総合問題を解く際は、本試験を想定して計算用紙の使い方も意識しましょう!
- 投稿者:あっと!さん
- 勉強形態:独学
- 受験回数:1回
- 勉強期間:約4か月
目次
はじめに
金融業界勤務で、会社からは毎年何らかの試験を受けるように推奨されており、3級は4年ほど前に取りましたが、それ以降きちんと簿記というものには触れておりませんでした。「折角3級をとったのだから、2級もいつかは…」という程度の考えはありましたが。
業種柄、B/SやP/Lなどの基礎知識はありますが、実務で経理をやっているわけではありませんので、仕訳などには全く縁が無く、このままだと簿記からどんどん遠ざかってしまうと思い、2級の受験を決意しました。
表題で「基礎」と「応用」と言い古されてきたような言葉をあえて使わせて頂いたのは、「基礎」となる簿記のベースの考え方と、「応用」としての試験対策がどちらも両輪として必要である、という事をお伝えしたかったからです。
特に、簿記は受験する回によって難易度が乱高下しています。前回(133回)のように合格率が40%を超える回もあれば、今回(134回)のように合格率が10%台という回もあります。たまたま厳しい回にあたってしまった人はアンラッキー、次受ければいいや、と考えて臨むのでしょうか。自分はそれは大いなる時間の無駄だと思います。
時間に余裕のある人ならまだしも、仕事もあり時間のない社会人ならば一発で受かるつもりでやるべきだと思いますし、自分の体験記はそういった、「短期集中・一発合格を目指す」方の参考にして頂ければと思います。
トータルの勉強期間としては約4ヶ月です。以下、時系列で記載いたします。
最初の3ヶ月間
下記参考書を使用しました。
- 「ポケットテキスト(商業簿記)」(TAC出版)(以下、「ポケット」)
- 「ポケットテキスト(工業簿記)」(TAC出版)(同上)
- 「スッキリわかる(商業簿記)」(TAC出版)(以下、「スッキリ」)
- 「スッキリわかる(工業簿記)」(TAC出版) (同上)
この期間は、平日、通勤時間に「ポケット」を、お昼休みや仕事の空き時間に「スッキリ」を読んで、気になるところはノートにまとめ、整理する、という作業をしました。平日夜や休日は特に何もしていません。
どうしても試験が近くならないとエンジンがかからない、というのは人の常かと思いますが、この段階では「細かい点まで頭で深く考える」というよりまは、さほど根を詰めず「全体を俯瞰するようにさらっと読む」感覚で何回も繰り返し読みました。ここで、3級の復習と、簿記のベースとなる考え方(「基礎」)の整理・確認はできたように思います。
今試験が終わってから振り返ると、今回の2問目のように、過去問や模擬問題集ではほとんど見たことがないような問題が出ることもあり、小手先の試験対策(過去問や模擬問題集だけに頼る=「基礎」をおろそかにして「応用」しかやらない)の危うさと、「基礎」の重要性を痛感いたしました。
1ヶ月前からの1週間
下記問題集を使用しました。
- 「出題パターンと解き方 過去問題集」(ネットスクール出版)(以下「パタ解き」)
- 「日商簿記検定 模擬問題集」(ネットスクール出版)(以下「模擬」)
「ラスパ」の中に「予想大会DX」なるネット講座を無料で受講できる、と記載があり受講いたしました。ネット講座ではありますが、PCの画面ごしに試験対策を熱く解説する講師の方々に大いにモチベーションをあげて頂きました。受験勉強でここまで熱い気持ちになれたのは本当に久しぶりでした。
特に、予想大会の最後に桑原先生がおっしゃられた「誰かに良くしてもらった事は誰かに返す」という言葉は忘れられません。先生ご自身のエピソードにも思わず涙ぐんでしまいました(この体験記は先生へのお礼を兼ねた「お返し」と、ほかの受験生に少しでも役立てば「お返し」になるというつもりで書いています)。
「ラスパ」の出来がボロボロであった事から、「応用」(試験対策として問題を解く事)の重要性を認識し、予想大会DXで盛り上がったモチベーションの勢いも借りて、「パタ解き」と「模擬」を購入しました。
それからは、平日は朝早起きして出社し始業前の1時間、昼の1時間、寝る前の2~3時間、休日は1日中、ひたすら解き、間違えた箇所はノートで自分なりにまとめを記述するという作業をしまくりました。
その後、2周目以降は出来た箇所は飛ばしながら、「ラスパ」・「模擬」と2回転、「パタ解き」を1回転やりました(この間、有給を1日とりました)。
なお、問題をやる際には、次の2点を意識して取り組みました(これは他の方々の体験記などを参考にさせて頂きました)。
- 常にスピードを意識して時間を計測(大問1問につき20分)
- 1回分で使用する計算用紙も本番同様にA4の1枚に限定。二つ折りにして下書きや計算もコンパクトにまとめるように意識。
この3週間はパリパリ勉強して最もエンジンがかかっていましたが、家では平日も休日もピリピリしていましたし、家の事や子供たちの世話も妻任せで何もせず、申し訳なかったと思っています。
気を遣わせてしまい家族に悪いので、休日は近所のネットカフェに籠もって早朝から勉強してました。
直前1週間
「パタ解き」「模擬」をもう1回転(この段階では、もうやった問題なのでおよそ8割から9割は得点できるようになりました。)やり、その後、繰り返して間違えた(=苦手な)問題をやりました。
試験前日
翌日に疲れを残してもいけないと思いあまり根を詰めずに「ラスパ」の苦手な問題だけを解いて、あとは子供と遊んだりしてリラックスして過ごしました。
試験日の1日の流れ
朝7時起床。試験は午後からで、午前中も勉強する時間はあるのですが、さすがに緊張しており、問題を解く作業はせずに、今までまとめてきたノートなどをさらっと眺めていましたがほとんど頭に入らない状態でした。今更ジタバタしても、という気持ちもありました。
早めの昼食をすませ自宅を出て、12時50分くらいに会場につきました。大原簿記専門学校の中の40名くらい入る教室でしたが、自分より先に入っている人は一人だけでした。
試験開始時点でも、2割くらいの席は空いていました。ちなみに、余談ですが、合格発表で合格者の受験番号を見たところ、その教室で合格していたのは4人でした。30人程度の受験者で4人ですから、やはり合格率は低かったのか、と実感しました。
その後試験が始まるまでは席で目を閉じて頭を休めたりしていました。何もしていないと不安になるので、一応、ノートだけは持って行って机の上に広げてはいましたが、殆ど見ていませんでした。
2時間の長丁場なので、トイレだけは始まるまでに3回くらい行っておきました(3級の時はこれで痛い思いをしました。開始1時間くらいで我慢できず、見直しもせずに途中退席。合格はしましたが、冷や汗ものでした)。
- 試験開始!
開始前に試験官の説明と、解答用紙に受験番号や氏名を記入する時間が与えられ、その時に解答用紙に、自分の得意な精算表が見えたので、ちょっと嬉しくなりました。その後、耳栓をして、計算用紙を二つにおり、集中モードに突入し試験開始。
第1問
1問目の減価償却でいきなりひっかけのように、「直接法」と来たので、早くも「難易度があがる」という自分の読みが当たったと思い、ここは注意深く解いて気が抜けたのか、2問目の積送品と3問目の社債で間違えてしまいました。
普段なら間違えないようなところで間違えてしまっており、試験とは怖いものだと後から思いました。試験が終わった後、会場出口で第1問だけの解答速報が配られており、そこで20点中12点しか取れていない事が分かってしまいました。不合格かも、とがっかりしながら帰宅の途につきました。
第2問
銀行勘定調整表。第2問は変化球問題が多いと聞いており、また、パっと見で初見の問題でもあったので、ちょっとやって分からなければ後回しにしようと考えながら臨みましたが、そのまま解けてしまいました。
変化球かと思いつつ、意外とスラっと解けてしまったので、基本的な考え方で勘違いしているところがあるのではないかと、家で解答速報を見るまでは不安でしたが、18点とれていました。
銀行勘定調整は解答速報会によれば、本番での出題は10年ぶりとか。予想していた人はほとんどいなかったようです。とはいえ、問われている事はさほど難しい事ではなく、銀行勘定調整そのものは大問として問われる事はないにしても、精算表の期末勘定調整項目でよく出てきますし、問題文をよく読めば7~8割はとれるのではないかと思います。
また、最後の「現金の残高」は「配当金領収証」も含まれるとしっているかどうかもポイントであったかと。
ここに関しては、最初に購入して読んでいたテキストのおかげでした。「応用」(数多くの問題を解いてパターンに慣れる)だけではなく、「基礎」(蓄積した知識をもとに自分で考える)も求められていると感じました。
第3問
精算表。誰もがそうだと思いますが、3級のころからやりつくしている得意問題なので、自分がよくミスをしていた前受家賃と前払保険料の月数を特に注意しながら丁寧に計算し、20点取ることができました。
ひっかかった点としては、仕入勘定ではなく売上原価でPLに出すところと、売上割戻引当金(しかも意外と細かい数字になる)の2箇所くらいでしょうか。
第4問
製造原価報告書・損益計算書。上から順に数字を入れていき、そのまま解けてしまいました。何か見落としているトラップがあるのか、これも採点するまでは少し不安ではありましたが、特に何もないようで、20点でした。
あえてポイントを挙げるとすれば、材料費と労務費の直接と間接の区別でしょうか。ここがあやふやな人は結果としてまとまった点数を落としたかもしれませんが、当然おさえておくべきポイントではあるかと。
第5問
原価計算。ここで合否の差がついたと個人的には思います。ここで聞かれているのは、「直接」原価計算だけではなく「全部」原価計算との「違い」が理解できているかであり、ここを理解しているか否かで半分以下しか取れなかったか、7割以上取れたか、の差がついたと思います。
この論点はネットスクールの『模擬問題集』にかなり突っ込んだ模擬問題が載っていました。最初は全く点が取れず、個人的に苦手な論点ではありましたが、捨てずに部分点は取れるように勉強していたのが奏功し、16点取る事が出来ました。
とはいえ、出題のされ方も文章の穴埋めのような形式でちょっと今までの傾向とは違い、これも変化球だったのでしょうか。冷静に読めればよいのですが、自信がないと動揺していたかもと思います。
以上、自分は出題の順番通り、1→2→3→4→5と解いていきました。というより結果的にそうなったのですが、下記2点は意識して臨みました。
- 第2問は変化球が多いので、場合によっては後回し
- その他の問題も5分詰まったら次の問題へ移る
所要時間は、第1問15分、第2問15分、第3問20分、第4問15分、第5問15分でトータル80分。残り40分を見直しと自己採点のための解答書き写しに充てる事ができました。
数多くの問題をこなし、スピードも意識して鍛えてきたのが本番でも効果を発揮しました。結果としてトータル86点で、無事合格となりました。
最後に(おすすめの文房具のご紹介)
シャーペン
「クルトガ」はおすすめです。芯が回転するので常に細い線で記入できます。精算表作成などでは大活躍してくれました。普段、仕事でも使っています。
ノート
電車でも開く事ができるようにサイズはコンパクトなB6、綴じはリングタイプ。罫線は縦横にある方眼罫が使い勝手がよいです。
消しゴム
「ミリ消し」や「アナタス」など色々試しました。これらも結構使えますが、結局本番では「MONO」の小さめサイズ二つ(一つは使い古しで角が丸くなった広範囲用、一つは新品で細かい部分用)が便利だったように思います。
耳栓
これはおすすめです。他にも使っている人がちらほらいました。使って良かったです。電卓を叩く音や鉛筆で記入する音などに気を取られてしまうのが嫌だったので。おかげで解答に集中することができました。
管理人からあっと!さんへ追加の質問
今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか? | |
「ポケットテキスト(商業簿記)」「ポケットテキスト(工業簿記)」
80点。おすすめできます。上記2冊はコンパクトサイズで、電車の中での勉強に重宝しました。コンパクトサイズの本は意外と少ないので、貴重だと思います。 「スッキリわかる(商業簿記)」「スッキリわかる(工業簿記)」 70点。おすすめできるかも。絵入りで分かりやすいのですが、もう少し例題が多く載っているといいかと思いました。 「出題パターンと解き方 過去問題集」 90点。おすすめできます。出題パターン別に掲載されていましたが、自分的には試験回数ごとの掲載のほうが良かったかもと思いました。 「日商簿記検定 模擬問題集」 100点。絶対おすすめ。過去問でカバーしきれない論点が掲載されています。自分はこれに救われました。 「ラストスパート模試」 100点。絶対おすすめ。とにかく、必ずやっておくべきです。また、購入者が受けられるネット講座も必須です! 以上、模擬問題集とラスパはおすすめというより「必須」です。残り3週間はこの2冊を集中してやるといいかもしれません。 |
あっと!さんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか? | |
得意な論点
精算表。3級のころからやりつくしている問題。 苦手な論点 「直接」原価計算と「全部」原価計算。問題と解答を覚えるくらい繰り返し解き、ノートにまとめた上で直前期(前日)に見ました。 |
あっと!さんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。 | |
・「次はない、今回で最後だ」と自分にいいきかせ気合を入れました。「落ちても次がある」と思うのとは大違いだと思います。
・常に1回分(第1問から第5問まで)を1セットで時間を計って解き、都度合否判定をしました。合格なら素直に嬉しいですし、点がとれなければ悔しい、そんな一喜一憂がいい刺激になったかと思います。 ・本番3週間前のネット講座「予想大会DX」。これは独学でやっている人は特に受講すべきです。モチベーションがあがります! |
あっと!さんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。 | |
・「次はない、今回で最後だ」と自分にいいきかせ気合を入れました。「落ちても次がある」と思うのとは大違いだと思います。
・常に1回分(第1問から第5問まで)を1セットで時間を計って解き、都度合否判定をしました。合格なら素直に嬉しいですし、点がとれなければ悔しい、そんな一喜一憂がいい刺激になったかと思います。 ・本番3週間前のネット講座「予想大会DX」。これは独学でやっている人は特に受講すべきです。モチベーションがあがります! |
管理人コメント
あっと!さん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!かなり詳しく書いていただいたので読み応えのある合格体験記に仕上がっていると思います。
それでは早速、中身を見ていきますが、受験生の皆さんにぜひ参考にしていただきたいのが、「1回分で使用する計算用紙も本番同様にA4の1枚に限定。二つ折りにして下書きや計算もコンパクトにまとめるように意識。」という部分です。
本試験では、A4の計算用紙1枚に全ての下書きを記入する必要がありますが、普段から意識してコンパクトにまとめる練習をしておくと無駄な下書きを減らすことができますし、「先に二つ折りにする」など賢い使い方を身につけることができます。ぜひ取り入れてください。
あと、試験日の1日の流れの第5問のところで、「その他の問題も5分詰まったら次の問題へ移る」と書いていただきましたが、このような「マイルール」を事前に用意しておくことはとても重要だと思います。
本試験では予想外の問題が出題されて、頭が真っ白になってパニック状態になってしまうことも十分考えられますが、1つの問題に時間をかけすぎるのは非常に危険なので、あっと!さんのように「マイルール」を事前に用意して、1つの問題にハマりすぎないように気をつけてください。
あっと!さんが使われた教材や電卓のまとめ
- テキスト:ポケットテキスト 日商簿記2級 商業簿記
- テキスト:ポケットテキスト 日商簿記2級 工業簿記
- テキスト:スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記
- テキスト:スッキリわかる 日商簿記2級 工業簿記
- 問題集:日商簿記検定 模擬試験問題集2級
- 過去問:日商簿記検定2級 過去問題集 出題パターンと解き方
- 予想問題集:日商簿記2級 ラストスパート模試
- 電卓:SHARP EL-R336L
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