簿記の勉強は「質」も大事だけど、それ以上に「量」が大事です!

  • 投稿者:ああさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約2か月

はじめに

 現在、私は大学生です。経済・経営・商学部に属しているわけではなく、簿記や会計系のサークルに属しているわけでもないのですが、商業高校出身ということで、高校では簿記に触れるための環境が十分に整っていました。

 当時は特に簿記に強い関心があったわけではなかったので、日商簿記検定を受験しようとも思いませんでした(今思えば、そういう風に自らに言い聞かせることで、自分自身に対して言い訳をしていたのかもしれません)。

 また、高校時代に全商簿記検定1級は取得していましたが、まさに「受かるための勉強」をさせられていたような感じで、その時点では簿記の面白さに触れることができていませんでした。

 全商簿記検定(全商系の検定は全て当てはまると思いますが)はいくつかのパターンを覚えてしまえば、割りと楽に解けてしまうこともあり、さほど勉強しなくても合格することができました(例えば、「しーくりくりしー」については、完全に暗記していました。当時は何のためにしているのかよく分かっていませんでした)。

 では、なぜ今回、受験を決意したかというと、一つは大学生ということもあり、時間にそれなりの余裕があったことです。中学・高校時代は勉強、部活などで多忙な日々を過ごしていましたが、今回の受験の過程において、時間的な制約はあまり感じませんでした。

 もう一つは、せっかくある程度の簿記の知識を持っているのであれば、簿記2級を必死に勉強して取得することで、就職活動を少しでも有利にしたいと考えたからです。

使用したテキスト・電卓

  • 超スピード合格! 日商簿記2級 商業簿記 テキスト&問題集(成美堂)
  • 超スピード合格! 日商簿記2級 工業簿記 テキスト&問題集(成美堂)
  • 合格するための過去問題集 日商簿記2級 ’14年11月検定対策(TAC)
  • 第138回をあてる TAC直前予想 日商簿記2級(TAC)
  • 日商簿記2級 仕訳攻略ナビ(ネットスクール)
  • AZ-25S(CASIO)

超スピード合格! 日商簿記2級 商業簿記 テキスト&問題集(成美堂)

超スピード合格! 日商簿記2級 工業簿記 テキスト&問題集(成美堂)

 90点。決して悪くないと思いますし、何なら良い方のテキストだとは思いますが、ときどきこのテキストだけではうまく理解できない箇所があったので、10点分引かせてもらいました。

 内容に関しては多分、他社のテキストも似たようなものだと思うので、ここにわざわざ特筆するようなことはないです。

 ただ、「テキスト&問題集」と書かれてありますが、「テキスト」としての要素が大半で、「問題集」としての要素はあまりないので注意してください。同社から実践問題集が出ているので、このテキストを使用しようと思われた方は、実践問題集も併用されてはいかがでしょうか。

 私は「テキスト&問題集」という言葉を信じすぎてしまった結果、問題集を使用せずに過去問を解き始めてしまったので、過去問を初めて解いたときは分からなさ過ぎて、絶望しました。テキストは自分で実際に見比べて購入するのがベストだと思います。

合格するための過去問題集 日商簿記2級 ’14年11月検定対策(TAC)

 100点。業界最大手のTACが出版している過去問題集ということもあり、非常にわかりやすい解説で、勉強が捗りました。

 私自身の実体験をもとに、この場をお借りしておすすめしたい勉強方法は、簿記検定ナビの過去問分析と併用することです。

 併用することによって、うまく理解しきれていない問題を完璧に理解することができるようになると思います。また、2つの異なった解き方を学ぶことは、簿記の本質を理解するうえでの一助になると考えるからです。

 この過去問題集にも簿記検定ナビにも共通して言えることなのですが、どちらも問題を解く側の視点にたって、わかりやすい解説がなされているので、勉強にいそしんでいる私にとって、非常に鼓舞されるものがあり、高い状態でのモチベーションの維持にも一役買ってくれました。

 さらに、この過去問題集には各大問ごとの難易度が明示されているので、問題を解く際の一つの目安にもなり、「ここは絶対に落としてはいけない」、もしくは「ここは落としても良い」などの分別もできるようになるので、そういった点においてもおすすめです。

第138回をあてる TAC直前予想 日商簿記2級(TAC)

 100点。合格するための過去問題集と同様に、予想問題集も非常に良かったです。的中率がどうこうではなく、例えば解説がわかりやすいことはもちろんなのですが、下書きの例示もしっかりとなされていて、非常に参考になりました。

 また、どこの出版社の予想問題集にも当てはまると思いますが、予想問題集は全体的に過去問題よりも難しく作られているので、この予想問題集の問題でひどい点数をとってしまったときには、「このままでは落ちてしまう!」と感じ、モチベーションが上がりました。

 特に過去問で着実に満点近い点数がとれるようになってきていて、安心しきってしまい、モチベーションが下がり気味になっていた私に対してはてきめんに効きました。

 過去問題集と同様に、問題ごとの難易度が示されているので、「ここは落としてはいけない問題」と「ここは落としてもいい問題(むしろ時間をかけてはいけない問題)」とを分別することができ、そういった点でとても役立ちました。

 また、付属の仕訳カードも使い勝手が良く、試験当日まで重宝していました。

日商簿記2級 仕訳攻略ナビ(ネットスクール)

 100点。仕訳攻略ナビと前述した過去問題集付属の仕訳カードを併用すれば、圧倒的な仕訳力が身につきます(もちろん、仕訳攻略ナビだけでも十分ですが)。

 また、仕訳攻略ナビに付属しているまるごと合格BOOKも非常に役に立ちます。勉強のスタイルから試験前日や当日の過ごし方までもが完璧に網羅されているからです。そういった有用さもあり、私はお守りとして使っていました(笑)。

 話が逸れてしまうかもしれませんが、今回の第138回の試験の第2問では、株主資本等変動計算書という、どの出版社もほぼノーマークだった計算書が出題され、第3問では、過去10年の第3問のなかで最も難しかったと言われているほどの難度の高い貸借対照表が出題されました。

 仮にこのような傾向が今後も続くのであれば、工業簿記でできるだけ満点の40点に近い点数をとる必要が出てきます。また、仕訳の20点を確実にもぎとらなくてはならなくなってきます(しかも仕訳は1問につき4点なので、その差は想像以上に大きいです)。

 仕訳で点を稼ぐ必要性が増している昨今、携帯性にも優れている仕訳攻略ナビや仕訳カードを用いて、隙間時間などに勉強することがより一層大切になってきていると思います。

AZ-25S(CASIO)

 100点。高校入学時に購入したものであり、他の電卓と比較をしたわけではないので、あまり説得力はありませんが、優秀な電卓だと思います。特に不満を感じたことはありません。使いやすく、見やすく、機能も豊富なので、おすすめできます。

 ただ、ネットで調べてみたところ、学校専用電卓らしいので、一般の方が購入するのは難しいのかもしれません。購入できるようであれば、ぜひ購入してみてください。

 ただし、人によっては電卓を叩く際の音が気になるかもしれません。もし、電卓を叩く際の音が気になる方がいれば、ネットなどで検索をかければ解決策が見つかりますので、一度検索してみることをおすすめします。

勉強スタイル

 基本的に空いている時間は、全て簿記の勉強に費やしていました。効率がどうとかはあまり気にせず、とにかく量をこなしました。

 平日は、その日に入っている講義の関係によってまちまちなので、具体的な勉強時間を言及することはできませんが、休日はだいたい1日10時間は勉強していたと思います。

 また、簿記検定ナビの管理人の田口様もすすめていらっしゃいますが、勉強をする時間帯のなかでも朝の勉強は捗ります。合格を目指して頑張っている方にはぜひ、朝方に勉強して欲しいと思います。

 その他には、例えばテレビは一度見始めると、そのままずっと見続けてしまうので、最初から見ないようにするべきだと思います。このような勉強スタイルは高校・大学受験のときから実践していたので、今回の日商簿記検定2級対策の勉強においても実践しました。

 また、時折、「工業簿記はある時期を境に急激に伸びる」といったことを聞きますが、これは本当です。私も10月の終わりごろに突如覚醒したように工業簿記がわかるようになりました。

 覚醒するためには、やはり勘定連絡図をマスターすることが何よりの近道だと思います。勘定連絡図をマスターすることによって、全体の流れが意識できるようになり、結果的に理解が早まると思います。

勉強の流れ(スケジュールに沿って進めました)

9月上旬から9月の終わりまで

 上記の成美堂のテキストを用いて、簿記2級の大まかな流れを頭にインプットしていきました。1回目はざっと流し読みするような感じで、2回目は精読していきました。

 ただ、テキストに書いてあることの本当の意味を理解するためには、実践的な問題を解くことが一番だと思うので、「完璧にテキストを理解するまでは、過去問を解かない」といった、異常なまでにテキストに固執しすぎるのは良くないと個人的には思います。

 また、3級の内容でわからないところがあれば、インターネットなどを駆使して、その都度調べていました。この地道な作業をおざなりにしてしまうと、後々かなり後悔することになると思うので、理解できない箇所は必ず何らかの方法を用いて解決しておいた方が良いと思います。

10月の初めから10月の終わりまでの1か月間

 上記の過去問題集を使って、過去問を3回通り解きました。3回目の解答を終えた時点で、80点に満たない問題があれば4回目に突入しようかと考えていましたが、大体どの問題も最終的には満点に近い点数がとれるようになっていたので、予想問題集に移りました。

 過去問を完璧にしておけば、どんなに難しい回でも合格できると思うので、過去問が完璧になるまでは、次のステップに移る必要はないと思います。

 また、前述しましたが、簿記検定ナビの過去問分析と併用することで、効率的な勉強ができると思います。うまく理解できないところは、適宜テキストに戻って復習しました。

11月の初めから試験前々日まで

 上記の予想問題集を使って、仕上げの作業に入りました。4回分の問題があるのですが、1回目の予想問題では余裕で合格点をとることができました。しかし、その後の3題ではボロボロで、ひどい点数をとってしまったので、悔しさと焦りを糧に必死で勉強しました。

 過去問題集を解いていたときと同様に、わからない箇所は適宜テキストで復習しました。2回通り解き、2回目にはどの問題においてもほぼ満点がとれるようになっていました。

 また、このころには、過去問・予想問題ともにほぼ完璧に答えられるようになっていたので、苦手な論点などはほぼなくなっていました。全ての論点が得意になっていたと言っても過言ではないと思います。

 そういった非常に良い状態であったことから、本試験では100点満点を狙っていました。それでも結局、本試験では満点に遠く及びませんでした(第3問のせいで(笑))。

試験前日

 簿記検定ナビの簿記ナビ模試を総仕上げとして解きました。予想問題集よりも難易度は低く感じました。

 1回目では合格点ぎりぎりしかとることができませんでしたが、2回目には100点満点をとることができ、「これはいける! 明日は何とかなる!」と思いました。

 また、過去問題集から予想問題集、簿記ナビ模試まで一貫して時間を測りながら解いていました。一人ひとり、得意・不得意な問題があり、その問題にかかる時間も違ってくると思うので、自分の時間配分を形成していくうえでも、時間を測りながら解くべきだと思います。

試験日の1日の流れ

 9時30分に起床しました。仕訳攻略ナビの付属のまるごと合格BOOKに、脳を活性化させるためには試験(1時30分に説明が始まる)の3~4時間前に起きると良いと書かれていたので、素直に実行しました。

 11時30分ごろに朝食を兼ねた昼食を食べ(食べ過ぎないように注意してください)、12時ごろに試験会場へ向けて出発しました。試験会場は一度行ったことがあり、知っている場所だったので、迷子になるかもしれないといった心配は無用でした。

  • 会場に到着

 12時30分ごろに到着し(一番乗り!ただし、そんなに2級の受験者が多くなかったからだと思います)、仕訳攻略ナビと仕訳カードを用いて仕訳の最終確認をしていました。わからない箇所は何度も解き、本番でも解けるようにしておきました。

 会場に着いてから、ぼーっとしている人も多いみたいですが、私は何かしていないと逆に不安になってしまうタイプなので、仕訳を解いていました。さすがに、問題集の問題を解くことはしませんでしたが。

 その10分後くらいから少しずつ人が来始め、試験開始10分前にはほとんど人が到着していたと記憶しています。試験会場の様子としては、テキストなどをせわしなく確認している人がいれば、何もせずただぼーっとしている人もいました。知り合いと思われる人と楽しそうに談笑している人もいました。

 そして、試験開始の前には名前と受験番号を問題用紙の各ページに記入していきます。その際に、第2問に株主資本等変動計算書が見えたので絶望しましたが、迷わず最後に解くことに決めました。1時30分から試験の説明があり、それから少し経った後、試験が始まりました。

  • 試験開始!

 まずは一通り問題を確認しました。第2問は当然最後で、第3問の貸借対照表も相当難しそうだったので、後回しにすることにしました。逆に、第1問と第5問は基本的な問題で簡単そうだったので、先に解くことにしました(よって、順番的には、1-5-4-3-2)。

 第1問の仕訳は、過去問題集や予想問題集、簿記ナビ模試よりもずっと簡単に感じました。私は他の人よりも仕訳に時間をかけて勉強をしたと自負できるくらい仕訳に注力してきたので、自分の解答に手応えを感じることができ、とてもうれしかったことを今でも覚えています。解答時間もあまりかからず8分ほどで終わりました。

 第5問も、基本的な問題で8分くらいで終わったと思います。きっちり勉強していれば解ける問題だったと思います。ケアレスミスだけはしないように注意し、入念に確認をしました。

 第4問では、少々てこずってしまい、それなりの時間を要してしまいました。ただ、試験終了後に答え合わせをした結果、合格するためには十分の点数がとれていたので、安堵しました。

 第3問の貸借対照表の作成問題は、形容しがたいほど難しく、決して貸借対照表の作成が苦手というわけではありませんでしたが、撃沈してしまいました。まず、問題文の日本語をよく理解することができませんでした。今、改めて見てみても、やはり難しいなと感じます。

 追い打ちをかけるように、この時点では謎の株主資本等変動計算書という、そのときに名前すら初めて見た計算書が待ち受けていたので、それはそれは不安で仕方がなかったことを今でも鮮明に覚えています。

 第2問の株主資本等変動計算書を最初に見たときは、何をすればよいのかもはや意味がわかりませんでしたが、「これは難しい」という先入観のようなものを取っ払ってしまえば、そこまで難しくはなかったと思います。

 ただ、「(単位:千円)」という注意書きを見逃してしまい、点を全くとることができなかった方が割りといると聞いたので、そのときに改めて「問題文を注意深く読むことの大切さ」を実感しました。

 私は「(単位:千円)」を〇で囲んで見やすくしていたので、きちんと単位を千円にして解答することができました。

  • 試験終了…

 そして、満足に見直しもできないまま、試験は終了しました。試験終了の合図とともにまず思ったことは、「これは落ちたわ」でした。

 試験終了後にインターネットで「日商簿記検定 第138回 2級 感想」と検索し、受験者各々の感想を見てみると、「できるわけねぇよ、こんなの!」といった感想であふれていたので、やけに安心したことを覚えています(笑)。

さいごに

 約一週間後、合格していたことを電話で聞いたときは、本当に嬉しかったです。筆舌にしがたい嬉しさでした。そして、周りの誰かに報告するよりもまず、お世話になった合格体験記に私の体験記も書こう、簿記検定ナビの利用者としての、合格者としての証を残そう、と思いました。

 私の合格体験記が、日商簿記2級を取得しようと考えている、日本のどこかに住む誰かのモチベーションアップに繋がるのであれば、幸いです。

管理人コメント

 ああさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

 名前を書く時に視界に入った株主資本等変動計算書(第2問)…さらに受験生を震撼させた財務諸表作成問題(第3問)…今回はいろいろと大変だったと思います。本当にお疲れ様でしたm(__)m

 それでは早速、中身を見ていきましょう。まず受験生の皆さんに参考にしていただきたいのは、テキストの感想のところに書いていただいた「テキストは自分で実際に見比べて購入するのがベストだと思います。」という一文です。

 ネットで評判のテキストであれば、基本的にどれを使っても(内容的には)問題ないと思いますが、人によって「向き不向き」があるので、ああさんのおっしゃるとおり、テキストはなるべく自分の目で見て確かめて、他と比較して購入することをおすすめします。

 また、市販の過去問題集と簿記検定ナビの過去問分析を併用して勉強されたとのことですが、この点もぜひ見習ってほしいです。

 「総合問題を解く際の下書きの書き方」はいろんな方法があるので、2つを見比べていただいて、分かりやすいor覚えやすいほうの下書きの書き方をマスターしてください。

 さらに、「工業簿記は勘定連絡図をマスターすることが大事」と書いていただきましたが、これもその通りだと思います。

 例えば、直接材料は材料勘定→仕掛品勘定→製品勘定…という流れで金額が転がっていきますが、間接材料は材料勘定→製造間接費勘定→仕掛品勘定→製品勘定…という流れになりますよね。

 このような「勘定の流れ」をイメージできるようになると工業簿記の理解がより深まるので、問題を解く際は「勘定の流れ」をまとめた図・勘定連絡図を常にイメージして問題を解いてください。

 最後にもうひとつだけ。「問題を解き始める前に問題をひととおり確認し、難易度に応じて解く順番を決めている点」や、「(単位:千円)など間違えやすいところに印を付けている点」もぜひ見習ってください。すごく大事です。

ああさんが使われた教材や電卓のまとめ