捨てる分野を作らないで全ての分野を丁寧に取り組むことが合格への近道!

  • 投稿者:しろにゃんさん
  • 勉強形態:専門学校(通学)
  • 受験回数:2回
  • 勉強期間:約8か月

はじめに

 こちらに掲載されております合格体験記は私から見るとどれも短期間で1発合格や独学で合格などの方が多いので、本当に凄いなぁと思いながらいつも拝読し、また「私もここに書けたらいいな」と目標の一つにしておりましたので、こちらに投稿いたしました。

 私は計算がとても苦手で商業簿記のテキストを見ただけで吐きそうになった事もありましたし、TACに通いながら8か月かかりましたので、どこまでお役にたてるかわかりませんが、少しでも誰かの役に立てたら良いなとと思います。

簿記2級を受けようと思ったきっかけ

 会社で部署の経理をしており、3級合格で勉強はやめる予定でしたが、合格した時にとても嬉しかったことと社内評価もあがる様でしたので2級の勉強することに決めました。

独学か通信か通学か?

 計算は苦手ですので独学は元から考えておらず、3級は通信(LEC)で自宅学習でしたが、2級となると約250時間も苦手な計算を一人ですることに耐えられないし、疑問が出た際のサポートや切磋琢磨できる友人ができるかもしれないと思って迷わず学校に通うことにしました。

 会社帰りに立ち寄れるLECかTACの2校で迷いましたが、自習室が無料であることと、会計系の講座が充実していたTACにしました。

131回を受験するか?132回にするのか?

 3月後半から学校に通うことにしたのですが、学習に必要といわれている250時間からTACの総授業時間である80時間を引いた合計170時間を4月5月で消化するのは予定的に厳しく、11月の受験を第1に一旦は考えました。

 しかし、TACは一度不合格になっても2回目までは無料で受講できる合格保証制度があることと、11月を第1目標にして受けるよりも6月を第1目標にすることで学習にメリハリがでるのではと思い、6月受験を決めました。

使用教材・電卓など

  • TACで頂いたもの
  • 合格テキスト(商業・工業)
  • 合格トレーニング(商業・工業)
  • ミニテスト(商業・工業各9回分)
  • 直前答練(全4回)
  • 的中答練(全4回)
  • 自分で用意したもの

 電卓については、私は3級のときから「000」のキーのついた電卓を探し求めて納得いくまで家電量販店を何店舗か回りました。

 そして、最終的に本屋さんの簿記コーナーで「簿記会計専用電卓」という電卓に出会いました。これは「000」のキーが左下にあり、とても打ちやすかったのでこれにしました。

 お恥ずかしながらこの電卓に出会うまで5台くらい買いました。家族に「あんた、電卓屋でも始めるの?どうするの?」と言われる位、電卓が机の上に並んでました(笑)

電卓を叩く手

 普段は右利きなのですが、130回の3級受験を決めた時に「左手で電卓を打ち、右手で鉛筆を持つスタイルの方が効率が良い」と習ったことと、左手を使うことで脳細胞が活性化するかもしれないと思い(笑)左手で打つ練習をしました。

 上記の電卓を2台買って会社と家に置き、打ち間違えてもいいので左手しか使わないことを徹底したところ、左手で打つことにドーパミンが出たようで楽しくなり、130回の3級試験までに間に合いました。

131回(不合格)までにしたこと~3月から6月~

 とにかく時間がなかったので、解いていて楽しかった工業簿記と仕訳で満点を取るプランを立てました。授業には出て次回までに復習し、ミニテストで満点を目指しました(※実際に満点をとれたのは工業簿記の数回のみでした)。

  • 合格テキスト例題(商業・工業ともに授業の復習として1回)
  • 工業簿記トレーニング(2回)
  • 工業簿記ミニテスト(2回)
  • 商業簿記トレーニング(1回・仕訳部分は2回)
  • 簿記ナビさんの仕訳帳1回

 直前答練と的中答練は1・4・5問目だけを直す事にしましたが、ほとんど消化できず受けっぱなしの状態でした。この作戦は4・5問目は満点でしたが、1問目が12点しかとれず(特殊商品売買を落とす)合計64点で失敗に終わりました。

 商業簿記の2問3問をほぼ捨てて合格できる程甘い試験ではありませんでした。そして的中答練で取っていた点数がそのままだったので、日ごろの積み重ねがいかに大事かということと、的中答練は本試験より難しいといわれているのは甘えであることを痛感しました。

 学習時間はこの時点で177時間(授業80時間を含む)でした。

132回(合格)までにしたこと~6月から11月~

 2問目3問目対策と苦手な特殊商品売買の仕訳を中心に勉強することにしました。工業簿記は好きだったので132回も満点を取ることを心に決めて商業:工業=7:3くらいの割合で勉強をしておりました。

  • 合格テキストの例題(2回目)
  • 合格トレーニング(3回目)
  • ミニテスト(3回目)

 上記の3つは、いずれも商業簿記・工業簿記でわからないところがなくなるまで取り組みました。

  • 131回 直前答練(2回目)
  • 131回 的中答練(100点を取るまで徹底的に潰しました)
  • 132回 直前答練(授業の後に間違えた箇所のみやり直しました)
  • 132回 的中答練(授業の後に間違えた箇所のみやり直しました)
  • 過去問(10月~1回だけ)
  • 簿記検定ナビさんの仕訳帳(3回+α)

 簿記検定ナビさんの仕訳帳は、持ち歩いて時間があれば解いていたのと、直前期は答練・過去問等で間違えた箇所の類題を解いていました。

 解説に「この問題は過去問の●回と●回でも出題されています」と書いてくださっていたのはありがたかったです。そのおかげで間違えた問題の関連する回を解くことができ、苦手な仕訳を効率よく解くことができました。

仕訳帳1
仕訳帳1

仕訳帳2
仕訳帳2

 3月からの合計勉強時間は約277時間で、131回受験時+約100時間(うち授業40時間)でした。

直前期の過ごし方(10月~)

 9月までは休みの日もカラオケやライブに行って遊んでおりました(学習時間:1日平均すると1.5~2時間位)。10月からは誘いを全部断り、TACの自習室に通いつめました。

勉強が嫌になる

 学習時間が250時間を越えた10月15日あたりから、過去問や答練などで80~100点を取れるようになりました。それと同時に中だるみが始まりました。「あと1ヶ月もこの勉強を繰り返すのか」と思うと苦痛になって勉強する気が全く起こらなくなりました。テキストを見るのも嫌になりました。

 友人との誘いは全て断っていたので、気分転換を図ろうとDVDを借りてみたり、ファッション雑誌を読んだりしましたが、やる気は起こらず「今日もできなかった」というストレスだけが溜まっていきました。

 このままの精神状態で受験すると絶対にうまくいかないと思い、簿記の試験が終わったら勉強しようと思っていた法律系の資格の勉強を並行して始めることにしました。この時点で10月26日。

 直前期にもう1教科を始めるという事にかなり悩んだのですが、「何もしないよりはいいかな」と思って始めました。結果「両方落ちたら本末転倒」という危機感も生まれましたし、計算→暗記→計算→暗記という風に勉強することでメリハリがつき、とても良かったと思います。

 また法律系の資格の試験範囲に会社法や割賦販売や委託販売が含まれていましたので、相互に理解を深めることができ、少し楽しくなって再び勉強することができました。

簿記を楽しく勉強するために気をつけたこと

 私の場合、一人で勉強するにはとても厳しいと思ったので、簿記検定ナビさんのオフ会に参加させていただきました。そこで知り合った方々は皆さんそれぞれの目標を持ち勉強に取り組んでいらっしゃり、とても良い刺激になりました。

 たまたま同じ学校の方もいて、直前期に私が喘息で倒れたときも試験当日まで励ましてくださいました。自分で「勉強する」と決めたのですが、内容的に苦手な試験で、いつ挫折してもおかしくない状態でしたので、仲間がいなければきつかったと思います。

 簿記ナビさんがオフ会をしてくださったことに心から感謝をしています。ありがとうございました。

体調管理について

 当日、電卓で計算する作業が伴う簿記試験においては体調管理はかなり大事です。受験生は驚くほど免疫力が低下すると思いますので、当日ベストパフォーマンスを発揮するためにも体調管理には十分気をつけてください。

学習管理(スケジュール)について

 トップページに1年の目標を書き、1週間見開きのもので、左横に1週間の目標を書きスケジュールを調整していました。ちなみに、シールの色は「緑…仕事」「赤…遊ぶ」「青…簿記の勉強」「黄…買い物など」です。

手帳1
手帳1

手帳2
手帳2

手帳3
手帳3

手帳4
手帳4

試験日前日・当日の過ごし方

 試験日の前日は過去問で間違えたところだけをやり直しました。緊張してしまいなかなか眠れず、深夜の4時頃にようやく眠れました。

 試験日の当日は、11時起床→12時出発→13時到着→13時半説明開始…という感じでした。試験開始前に答案用紙をミシン目で破る作業があるのですが、その時に2問目と5問目の解答欄を見て少し不安になりました。でも、今まで答練で80点以上をとっていたので、絶対に落ち着いて解けば大丈夫だと言い聞かせて問題をめくりました。

  • 13時40分 試験開始

 問題は「5→4→1→2→3」の順に解きました。

 5問目(25分):直接原価計算と費目別計算を合わせた様な問題でした。この問題については予備校や色々なところで予想されていたので、5-3まではスラスラとけましたが、5-4の質問のされ方がいつもと少し違っていたため(単価ではなく売上が与えられていました)少し戸惑いました。

 ただ、この問題を解かないと5-5も落としてしまうことは明白でしたので、「なんとしてでも解くんだ」と言い聞かせて問題に向き合いました。

 5-4の損益分岐点売上高の求め方については、私はいつも単価×個数を「X」と置いて計算しているので、少し迷いましたが、頭の中で軽い例題を考え、「X」とおいた場合と「S」とおいた場合で数式を計算用紙で計算して答えが一致したので、考えたことに間違いはないと思えて5-5まで取り組みました。この時点で25分くらいかかってしまいました。

 4問目(20分):いつも答練で勉強している内容でしたので、スラスラ解くことが出来ました。ただ、最初に解いた5問目が合っているのかやや不安でしたので、この問題も絶対に落とすわけにはいかず、何度も見直しをしていたので20分くらいかかってしまいました。

 1問目(20分):1~4題は過去問等でも繰り返し問われている仕訳でしたので、特に問題なく解けました。5の委託買付については掘り下げて勉強しておらず、落としてしまいました。しくみを理解していないと暗記の勉強では駄目だと思いました。

 2問目(30分):特殊商品売買に重点を置いた問題でした。最初は少し戸惑いましたが、答練に似たような問題が出ていたことと、過去問でも「難しいと思った箇所の配点は意外と低い」ということや「難しいであろう問題がでたら他の問題で調整してくる」ということが頭にあったので、この問題についてはとにかく仕訳さえしっかりできたら、あとは問題の指示にしたがって転記するだけだと思い仕訳をしっかりすることにしました。

 仕訳は全部できましたが、特殊商品の決算整理の部分でつまずいてしまい、部分点狙いで埋められるところだけ埋めました。この問題終了時点で残り25分になってしまい、かなり焦りました。

 3問目(25分):標準的な精算表の問題でした。25分で解かないといけないので、細かい仕訳問題だけ下書き用紙に書いて、あとは直接精算表に書き込みました。横一列に配点が来ると教えられていたので、仕訳した該当箇所のみをひたすら横に埋めていきました。

 なんとか仕訳の記入が終わった時点で残り5分しかなく「当期純利益」まで出せませんでした。さらに修正記入欄の合算が左右合わない事にも気づきました。

 下書き用紙に書けなかったので、仕訳を見直すことも今からやり直すこともできないので、とにかく書いた問題の記入欄を書き間違えていないかということだけ見直していた所、仕入欄の左右が逆になっていることに気づきました。でも、この時点で試験が終わってしまって、書き直すことが出来ませんでした。

 今まで時間が足りないことはなかったので、試験が終わった瞬間「もうダメだ」と思ってかなり落ち込みました。今回3問目は満点が狙える問題だと思ったので、こちらから先にとけば良かったと後悔し、また2月に向けて勉強しないといけないのかとも思いました。

 解答速報会にも行かず、答えを合わせる気力もなくこの日は家で落ち込んで過ごしました。でも、法律系資格の試験が3週間後だったので、一眠りしてからそちらの勉強をすることで気を紛らわせておりました。

結果発表当日

 試験から結果発表までは10日ほどあったのですが、もう一つの試験が直前に迫っていたため、そちらに没頭し落ち込む暇もなくこの日を迎えました。

 当日の朝、合否の通知メールを開けるのも怖くて、べランダに住み着いている野良猫の「しろにゃん」に話しかけながら開けたところ、合格の文字が見えたのでぽろぽろ泣いてしまいました。

 部分点狙いの2問目は14点、ボロボロだと思っていた3問目は書けなかった当期純利益と仕入以外は全て合っていたので16点を取れていました。仕訳を徹底して練習していて本当に良かったです。

成績

  • 131回
  • 直前答練:72~86(TACの目標は80点:1度しか取れませんでした)
  • 的中答練:62~64(TACの目標は70点:1度も取れませんでした)
  • 本試験成績(12・4・8・20・20 合計64点→不合格)
  • 132回
  • 直前答練:88~100
  • 的中答練:78~98
  • 本試験成績(16・14・16・20・20 合計86点→合格)

最後に

 簿記2級は基本のしくみを「暗記」ではなく「理解」すれば絶対に合格できる試験だと思います。理解さえすればあとはひたすら仕訳の練習です。

 「ベストキッド」という空手を描いた映画で基礎の型をひたすら練習する際に「WAX ON!WAX OFF!」という有名なセリフがありますが、簿記もそれと同じようにひたすら仕訳の練習をされることが大事だと思います。

 「仕訳をして(ON)間違ったら消して(OFF)また書いて(ON)」この繰り返しに勝る王道はないと思います。

 また、過去問を通じて「捨てようかなと思った論点」や「苦手な論点」が2つ以上組み合わさって出題された場合、一気に70点を切ってしまう試験だとも思いました。繰り返し言われていることですが、捨てる分野を作らないで全ての分野を丁寧に取り組むことが合格への近道だと思います。

 簿記2級は合格後、半径3メートル以内の人の反応が少し変わる資格だと思いますので、少しでも興味があれば是非TRYされてください。最後までお読みいただきありがとうございました。

管理人からしろにゃんさんへ追加の質問

 TACの簿記講座に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
 90点です。他の方にもオススメします。理由は…先生はとても親切丁寧でしたし、自分自身が望めば勉強に関して大抵の事は叶う環境が整っているからです。

 また、無料講座のお知らせはあってもその他の勧誘は一切なく、プリントを頂く程度でした。上記を含めてもTACは完全に「学校」だと思いました。

 あとの足りない10点は「1年に1度でも簿記の合格祝賀会があれば良いなぁ」という期待点です。

 しろにゃんさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 まず、簿記学習に対して全般的に苦手意識がありましたので、テキストに自分の好きな柄のカバーをかけて、問題集と教科書と思わない様にしました。視覚から認識を変えました。

 得意な論点は工業簿記全般で、どの問題でも「百ます計算」をしている様な感覚になりまして楽しく解くことができました。特に部門別個別原価計算と標準原価計算が好きでした。

 一方、苦手な論点は商業簿記全般で、中でも特殊商品売買が苦手で何回解いてもなかなか正答率が上がりませんでした。対照勘定だの所有権留保だの(民法?)ややこしい概念を数値化して計算しないといけないのが苦手でした。

 苦手克服のために、先生にできるだけ質問に行く様に心がけましたが、この特殊商品売買の論点については「この問題はどんな回答を求められているのかが全くわかりません。手も足も出ません」と質問に行った事もありました…。

 でも声に出して質問することで頭の中の知識が整理されて、だんだんと特殊商品売買の世界観に慣れたのだと思います。とにかく苦手意識をなくすように心がけました。

管理人コメント

 しろにゃんさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

 私が編集していて一番共感できたところは「簿記2級は基本のしくみを「暗記」ではなく「理解」すれば絶対に合格できる試験だと思います」という一文です。

 時間的制約によりある程度、暗記で対処することも必要だと思いますが、しろにゃんさんのように「理解」にこだわって学習を進めるクセを付けておくと良いと思います。

 例えば「簿記上の現金」に「配当金領収証」や「郵便為替証書」がありますが、これらを丸暗記するよりも「簿記上の現金=銀行や郵便局に持って行ったらすぐに換金してもらえるもの」と理解しておくと、他の「期限が到来した公社債の利札」や「送金小切手」等を知らなかったとしても「すぐに換金してもらえそう→現金として処理」と弾力的に対応できます。

 また「捨てる分野を作らないで全ての分野を丁寧に取り組むことが合格への近道」と書いていただきましたが、これも大事なポイントです。

 人間、苦しいことから逃げたくなるのはみんな同じですが、(簿記に限らず)資格試験に関しては「得意論点をさらに伸ばす」よりも「苦手論点を克服する」ほうが得点に与えるインパクトは大きいわけで、この苦しい勉強に耐えられるかどうかが合否のカギになります。

 なお、苦手論点の克服にはまとめ解きが最適です。同じ分野の問題を集めて、集中的に解くだけの簡単な方法ですが、費用対効果はかなり良いので、直前期に伸び悩んでいる人は騙されたと思って試してみてください。

しろにゃんさんが使われた教材や電卓のまとめ