本試験では臨機応変に対応するのがポイントです!

  • 投稿者:スミレさん
  • 勉強形態:専門学校(通信)
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約8か月

はじめに

 私は32歳の現在専業主婦です。娘が来年3歳で保育園に入るため、いずれ就職する際に有利な資格として簿記取得を決意。

 今年の2月に3級を受験し、問題が簡単だったせいもあり満点合格。2級は勉強量が倍になるとのことで、6月受験は自信が無く、11月受験を目指すことにしました。

使用した電卓と教材

 電卓は「Canon HS-1210TU」で、教材は大栄教育システムのCD-R通信教育を利用しました。教材の内容は以下のとおりです。

  • 商業簿記の講義16回(CD-R16枚)+問題集1冊+添削問題2回
  • 工業簿記の講義16回(CD-R16枚)+問題集1冊+添削問題2回

 1回の講義はだいたい2時間程度でした。先生が黒板に書いた内容がまとめられたレジュメがプリントされていて、講義を聴きながらいちからノートをとる必要が無くとても便利でした。大栄はテキストは文字ばかりだし、言い回しも小難しいのですが、先生の講義はとてもわかりやすかったです。

 ひと通り勉強した後は、以下の答練を受けました。

  • 商業簿記・単元別答練全5回(CD-R5枚)
  • 工業簿記・単元別答練全5回(CD-R5枚)

 今度は商業簿記から工業簿記まで、それぞれ単元ごとに5回に分けて細かく復習していきます。1回につき、基本問題・応用問題・宿題問題と分かれていて、時間を計って問題を解いたり、単元を深く理解したり、苦手箇所を見つけてつぶしていく期間でした。

 CD-Rの内容は解答解説で、これまた先生が復習を兼ねて細かく説明してくれます。あらためて講義を聞いているような感じになるので聞くのは長いですが、忘れてしまっている箇所や苦手科目についてはありがたかったです。

 さらにその後は、「模擬試験1回」「直前ゼミ全10回」「仕訳問題集」というボリュームたっぷりの内容でした。

 3級は、大栄教育システムの授業をアビバに通って聞いていたので2級も大栄にしましたが、今回は通学ではなく自宅でCD-Rで講義を聞くという通信にしました。

 私は育児休業を取得していて、退社してから1年以内に勉強を始めたので、教育訓練給付金制度が利用できるコースを選択しました。

2012年4月~8月

 4月から勉強を開始しました。パソコンで講義を見聞きし、テキスト・レジュメで確認。メモはレジュメに直接書き込み、自分でノートなどは作りませんでした。ひとつの講義が終わるとその単元の問題集を解く…という流れです。

 大栄では、1週間に2講義のペースで進めていって無理のない内容となっているとのことだったので、このペースを念頭においてはじめに学習計画を立てました。

 計画では商業簿記のひととおりの講義が2ヶ月ほどで終わる予定だったのですが、自宅ということでついだらけたり、子供を寝かしつけてからの勉強になかなか慣れず、結局、商業簿記の講義16回と添削問題で3ヶ月もかかってしまいました。

 また、3級とのあまりの難度の違いに先制パンチをくらったような気分になり、早くも自信喪失しかかってしまいました。3級では大得意だった仕訳が2級は苦痛で仕方が無く、ちっとも頭に入りませんでした。

 特に特殊商品の仕訳はこの頃は全くできてなかったと思います。何とか学習計画があまり狂わないように…という考えが先に立っていました。

 その後、商業簿記がひととおり終わると、工業簿記の講義を聴き始めました。だいたい1講義は2時間程度でしたが、まるっと2時間講義が聴けないときは1時間ずつ2日に分けて聞き、3日目に問題集を解くというやり方にしました。

 工業簿記は「予定価格」がいまいちよくわからず、なんで実際価格が出ているのに、予定で計算するのかなぁ…などと考えすぎて、訳がわからなくなることがたびたびありました。

 ただ、商業簿記よりもはるかに早く理解できたのでやる気が出て、勉強のペースもアップしました。特に総合原価計算は楽しく勉強できました。

2012年9月~10月

 単元別の復習に入りましたが、この時期が一番苦しかったです。商業簿記のいちばん始めに戻り、復習~応用をコツコツとやります。まず、自分の書き込みをしたレジュメを読み返して自力で思い出し、基本の問題を解きました。その次は何も見ず、応用問題に取り掛かりました。

 1問につき15分と時間が決められているので、時間内に解けないものは付箋を貼り、後でまた復習をする目印としました。すっかり忘れてしまっていた「本支店会計」や「標準原価計算」などは、再度講義を聞きなおすところから始めました。

 大栄の通信にはパソコンから質問できるシステムもあるので、それを利用することもたびたびありましたが、私は質問して理解するよりも、テキストを読み返したり問題集に戻ったりして自力で理解する方がその後も絶対に忘れないので、なるべく自力で頑張るようにしました。

 ひとつでも理解できない問題があれば、つくづく「逃すものか」という気持ちで絶対分かるまでしつこくしつこく考えました。これは意外に良かったです。

2012年11月~試験前日

 10月の最終週から2回に分けて、模擬試験・直前ゼミ10回分・仕訳問題集が届きました。試験形式になっており、過去問から色んな問題がピックアップされているのだと思いますが、試験と同じく2時間はかって取り掛かりました。もっとボロボロの点数かと思っていたら、意外にも最初に68点取れたのが、私のやる気に火を付けました。

 私のネックはいちばん大事な仕訳でミスが多いことだったので、仕訳問題集をひととおり解いて仕訳力のアップを図りましたが、その後にゼミをやると、10回のゼミのうち数回は合格点が取れるようになっていて、その効果にびっくりしました。

 また、単元ごとの復習の時点では理解が浅いと思っていたのに、実際に過去問を解きだしてからはまるでパズルのピースがカチカチはまっていくように、ぐんぐん理解できるようになっていったのです。

 すごく不思議な感じでしたが、「もしかして、合格できるかも!」と希望を持てるようになりました。直前の時期になって、自分のモチベーションがぐんと上がったのは、すごく良かったです。

 試験1週間前からは、2時間計っての試験形式と、132回の問題予想で苦手な箇所(特殊商品売買・個別原価計算・本支店会計・標準原価計算・直接原価計算など)を重点的に個別で復習しました。

 それと復習のたびによく間違える箇所を、忘れないよう思いつくままにノートに書きました。忘れっぽい箇所ばかり書きなぐるように書いたのですが、それが「間違いノート」のようなものになりました。

 あと、簿記検定ナビにも書いてありましたが、試験1週間前からがいちばん伸びる時期というのは、全くそのとおりだなと思いました。

試験日の1日の流れ

 試験前日の夜~試験当日までは、簿記検定ナビの日商簿記検定 前日・当日マニュアルの流れのとおりに動きました(笑)前日の夜はシャワーのみ。深夜1時半には布団に入りましたが、体は疲れているのに、緊張しすぎてなかなか寝付けず…

 ほとんど眠れないまま9時に起床。アドレナリンのせいか、まったく眠くありませんでした…。熱めのシャワーを浴びて、緊張で食欲もありませんでしたが、無理矢理朝食を食べて最後の勉強に取り掛かりました…といっても、仕訳問題集をまたひととおりやっただけで、過去問などには手をつけませんでした。お昼ごはんはウィダーインゼリーにしました。

 試験会場は車で20分ほどの場所でした。駐車場がない会場だったので家族に送って行ってもらいましたが、早く着きすぎて12時45分くらいに着いてしまいました。ちなみに、会場には書きなぐったノートと直前ゼミを持って行きましたが、読み返したのはノートだけでした。何度も繰り返し読んでいました。

 着席したのが早い時間だったからか、開始まで時間が経つのがものすごく遅かったです。この時間がイヤでした。

 13時30分になり、試験官から簡単な説明と答案用紙に名前と受験番号、生年月日を書くように言われましたが、答案用紙を広げた時に第2問が総勘定元帳になっていたのを見て、冷や汗がでてきました。「あれっ伝票でも特殊でもない!!??」と焦っていると、13時40分になりました。

  • 試験開始!

 仕訳の解答を書く手が緊張のあまり震えて、何回も消して書き直しました。普段の倍の時間を掛け何とか第1問を終えて、第2問を見た瞬間、今まで見たことの無い問題に頭がパニックになってしまい、問題を読もうにも全く頭に入りませんでした。

 いつも1→2→4→5→3の順番で解くのですが、とりあえず落ち着こうと思い、先に第4問へ。しかし、第4問も最初はさっぱり問題の意味がわからず、ここでもパニックで頭が真っ白になりました。完全に「神様は私を見放した」と思い、こんなかたちで終わるのか…と涙が出そうになりました。

 しかし、問題を繰り返し繰り返し読むうちに、「あっ!」とまさかのひらめきがあり、時間がかかりましたが何とかクリア。少し落ち着きを取り戻して第5問へ。これは予想通りの直接原価計算でした。

 次に第3問へ行きましたが、こちらも予想通りの精算表でした。割と簡単な感じがしましたが、私は電卓の打ち間違いが多いので、計算は丁寧に丁寧にやりました。

 2回計算しても最後の合計があわなかったのでとりあえず飛ばして、最後の第2問へ挑みました。この時点で残りあと40分ほどになっていましたので、もう時間との闘いでした。

 問題を読んでみると、さほど難しいことは言っていないということがわかりました。幸いにも特殊商品売買のなかでは比較的覚えている委託販売と試用販売だったので、とにかく時計を確認しながら解き進め、全てを解き終えたのは終了15分前くらいでした。

 2時間フルに頭を使い切って、精も根も尽き果てました。自分がやれることは全てやったけれど、合格する自信は全然ありませんでした。終わって数日間は落ち込んでいました。解答速報を見る気もせず、試験問題もその後一切見ませんでした。

 27日の合格発表は見るのが本当に怖くてまたも緊張しましたが、意外にも82点で合格することができました。合格の文字を見たときは恥ずかしながら泣けてきました。

試験勉強を振り返って

 私は、独学では絶対理解できないと思っていたのと、小さい子供がいるので通学は難しいため通信を選びました。しかし、独学も同じだと思いますが、通信教育も本当に孤独だなぁ…と思いました。モチベーションの維持が本当に大変でした。

 また私は、平日にあまり勉強時間がとれなかった分、週末に1人家にこもって勉強をすることが多かったので、家族とは週末別居のような状態になってしまっていました。

 子供にも寂しい思いをさせているという負い目があり、絶対に一発で合格しなければ…という気持ちがモチベーションにつながったと思っています。

 大栄の通信教育については…添削問題の返信にも、特に何もコメントなどをつけてくれないため、もうちょっと励ましなどがあれば心強かったのにな、と感じます。

 1級をとるつもりはありませんので私の勉強はひとまずこれで終わりますが、あきらめず合格を取れたことは私の自信になりました。直接の武器となれば一番ですが、就職の際にも少しは評価してもらえたらいいなと思っています。

管理人からスミレさんへ追加の質問

 ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 少しの時間でも毎日勉強を続けること。仕訳を苦手としないこと。過去問題をたくさんやること。簿記検定ナビや他の簿記サイトなどにも書かれている、基本の勉強方法が一番大事だなぁとつくづく思いました。1日休むとあっという間に忘れます。

 あとは、私は勉強期間が8ヵ月もかかったので、長くても6ヵ月くらいまでにできたらもう少し楽だったかと思いました。長すぎて途中何度も心が折れそうになりました。人間のモチベーションも、そうそう長くは続かないものだと思いました。

管理人コメント

 スミレさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

 まず、スミレさんの合格体験記で参考にしていただきたいのは、試験日当日の流れのところに書いていただいた「いつも1→2→4→5→3の順番で解くのですが、とりあえず落ち着こうと思い、先に第4問へ」という部分です。

 解く順番については、練習段階から「自分に合う組み合わせ」を考えながらやることをおすすめしていますが、この解く順番はあくまでも仮のものなので、本試験では問題の難易度に応じて弾力的に変更・修正してください。

 たまに、解く順番を完全に固定されている方がいらっしゃいますが、このやり方ではドツボにはまって解答時間を浪費してしまう可能性が高くなるので、必ず試験開始直後に第1問~第5問の全てに目を通して、解く順番の確認をしてから問題を解き始めるようにしてください。

 あとは「(第2問の)問題を読んでみると、さほど難しいことは言っていないということがわかりました」と書いていただきましたが、これも大事なポイントです。

 本試験の緊張状態の中で未知の問題に遭遇すると、スミレさんのように頭の中が真っ白になると思いますが、こういう状態で無理して解いても余計に混乱するだけなので、さっさと飛ばして他の簡単な問題を解いてください。

 その後、気持ちが落ち着いた状態でもう一度戻って問題を考えてみると…冷静さを失っていた時とは問題の見え方が違うと思います。未知の問題については満点を取る必要はないので、「取れるところだけ確実に取ればいい」と気楽に考えて取り組むようにしてください。

 本試験で未知の問題に遭遇したときのポイントをまとめると、「ひとまず飛ばす(無理に解かない)」「気持ちを落ち着かせた上で再チャレンジする」「満点は狙わない、むしろ必要ない。粘り強く部分点を積み上げていく」の3つです。

スミレさんが使われた教材や電卓のまとめ