勉強も恋愛も浮気は禁物。教材は1度買ったものを最後まで使い通そう!

  • 投稿者:のほほんさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約1年(2012年6月~2013年6月)
  • 備考:直前のみ、TACの的中答練パックを受講

受験したきっかけ

 大学1回生の時に大学の講義で初めて簿記を勉強したのですが、元々データの数値等をを見るのがそこそこ好きだった自分にとってはなかなか興味深いもので、その講義で日商簿記受験を勧められて受験した結果、1回生の11月に3級、2月には2級を1発合格することができました。

 そして、2回生になるとせっかく2級まで1回生で取得できたのだから難関の1級にも挑戦したい、出来れば大学在学中に合格したいと思うようになり、ちょうど去年の6月試験の頃から勉強を始めました。

使用した市販テキスト・問題集

 テキスト・問題集に関しては大学の講義で使っていたTAC出版の日商簿記2,3級のテキスト・トレーニングがとても使いやすかったので、日商簿記1級に関してもTAC出版オンリーでした。

  • 合格テキスト 日商簿記1級 商業簿記・会計学(1)Ver.9.0
  • 合格テキスト 日商簿記1級 商業簿記・会計学(2)Ver.9.0
  • 合格テキスト 日商簿記1級 商業簿記・会計学(3)Ver.9.0
  • 合格テキスト 日商簿記1級 工業簿記・原価計算(1)Ver.4.0
  • 合格テキスト 日商簿記1級 工業簿記・原価計算(2)Ver.4.0
  • 合格テキスト 日商簿記1級 工業簿記・原価計算(3)Ver.4.0
  • 合格トレーニング 日商簿記1級 商業簿記・会計学(1)Ver.9.0
  • 合格トレーニング 日商簿記1級 商業簿記・会計学(2)Ver.9.0
  • 合格トレーニング 日商簿記1級 商業簿記・会計学(3)Ver.9.0
  • 合格トレーニング 日商簿記1級 工業簿記・原価計算(1)Ver.4.0
  • 合格トレーニング 日商簿記1級 工業簿記・原価計算(2)Ver.4.0
  • 合格トレーニング 日商簿記1級 工業簿記・原価計算(3)Ver.4.0
  • 合格するための過去問題集 日商簿記1級
  • 会計学理論マスター 日商簿記1級・全経上級対策

 日商簿記2級までは大学の講義で勉強ができたのですが、商学部や経営学部ではなく、経済学部に所属していたこともあり、1級のような上級の内容を取り扱う講義はなかったために基本、独学で勉強しました。ただ、試験前の1か月間はTACの的中答練パックを申し込んだり、全国模試を受験したりして本番に慣れようとしました。

 勉強時間は平日が約3時間、休日が6時間ほどでした。自宅から大学までの通学時間に2時間も要するため、大学へ行くのもただでさえ大変な中でバイトをすると恐らく勉強時間が確保できなくなると思い、1級合格のためにバイトはしませんでした。また、2時間の通学時間中にできるだけ理論マスターを眺めて理論分野の暗記に努めていました

勉強の流れ

  • インプット期:(2012年6月~2012年12月)

 計算重視で「合格テキスト」を読んではその読んだ分野の「合格トレーニング」を解く、その繰り返しでした。インプットをがっちり固めておかないと過去問題集等でどれだけアウトプットしても意味がないと思ったからです。

 すぐに理解できた分野でも少なくとも3回、なかなか頭に入らない分野は10回ぐらいはやってました。ちなみにその結果、テキストとトレーニングはボロボロになりました(笑)。振り返っても簿記は「学ぶより慣れろ」と言われるようにとにかく手を動かすことが大切だと思います。

 理論に関しては先述したように自宅から大学までの通学時間に2時間も要するため、時間の有効活用に努めて通学中に理論マスターを眺めていました。

  • アウトプット期:(2013年1月~2013年4月)

 2月に実施される全経簿記上級を受験すべく、1月から2月の試験直前まで全経簿記上級の過去問題集を解いていました。全経簿記上級は試験範囲が1級とほとんど同じなので、1級受験生にとっては過去問題集等を通じて試験形式に慣れさえすれば合格は十分可能です。

 受験した理由は以下の4つです。

  1. 受験することで今までインプットしてきた1級の内容がどれだけ自分のものになったかを確かめることができるから
  2. 理論問題は1級よりも深い内容が出題されており、その対策は1級の理論補強には最適であったから
  3. 合格すれば1級と同じく税理士試験受験資格が手に入るから
  4. 合格すれば何よりモチベーションが上がるから

 1級受験の方はぜひとも1度全経簿記上級も受験することをお勧めします。

 全経簿記上級が終わって3月に入ると4月末までずっと過去問題集を解いていました。僕の買った過去問題集は113回から132回までの問題が収録されていたので、そのすべてを解き、過去問で点数が採れなかった分野は再びテキストとトレーニングに戻っていました。

 過去問は時間の許す限り、たくさん解いた方が良いです。1級特有の難解な言い回しやデータの取捨選択は過去問を解く度に慣れてくるものだと思いますし、過去問を解く度に時間配分をどうすればよいかもわかってくるものだと思います。

  • 直前期:(2013年5月~2013年6月)

 5月の初めにTACで的中答練パックを申し込みました。大手予備校の的中答練は信頼性があり、解説も丁寧なので、申し込む価値はあると思います。この的中答練においても過去問題集のときと同様に出来なかった分野はテキストとトレーニングに戻りました。

 また、理論対策についても的中答練で出題された分野を中心に理論マスターの会計基準を読み込んでいました。

 5月末になると、TACの1級全国模試を受験しました。本番さながらの雰囲気になれるのには最適でしたし、試験問題は良問揃いで当日の出題問題の中には会計基準の改正論点も出題されていたので、とても質の高い模試だったと思います。そして、全国模試が終わってからは模試の復習と苦手な論点のトレーニングをやり、そして試験当日を迎えました。

勉強する上での個人的なアドバイス

■勉強スタイルは人それぞれだと思いますが、1度決めた勉強スタイルを貫き通し、テキストやトレーニングは1度買ったものを最後まで使い通すことが大切だと思います。

 周りに流されて勉強スタイルをコロコロ変えたり、テキストを後から次々に買い足したりすると右往左往することになり、効率が悪いと思います。

■眠たい時やしんどい時は早めに寝る等して体を休めましょう。眠たい時やしんどい時に勉強をしても頭に入ってきません。これは勉強をしていてしみじみ思いました。

■理論問題も出題されるものの、計算問題の方が大半を占めるので、計算問題ができないとどうにもなりません。ですので、計算重視で勉強していくことが大切だと思います。

 また、総合問題が毎回必ず出題されますが、個別論点あっての総合問題だと思いますから、個別論点はテキストとトレーニングを使って丁寧に勉強することが大切だと思います。

■試験中は緊張して些細な計算ミスや問題文の読み違いやデータの読み間違いが多いです。僕もそうでした。出来るだけ平常心でいることが求められます。そのためにも量をこなして「自分はここまでやってきたから大丈夫!」と自信をもつことが大切なんじゃないかと思います。

■1級を受験しようと決意したときの心意気を忘れずに!これが一番大切だと思います。

試験科目ごとのポイント

  • 商業簿記

 商業簿記は総合問題ですが、先述したとおり、個別論点あっての総合問題だと思うので、まずは個別論点をしっかり押さえましょう。また、最近では世間でも連結ベースで財務諸表を見ることが主流となっているため、連結財務諸表からの出題が多くなっている気がします。資本連結・成果連結・持分法・在外子会社と時間をかけてじっくり勉強しましょう。

 また、本支店会計は出題実績が少ないものの、いつ出題されてもおかしくないと思うので、対策を怠らないようにしたいところです。

  • 会計学

 理論問題が出題されますが、その多くは○×問題、あるいは空所補充です。理論マスターをしっかりやりましょう。また、たまに出題される論述問題は会計処理の趣旨について確認することが大切だと思います。

 計算問題に関しては会計基準の改正論点や改正論争が起きている論点が多く出題されているような気がします。そのあたりは特に注意しましょう。

  • 工業簿記

 計算問題は計算力がいうまでもなく必要不可欠ですが、与えられたデータの取捨選択が合否を分けることが多いと思います。ですから、トレーニングで計算力を養いつつ、冷静に与えられたデータの取捨選択をする力を過去問等で養うことが大切だと思います。

 また、原価計算基準からの出題もありますので、暇を見つけてはテキストの条文を確認することは大切だと思います。

  • 原価計算

 原価計算と言えども大抵が意思決定問題です。意思決定問題はリニアープログラミングや投資の意思決定問題では図やタイムテーブルを上手く書くことが合格へつながることがあると思います。テキストに書かれた図やタイムテーブルを自分のものにすることも大切だと思います。

試験日の1日の流れ

  • AM:6:30 起床

 約6時間睡眠をとり、試験日だからといってもいつもと変わらず朝はコーヒーにトーストでした。

  • AM:8:00 出発

 試験会場の大学へ自転車で出発。ちなみに持参したものは筆記具に受験票、腕時計、そして理論マスターでした。テキストや過去問題集を持参する方が多いようですが、荷物になり、さらには休憩時間に見る時間はほとんどないと思うので持参しませんでした。ちなみに試験会場は時計がない会場が多いので、腕時計は必ず持っていきましょう。

  • AM:8:30 試験会場到着

 試験会場の大学に到着。到着して第一にトイレを済ませ、試験10分前まで理論マスターで自分が不安なこと論点を中心に最終確認していました。

  • AM:9:00 試験開始(商業簿記・会計学)

 試験が開始されてまずは会計学から解き始めました。商業簿記は連結会計の総合問題でしたが、会計学は問1が○×問題、問2が減損会計、問3が会計上の誤謬と訂正に関する空欄補充問題と問題がそれぞれ独立してやり易かったからです。

 会計学を30分ぐらいで終わらせてから商業簿記にシフトしましたが、連結会計に事業分離の問題も絡んできて大苦戦し、結局、時間ギリギリで終えました。見直す時間はありませんでした。

  • AM:10:45 休憩

 商業簿記・会計学が満足にできず、不安に駆られていました。しかし、休憩中は振り返らず、次の工業簿記・原価計算のためにも原価計算基準の条文を眺めていました。

  • AM:11:00 試験開始(工業簿記・原価計算)

 試験が開始されてまずは原価計算から解き始めました。投資の意思決定問題ではまず、テキスト通りのタイムテーブルを書き、問題文の内容理解に努めました。原価計算にしては珍しく理論問題も出題されていたので、少し焦りました。

 そして、原価計算を40分ほどで終えて工業簿記に入りましたが、与えられたデータが少なかったものの、それをどこか難しくとらえていたため、問題理解にかなり苦しみました。こちらも時間ギリギリで終えたので、見直す時間はありませんでした。

  • AM:12:30 試験終了、そして帰宅

 試験が終了して帰宅。帰宅してから改めて問題用紙を眺めていると問題文の読み間違いやデータの読み落としが多々あったことに気づき、絶望感に浸ってました…。もう駄目だと思い、試験後すぐに止む無く再受験かなと思いました。

試験結果

  • 商業簿記:20点/25点
  • 会 計 学:20点/25点
  • 工業簿記:17点/25点
  • 原価計算:16点/25点

 本当にギリギリで合格しました(笑)試験当日は問題文の読み間違いやデータの読み落としが多々あったので、試験が終わってからすぐに再受験を覚悟しました。それだけ嬉しかったです!

管理人からのほほんさんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
 勉強開始から試験前日まで商業簿記・会計学、工業簿記・原価計算ともにTAC出版の日商簿記1級合格テキスト・合格トレーニングを使い続けていましたが、まず商業簿記・会計学に関しては基本的には論点・問題の配列や難易度も程よく、個別論点を主に取り扱ったテキスト・トレーニング(1)(2)に関してはこれだけで大丈夫といった感じでした。個人的には90点はあると思います。

 しかし、トレーニング(3)に関しては欲を言うと連結会計について試験でも出題実績がある持分法から連結子会社化や包括利益についてもう少しを充実させても良かったのではないかなとも思いました。ですので、10点引いて80点といったところでしょうか。

 工業簿記・原価計算に関しても商業簿記・会計学と同様に論点・問題の配列、難易度は良い感じであり、特に工業簿記分野で頻出論点を扱ったテキスト・トレーニングに関しては90点は与えても良い気がします。

 ただ、主に原価計算分野を取り扱った(3)に関して最適プロダクトミックスについて近年頻出の論点の割には解説・問題が薄い気がします。これを考慮すれば80点というところでしょうか。

 過去問題集に関しては解説だけでなく、豆知識や図も充実しており、時間配分の目安まで示されている点から、特に申し分もないので、90点は与えていいと思います。

 最後に理論マスターですが、過去に出題された○×問題の過去問が充実しており、会計基準についても重要用語は赤字で示されていたところが良かったと思います。コンパクトで持ち運びやすく、空いた時間を見つけて勉強できる点が良いと思います。個人的には95点です。

 ただ、たまに会計学で出題される論述問題では会計処理や制度の趣旨を問うているものが多い感じなので、対策をしたい方は加えて別に何か買った方が良いかもしれません。

 今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
 CASIO MH-10Tという電卓です。この電卓は10ケタ表示で大学で簿記を学び始めたときに親から偶然譲り受けたものなのですが、個人的にはボタンが叩きやすいと感じており、ずっと使い続けています。

 しかし、日商簿記1級受験生であれば、大半の方が12ケタ表示の電卓を持っていますし、この電卓は受験上で認められている機能のうち、税計算機能しかついていません。日数計算や時間計算機能がついていませんので、日商簿記1級受験生が使う電卓としておすすめできる電卓ではないと思います。

 のほほんさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 商業簿記・会計学について計算に関しては個別論点は特に苦手はなく、だからといって、飛びぬけて得意というものはなかったと思います。しかし、本支店会計や連結会計といった大きなテーマ論点が苦手だったので、個別論点よりもテキストの読み込みに時間をかけていました。

 また、学ぶより慣れろという事でトレーニングを個別論点に比べて多く解くことで体に覚えさせようと必死でした。理論に関しては○×問題よりも穴埋め問題が弱かったので、理論マスターでは特に会計基準の重要用語の暗記に力を入れていました。

 一方、工業簿記・原価計算では部門別計算や総合原価計算は割とすんなり頭に入ってきたため、他の分野に比べれば得意な方でした。それに対して主に原価計算で出題される意思決定問題が苦手で特に差額分析による意思決定問題はほとんどできませんでした。

 ですので、この分野に関してはとにかくテキストレベルの基本問題だけは解けるようにとトレーニングの中でもレベルが高くない問題ばかりを繰り返していました。そして難しい問題は多分、本試験でも解けないだろうなと思ってあえて解きませんでした。

 のほほんさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
 1級合格してからのことを考えていました。2級までなら商学・経営系学部の大学生なら在学中に合格できる人は多いでしょうが、1級に関しては在学中に合格出来る人は一握りです。

 合格したら、自慢事の一つにできますし、税理士試験受験資格も手に入ること等から今後の自分の可能性をさらに広げていけるのではないかなと思うと自然とやる気が出てきました。

 また、元々知識を入れることが嫌いではなかったので、勉強するごとにさらに知識が増していくと思うと勉強が嫌にはなりませんでした。

管理人コメント

 のほほんさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!勉強方法を中心にかなり詳しく書いて頂きましたので、読み応えのある、参考になる合格体験記に仕上がっていると思います。

 それでは早速、中身を見ていきますが、まず参考にしていただきたいのは細切れの時間の使い方で、具体的には「2時間の通学時間中にできるだけ理論マスターを眺めて理論分野の暗記に努めていました」というところです。

 理論分野の勉強は、計算分野の勉強とは違って場所を選びませんので、通勤・通学時の細切れの時間を使って勉強するにはうってつけです。のほほんさんのように、携帯しやすい理論問題集を1冊買って有効活用することをおすすめします。

 また、「勉強する上での個人的なアドバイス」のところで、「1度決めた勉強スタイルを貫き通し、テキストやトレーニングは1度買ったものを最後まで使い通すことが大切」と書いていただきましたが、これも全く同感です。

 簿記3級→簿記2級→簿記1級…と、試験の難易度が上がるに連れて、いろんな教材に手を出したくなる気持ちは良く分かりますが、ほとんどの場合、すべてが中途半端になってしまって、消化不良のまま本試験を迎えることになってしまいます。

 よって、教材の浮気はせずに、最初に決めた(購入した)教材を信じて最後まで使い尽くすようにしましょう(その分、最初にきちんと比較・吟味して教材を決めてください)。

 あと、のほほんさんは直前期にTACの的中答練パックを受講されていますが、的中答練・公開模試・総まとめ講義演習を、(1級フルパックに比べると)お得な金額で受講できるので、最後の追い込みで利用すると効果的だと思います。

 3級・2級は独学でも十分合格可能だと思いますが、1級に関しては難易度が一気に上がりますので、「通学(通信)」または「独学+直前対策講座」という組み合わせをおすすめします。

のほほんさんが使われた教材や電卓のまとめ