何度も何度も問題と向き合い、自分の弱点を徹底的に克服しよう!

  • 投稿者:ゆうさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約3か月

 この度、第124回日商簿記検定2級を受験し、合格することができました。受験1週間前に簿記検定ナビにたどり着き、お世話になっておりました。感謝の気持ちを込めて、合格体験記を投稿させていただきます。

受験に至るきっかけ

 昨年8月に十数年勤めた会社を退社しました。事務から営業に至るまであらゆる業務をこなしてきましたが、帳簿のことになるとさっぱり知識もなく財務諸表などを見ても理解できず、簿記というものから避けてとおっていたこともあり、それで一から勉強して資格を取ってみようと思ったのです。

 再就職にあたり、履歴書の「免許・資格」の項目に「普通自動車第一種免許」しか書くことがなかったのも大きなキッカケでした。まず昨年11月の第123回で3級を受験しました。受験しようと思い立ってから勉強期間もギリギリ1ヶ月しかなく慌てましたが、それでも100点満点で合格することができました。

 今まで十数年の業務の中で振替伝票などに少しは携わっていましたが、3級を勉強しはじめて初めて「借方」「貸方」の存在と意味を知りました(お恥ずかしい次第です)簿記がちょうど楽しく思えるようになってきたので、そのまま次の124回の2級検定を目指しました。

受験までの3ヶ月

 11月の終わりに教材を探し、12月初日から2月末日の試験日に向けて勉強を始めました。教材は3級を受験した際に『10日で合格!日商簿記3級テキスト』というイラスト付きのわかりやすいものを使用し、内容をイメージしなが ら理解することができたので、2級でもそういった選択をしました(もう少し早くここのサイトの存在を知り、教材選びに慎重になればよかったなぁと後に思い知らされましたが…)2級受験にあたり、使用した教材は全部で以下のとおりです。

  • 基本対策
  • サクッとうかる日商2級 商業簿記 テキスト(ネットスクール)
  • サクッとうかる日商2級 工業簿記 テキスト(ネットスクール)
  • サクッとうかる日商2級 商業簿記 トレーニング(ネットスクール)
  • サクッとうかる日商2級 工業簿記 トレーニング(ネットスクール)
  • 練習問題対策
  • 完全合格のためのSTEP UP問題集 日商2級商業簿記(大原)
  • 完全合格のためのSTEP UP問題集 日商2級商業簿記(大原)
  • 日商簿記2級 過去問題集(大原)
  • ラストスパート対策
  • 日商簿記第124回試験予想ラストスパート模試3+1(ネットスクール)
  • 日商簿記2級第124回をあてるTAC直前予想(TAC)

 何といっても再就職に向けて一発合格を狙ったので、教材費・時間・努力は惜しみませんでした。

勉強方法

 3級のときに、あまりの時間の足りなさと悪戦苦闘した思いがありましたので、次の2級はそんな簡単にはいかないだろうと思い、最初の1ヶ月で商業・次の1ヶ月で工業・最後の1ヶ月で過去問と仕上げをしよう…と大まかに目安を立てました。

 まず最初はテキストを読み、理解したことをトレーニングで練習するという作業です。ここで完全に内容を理解できるまで徹底的にテキストと向き合いました。内容を「覚える」のではなく「理解すること」に集中するのです。イメージすることが大事で「しっかりと基本をマスターすること」を常に念頭に置きながら勉強していきました。

 やはり商業の方では内容の多さと複雑さが3級時とは断然に違っていて大変な作業でした。商業には手こずってしまい1ヶ月以上かかりました。工業は、商業と同じような手順でしました。まったく初めての工業簿記に不安はありましたが、商業ほど時間はかかりませんでした。案外、原価計算が楽しいと思えるほどでした(後半、製造間接費差異の分析ではシュラッター図の理解に手こずりましたが)

 内容を大体把握したところで次に問題集に移りましたが、商業で使用していたテキストにはなかった「裏書義務見返」「保証債務見返」「差入 有価証券」「保管有価証券」といった内容が出てきて焦りました。やはり1つの教材だけに頼らなくて良かったのかも知れません。教材選びも重要なんだとここで思い知らされました。

 2月中旬から、試験同様に時間を計って過去問題集(112~122回)を毎日1回分ずつやりました。間違った問題もそうでない問題も、解答と照らし合わせとことん理解できるまで追究しました。解き方をパターンで覚えるのではなく、一つ一つの問題が何の力を求めているのか『簿記』という完全体を理解しながら頭にたたきこんで勉強しました。

 そうしていくうちに過去問においては80点台から90点、100点と確実に力はついてきました。最終的に第1問仕訳問題の文章の読解の難しさと複雑さには手をやき、試験1週間前にこちらの簿記検定ナビにたどり着き、問題をいくつもプリントアウトさせていただいて練習しました。

 検定前は少しでも多く問題を解く練習をしたかったのですが、簿記検定ナビの仕訳問題対策では出題分野が表記されていて、自分の苦手分野や出題傾向・予想に合わせてダウンロードできてとても便利でした。

試験日当日の1日の流れ

  • 試験時間まで

 就寝時間や起床時間が遅くなると頭がボンヤリするので、なるべく規則正しい生活を送るようにしていました。ですので試験前日の晩も悪あがきはやめて10時就寝、朝もいつもどおり6時起床。 朝ごはんもいつもどおり(このときいつもどおりのことをすることで緊張感を少しでも和らげようとしていたのかも知れません)

 前日に用意しておいた当日午前中用の問題をこなす(どこかの問題集の著者のまえがきに、当日にやったことのない問題をして出来ないと、不安や緊張を募るだけなのでやめたほうがいいとあったので、このとき一度やったことのある少し苦手項目の問題を練習しました)

 昼食は、あまり満腹になると頭の動きが鈍くなるので簡単にカップラーメンのみ(これが原因で試験終了直前、全部問題が解き終わった安心感と空腹で緊張感の走る静寂な試験会場に私のお腹の鳴る音を響かせてしまいまし た…)

 試験会場にはちょうど40分前に入りました。着いてから10分はトイレに行ったり、身のまわりを整えて。 30分ほど緊張での手の震えを解消するために練習問題に取り組んでました。試験開始直前、自分がとても緊張しているのがわかりました。あと数秒で開始…というところで、同じ会場の男性が 「すいません!!トイレに行きます!!」 と叫びました。すると別の男性も 「僕もトイレに行ってきます!!」と慌てて会場を出て行かれました。

 試験官の方が「ではあと数分開始時間を遅らせます。待っている間に受験番号と名前を記入してお待ち下さい」と。そんな出来事のおかげか、緊張していたのは自分だけじゃないと思ったことでずいぶんリラックスできたと思います。あの時の男性2人には感謝です。

  • 試験開始

試験は「1→4→5→2→3」の順番で解きました。普段からこの順番で過去問の練習をしていました。第1問は問2の受託販売でつまづきました。緊張のあまり集中できず、また文章の複雑さが頭になかなか入っていかないため「やっと解けた!」と思ったときには第1問の仕訳問題で30分をつぎ込んでしまっていました(結果として「現金預金」で失点してしまってたのですが)

第1問で時間を使いすぎてしまったことで少し慌てた気分で第4問に進みました。緊張が解けず頭の中がフワフワしていてどう解いたのかあまり記憶にありません。予想問題でも出題されていたせいか、さほど難しくは感じなかったように思います。

 そのまま第5問にいき、予想通りCVP分析ということで少し緊張もほぐれ、気分がゆるみすぎました。問題用紙に書き込んだ自分の計算をあとから確認したら、貢献利益から営業利益を引いて固定費を出した形跡が残っているのですが、貢献利益も営業利益も合っているのに暗算で固定費を間違って書き出していました。その試験最中は間違っているなどひとつも疑わず「簡単な問題でよかった!」と次に進んでしまってました。ここまでで1時間使ってしまいました。

 残りの1時間で難関の第2問・第3問を解かなくてはいけない緊張がはしりました。第2問、よく二重仕訳の失敗を繰り返し、ここはよくおさえていたポイントなので確実にできました。時間も迫っていたので慌てず一発で貸借が合わせられるように…との思いでした。ココの時点ですでに緊張感はなくかなり集中できていたと思います。

 最後の第3問、残り40分を切ってました。一つ一つの仕訳を確実に間違えずにやらなくちゃと思いからか時間がかかりました。『帳簿棚卸高の合計金額の5%を超える棚卸減耗費は原価性のないものとして営業外費用として処理』という変化球問題に驚いて、ここでしばらく時間がストップ。じっくり問題とにらめっこです。5%しかダメというならその5%は売上原価の項目に、残りは費用として分けて考えればいいんだとこの時には冷静になっていたのだと思いま す。

 あとはいつもどおり。精算表のすべての計算が終わったのは終了3分前でした。もう見直すにも無理な時間です。こうなったら開き直りです。全部とにかく解答用紙に書き込むことはできた満足感に浸りました。

  • 答え合わせと合格発表

 結果として普段からケアレスミスが多くて注意はしていましたが、当日の緊張感にはかなわず思わぬところでの失点に悔やまれます。

【第1問】…2題目で他の方々と同じように「現金預金」で失点してました。

【第2問】…二重仕訳は練習でよく失敗したおかげで徹底的にやっていたのが功を奏しました。

【第3問】…『帳簿棚卸高の合計金額の5%を超える棚卸減耗費は原価性のないものとして営業外費用として処理』という初めて見る問題に驚きましたが、よくよく考えたら理屈でわかりました。いろんな問題集で練習したことで、どんな文章にも対応できるようになってました。

【第4問】…勉強中、工業簿記一巡でよく間違っていたので、徹底的にやっていたのでこれもここで幸いしました。

【第5問】…CVP分析は大の得意中得意のハズだったのがケアレスミスで固定費の計算を間違えてしまったためにイモヅル式で失点してました。

 上記の結果、第1問16点・第2問20点・第3問20点・第4問20点・第5問8点、合計84点でした。当日の試験終了後、完ペキに出来た!満点!と思ってました(笑)

 帰ってからネットで解答速報を見てかなりの大打撃を受けました。甘かったです…。一番のショックはやはり「現金預金」です。こちらの地方では今回の合格率は11%ちょっとでした。ただ今回合格できたのはパターンに頼らず『簿記』というものを出来るだけ理解することに徹底した賜物だと思っています。ずいぶん苦労した分、合格発表のときの嬉しさはひとしおでした。

終わりに

 あとで振り返ると、あの順番で問題を解いてよかったと思いました。1、2、3…と順にやっていたら第3問の変化球問題にパニックを起こしあとに続かなかったと思えるからです。普段の集中力が戻ってきた最後の方であの第3問に冷静に対処できたと我ながらホッとしています。

 最後に、今回昨年10月後半から約4ヶ月あまり、一生懸命簿記を勉強したことで自分へ自信がつきました。やはり基本をしっかり学ぶことはどこの世界でも大事なんだなぁとつくづく実感した経験でした。工業簿記は慣れない作業で難しくも感じましたが、楽しさを感じていたのも事実でもう少しつきとめてみたい気もします。

 経済面と時間に余裕があれば1級にもチャレンジしてみたい気もします。孤独な独学での勉強の合間に簿記検定ナビでは勇気づけられ、勉強させていただきました。本当に感謝しております。ありがとうございました。もしかして1級を目指すことになったときもまたお邪魔したいと思います。

管理人からゆうさんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた電卓・教材は他の方にもおすすめ出来ますか?
 電卓…使用した電卓はCANONのTS-1200TGというものです。以前勤めていたときに長年愛用していたものと同じようなサイズ、キーの配置のものを選びました。文具屋さんで2000円前後だったと思います。大きさもガッチリしていて安定性があるので早打ちしてもミスタッチを防げて安心です。簿記検定は時間との勝負ですから、電卓選びは重要ポイントでした。

 教材…テキスト選びに関して、自分は良さそうなものをバラバラにかき集めてしまったので、本によってかなり言っていることが(解説の仕方が)違うこともあり戸惑いました。もっとこちらのサイトを早く発見して、いろんな方のご意見を参考にして慎重に選べばもっと効率よく勉強できただろうと思います。

 ただ、3級の時も2級の時にも使った大原の『過去問題集』は一番役に立ちました。テキストなどで基本を学習したあとにこの問題集をこなすことで力がついたように思います。前半での出題内容別問題には詳しく解説が載っているので問題を解きながら、この1冊でガッチリ復習できます。後半の過去問では毎回キッチリ2時間の制限時間を設けてやってました。

 ゆうさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 商業での得意な論点は、伝票会計(特に数字の推定)…これはクロスワードパズルを解いているような感覚でとても頭がスッキリしました。本支店会計・財務諸表・精算表・決算勘定・帳簿組織などの問題も大好きです。今回変化球できた第3問の『5%は売上原価に、残りは費用に…』とそういった考えさせられる問題も実は嫌いじゃありません。

 苦手なのは『対照勘定』と純資産にちなんだ(特に『パーチェス法』という言葉が出てくる)問題です。←これはもう記憶して頭に叩き込むしかありませんでした(結局この苦手なところは今回出題されなくて幸いでした)あとは複雑な仕訳問題に時間がかかり過ぎる傾向があったので、簿記検定ナビで仕訳問題をダウンロードしてたくさん練習しました。

 工業では、(結局今回間違ってしまいましたが…)CVP分析・等級別原価計算・工程別・組別原価計算などは解いていてとても楽しくて好きでした。製造間接費の配賦や配賦差異分析は嫌いじゃありませんが何度も間違ってました。いずれにおいても自分は記憶しないと解けない問題が苦手です。(記憶力に自信がありません)

 苦手な項目や間違った問題は、消しゴムでキレイに解答を消し、ふせんを貼っておき、問題内容を忘れた数日後に再度チャレンジしてここでカンペキに解答できるまでそれを何度も何度もやります(ですのでシャープペンの芯は必ず2B、消しゴムも強力に消えるものを使用)自分の弱点を掴み徹底的に攻略するのです。

 ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 上記の教材選びにも書かせていただきましたが、これは慎重になるべきだと本当に思いました。『わからなくて問題が解けない』という事態だけは避けたいがために根性で猛勉強。試験でもしわからない問題にぶつかってしまったらそのショックもしくはパニックで他の問題にも影響し、時間を浪費し、不合格になりかねないからです。

 結果、ケアレスミスで16点も失点してしまいましたが、『わからなくて問題が解けない』事態は回避できたようです。実は図々しくも2級も満点合格を狙っていたので少し無念さが残ってますが(笑)

 あとは上手に言えないのですが、『簿記』というものを根本から理解して学習を進める、パターンに頼らない、何度も何度も問題と向き合い自分の弱点を徹底的に克服する…これにつきます。2級は本当に3ヶ月ジャストという期間しかなかったため、目安を立て段取りよく学習を進めたことが結果につながったと思います。

 あとはこの期間、本当にひとり孤独に勉強していたため、簿記検定ナビの存在をもっと早く知って、教材選びから勉強の仕方・情報の交換などしながら勉強できたらどんなに良かったなだろうぁ~…と今でも思っています。

 ここまでの3ヶ月を振り返って…勉強時間は小学生の息子が帰ってくる時間までと決め、家事と子供との時間の合間に全力を注ぎました。平日に平均3~5時間、土日は子供との時間と決め寝間際にテキストを読むだけという勉強スタイルを貫きました。

 そのせいか学習時間を捻出するために日常の時間の使い方がとても上手になったと思います。30代半ばを過ぎてこんなに勉強したのも学生時代以来でしたが、人間やれば出来るんだ!と嬉しい経験でした。満点を狙うくらいの強気で学習を進めることは大事です!

管理人コメント

 ゆうさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!具体的な勉強方法について、かなり詳細に書いていただきましたので、受験生の方にはぜひ参考にしていただきたいと思います。

 ゆうさんもおっしゃっていますが、独学で勉強する場合は、孤独との戦いになります。さっぱり分からない問題に遭遇したり、なかなか思うように勉強が進まないと精神的にきつくなってしまいますので、簿記検定ナビの質問掲示板や総合掲示板などで他の受験生と交流し、情報交換したり励ましあったりすることをおすすめします。

 あと、問題演習の時間をたくさん取れる場合は、1つの問題集を何度も繰り返すのではなく、他の出版社の問題集に手を出してみるのもいいかもしれません。出版社によって「ここは重要」「ここは不要」という考え方が異なりますから、A出版社の問題には出てこなかった論点が、B出版社の問題に出てくることもよくあります。最近の出題傾向を考慮しますと、なるべく穴のないように勉強することが大事ですので、時間に余裕のある場合はぜひお試しください。

 とても参考になる合格体験記を投稿していただいたゆうさんには本当に気持ち程度ですが、amazonのギフト券を送らせていただきます。本当にありがとうございました。

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