年齢を言い訳にしない!為せば成る為さねば成らぬ何事も!

  • 投稿者:しゅーくりーむさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約1か月半

はじめに

 128回の2級を受け、なんとか合格しました53歳のしゅーくりーむといいます。私が3級を受けたのは、はや15年前のことです。その時は満点合格しましたが、次に2級を受けようという気持ちは全く無く、今回まで3級の資格のままでした。経理の実務経験も15年ほどですが、資格の必要性は感じずにきました。

 そんな私でしたが今回にわかに2級受験を思い立ったのは、転職のためでした。会計関連の仕事に就きたかったのですが、募集内容を見ると、たいてい資格欄には「簿記2級」とあり、2級が必要なのだと気付きました。年齢が年齢ですので就職もハードルが高く、あまり深く考えずに「2級に挑戦しよう。」と決めました。

購入した教材について

  1. サクッとうかる日商2級商業簿記 テキスト
  2. サクッとうかる日商2級商業簿記 トレーニング
  3. スッキリわかる日商簿記2級 工業簿記
  4. 合格するための過去問題集 日商簿記2級

 1.の商業簿記のテキストは非常に解りやすく、活用できました。100点でお勧めです。2.のトレーニングはテキストの項目を読んだ後に、その都度、対応問題を解いていきました。こちらもテキストと同様に100点でお勧めできます。

 3.については、商業簿記をテキストと問題集で一通り済ませた後に購入しました。商業では2冊構えでしたので、当たり前ですが対象の項目を別々に開かなくてはならなかったため、1冊にまとめてあるこちらは使いやすいかなと思って工業簿記はこちらを選択してみました。

 結果的には、2冊での対応のサクッとシリーズの方が良かったかなと思います。というのは、簿記の学習の性質上、暇をみてどこでも学べるというものではなく、電卓で計算する内容がほとんどで、机に向かわざるを得ないものでしたので、特に2冊でも不自由は無かった気がするからです。

 スッキリシリーズも、解りやすくまとめてある気はしますが、問題集と一体化しているため、ページスペースの問題上、説明が簡略化されているのか、もしかしたら理解により時間を要したのかもしれません。このテキストしか使っておりませんので、一概には言えませんが…僭越ながら70点くらいでお勧めです。

 4.の過去問については、解説が詳しそうでしたので選びました。かなり詳しく説明してありますが、実際には内容を熟読した個所はほとんどありませんでした。じっくり読めば良かったのでしょうが、どんどん問題を解いていくことに重点を置いていたので(勉強期間1ヶ月半)、解答を追っていくのが精一杯でした。僭越ながら80点くらいでお勧めできます。

勉強を始めてみると

 テキストを買ったのは震災の前で、商業の方は一通りテキストを読みました。しかしあの震災で周囲の状況が一変、簿記の勉強どころではなくなり、震災ショックとでもいいますか、再びテキストを開いた時(GWの少し前でした)には、読んだはずのテキストの内容は全て頭から消え去っていました。

 商業の方はなんとか理解もできましたが、工業はまるっきり初めてで(商業系の学校出身ではありません)、全くちんぷんかんぷんでした。ヒマさえあればテキスト、次に演習問題、次に過去問、とやればやるほど解らなくなる自分に絶望しましたが、過去問を2回~3回と解くうちに、かなり理解ができてきました。

 工業簿記は、仕掛品から製品となるまでの「イメージ」をつかむことが大事だと気付くまでに、かなりの時間を要しました。こういう道のりの長さはきっと独学ゆえだと思います。

試験本番を迎えて

 実際の試験では、緊張と脳の老化で試験用紙の問題がすんなり脳に届かず、仕訳も逆に考えてしまうほど、コチコチガチガチになってしまいました。

 慣れない大教室での試験では、受験者の電卓の音ばかりが耳に響き、なぜこんなことに挑戦してしまったのだろうと、試験中なのに集中するどころか根源的な問題に立ちかえる始末。勉強して理解することと、試験で2時間以内に結果を出すことはまた別問題でした。

 でも、受けたからにはなんとか受かりたかった。いつもは必ず計算間違えしていた精算表が本番の試験では貸借ピタリと合った時は、試験中なのに嬉しさで泣きそうになりました。(でも清算表は満点ではなかったですが・汗)

 最後の10分くらいで伝票の間違えに気付き、最初からやり直したことにより圧倒的な時間不足に陥り、答案見直しゼロで終了でした。工業はさっさと終えてしまったことが逆に不安でした。

本試験を終えて

 結果は12点・20点・14点・20点・20点/86点での合格でした。正直、これだけの得点をとれたことが驚きです。もちろん努力はものすごくしたけれど、試験中は雑念にかられ、勉強量の3割も結果が出せなかった気がして自己嫌悪でした。まさに歳をとるとはこういうことかと、思い知らされた試験でした。

 とはいえ、奇跡的に終了直前に伝票の間違えに気付いてやり直したり、工業簿記が満点だったり、何者かが自分に力を与えてくれたという気さえしました。後で知りましたが、私は管轄の商工会議所の受験者(400名弱)のうちの、最高齢の受験者で合格者となりました。

 肝心な就職は、2級の発表の前に採用が決まっていましたので、2級合格をひっさげたわけではなかったですが、私にとってこの簿記2級こそが、生涯で一番大変で一番重みのある試験になりました。

 ちなみに試験の発表の日が53歳の誕生日に当たり、忘れがたい誕生日となりました。

試験日の1日の流れ

  • 7時

 起床&朝食。その後、洗髪・シャワーなど…普段と変わりなく。

  • 11時50分

 夫に駅まで送ってもらう。

  • 12時

 電車にて試験会場へ向かう。最寄駅のコンビニエンスストアにて、昼食用パン購入する。

  • 12時30分

 試験会場到着。自分の席を確認して荷物を置いておく。試験会場のロビーにて、パンと飲み物で昼食をとる。

  • 13時

 着席。商業簿記のテキストにて、未着品売買などの仕訳を確認する。

  • 13時30分

 試験官より説明開始。問題用紙・解答用紙・メモ用紙が配布され、解答用紙の全てに氏名を記入するよう指示される。

  • 13時45分

 試験開始。10分くらい経ったころに、初めの退室者が出ました。電卓の音がカチカチと響くのが非常に焦りました。途中で退室する人は多く、「もう出来たのだろうか?」と気になりました。

  • 15時45分

 圧倒的な時間不足、放心状態のうちに終了しました。

管理人からしゅーくりーむさんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
 「CITIZEN Micro HumanTech DM1248」です。12ケタ表示の普通の電卓ですが、あまり大きくなく、(老眼でも見やすいように)色が白っぽいものを、と選びました。

 電卓を使いこなせないのでなんとも言えませんが、特に使いづらいとは感じませんでした。

 しゅーくりーむさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 商業簿記では、特殊商品売買が苦手です。仕訳問題を解く時に、いつも苦手意識をもって臨みました。実務での経験もあるためか、伝票・精算表・本支店会計などはわりに得意でした。ただ、二重仕訳・二重転記の問題は好きではなかったです。

 工業簿記は全体に苦手でしたが、コツコツやればできる総合原価計算や、CVP分析は得意でした。差異分析については、初めて読んだ時は苦手意識満点でしたが、イメージ図を丸覚えして解いていくと、点数がとれるようになりました。ただ、本当に理解できているかははなはだ自信ありません。

 苦手克服について、具体的なことはなかなか言えませんが、テキストに「簿記は勉強したぶんだけ結果が出る」と書いてあった言葉を信じました。工業簿記は最初は何のことやらさっぱり解らず焦りましたが、ボックス図を書いて、テキストを見直して、反復しては理解に近づいていったと思います。

 ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 商業簿記の現金・預金・手形や、伝票問題、精算表など、実務は2級の内容に結びつくところも多いと思います。逆に、決算手続きなど、2級の勉強が実務に役立つ面はあると思いました。2級をもってないと実務ができないかといわれると、それは無いと思います。

 あとは、短期集中型(1か月半)でやりましたので、試験の前の週には正直簿記に飽きてしまって、集中力がとぎれてしまいました。勉強されるかたは、時間配分に気を配って上手に学習してください。

 あまりとぎれることなく、少しずつやられるのがいいのかもしれません。わたしなどはとにかく記憶を持続させることが優先で、あまり早く取り組むのは良くないのでは?と、集中型になってしまいましたが。

 最後に、自分にとっては正直、過酷な試験でしたので、本文では感情論調になってしまいましたが、時間をかけてコツコツ取り組めば、理解は必ずできると思います。

 ただ、工業簿記に関していえば、本文でも触れましたが、独学より何らかの形で習う方が若干近道なのかもしれません。いずれにしても、合格すれば達成感も大きいと思いますので、ぜひ挑戦してみてください。

管理人コメント

 しゅーくりーむさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!経理の経験があるとはいえ、53歳で簿記2級に短期&1発合格というのはすごいです。年配受験生の方には、ぜひ見習っていただきたいと思います。

 しゅーくりーむさんは工業簿記でかなり苦労されたとのことですが、最初からすぐに理解できる人はごく小数ですので、しゅーくりーむさんのように諦めずに食らいついていくことが重要です。特に工業簿記については、手を動かすこと。ボックス図を書いたり勘定の流れを書いたり、とにかく手を動かして体で覚えるようにしてください。

 あとは、苦手分野の克服には「まとめ解き」も有効です。1日だったら1日、3日だったら3日、その分野の問題のみをひたすら解き続けるだけのシンプルな勉強方法ですが、集中的に深く深く勉強することにより、今まで点と点で個別に理解していたことが、一気に線でつながって「あーそういうことだったのか!」となることがよくあります。

 簿記の試験に限らず試験はなんでもそうですが、「得意分野をさらに伸ばす」よりも「苦手分野を克服する」ことが合格への近道になりますので、苦手分野から積極的に勉強するように心がけてください。

しゅーくりーむさんが使われた教材や電卓のまとめ