、独学以外にも専門学校に通ったり、通信講座を受けることもできますので、それぞれのメリットやデメリットを吟味し、自分にあった勉強方法を見つけることが合格への第一歩だと思います。

 私は独学でしたが、2級合格後これから1級を目指そうか迷っておられる方々の参考に少しでもなれれば幸いです。

使用したテキスト&問題集&電卓

  • ダイエックス出版
  • 2か月 180時間でうかる!日商簿記1級 最短合格テキスト 商業簿記・会計学
  • 2か月 180時間でうかる!日商簿記1級 最短合格テキスト 工業簿記・原価計算
  • 2か月 180時間でうかる!日商簿記1級 最短合格問題集 商業簿記・会計学
  • 2か月 180時間でうかる!日商簿記1級 最短合格問題集 工業簿記・原価計算
  • ネットスクール出版
  • 第128回を完全予想!ラストスパート模試 日商簿記1級
  • 日商簿記1級 全経上級 理論対策Smartアクセス31
  • TAC出版
  • 出題パターンでマスター過去問題集 日商簿記1級 商業簿記・会計学編
  • 出題パターンでマスター過去問題集 日商簿記1級 工業簿記・原価計算編
  • 第128回をあてるTAC直前予想 日商簿記1級
  • 電卓
  • CASIO JF-A200

試験日の1日の流れ

 6時起床。試験会場に向かう途中に栄養ドリンクで気合注入。8時過ぎに試験会場到着。これから受験される方は、会場の雰囲気に出来るだけ早く慣れるためにも時間に余裕を持って会場に向かわれた方がいいと思います。

 試験開始までの小1時間は計算問題はせず、ラスパカードで理論問題の最終確認ばかりしていました。9時試験スタート。

  • 商会

 私の受けた回の試験は難化するのでは?という噂が流れていたのですが、実際の蓋を開けてみると商簿はかなり素直な問題が出題され正直拍子抜けしてしまいました。

 ただ、解ける問題だと分かった瞬間に全問正解したいという欲が出て慎重に解きすぎてしまい、商簿が終了した時点で残りり35分程しかありませんでした。

 その会計学も、模試では得意な方だったのに本番ではまず理論で足踏み。しかし残された時間が少なかったので、解ける問題を見極めそこから手をつけてやりました。なんとか最後まで諦めず、時間ギリギリまで粘って終了。

  • 工原

 試験開始の合図と同時に問題を見た瞬間、ヤバイ!とパニックに(汗)。工簿で私が一番苦手な論点だった工程別標準原価計算問題が出題されてしまいました。

 そこで、気持ちを切り替えて一先ず原計から問題を解き始めました。原計は比較的素直な問題が出題されたので、約20分くらいで解き終わり、残りの1時間近くを工簿に当てることが出来ました。

 工簿は問題が複雑だったので、私には全答は無理と判断。部分点を取ってなんとか足切り回避したいという一心で解いていました。結局、最後まで工簿の問題とにらめっこしたまま試験終了。

 試験終了後は工簿の足切りが不安でしたが、同時に自分のもっている実力を全て出し切りった達成感もありました。

最後に

 これから1級を受験される方へのアドバイスとしては、本試験で苦手な論点や解けない問題が出ても諦めてはいけないということです。本試験で分からない問題が出題されると、「もうだめだ。受からないかも…」と途端に集中力が切れてしまい、本来ならば解けるはずの問題でもミスをしてしまうことがあります。

 日商1級合格者は70点前半に集中していると聞いたことがあります。1点の違いで合格にも不合格にもなるということです。試験終了直後は分からないかもしれませんが、試験後の夕方から続々と発表させる各専門学校の解答速報と予想配点をみて自己採点した時、きっと1点の重みを感じるはずです。

 また1級では傾斜配点があり、絶対に落としてはいけない問題(基本的な問題)に予想よりもかなり大きな配点がくることもありますので、途中で諦めたことにより取り損ねた1点~2点で不合格にならないよう、最後まで諦めず解ける問題は確実に点数を稼ぐことが大切だと思います。

管理人からぶーやんさんへ追加の質問

 今回、勉強に使われたダイエックスの教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
 点数は65点です。基本的な部分はおさえてありますが、解説が少なく、結局は自分でネット等を使って調べないといけないことが多かったので…。他の出版のテキストは、見ていないので比較は出来ません。
 公開模試の様子をもう少し詳しく教えていただけませんか?
 公開模試は大原学校とネットスクールのを受けました。大原(新大阪校)の公開模試会場には約60名くらいの方がいまいた。公開試験は、本試験同様に行われました。(模試の開始時間:9時~)

 模試終了後は、お昼休憩をはさんで大原学校の講師による模試の解答・解説が行われました。その時も本試験予想を踏まえて、押さえておきたいポイントや模試の出来が悪かった箇所を重点的に解説していました。

 模試の点数は同日の午後には返却され、自分の出来を確認しながら解説を聞くことができました。その約1週間後に大原の公開模試に参加した全員分のデータからはじき出された順位が資料として郵送されてきました。

 ぶーやんさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
・得意な論点:本支店会計、CVP分析、最適セールスミックス。
・苦手な論点:特殊商品売買、工程別標準原価計算、意思決定。

・勉強法:特殊商品売買はとにかく問題数をこなしました。同じ問題を何度も解いていると、答えを覚えてしまいますが、その時も、なぜその答えになるのかを常に考えながら解いていました。

管理人コメント

 ぶーやんさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!実は今回、「簿記1級の合格体験記が少なすぎて困っているので、ぜひ投稿してください」とやや強引にお願いして書いてもらったんですが…お世辞抜きで、過去最高レベルの合格体験記に仕上がっていると思います。

 通常、この「管理人コメント」欄では、受験生の皆さんに見習っていただきたいポイントをいくつかピックアップしてご紹介するんですが、ぶーやんさんの合格体験記については、もう全部見習っていただきたいと思います。

 自分ノート(≒間違いノート)を有効活用する、自分の弱い部分を探して徹底的につぶす、朝型にシフトして勉強する、どんなにやる気が出なくても毎日継続して勉強する、勉強の予定を立ててPDCAを繰り返す、常に考えながら勉強する、専門学校を有効活用する…まさに「言うこと無し」です。

 各期の過去問の平均点数や、各月の勉強時間も詳細に書いていただきましたので、簿記1級受験生の方はこの合格体験記をベンチマークとして勉強することをおすすめします。

 追記:合格体験記を編集していて、あまりの完璧さに思わず笑ってしまったのは今回が初めてです。簿記検定ナビのユーザーだけでなく、簿記1級受験を考えているすべての方に読んでもらいたいです。

ぶーやんさんが使われた教材や電卓のまとめ