漫画を書いて覚える、見て覚える!新感覚勉強法で一発合格!

  • 投稿者:ふじまさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約4か月

はじめに

 私が簿記を受けたのは、少しでも就職を有利に進めようとしたのがきっかけです。私は今年3月に大学を卒業し、未だ内定をいただいておりません。事務職希望で、何か能力を身に付けていないと厳しいと思い、簿記に挑戦した次第です。全く0からのスタートで、最初は「就活>バイト>簿記」という優先順位でしたが、本番が近づくにつれ簿記一本に調整していきました。

 本番3日前には風邪をこじらせてしまい、当日も咳が止まらない中必死で問題にくらいつきました。結果は72点(うち、第3問と第5問が満点)、ギリギリの点数でしたが、新傾向の出た今回に一発で合格できたのは本当に幸運だと思っています。今後は資格を強みに就活を再開するつもりです。

使用テキスト等

  • メイン(4つで税込み4536円)
  • 「20日で合格るぞ!日商簿記2級高速マスターテキスト商業簿記」東京リーガルマインド
  • 「同、工業簿記」(安さとイラストの多さが決め手)
  • 「ドンドン解ける 日商簿記2級過去問題集」成美堂出版(安さとボリュームが決め手、後でもっと安いものを見つけてショックを受ける)
  • 「日商簿記検定 模擬試験問題集2級」実教出版(値段とAmazonのレビューが決め手)
  • サブ(全て無料、補助問題として時々使用)
  • 電卓
  • SHARP COMPET CS-2128(父から貰った年代物、キーロールオーバー無し)

基礎固め(7月中旬~9月上旬?)ペース:バイトの休み時間、帰宅後、基本気が向き次第

 簿記の知識0だった私は、まず図書館でいくらか入門書を借り、読み漁りました。特に良かったのは「ナマケモノシリーズ(1)ラクしてわかる簿記入門」(ダイエックス出版)、店の創業から決算までの流れが会話とイラストで構成されていてわかりやすかったです。大まかな流れがわかってきたら、テキストの精読を始めました。

 1日の目安は特に決めず、ひたすら読み続けました。また家にいる時は章末の復習テストを解き、ノートにまとめました。勿論それだけでは足りないので、商業簿記は簿記検定ナビの仕訳問題を解いていき、間違えた問題はカードを作成しました(以後、仕訳問題で間違えるたびカードを増やす)

 工業簿記はネットで見つけた無料問題集を解き、難しい問題のみノートにまとめていきました。しかしこの頃は勉強の方向性がまだ見えてませんでした。加えて就活優先、バイトの繁忙期、暑さに負けたという事情?もあり、勉強は後回し気味でした。実力も3級すら解けないくらいだったと思います。

実践(~10月下旬)ペース:バイトの休み時間、帰宅後、週2日の休日は約8時間

 基礎すら固まっていませんでしたが、本試験形式に慣れるのが先と、休日に過去問を解き始めました。最初はテキストを見ながらたっぷり時間をかけ、答え合わせをしたら過去問専用ノートを用意、間違いノートをつくっていきました。見開きで使い、左に問題文の丸写し、右に解説を書き込み、その上部に解答用紙を張ったものです。

 声を出しながら書くことを心掛け、耳からも覚える工夫をしました。隙間があればイラスト付きで説明を加えます。この作業だけで1回分1日かかりましたが、5回分ほど捌くと傾向もわかってきました。そこで得意のイラストを駆使して漫画を描き、楽しみながら簿記を理解していこうと思い立ちました。

 内容は(1)問題の論点で大事と思うことを提示、(2)その解説(キャラクターが説明して いく形式)、(3)合間に注意点を入れつつ、(4)結論という流れで、新たに気づいたことがあればそのたび台詞を足していきました。この漫画は(1)次のコマを考えながら描くことで解く順序を覚えられる、(2)イラストで見直しがしやすくわかりやすい、(3)自己流に楽しく描けて気晴らしに最適などの利点があってとても役立ちました。

 特に手間のかかる第3問や種類の多い工業簿記には力を入れています(種類は商:精算表・本支店会計・貸借対照表・損益計算書、工:原価計算・工業簿記一巡・損益計算書・仕損品・部門別計算・原価差異 各見開き1~3ページ)。以後、平日は漫画・補助問題・テキスト精読(バイトの休み時間のみ)、休日は主に過去問という構成で勉強を進め、過去問を一通り解いたら もう一度新しい順に解きなおしていきました。

 因みに電卓の便利な使い方(GT機能等)も知っておこうかとは思いました。しかし問題もまだ満足に解けないのにまた覚えるのは大変という訳で、電卓は普通に使い続けました。ブラインドタッチも出来ないままです。そうこうしているうちに、いつしかテキストは見なくなり、ノートの量も減っていきました。基礎固めでやっていた3級の問題も解かなくなりました。そして10月が終る頃には正答率が半分を上回り、解くのが早くなったおかげで過去問を1日2回分解けるまでになりました。

仕上げ(~本番前日)ペース:週5~6日で1日約8時間

 11月に入り、私は会社にお願いしてバイトを週1日にしてもらい、残りを全て勉強に注ぎ込みました。そして解ける問題の幅を広げるべく、模擬試験問題集を購入しました。1日の流れは模擬試験問題とその答え合わせ→過去問の解きなおしと答え合わせ→時々ノートの作成と問題集付属の補助問題という具合です。

 過去問が済んだら問題集の反復へと移行していきました。但し反復はいずれも1回のみ、回を重ねすぎると答えを覚えてしまうからです。同時に漫画の充実もはかりました。商業簿記は振り返りも兼ねて注意点に重点を置いた改訂版を作成、仕訳もカードだけでは理解しにくい論点のみ漫画化しました(仕訳の論点は損益計上、消費税、繰越利益剰余金配当、買付・売上計算書、企業合併 仕訳は各見 開き0.5~1ページ)

 工業簿記は問題集で新たに登場した論点のみ漫画に、他は既に作った漫画に新発見の事柄をひたすら書き込んでいきました。ところが追い込み迫る試験の3日前から、突如風邪を引いてしまいました。鼻水・咳が止まらない上のどが痛くて声が出せない、とてもつらかったです。

 それでも「これはハンデだ!より速く解く練習だ!!」とばかりに解くスピードを上げ、ついに前日までに手持ちの問題を全て反復し終えました。そしてはやく風邪を治そうと、発症した日から21時には勉強をやめ、22時までに床に就きました。この時点での実力は模擬試験問題で毎回合格点前後が取れる程度です。

ふじまさんのまとめノート(間違いノート)&漫画紹介こ~な~

 ①ノート(商)…左ページは出典を書き問題文を丸写し、イラストは漫画でのキャラクターに対応。右ページは間違えた問題だけ答えと解説を写す、隙間にイラスト、こちらの上部にぺラッとめくれるように解答用紙を貼り付ける。

 ②ノート(工)…問題文と解答を丸写しし、すぐ下から解説を書き込む、隙間にイラスト、問題によって見開き半ページで済むことも

 ⑨イラスト…精算表に出てくる保険料と原価差異の式がどうしても覚えられず、ノートの表紙に張りました。蛇足ですがキャラクター達は私の大好きな漫画『ONE PIECE』に出てきます。

商業簿記ノート
商業簿記ノート
工業簿記ノート
工業簿記ノート
漫画:精算表1
漫画:精算表1
漫画:精算表2
漫画:精算表2
漫画:精算表3
漫画:精算表3
漫画:工業簿記一巡1
漫画:工業簿記一巡1
漫画:工業簿記一巡2
漫画:工業簿記一巡2
漫画:工業簿記一巡3
漫画:工業簿記一巡3
間違いノートの表紙
間違いノートの表紙

試験日当日の1日の流れ

 症状は軽くなったものの、風邪は治りませんでした。試験は午後からなので、鼻にティッシュを詰めながら家で簿記検定ナビの仕訳問題をやっていました。問題の中でも以前間違えた問題だけをひたすら解き、解けた問題のカードを抜いていくとそこでもうお昼です。会場に着いてからは、トローチを噛みながら漫画と朝抜き取らなかった仕訳カードを何度も見直していました。

 本番でまず取り掛かったのは第1問、取引は単純でも科目をどう選ぶかが鍵という印象を受けました。特に5は借方を広告宣伝費にするか支店にするか最後まで悩みました。普段なら次に第2問をしますが、見慣れない形式だったので先に工業簿記をしました。

 第4問は製造間接費勘定を埋めきったものの、仕掛品勘定の完成高の出し方に戸惑い、後回しにしてしまいました。後で売上原価勘定を見て、貸方=借方という大原則を思い出し、大慌てでそこからさかのぼっていって全ての勘定を埋めきりました。本番中とはいえかなり恥ずかしかったです。

 第5問もまた当月着手だけ実際原価とわかっていても、緊張のあまりそれ以外を埋められずに飛ばしてしまいました。それでも戻ってきた時は「ホラ、原価差異!○○(←キャラクター名)の漫画たい!パーシャルだから当月以外は標準原価!でも労務費と製造間接費は進捗度に気をつけて…」などと心の中で確認しながら落ち着いて解きました。

 次は新傾向の第2問、「何これ!?ふざけんな!!」と叫びたくなりました。まだ緊張ほぐれぬままかなり大雑把に資料2の取引を仕訳し、やはり大雑把に解答して第3問へ手をつけました。

 第3問は得意の精算表、思ったより問題が素直でおかげで緊張もほぐれました。私は精算表を解く上で「修正記入を完璧に埋めきってから損益・貸借欄を埋める」ことに気をつけています。以前は得点につなげたい思いで、横一列を埋めきることに重点を置いていました。ところが記入漏れが多く、なかなか一番下の合計欄が左右で合いません。

 それに回を重ねるにつれ、横にこだわらなくても時間内に捌けるようになったので、その方法はやめました。本番では一発でどの合計欄も釣り合いました。そして解きながら「今回は第2問で落とすハラだろうから、第3問から後ろは完璧にしよう」と意気込み、先述のように綺麗に捌き切りました。

 再び第2問に戻り、今度はいくらか字も丁寧に書き、落ち着いて計算用紙に仕訳をし直しました。仕訳に間違いが無いことを確認したら、正解に自信のある科目や1回しか登場していない科目を優先に解答し直しました。計算用紙のほうではわからないところはそのままにしておき、その部分に関わらない科目と取引を二重線で次々と消していきます。そして資料1も見ながら何が済んでいないかを注意深く確かめていきました。

 残り30分で全問空欄を埋め切り、あとは見直しと第2問の追及に費やしました。しかし6は委託販売の増減(積送品売上で増加、現金回収で減少)を見抜けませんでした。7の割賦販売にいたってはノーマークだったので全く出来ませんでした。当然損益計算書は全滅です。解いた順序は1→4(半分)→5(4分の1)→2(大雑把)→3→4→5→2、試験終了後も第2問が気がかりで仕方ありませんでした。

管理人からふじまさんへ追加の質問

 教材の選び方について、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 テキストは書店で見て使いやすいと感じたものでいいと思います。過去問はわざと解説が少ないものを選ぶのも手かもしれません。例えば問題を解いた後に答えだけを見て、違ったところは何故違うか再び考えます。考え抜いた答えが正しければ、自分の解法が正しいと判断できるので、それを次に生かしていけます。もし再び間違えれば、最小限の解説を見ながらきっとこうだからこうなるのだろうと考えながらノートに詳しくまとめていけます。いわば解説は自分でつくっていくことになるので、最初から詳しい解説を丸写しするよりは身に付くのが早いのではないでしょうか。

 そして問題集は模擬試験問題集をお薦めします。演習問題ばかりを解くよりも、模擬試験をこなした方が本試験の感覚が身に付きます。それに問題集には補助問題もついてるので、時間の無い時はそれで対処できます。本試験と同じ~上級レベルで模擬問題の多いものが最良です。

 勉強方法について、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 段階に分けて勉強すると効率がいいと思います。私の勉強方法を元に下に例を挙げてみました。

 基礎固め:あまり時間をかけないこと、私はここでだらだらし過ぎて問題への取り掛が遅れました。

 実践①:過去問をします。はじめは時間をかけ過ぎても、テキストを見ながらでもいいと思います。この段階の目標は本試験形式とその難易度に慣れ、問題の本質を見極めることだからです。一番大事なのは復習です。仕訳は間違えた問題はカードにしていきます。たまってきたらカードの問題を一通り解きなおしてみて、解けたらカードを抜いていき、新たに間違えたら足す、解けたら抜く、この繰り返しだけでも仕訳を解く力が上がると思います。

 また第2問以降は間違いノートを是非作るべきです。私はノートは自分の成長記録だと思っています。ノートに問題文と解説を写し気づいたことを書く、問題を解いた当日はここまででいいです。問題をドンドン解いてノートの中身を増やす中で似た問題に出会ったとき、新たに気づいたことがあれば以前書いたページに戻ってそれを書き足す。この繰り返しでノートを充実させていけば、自然と間違いは減っていくでしょう。私の場合漫画を描くという形でも復習をしてきましたが、やっぱり手を動かすのは大事です。出来合いの解説を読むよりも、手書きの解説のほうが頭に入っていきます。

 実践②:過去問を一通りやったら模擬問題をやって欲しいです。一日にやる分を「過去問(ノートをたっぷりとる)→過去問2回目&模擬問題一回目→模擬問題1回目&模擬問題2回目」の順に消化していくと無駄がありません。半端な時間は補助問題と復習に当てるといいでしょう。

 仕上げ:個人的には仕訳に重点を置くといいかなと思っています。仕訳は全ての問題の根本ですし、出来なければ他の問題にも響きます。もう一度今まで解いてきた仕訳問題を全て解きなおし、改めてきちんと身についているか確認し、苦手分野はテキストに戻って解き方を見直すといいのではないでしょうか。

 その際は簿記検定ナビの仕訳問題がとても役立ちます。私は仕上げの時間が殆ど無く、漫画に熱を入れすぎて仕訳は後回し気味でした。案の定本番では第1問は5問中2、3問しか出来てませんし、第2問も完璧な仕訳は出来ませんでした。…あとは楽しんで勉強できればもっと身に付くのが早くなると思います。

 今後は簿記2級をどのように活かす予定ですか?簿記1級や税理士などの上位資格に挑戦される予定はありますか?
 資格は現在は就活での強みとして生かしていきたいです。投稿文にも書いたとおり、私は学生時代から事務職志望で就活をして参りました。事務職は時として簿記の知識も求められます。今回試験に合格したことで自分に自信がつきましたし、アピールポイントにもなると考えています。勿論晴れて就職が決まれば実務で大いに発揮していきたいです。

 上位資格を目指す予定は今のところありません。私はあくまでも就活に弾みをつけようとして挑戦したので2級で満足しています。強いて言えば本番で8割は得点したかったなとは思っています。

管理人コメント

 ふじまさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!自作の漫画の画像を見せていただいたときは、正直「やりすぎ!」と思いましたが(笑)、漫画形式で覚えていくとストーリーの流れで各論点を記憶出来るので、勉強時間に余裕のある方には一考の余地があ…いや、費用対効果を考えるとやっぱり「やりすぎ」だと思います(笑)

 漫画についてはひとまず置いておくとして、ふじまさんの勉強スタイルでぜひ見習っていただきたいのは、間違いノートを作る際に「声を出しながら書くことを心掛け、耳からも覚える工夫をしました。」という部分です。目・耳・口を使うことによって記憶の定着率が上がると言われていますので、間違いノートはぶつぶつ呟きながら作ると良いと思います。

 簿記試験レベルで間違いノートは必要ない、過去問の重要性は近年下がってきた…という意見もありますが、個人的には「日商簿記検定は、過去問対策と間違いノート作りは必須」だと思っています。短期合格・一発合格する人ほど、この2つを着実にこなしていますので、受験生の方にはぜひ見習っていただきたいポイントです。

ふじまさんが使われた教材や電卓のまとめ