独学→通信の簿記講座。合格への最短ルートを常に模索し続けよう!
- 投稿者:中高年の星くずさん
- 勉強形態:通信
- 受験回数:1回
- 勉強期間:約5か月
目次
はじめに
はじめまして。勉強中によく見ていた「簿記検定ナビ」さんの合格体験記に投稿するのが夢だったので、長くなりましたが我慢して最後までお読み下さい。特に中高年者の挑戦にこの体験記が少しでもお役に立てたらこの上ない喜びです。
私が日商簿記検定を受けたのは、数年後に迫った定年後の生活設計を考えたのがきっかけです。年金も当てにならないので20代に取得した社会保険労務士を開業して少しでも収入を得ようと考え、ネットで色々と業界の現状などを調べていました。
ある質問コーナーで「簿記は必要ですか」の問いに、「特別に必要ないが日商簿記検定3級程度の知識があればよいでしょう」との回答がありました。公務員で日商簿記検定には縁がなかったのですが、最近は地方自治体も公会計制度による「貸借対照表」がどうのこうのとか、仕事の関係で出席している会社の会議資料に「当期売上高」などの資料が出ますが内容がさっぱり理解できません。
簿記という言葉は知っていましたが、改めて調べたら合格率30~40%とありました。社会保険労務士が10%程度だったので、これならすぐに合格するだろうと思いました。しかも、普通の資格試験は年1回なのに3回もある。仕事にも役立ちそうだし、いっちょやってみるかと決心しました。しかし、これが地獄の始まりになろうとは…
いざ勉強を始めてみると…
3級は簡単そうなので、合格に目安が立ったら途中から2級の勉強に入り、2月に3級、6月に2級合格という今から考えると身の程知らずな偉そうな計画を立てました。昨年10月、書店でTAC出版の「合格テキスト」と「合格トレーニング」の2冊をさっそく購入しました。
ところが、いくら読んでも内容が理解できずに時間だけがいたずらに過ぎていきます。これではいけないと焦ってきた頃、ネットで通信講座の広告が目に入りました。数社を比較した結果、内容が充実していて価格も安い四谷学院の通信講座を受講することにしました。
通信講座について
基礎から学ぶ55段階学習プログラム、1日の学習はたった30分で3ヶ月、カリスマ講師によるDVD学習というのも魅力でした。11月中旬だったので、ちょうど残り3ヶ月です。始めてみると、本では理解できなかったことがDVDでスッと頭に入ってくるのが分かり、これなら何とかなるかな…と楽しくなってきました。特にカリスマ講師の話が面白くて、DVDを見ながら1人でワッハッハと笑うことも何度かありました。
しかし、社会人特有の悩みが勉強時間の確保です。確かに1日30分間で進むのですが、色々な雑用があって1週間で1回もできないということもありました。やがて、年が明けましたが予定したスケジュールの遅れは明らかでした。しかも、さらに大きな困難が立ちはだかりました。
いよいよ本格的な試験問題形式の段階になったのですが、年齢のためか30分を過ぎると頭がボーッとなり、単純なミスが多くなるのです。「第3問は30~40分で解けるように」とテキストにあるのに、45分がなかなか切れません。なぜ出来ないのかと自己嫌悪に陥り、体中に脂汗が出たこともしばしばありました。
「こんなはずではなかった…」と何度も後悔しましたが、講師の「世の中の3級と言われる試験の中では、簿記3級は最も難しい部類です。」という言葉に励まされました。
辛い直前期を乗り越えて
1月下旬になると1日30分ではとても間に合わず、1時間~1時間半はやっていました。特に悩んだのが第3問の計算方法で、テキストどおりに仕訳をしてからT勘定に移して計算するのでは、30~40分ではとても無理です。最初は仕訳だけで計算していましたが、直接T勘定記入にしたところ、時間は短縮できても単純な仕訳ミスが多発します。
時間短縮か確実性か悩んだ結果、試験前日に「確実な仕訳からいきなり計算方式」に決定しました。最終試験では70点台の合格圏に入りましたが、疲れでケアレスミスをするのではないか…という不安が常にありました。しかも、花粉症の薬を飲み始めたためか余計にボーッとするのです。
前日の土曜日は朝10時から夜8時まで問題集を解き、9時に入浴して10時にベッドに入りました。体力・気力に劣る高齢者が合格するためには、睡眠を十分取って頭スッキリ状態で単純ミスを防ぐことが勝負だと思いました。
バッグに入れたもの
試験実施要領、受験票、よく削った新品の高級HB鉛筆5本、手動鉛筆削り器1台、新品の消しゴム1個、電卓2個、ティッシュ1箱、老眼鏡2本、今まで飲んだことのない高級ドリンク剤1本
試験当日の様子(ドキュメンタリータッチ)
前日の夜は早く眠ろうとして10時に就寝。ところが興奮して寝付けずに11時30分過ぎから少しウトウトした感じがしただけで1時半に目が覚める。その後は目はギンギンギラギラ、頭はカッカカッカ。何度か起き出して冷や酒を飲むが全然酔わない。母親の睡眠薬を飲むことも考えたが、効きすぎて頭がボーッとすることを恐れて我慢する。しかし、やはり早めに睡眠薬を飲んで熟睡するべきだった。
やっと朝方5時過ぎから2時間ほどウトウトしたが、完全に寝不足状態。ただし、興奮しているためか眠気は感じない。朝食は途中で眠くならないようにコーヒーとパン2枚。花粉症の薬も飲むのを止めて、仏壇に線香を立ててから家を出る。駐車場でドリンク剤を飲んで20分前に試験会場へ入る。
受験者は66名で、ほとんどが20代の若者で女性が多い。観察した感じでは上から2~3番目の年齢のようだった。直前までテキストを開いて勉強している人も多い。所々に欠席者の空席がある。受験番号は4番で、席は前から4番目だった。横には若い女性が座る。親子ほどの年の差である。時間前に一度会場外に出てトイレに入り、緊張を解すために屈伸運動を行う。開始前に試験官が「身分証明書を受験票の上に出して下さい」と指示があり、自動車免許証を置く。
深呼吸をして瞑想しながら、試験中に心がけることを3つ再確認する。
- 落ち着く
- ミス防止のため必ず1度は見直し・検算
- 試算表は仕訳をしていきなり計算方式
8時55分過ぎに試験官から諸注意が始まり、問題用紙と解答用紙が配られる。前から後ろの席に順番に回して開始前に受験番号と氏名を記入。透かして見た感じではT勘定の記入がないので一安心。試験開始は試験官のストップウオッチで計るとのこと。会場内の時計は9時3分になっていた。ロスタイム3分と確認。
「始め」の合図で問題用紙を開き、いざ答案用紙に記入しようとしたら、心臓バクバク、手がブルブル震えて字が書けない。やっとのことで1問目を解くころにやっと手の震えが止まってきた。隣の女性より少し早く進んでいるのを横目で確認しながら2問目に。意外と簡単で安心して3問目に。残り1時間半を確認して少し余裕が出た。
ところが、普通の残高試算表だと思ったら、期末から期首への振り替えがあってここでパニック状態に。とりあえずいつものとおり仕訳を始める。なぜか途中で電卓がプラス表示のまま動かなくなり、またまたパニック。予備の電卓に変えようとしたが、いつもの方が使いやすいためキーをデタラメにバチバチ叩いたら偶然に動いて一安心。
ところが最後の合計で借方と貸方の差が50万円もあり、ついに大パニック。振り替えの間違いだと思ったが箇所が分からない。その間に時間はどんどん経過するため、あきらめて4問目へ。意外と簡単で5問目に。これは普通の清算表だったが、計算用に配られたA4用紙1枚は余白がなくなってしまい、最後の2~3の仕訳は問題用紙に記入していた。合計したところ、今度は2千円合わない。すぐに見直したところいつもの単純な計算ミスを発見し、やっと合計が合った時点で残り6分。
隣の女性は少し早めに終了していて、余裕の態度である。3問目が確実に間違っているので見直そうとしたが、パニック状態で何がなんだか分からないうちに、あれよあれよという間に時間切れとなった。
3問目の失敗により「これは落ちた」と勝手に解釈し、身も心もボロボロ状態。そのままピザハウスに入って昼食。店内に問題用紙を持ち込んで確認しようとしたが、解答用紙がないため分からない。仕訳と振り替えの勘定がダブっていないことは何となく分かったが、第3問が今回の試験のひっかけ問題と確信する。
何の根拠もないが、第3問が全部間違っているような気になり、他の問題が全問正解でも第3問が32点だったので70点には及ばないと落胆。この時間でも興奮状態は続いていた。高級ドリンク剤が効きすぎたのか、就寝するまで興奮していたため、睡眠薬を飲んでやっと熟睡できた。
その後~ネットで合格を確認~
ネットに試験の感想コーナーがあり「今回の日商簿記検定はヒネリもなくて簡単だった・早く終わって寝ていた・ろくに勉強しなかったが簡単に解けた…」などの書き込みがあり、そんなに簡単な問題だったのに落ちたのか…とさらに落胆。簿記のボの字も見るのがいやになった。本当は終わってからすぐに2級の勉強を始めようと思っていたが、そんな精神状態ではない。
3月2日に商工会議所のホームページで合格発表するが、とても見る気にならない。一週間が過ぎ去ってやっとその気になったが、落ちているのを自分で確認するのが怖くて仏壇に線香を立ててから、子供に受験番号を教えて頼んだ。
「番号が全部載っているよ。4番を押せばいいんでしょ?」「何?4番!!!」
急いで自分で確認したら4番が掲載されていた。数えたら合格者は31人もいた。66人受験だが欠席者も数名いたので当試験会場の合格率は約50%強。近年にまれにみる高い合格率だったと思う。「それなのにこんなに苦労したのか。これではもっと難しい日商簿記検定2級なんてとんでもないことだなあ~」とまたまた自己嫌悪に陥る。いまだに四谷学院の2級コース申し込みが出来ない状態である。
最後に…感想
20代に何度も資格試験を受験したが、これほど緊張したことはない。ましてや、手が震えて字が書けないというのは生涯始めての体験である。簿記は法律関係の試験と違って、電卓操作などの実務的な能力が問われることを始めて知った。今回の試験を通じて一番感じたことは、やはり何でも若いうちに勉強しないと苦労するということだった。
管理人コメント
中高年の星くずさん、合格体験記のご投稿、ありがとうございました。受験会場における実際の試験の流れなど、細かいところまで詳しく書いていただいていますので、日商簿記検定の受験経験のない方でも、本試験のイメージを膨らませることが出来る素晴らしい合格体験記だと思います。
さて、上記の合格体験記に書かれていた「第3問の試算表の解き方」について、ここで管理人の意見を述べさせていただきます。試算表の作成問題の手順で「仕訳を切る→T勘定にまとめる→解答用紙に記入」というのは非効率な上に、移記の段階での記入ミスも考えられますのでおすすめ出来ません。下書き用紙は「最低限のことを効率よく書く」ことが肝要です。
そこで、管理人がおすすめするのが「頭の中で仕訳を切り、頻出勘定についてはT勘定を設定して最後に集計→解答用紙に記入、それ以外の勘定については解答用紙に直接記入」という手順です。この方法は頭の中で仕訳を切ってそれを振り分けていくわけですから、慣れるまではとても大変ですが慣れてしまえばこの方法が一番いいと思います。
まず下書き用紙に仕訳を書かないので、単純にその分だけ時間を節約できますし、「仕訳→T勘定」「T勘定→解答用紙」への移記の際の記入ミスも防ぐことが出来ます。はじめのうちは、頭の中で仕訳を切るなんて無理…と思われるかもしれませんが、何度も繰り返し練習すれば必ず出来るようになりますので、「習うより慣れろ」の精神でがんばってください。
ところで、中高年の星くずさんは2級の受験について悩んでおられるようですが、3級の知識がある今のうちにぜひ挑戦していただきたいと思います。簿記はスポーツと言われることがありますが、野球やサッカーなどと同じでインターバルが空けば空くほど、以前のレベルに持っていくのに時間がかかってしまいます。それに2級まで勉強すると、損益計算書(P/L)や貸借対照表(B/S)などの各勘定の意味がかなり分かるようになると思います。
お仕事がお忙しいようですので、勉強時間を確保するのは大変だと思いますが、簿記検定ナビでも掲示板などで出来る限りのサポートをさせていただきます。分からないことがありましたらいつでも質問してくださいね!
とても参考になる合格体験記を投稿していただいた中高年の星くずさんには本当に気持ち程度ですが、amazonのギフト券を送らせていただきました。本当にありがとうございました。
中高年の星くずさんが使われた教材や電卓のまとめ
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