教材は「狭く・深く」やること、何度も反復することが合格への近道!

  • 投稿者:コーヒーアレルギーさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:2回
  • 勉強期間:約4か月

受験までの経緯

 私の勤務先の業種は半導体の製造業でして、工場の管理会計についての勉強会が社内で開催されたのですが、いまいち理解できず自分でも勉強してみようと思ったのが簿記受験のきっかけです。第130回に3級を取得し、第131回に2級を受験したのですが、あえなく不合格。今回2回目のチャレンジとなりました。

これまでの学習状況

 3級はかなり勉強をやりこんだという手ごたえもあり、結果は満点でした。第131回に2級を受験した際は、66点とあと一歩合格には及びませんでした。工業簿記に重点を置きすぎたのが敗因でした。3級の成績が良かったので、商業簿記は何とかなるというおごりもあったように思います。

 この時の勉強期間は2ヶ月半ほどでしたので、今回の勉強期間の1ヶ月半と合わせると、2級に割いた学習時間は合計で4ヶ月ほどとなります。

使用した電卓

 「CASIO DS-20eco」です。特にこだわりはなく、家にあったものを用いました。ボタンは押しやすく、特に不満はなかったです。「000」ボタンがあればなお良いと思います。

使用した教材

  • サクッとうかる日商簿記2級 商業簿記 テキスト(ネットスクール出版)
  • サクッとうかる日商簿記2級 商業簿記 トレーニング(ネットスクール出版)
  • サクッとうかる日商簿記2級 工業簿記 テキスト(ネットスクール出版)
  • サクッとうかる日商簿記2級 工業簿記 トレーニング(ネットスクール出版)

 3級からの流れで「サクッとシリーズ」で学習を行いました。使用した教材は上記4冊と簿記検定ナビのみです。学習を進めるにあたって、「サクッとシリーズ」はよくもわるくも分量が少ないので、3級の学習では気にならなかったのですが、2級の学習では何度かつまづきました。

 その時は「なぜそうなるのか」「どうしてこんなめんどうなことをするのか」などを考え、「こっちのほうがよいのではないか」などと、勝手に会計のルールを自分で変えてみて検証するなど、とことん考え抜きました。

 どうしても自分の納得する答えが見つからないときは、ネット上でヒントを探したりもしました。このように自分で考えたおかげで力がつきましたが、ルールを覚えるだけでなく、なぜそうなるのかまでを考えるための教材としては分量が足りなかったように思います。

学習スタイル

 片道30分程の電車通勤の時間を利用してテキストを読み、家でトレーニングの問題を解くスタイルです。勤務時間が不規則なのと、家では1歳児の息子がおり、息子が起きている間は学習より育児を優先したく、家での勉強時間が確保出来るかどうかが非常に不確かでしたので、スケジュールについては、ざっくり始めの4週間を商業簿記に、あとの2週間を工業簿記にあてるくらいしか決めてませんでした。

 テキストは前回の受験時にもある程度勉強していましたので、読み直すところから始めました。今回の勉強で商業簿記を4回、工業簿記を2回ほど読み直しました。

 トレーニングは、今回は「基本問題」は省略し、「本試験レベルにチャレンジ」を一通り解きました。前回の学習では解説ページは間違えた問題を見直す程度でしたが、今回は問題を解いた後、正解・不正解に関わらず、解説ページをしっかり読み込むことに重点をおきました。解説ページには結構いいことが書いてあることがあります。

トレーニングの答案用紙
トレーニングの答案用紙

 上の画像はトレーニングの答案用紙です。私は間違いノートは作りませんでしたがその代わりに答案用紙に、間違えた箇所はなぜ間違えたかを、また解説ページを読んでためになったことなどを赤字で書き出しました。試験会場にもこの答案用紙を持っていき、間違いノートの代わりに直前の確認用に用いたりしました。

 なお本書の「本試験レベルにチャレンジ」のレベルは本試験より、質・量ともに簡単なので、これが解けたからといって油断は禁物です。ただ、同じ問題を見直し理解を深める方が重要だと考え、他の問題集に手を広げることはあえてしませんでした。最後にトレーニングの「模擬テスト」で最終確認を行い、本試験に臨みました。

 これから学習する方へのアドバイスですが、ついつい初めにテキストを理解してからトレーニングに取りかかりたくなるのですが、初めはテキストはさらっと流して、一度トレーニングの問題を解いてからテキストを読み直す方がはるかに理解しやすく効率がよいです。

 理解できないところがあってもあまり立ち止まらず、何度もテキストとトレーニングの学習を繰り返し行ったり来たりしていると、いつの間にか自然と理解出来る時が来るように思います。反復が一番の近道です。

 あと、ためになったのが簿記検定ナビの「仕訳問題対策」です。特に解説がすばらしく、類似問題の説明などもあり、体系的に理解するのに大きな助けとなりました。

試験日の1日の流れ

  • 7:00 起床

 試験開始時間から逆算すると、昼食をちょっといつもより早めに取る必要があったので、朝もいつもより30分くらいはやく起きて朝食を取りました。

 その後、10:00くらいに20分程度これまで解いた問題の解答用紙をさっと見直しました。ここではあまり体力を使わないようにし、試験に体力を温存するようにこころがけました。

  • 11:00 昼食

 家で昼食をとってから出かけました。あまり食べ過ぎないように注意しました。また試験中はトイレに行けないので、このあたりから水分の摂取を控えました。

  • 12:40 試験会場到着

 会場につくと多少なりとも緊張状態を強いられるので、30分前くらいの到着が理想だと考えていましたが、利用する電車の本数が少ない関係で、50分前の到着となりました。

 会場でもう一度さらっと解答用紙を見直しましたが、ここでもあまり体力を使わないよう気をつけました。ずっと机に座っているのも疲れるので、廊下などに出てリラックスしていました。試験開始までにトイレには3回ほど足を運びました。

  • 13:30 問題用紙・解答用紙配布

 解答用紙に名前と受験番号を記入する際に、解答欄をちらっと見てどのような問題か確認しました。簿記検定ナビの試験問題予想が大体当たっていたので、少し気が落ち着きました。

  • 13:45 試験開始

 第2問は特殊商品売買の繰越を扱う問題で、あまり見慣れないものでしたが、きっちり仕訳をきればなんとかなると信じ、当初の予定通り1→4→5→2→3の順番で解き始めました。

 第1問は開始直後ということもあり、ついつい丁寧になりすぎて時間をかけすぎてしまう癖がありましたので、とにかくスピードを意識しました。また、これまで一度下書き用紙に仕訳を書いていましたが、これが結構時間をロスしていることに気づき、直接解答用紙に記入するようにしました。

 第4問はスタンダードな問題だったこともあり順調に解答出来ました。第5問は、簿記検定ナビの予想問題を見て直前にCVPの復習をしたのがばっちり当たりましたので、思わずガッツポーズをしたくなりました。一度計算間違いをしましたが、第5問を解き終えた時点で、開始から40分程と順調なペースでした。

 第2問は、見慣れない問題でしたが、とりあえずすべて仕訳を行いました。仕訳をきってみると、勘定記入への道筋が見えてきました。やはり簿記の基本は仕訳なんだと改めて感じました。また普段からルールを覚えるたけでなく、本質は何かを考えてきたことが、実を結んだ瞬間であったと思います。

 第2問を解答し終えた時点で60分経過、残り60分と十分な時間を残して第3問にむかえることになりました。

 第3問は決算の標準的な問題でしたので、きっちり仕訳をきって解いて行きました。ただ時間が十分あることに油断して丁寧に行き過ぎたのか、仕訳を終えた時点で残り15分と少し厳しくなって来ました。

 精算表に記入してみると賃借差額が合わなかったのですが、簿記検定ナビの電卓使い方講座の「賃借差額が合わなかった時の電卓テクニック」に助けられ、間違いを無事に見つけることが出来ました。

 すべて解いたところで残り4分。見直す時間はなかったので、とりあえず今後の自己採点のために解答を下書きにざっくり写したところで試験終了となりました。

 さすがに4分では解答の書き写しがあやふやで、試験当日の自己採点では正確な点数はわかりませんでしたが、合格の手ごたえはありました。その後、96点で合格していたことがわかり、喜びを噛みしめました。

本試験の下書き_第1問・第4問・第5問
本試験の下書き_第1問・第4問・第5問
本試験の下書き_第2問・第3問
本試験の下書き_第2問・第3問

 上の2枚の画像は本試験の下書きです。すべての取引の仕訳をきっちり切っているのは、多少参考になるかと思います。

 第3問の精算表の問題では、仕訳を精算表への転記する際の漏れを防ぐために、仕訳と仕訳のための下書き・計算を分けて、仕訳だけをまとめて記載しています。

最後に

 簿記検定の合格をゴールだと思わず、スタートだと捉えて、今後の自分の仕事に活かしていきたいと思います。

管理人からコーヒーアレルギーさんへ追加の質問

 コーヒーアレルギーさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
【商業簿記】
 得意な論点は精算表です。3級の学習をみっちりやったのが活きていると思います。一方、特殊仕訳帳や本支店会計が苦手でした。対策としてはトレーニングの問題を繰り返し解いて、解説ページまできっちり読み込みました。

 その結果、特殊仕訳帳や本支店会計は問題自体の難度は高いものの、その出題パターンは限られていることに気づき、それからは苦手意識がなくなりました。

【工業簿記】
 総合原価計算が得意でした。仕事がら、工場の管理会計に触れる機会が多々ありますので、全般的に工業簿記はとっつきやすかったです。

 ただ、仕訳問題は苦手でした。商業簿記では費用は主に借方だったのに、工業簿記では頻繁に貸方に仕訳されるのがいまいち腑に落ちませんでした(例:借方 仕掛品、 貸方 賃金 など)。

 克服するための勉強方法としては、やはり重点的に仕訳問題を繰り返し解いて解説ページを読み込みました。また、テキストとトレーニングを行ったり来たりしました。それにより、費用が貸方に仕訳されるのは、費用の置き換えをしているのだという流れを理解することが出来ました。

 コーヒーアレルギーさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
 勤務先での管理会計の勉強会が開催された際にあまり内容が理解出来なかったのが簿記の学習を始めたきっかけですが、その後簿記の学習を進めるにつれ、ひとつの大きな目標が見えてきました。それはエンジニアに正しい会計知識を促すことによる「ものづくり日本」の再生です。

 私自身エンジニアですが、周りを見渡すと、エンジニアに正しい会計知識が浸透しているかというと、そうでないのが現状です。多少の差はあるにしろ、おそらく多くの日本の製造業が同じ問題を抱えているのではないかと思います。

 10年ほど前までしたら、高品質で高い信頼性の製品をつくっていれば多少高くても売れた時代でしたのでそれでもよかったのでしょうが、もうすでにエンジニアがコストと真摯に向き合わないければいけない時代は到来しています。

 文系と理系の垣根を越えて、エンジニアも高度な会計の知識が要求されるなかで、日本のものづくりの現場は、時代に遅れをとっているように思います。

 そこで自分が何を出来るかを考えた時に思いついたのは、まず自分が正しい会計知識を身につけること、そして社内で勉強会な どを主催し、エンジニアに、エンジニアである自分が、エンジニアにわかる言葉で説明をすることです。

 ゆくゆくは独立して、いろいろな企業にセミナーの講師として渡り歩き、日本のものづくりの現場を会計から変えていければなどと夢見ています。

 簿記の勉強はその大きな目標を実現するための小さな1歩だと思うと、モチベーションは上がることはあれど、下がることはありませんでした。

 大風呂敷を広げてしまい恥ずかしいですが、そう思うことでやる気が出たのは事実です。あまり参考にはならないかもしれませんが…。

管理人コメント

 コーヒーアレルギーさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

 一般的には、試験に合格するために必要な教材は「テキスト」「トレーニング(問題集)」の他に、「過去問題集」「予想問題集」と言われていますが、コーヒーアレルギーさんは前者の2つをきっちりこなすことによって見事合格を果たされています。

 私自身は過去問対策は必須だと考えていますが、いろんな教材に手を広げすぎて全てが消化不良になってしまうよりも、「深く・狭く」学習することによって理解を深めるという勉強スタイルもあるんだな、と合格体験記を編集していて勉強になりました。

 あと、追加の質問に対する回答のところに書いていただいた「特殊仕訳帳や本支店会計は問題自体の難度は高いものの、その出題パターンは限られていることに気づき、それからは苦手意識がなくなりました」はとても大事なポイントです。

 この「気づき」を得るのに最適な勉強法がまとめ解きです。同じ分野の問題を集めて、集中的に解くだけの簡単な方法ですが、費用対効果はかなり良いので、直前期に伸び悩んでいる人は騙されたと思って試してみてください。

コーヒーアレルギーさんが使われた教材や電卓のまとめ