簿記検定は他人との戦いではなく自分との戦い。最後まで諦めないことが大事!

  • 投稿者:SACさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約5か月半

はじめに

  • 問題1:12点(仕訳)
  • 問題2: 6点(受取手形記入帳)
  • 問題3:12点(合計残高試算表)
  • 問題4:10点(勘定記入)
  • 問題5:18点(精算表・定番)

 合計58点。これは本試験前、大原で受けた模擬試験での私の点数です。それから2週間後…。

  • 問題1:16点(仕訳)
  • 問題2:10点(勘定記入)
  • 問題3:30点(残高試算表)
  • 問題4:10点(記述問題)
  • 問題5:27点(財務諸表)

 合計93点。本試験での結果です。2週間で35点あげて不合格ラインから一気に合格しました。

 私は26歳で一般事務をしていますが、再就職先とキャリアアップを考え経理事務を希望したことがキッカケで簿記の勉強始めました。

 ただ、勉強をするのは学生以来、しかも今まで勉強もしたことない学習分野で、初めて見る専門用語や簿記のしくみが理解できず何度もサボったり挫折しそうになりました。

 「どうすれば楽しく挫折しないために勉強できるか」「どうすれば本試験の問題を効率よく解けるか」「お金はかけたくない」…この3つの思いで学習しました。自分なりの工夫がお役に立てたなら幸いです。

テキストと電卓

  • テキスト:Study Pro(無料簿記学習サイト)
  • 仕訳演習:日商簿記3級仕訳問題 きおっくす装置(無料学習サイト)
  • 問題集:みんなが欲しかった簿記の問題集(問題集&模擬試験3回分付き・TAC出版)、パブロフ式問題集(DL版・主に試算表対策)
  • 試験対策:大原無料模擬試験、簿記検定ナビ予想問題

 私は月々の所得が低いので、出来るだけお金をかけずに勉強しました。トータルでかかったお金は「受験料+TAC問題集+電卓」で7,000円ちょっとでした。

 電卓は無印良品のシンプルなデザインのものを購入。見た目のかわいさとキータッチの優しさ・音の静かさで選びました。簿記検定ナビで紹介されていた「電卓選びの基準」はすべて満たしていたので機能的にはまったく問題ないどころか、とても使いやすかったです。

勉強法

 テキストサイトのStudy Proの内容を元に、自分でテキストノートを作りました。ただ、文字と数字だけのノートは、後々見返したときに全然つまらない&特徴がなく覚えにくいということもあり、何度も投げ出してサボってました…。

 このままではいけないと、自分でオリジナルのキャラクターをつくってノートに登場させながら、少しでも簿記学習に楽ししめる要素を組み込んでいくと机に向かう時間が増えました。また楽しみながらノートを何度も見返すので、これで自然と必要な基礎知識が身についていました。

オリジナルノート1
オリジナルノート1
オリジナルノート2
オリジナルノート2
オリジナルノート3
オリジナルノート3
オリジナルノート4
オリジナルノート4

 また、主要簿・補助簿の学習、試算表の学習の表はExcelを利用して作表したものを、枠内だけ空欄で紙に出力し自分で記入しながら覚える様にしていました。

帳簿記入の練習
帳簿記入の練習

試験前の2週間から本番までの対策詳細

大原の日商簿記無料模擬試験

 独学の方はぜひ受けておくべきです。冒頭に書いたとおりのボロッボロの成績で心が折れましたが、同時に本試験を解くカギを握っているものが仕訳の精度であることに気づけたり、問題3や問題5において、どこに配点がきやすいかなどの本試験の特徴や計画的な時間配分など、戦略の立て方が見えました。

仕訳の精度をあげる

 どの問題においてもやはりベースになるのは仕訳なので、この仕訳を一箇所でも間違うと問題全体で大きく失点する原因になる為、仕訳をより正確にスピーディーに行える訓練をしました。

 その時使ったのが「日商簿記3級仕訳問題 きおっくす装置」です。「千本ノック」ならぬ「仕訳ノック」です。何度も繰り返した結果、引っかかりやすそうな問題への耐性がつきました。

試算表(問題3)対策

 改善前は…所要時間が50分~60分で、点数が3割~4割ぐらいでした。全部の仕訳を書いてTフォームを作らずに、ちまちまと勘定科目ごとに集計していました。

 時間はかかるわ、集計モレはあるわで効率が悪かったです。取引日付順の問題だとさらに売掛金・買掛金明細表の集計もあるので発狂しそうでした。

 改善後は…所要時間が30分~40分になり、点数も8割~満点になりました。

 具体的には、他の合格者の方も書いていましたが、頻出の勘定科目だけTフォームを作りました。「現金・当座預金・売上・仕入・買掛金・売掛金・受取手形・支払手形」の8つの勘定科目に絞り、A4用紙の縦2/3のスペースでTフォームをつくります。

 残りの1/3のスペースでその他の勘定科目を使った仕訳をきります。ただし、仕訳の段が2行以上になるものは混乱しやすいので、頻出8勘定科目も含めた仕訳を書き出す→即効でTフォームへ転記して消しこむ、という作業を行いました。

 大原での指導を元に、勘定科目は略語で書く。あとは合計試算表・残高試算表・合計残高試算表の見分けを覚えるため、問題集や試験対策問題を鉛筆で書いては消しゴムで消し何回も練習を行いました。

 また、過去問の配点箇所のパターンを分析した結果、集計が多くなる頻出8勘定科目や、下段のほうの費用勘定科目にと金額に配点が集中していることが分かったので、見直しをするときはこれらの勘定科目を中心に確認をしました

本試験の実際の下書き
本試験の実際の下書き

→上記の「本試験の実際の下書き」をPDFでご覧になりたい方はこちらをクリックしてください。

精算表(問題5)対策

 とにかく「決算仕訳になれること」が重要なので、過去問を見ながらあらゆるパターンの仕訳に慣れておきました。費用・収益の繰延・見越は全体像を書き出しつつ仕訳を行いました。

 3級は前回・前々回と合格率が高かったので、今回の試験は合格率を下げて来ると予想し、予想の本命ではない繰越商品の売上原価での計算や財務諸表作成・精算表の推定問題にも念のため目を通していました。

時間を計って本試験と同じ形式2時間で模試を繰り返し行う

 本番は周りの電卓の音で気が散ることもあるかと思い、あえて周りの会話が聞こえるカフェや家族のいるリビングで模試をしていました。おかげで2時間ぶっ続けられる集中力がつきました。

心構え

 簿記試験は合格者は上位何名までといった決まりではなく、70点以上を取れれば人数に関係なく合格できる試験です。よって、同じ日に試験を受ける全国の人達との戦いではなく「己との戦い」だと思ったので、周りの様子はあまり気にしないように努めました。

試験日の1日の流れ

  • 6:00 起床

 化粧だけして30分後に家を出る。

  • 7:00

 駅に到着。試験会場の京都への電車で遅延も頭に入れ早めの時刻の電車に乗る。

  • 8:00

 会場最寄の駅のモスで朝ごはんをしながらテキストノートを最終チェック。試験会場のトイレは混むと想定し、トイレを済ます。(1回目)

  • 8:30

 会場に到着。とりあえず試験中の尿意襲撃→離席→棄権は絶ッ対イヤだったので、水分摂取は控えてトイレに余裕をもって行く。(2回目)

 ※試験会場に近いトイレは長蛇の列ができるので注意です!女性は特に、他の階のトイレに行ったほうが早いです。

 近くの席の隣どうし座っていた人達の会話の声が大きくて少し気になりましたが、「己との戦いだ」という言葉を思い出し、気にしないようにしました。

  • 9:00

 試験説明で解答用紙をめくって名前を書き込んでいくときに、解答用紙をチラ見。

 「問題5は大本命の精算表作成やなくて財務諸表かぁ~」「問題3は合計残高試算表か残高試算表やな」「問題2・4はあんま時間かからんなコレ」と、問題を推察する。

  • 9:15 試験開始!

 すぐに解き始めるのではなくて、1分程で問題全体をザッと読みました。ここで問題を解く順番を決めます。

 「問題5の出題形式は珍しいから混乱しそう。」「問題5で苦戦してパニックになったまま他の問題を解くと総崩れになる恐れがあるな。」…この結果、1→2→4→3→5が解きやすい順番だと判断しました。

問題1

 よくある引っ掛け問題が出ました。過去問題を何度も解いていたら問題はないと思います。

問題2

 当座預金と当座借越の金額を追いながらプラスかマイナスか考えていくだけなので特に問題なし。

問題3

 二重取引ありの試算表作成でした。為替手形の取引は試験範囲外になった為、仕訳自体の難易度は高くない。が、取引量が多いので処理に手間がかかる…かと思いきや、Tフォームに頻出勘定科目だけを書き込む方法でスピーディーに解けて問題なし。

 集計時、私は月中取引高が月初残高を含めていいのかどうかが解らず少し焦りました。これも過去問題に出てきていましたのでそれを知っておけば問題は無かったのですが、チェックが甘かった私は引っかかりました。結果月初残高も合計してしまいました。これが後々解答速報発表から合格発表までの不安の種になりました。

問題4

 選択肢の無い穴埋め記述問題でしたが、帳簿の締め切りの流れが頭に入っていたら問題なく解けたと思います。テキストを読んで基礎をしっかり頭に入れておくことが大事だと気づいた問題です。

問題5

 「なんやねん。決算整理前の現金・資本金の金額は各自推定って。」…しばらく悩んだものの、冷静になって「財務諸表と精算表は表が違うだけで内容は同じ」「決算整理前の各勘定科目はいつも試算表で書かれてるものが一覧になっただけ」と思えば基本的な作業をするのは変わらないと気づきました。

 一見ややこしいそうな問題が出ても、難しく考えすぎてはさらにいけないと思いました。また、変化球に対応できたのは基礎をしっかり頭に入れてきたのが功を奏したのだと思います。

  • 11:15 試験終了

 燃え尽きる間もなく大原の解答速報会に向かう。

 これが当日の一連の流れです。解答速報会で問題3の月中取引高欄が全滅だったと解った時は絶望で、今回は不合格だと諦めていました。

試験終了から合格発表まで

 家に帰って身内に悔しい気持ちを散々ブチ撒けて、1人でお布団の中で泣いてました。ただ、後にTACの解答速報・配点予想を見て、私が全滅した月中取引高の欄は配点箇所には入っていなかったため、最後まで望みはあるかもしれないという期待もありました。

 「これだけ試験難しかったんだから配点は甘くしてよー!」「まぁ、受かってたらラッキーくらいに思っておこう」と考えながら、気持ちも落ち着いた頃に迎えた合格発表日。ドキドキしながら商工会議所のHPを見たところ…

 …アクセス集中のせいかなかなか繋がらない。。。なんだと!?

 焦らされに焦らされながら表示されたのは『93点』の文字でした。へ、、ホンマ!?嘘ちゃうやんな!?何度見ても合格でした。絶望してた問題3は満点。おそらく実際の配点がTACの配点予想に近かったのだと思います。何はともあれやっと安心することができました。

最後に

 これから受験する方々にこれだけは大事にしてください、と伝えたいのが以下の4点です。

  • 序盤は基礎を徹底的に落とし込むこと
  • 何度も模試をして自分の苦手分野を知ること(間違えたら「本番じゃなくてよかった」と前向きにとらえる)
  • 過去試験を分析して傾向と対策を練ること
  • なにより周りは敵ではありません。自分に負けないこと。諦めないこと。

 受験生の皆さん、合格を目指して最後まで頑張ってください。

管理人からSACさんへ追加の質問

 SACさんの勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
 「この試験に落ちたら最初の目標の再就職が遠のくで!えぇんか?」と何度も怠けかける自分に喝を入れてモチベーションを保ちました。

 あと、1日の目標を「チャプター1すべて」とか「最低1時間」と決めてしまうとハードルが高くなってしまうので、「1ページでいいからテキストを見てみよう」「1問でいいから過去問を解いてみよう」みたいな感じで、意識的にハードルを下げるように心がけました。

 いったん取りかかれば意外にも勉強に熱中し、気がつけば最初に設定していた「1日にこなす勉強量」に自然と到達していたので、私のように怠け癖がある人は敢えてハードルを下げてみるのも一つの手だと思います。

管理人コメント

 SACさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

 オリジナルノートの画像をたくさん送っていただきましたが、ひつじのめぇちゃん(勝手に命名)がとてもかわいいです。

 個人的には、テキストと問題集は市販のものを購入したほうが良いと思いますが、なるべくお金をかけずに勉強したいという方はぜひ参考にしてください。

 あと、第3問の試算表対策の「Tフォームを使った解き方」や「勘定科目の省略」は、かなり効果があると思います。簿記検定ナビでも過去問分析ページや勘定科目の省略パターン一覧表ページで詳しく紹介していますので、興味のある方はご確認ください。

 また、追加の質問に対する回答に書いていただいた敢えてハードルを下げて、勉強に取り掛かりやすくするのもとても良いと思います。

 私自身、「これをすべてこなせば絶対に上手くいく!」という完全無欠な計画を立てたものの、初日で躓いて一気にやる気を無くす…ということがよくあるので、一度試してみようと思います。

SACさんが使われた教材や電卓のまとめ