カテゴリー: 簿記2級

  • 第131回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.98

    まずは道具(形)から…電卓は最初から良いモノを使いましょう!

    • 投稿者:やどかりさん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約2か月

    はじめに

     3月末に前職の契約期間が過ぎたため、時間が空きました。前職・前々職では経理事務をしており、月間の入出金や給与計算等をしておりました。

     しかし、資格も持っていなかったため、せっかくの経験を証明できる簿記2級を持っておれば今後の就職にも有利かと思い、失業手当受給期間中に資格を取ろうと、短期間ではありますが1発合格に向けて勉強を開始しました。

    テキストについて

     簿記検定ナビでも推奨の「サクっとうかる」シリーズの商業・工業を購入。本屋で立ち読みして読みやすいと感じたし、Amazonなどの評価が高かったので決めました。内容は項目ごとに簡潔に説明しており、文字数も多くなくごちゃごちゃしてないから、読み進みやすかったです。

     このテキストを1ヶ月かけてとりあえず1巡読み、よく出る仕訳や効率の良い解き方等要点だけをノートに書き出しました。あとの1ヶ月は過去問を解く時の辞書的役割で使用しました。

    問題集について

     TACの「合格するための過去問題集日商簿記2級」を購入。過去問題10回分ある上に、過去の出題傾向や予想問題、よく出る問題の効率良い解き方を記載しており、問題文を見ただけで「あ、これはあの解き方で解ける!」と言う瞬発力をつけることができました。

     また、問題の解説も詳しく読みやすい。これも本屋でいろいろな過去問題集を見た中で、TACが一番ごちゃごちゃ書いておらず読みやすかったため、これに決めました。

    勉強の仕方

     とにかく時間が2ヶ月と限られていたので、焦らずも効率良くを目指しました。初めの1ヶ月はテキストを読み、要点だけをノートに書き出し、意味を深く考えず仕訳の形・計算の公式を丸暗記するようにしました。

    要点まとめノート1
    要点まとめノート1
    要点まとめノート2
    要点まとめノート2
    要点まとめノート3
    要点まとめノート3
    要点まとめノート4
    要点まとめノート4

     そして、残りの1ヶ月はとにかく過去問題を解きまくりました。朝・晩と2時間ずつ、特に時間は計らずランダムに過去問を解くようにし、問題文や傾向に目や頭を慣れさせました。

     もちろん、初めは全然問題が解けないので焦りますが、4~5回分解くと「あっ、また同じような問題が出てきた。」とちょっと安心し始めます。それでももちろん解けませんが、その時にはテキストを見て、解き方を思い出しながら問題と向き合います。

     残りの半月は1回ごとの過去問を試験時間2時間を計りながら解きました。残りの1ヶ月で過去問10回分を3巡しました。これだけすると、問題を見ただけで「あの解き方だ」「あの公式だ。」という瞬発力がつくかと思います。

     過去問を解く以外の時間は、仕訳の中でもよく間違う問題を何度も反芻して、いざと言う時に備えてました。

    過去問解答時の下書きノート
    過去問解答時の下書きノート

    試験日の1日の流れ

    • 試験開始まで

     朝は7時に起床し、午後の試験に備えてぱっちりと目も頭も起こして起きました。軽く何題か過去問を解き、苦手の仕訳だけを最終チェックしました。試験会場にも1時間前くらいに到着し、問題集やテキストを最終チェックしました。

     私の左側は一般社会人の席で、右側は商業高校の生徒の席でした。やはり社会人のほうが落ち着いていて、先に到着して問題集など最終チェックをしていました。もう片方の生徒さん達はぎりぎりに着席し、一見余裕あるおしゃべりに興じていました。

    • 試験開始!

     131回の試験では第1問・仕訳で私の苦手な問題が出ていたので、「やっぱりきた!」と思い、反芻していて良かったと思いました。第2問では小口現金が出るなどして、3級の流れも有り焦りましたが、とにかく諦めず解くことに集中しました。仕訳を丁寧に書き出していると段々気持ちが落ち着いてきたし、計算は合っていたのでここでやっと落ち着きました。

     第3問は消耗品費がちょっとひっかけでしたが、他は計算は合っていたので、部分点狙いでとにかく全コマ埋めることを心がけました。第4問・第5問は過去問を解き慣れていたら簡単に解ける問題でした。工業簿記に関しては過去問の反芻で十分な対策が取れると思いました。

    試験を振り返って

     第1問の仕訳には私の苦手な問題が出ており、一瞬ドキっとして鉛筆が止まりましたが、隣の高校生達も完全に鉛筆が止まっており、その後も電卓の音もほとんど聞こえませんでした。多分、同じ問題に遭遇してフリーズしてたんだと思います。

     その後も、高校生達の筆音や電卓の音はかすかにしか聞こえておらず、解けていないんだなあという感じが伝わりました。私は苦手問題も事前にチェックしていたので解いてとにかく筆を進めました。

     社会人の方々はさすがに実践慣れしているので、最後まで筆も電卓も止まらず解けている様子でした。しかし、試験開始から30分が経過すると3~4人が一気に試合放棄で席を立ち退出していたので、出来る人・出来ない人が顕著に出たと思います。

    最後に

     3級の試験は過去問を解いて受かりましたが、2級はそれだけではなく、効率の良い解き方を分析・習得しながら勉強した方が良いと思いました。

     あとは最後まで諦めずに解くこと。本試験では解いているうちにだんだん落ち着いてくるので、普段から解答時間ギリギリまで粘る練習をしておくと良いと思いました。

    管理人からやどかりさんへ追加の質問

     今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
     以前は安ければ良いと思って、文房具店でメーカー名も気にせず一番安いものを購入して使っていましたが、簿記3級試験を初めて受けた時、自分のキー打ちの遅さにもびっくりしたのですが、電卓の使いにくさに初めて気付きました。

     「まずは道具から…」とよく言いますが、まったくそのとおりだと思い、ネットでいろいろと検索してみたところ簿記検定ナビに行き着き、電卓の種類の多さや機能性の違いもこの時に知りました。

     さっそく、管理人さんおすすめの「SHARP EL-N36」を購入しました。私は楽天で買ったのですが、レビューの評価も高いので「既に買われた方からも実績があるのだなあ」と思いました。

     実際使ってみると、以前の安価なものと違い手が吸い付くようで、キーを見なくても自然に数字を打てている実用性を感じました。また、キー打点の反発も柔らかで「バチっ!バチっ!」と周囲の人にも耳障りな音がしなく、試験中にも適応できるなと思いました。今は仕事でもこの電卓を使っています。

     やどかりさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
     以前、東京に住んでいた時に職場の方が「もしまた東京に戻ってくるなら資格を持っていた方がいいよ。」と助言くださいました。私はどんな職場にも適応してきた実績・自信はありますが、やはり一番初めの面接では資格が生きてくると思います。

     自分が今後やりたい仕事が出来た時、やはり資格は自分をアピールする最大の武器になると思います。しかも、その資格の合格率が低ければ低いほど、自分が一生懸命頑張ってきた、もちろん御社に入ってもそれくらい頑張りますよ、というアピールにもなると思います。

     今回は休職中だったので、3ヶ月は家でだらだらできるんだけど、それなら一発気合入れてド短期で2級を取ってやろう!と燃えました。とにかく勉強しまくって「これで落ちたら私、頭悪いかも。」って言うくらいのプレッシャーを自分自身にかけていました。

     これを機に1級を受けるつもりはありませんが、ファイナンシャルプランナーなどの試験は受けみたいと思います。

    管理人コメント

     やどかりさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

     電卓については、やどかりさんのおっしゃる通り、1,000円以下の安いモノと数千円するきちんとしたモノでは使用感が全く違いますので、最初からきちんとしたモノを用意することをオススメします。

     具体的な機種については…CANONなら「HS-1220TUG」(簿記検定ナビでは一番人気です)、SHARPなら「EL-N36-X」(やどかりさんが購入されたものです)、CASIOなら「JS-20WK」が簿記受験生に人気があります。

     簿記検定ナビでも管理人おすすめの電卓ページで詳細を紹介しているので、興味のある方は一度チェックしてください。

     また、まとめノートについては、作っても作らなくてもどちらでも構いませんが、作るのであれば、やどかりさんのように要点だけを簡潔にまとめて、後から簡単に見返すことが出来るようにしておくと良いと思います。

    やどかりさんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第130回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.97

    職業訓練を有効活用して一発合格!受験仲間の存在が大きかったです!

    • 投稿者:3だんごの母さん
    • 勉強形態:職業訓練
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約4か月半

    はじめに

    (簿記の資格を取ろう!と思うまでが長いので、ここは読み飛ばして頂いても構いません)

     私は47歳の主婦です。経理の実務経験はありません。会社勤めの経験は、20年以上前の独身時代に工場の電算室で伝票入力のキーパンチャーとして2年、その後転職して学習塾の事務(主にワープロ入力)として2年。結婚後は19年もの間、専業主婦として歳の離れた3人の子ども達の育児・家事に追われる毎日でした。

     子どもから少し手が離れるようになった3年前、嘱託の仕事を見つけ再就職しましたが、その仕事が3年間の契約期間終了となり、2011年の6月に退職。すぐに次の仕事を探し始めましたが、これといって資格もなく、年齢的にも40歳代後半、なかなか思うような仕事は見つかりません。

     毎週日曜日、新聞に折り込まれてくる求人広告を見ていると、たいがいの募集要件に「エクセル・ワードの出来る方」とあるのが気にかかり、「『出来る』って、どの程度の能力が求められているんだろう?」と思い、今まで独学で使っていたパソコンを1から習ってみたい、何か資格のようなものがあるなら取得してみたいと思うようになったのが、2011年の夏でした。

     ちょうどその頃、厚生労働省の『緊急人材育成支援事業』という制度を利用して、求職中の人が様々な技術・資格を身につけるための職業訓練校が各地に出来ていました。ワード・エクセルのスキルを身につける『PC基礎』という訓練もあったので、それを受講したいと管轄のハローワークに出向いたところ…

     担当者に「イマドキPCなんて皆さん出来るんですよ。それだけじゃあねぇ…」←アナタ、その程度のスキルアップでは再就職には結びつきませんよ!世間はそんなに甘くないですよ!と、口では言われなかったけれど、担当者の顔と態度が語っていました(苦笑)

     その後、担当者から「どうせ3~4ヶ月間、職業訓練に通うのなら、PCの授業と平行して簿記の授業もWで受けられる訓練があるので、そちらを受けたらどうですか?」とのアドバイスが。介護・医療事務・IT関連etc…他にも色々な職業訓練があった中で、なぜか担当者が初対面の私に勧めてくれたのは、簿記の訓練。

     経理の実務経験はありませんが、伯母が税理士なので『簿記』というモノが世の中に存在していることは知っていましたし、もう20年以上前になりますが、夫が一時期、自営業をしていたことがあって、その時「将来、帳簿をつけるのは私の役割になるカモ…」と、子育ての傍ら簿記の勉強をしようと本を購入したことがあるのも、この時急に思い出しました。

     結局、夫の自営業は軌道に乗ることなく終わったので私が帳簿をつける機会はなく、簿記の本は最初の数ページを読んだだけで何も理解できないまま放棄しました。この時は「どうして右が貸方で左が借方っていう名前なんだろう?この名前にどんな意味があるんだろう?」ここでつまずきました(笑)

     そんな過去もあって「簿記!あの時、入り口にも立てなくて諦めちゃった簿記!今ここで『簿記』という言葉を聞いたのも、何かのご縁なのかも…もう一度チャレンジして簿記の資格を取ってみよう!」…こうして4ヶ月間の職業訓練校通いがスタートしました。

    学習期間

     職業訓練校の通学期間は、2011/9/30~2012/1/31までの4ヶ月間。授業(←職業訓練校では『訓練』と言います)は月曜日から金曜日まで週5日。時間割は朝の9時から50分の授業が1日に5コマ。

     期間中、ビジネスマナー演習や職場見学、PCの訓練もありましたので、簿記の訓練を受けたのは正味48日間でした。(48日間×1日5コマ×1コマ50分=200時間)

     最初の14日間で3級のテキスト&トレーニングを終了。次の14日間で2級商業のテキスト&トレーニング、その後の14日間で2級工業のテキスト&トレーニング。最後の6日間は模試&解説というカリキュラムでした。

     職業訓練終了後は、2/1~2/25の試験前日まで自宅で過去問を解きました。1回2時間の過去問を1日に2回分(出来る時は3回分)、答え合わせと解説を読むのに1回分1時間以上。なので1日に6~9時間は勉強していたと思います。今考えると、我ながらすごい集中力だったなぁと思いますが、当時は「時間がぜんぜん足りない!」と焦っていました。

    テキスト・電卓について

     職業訓練校で使用していたのは下記の7冊。サクッとうかるシリーズは、初心者の私にも読みやすく、20年前に買った簿記の本とは大違いでした。また、試験に出る頻度が高い論点だけに絞って掲載されているようなので、短期間に試験合格を目指す人には最適なテキストだと思いました。

    • サクッとうかる日商3級商業簿記テキスト
    • サクッとうかる日商3級商業簿記トレーニング
    • サクッとうかる日商2級商業簿記テキスト
    • サクッとうかる日商2級商業簿記トレーニング
    • サクッとうかる日商2級工業簿記テキスト
    • サクッとうかる日商2級工業簿記トレーニング
    • 第130回を完全予想!ラストスパート模試日商2級

     ラストスパート模試は、カリキュラム最後の6日間(1月末)に本番同様2時間で解きました。その時点での得点は下記の通り、散々な結果。。どの問題も70点を超えるまでは繰り返し解く!と決め、2月の自宅学習中、過去問の合間にチャレンジしました。

    • 第1予想 1/23…54点 → 2/ 2…58点 → 2/15…74点
    • 第2予想 1/24…46点 → 2/11…74点
    • 第3予想 1/25…63点 → 2/22…80点
    • 第4予想 1/26…40点 → 2/16…76点

     2月の自宅学習の際、自分で購入したのはTACの『日商簿記2級合格するための過去問題集』です。職業訓練校で過去問の類似問題や予想問題は解いていたのですが、やはり実際の検定試験に出された問題を解くのが一番!と、最後の約1ヶ月間はこの問題集を集中して解きました。

    使用教材
    使用教材

    チャレンジした過去問&予想問題
    チャレンジした過去問&予想問題

     電卓は『CANON HS-1210TUC』を使いました。簿記検定ナビさんのおすすめを読んでHS-1210TUGを購入しようと思ったのですが、近隣のお店には売っていなくて、代わりに生産終了したと書かれていたHS-1210TUと似たような型番の物があったので、それを購入しました。

     この電卓は数字ボタンがPCのテンキーと同じような角度になっているところが、とても使いやすくて気に入っています。また、『億』『万』『千』ボタンが付いているので、例えば【1万】と入力したい場合、通常は『1』『00』『00』とボタンを3回押さなければならないところ、『1』『万』と2回押すだけで済み、入力時間が短縮され便利です。

    旧電卓と新電卓の比較
    旧電卓と新電卓の比較

    電卓&ケース(100円ショップで購入)
    電卓&ケース(100円ショップで購入)

    その他

     大原の直前予想会に足を運び予想問題をいただきました。試験問題・解答解説の他にも、最近の出題傾向や試験の時間配分なども書いてありとても参考になりました。それからもちろん、簿記検定ナビさんの仕訳対策も大いに活用させて頂きました。「15分あれば5問解ける!」主婦の細切れ時間にピッタリで重宝しました。ありがとうございました。

    勉強時間の確保

     簿記訓練の初日、講師の先生から「この短期間の訓練で合格を勝ち取りたかったら、家に帰ってから1日2時間は勉強をして下さい!」と言われ、「きちんと訓練に通いさえすれば合格する力をつけさせてくれるんだろう…」などと考えていた私は「甘かった!」と反省。

     職業訓練期間中は、授業後、訓練校の教室に居残り30分~1時間程度の勉強をしました。『その日の疑問は、その日のうちに解消!』を目標に、講師の先生がボランティアで教室に残って下さる日もあったので、そんな時はしつこく質問をしました。

     これは余談ですが…わからないところは、たとえそれが試験には出ない論点でも、とりあえず知りたい!理解したい!という厄介な性分の私。「ココは試験に出ないから覚えなくてもいいよ~。そのアタマの余裕があるなら、試験に出る他の論点をキッチリ覚えてね!」と先生がおっしゃったんですが…

     ある箇所(工業簿記の、本社工場会計の本社側の仕訳)がどうしても気になってしまい、休み時間に「やっぱり気になります!教えて下さい!」と質問してしまったのですが、先生はイヤな顔をせず丁寧に答えて下さいました。

     その時、最後の質問で私が「相手の勘定科目は何になるんですか?」と聞いて、先生が「『売上原価』よ」と答えて下さった瞬間、商業簿記でどうしても理解できず『しー・くり・くり・しー』『うく・うし・くう』と丸暗記はしてみたものの、なんだかモヤモヤしていた売上原価算定の一連の流れが「あぁ!そうか!そうなのか!!」と、なぜかストンと自分の中に落ちたのです。

     この時「簿記って、スゴイ!!どんな時も最後まで、ちゃんと辻褄があうシステムなんだ!」と、とても感動したのを覚えています。これは自分の中で忘れられないひとコマです。簿記の深さに触れた瞬間でした。

     話を戻します。訓練校で居残り勉強後は買い物をして夕方に帰宅。中学校から一旦帰宅し、すぐにスイミングへと向かう三男に軽食を食べさせ送り出し、それから夕食の支度。鍋を火にかけながらダイニングテーブルで1時間~1時間半の勉強。またまた余談ですが…この頃の我が家の夕食メニューは、カレー・シチュー・豚汁・鍋料理と、大鍋で煮込む料理がヘビロテで家族から苦情が出たことも(苦笑)

     あとは深夜に30分~1時間ほど勉強するようにしました。勉強方法は、その日の授業範囲のテキストを読み返し、授業で解いたトレーニングをもう一度解いて復習というシンプルな方法でした。

     …正直に白状すると、家に帰ってから、どうしても勉強したくない日もありました。そんな日は、5色のカラー付箋紙に、資産・負債・純資産・費用・収益の勘定科目を色別に書いてテキストの新出ページに貼り付けテキストを辞書のようにしてみたり、テキスト付録の『主な勘定科目』をダウンロード、プリントアウトして切り抜き、こちらも色別に大きな紙に貼り付けたりしました。工作は好きなので、これは私にとっては気分転換になりました。

     とにかく、簿記と1日でも離れるのはせっかく覚えたことを忘れてしまいそうで怖かったので、勉強に向かいたくない日も、何かしらの手段で少しの時間でも『簿記に触れる』ようにしていました。職業訓練終了後は、2/26の試験当日朝まで毎日過去問を解きまくりでした。たぶん今までの人生の中で、一番必死に勉強した期間だったと思います(笑)

    商業3級テキスト勘定科目の付箋
    商業3級テキスト勘定科目の付箋

    商業2級テキスト勘定科目の付箋
    商業2級テキスト勘定科目の付箋

    横の付箋には『忘れた頃にもう1回』の文字
    横の付箋には『忘れた頃にもう1回』の文字

    掲示用の勘定科目一覧
    掲示用の勘定科目一覧

    ノート&トレーニングの答案用紙
    ノート&トレーニングの答案用紙

    ノートの中身
    ノートの中身

    受検級を決めるにあたって

     講師の先生からは「履歴書に書けるのは2級以上なので是非とも2級を取得して欲しいが、念のため3級と2級を同日受検するように」と言われていたのですが、私には1日で2つの級を受検するのは難しいと思ったのであえて3級は申し込まず、2級のみに的を絞りました。

     もし午前中に3級の試験の出来が悪かったら、そのことを午後の2級受検中も、ず~っと引きずり続けるだろう…という自分の性格や、体力的にも1日で4時間も集中力がもたないと思ったからです。

    苦手克服法

     2級の試験範囲で私のいちばんの苦手は、商業簿記の特殊商品売買でした。とにかく勘定科目が多くて混乱してしまい、なかなか覚えられない。もう少し脳が若かったら良かったのに…と何度思ったことか(苦笑)でも、嘆いているだけでは何も解決しません。

     そこで私がしたことは、A4コピー用紙の裏紙やカレンダーの裏に、勘定科目の左右の組み合わせを「書く!ひたすら書く!!」そうして書いた紙を冷蔵庫の扉・トイレの壁・本棚の扉…と家中の目につく場所に貼り付けて、どこに居ても視界に入るようにしました。

     他に、工業簿記の三角形の図(シュラッター=シュラッター)、Sの計算式(CVP分析)も何枚も書いて、あちこちにペタペタ…とにかく当時は、家中が貼り紙だらけでした。「何度も書いて、身体(手)で覚える」非常に単純ですが、この繰り返し作業以外に苦手克服法はないのではないかと思います。『簿記はスポーツ』と言われる意味が、この繰り返し作業で分かりました。

    家中の壁にペタペタ貼り付け1
    家中の壁にペタペタ貼り付け1

    家中の壁にペタペタ貼り付け2
    家中の壁にペタペタ貼り付け2

    家中の壁にペタペタ貼り付け3
    家中の壁にペタペタ貼り付け3

    健康管理(特に中高年者の受検における注意点!)

     4ヶ月の訓練を通して、何が一番大変だったかというと…とにかく体調管理! この一言に尽きます。実は、簿記の訓練より先に受けていたPCの訓練で、同じ姿勢を長時間取り続けていた為か頚椎ヘルニアになり、手の痺れや肩~腕にかけての痛みが出てしまいました。

     そんな状態を誤魔化しながら、簿記の「書く!ひたすら書く!」をやってしまったもので、夜も寝られないほどの肩・腕の激痛に度々襲われ、整形外科に通院。

     そして、職業訓練終了後はあまりにも集中して勉強し過ぎた為か、それとも試験前のプレッシャーに押し潰されたのか、検定試験の1週間前に発熱・頭痛・嘔吐。丸2日間、食べ物を全く口に出来ませんでした。(この時は「…終わった。今までの努力が全て水の泡だ」と思いました)

     けれども「試験前日や当日の発熱じゃなくて良かったとプラス思考で考えよう!まだ1週間ある!!」と何とか気持ちを立て直しました。どんなに一生懸命勉強しても、当日にベストの力が出せなければ合格は難しいです。試験直前は体調管理を万全に!自分の苦い経験を元に、次の受験生へ伝えたい事です。

    過去問の解き方

     過去問はきっちり2時間、時間を計って解くようにしていました。問題を解く順番は、私は工業簿記の方が好きだったので、第1問→第4問→第5問→第2問→第3問の順に解くと決め、その際、設問ごとに何分ずつ時間がかかったのかも記録しました。(エクセルで簡単な集計表を作りました。)

     その結果、第2問の伝票・特殊仕訳帳問題を解くのに30~40分もかかっている回があることが分かり、これは何とかしなくては…そうだ、パターンに慣れてしまえば良いんだ!と、第2問ばかりを5回分くらい集めて一気に解いてみました。

     特に穴埋め問題が苦手で時間がかかってしまう傾向があったのですが、穴埋めではない問題を解く!→そのあとすぐに穴埋め方式の問題を解く!の繰り返しで、最後には目標タイムの20分~25分で解答欄を埋められるようになりました。

     集計表のこと…A4サイズの用紙に、32回分の過去問・予想問題・模試の『時間・点数・チェックポイント』が書き込めるようにしました。チェックポイント欄は小さな文字で書いてもせいぜい15文字ぐらいしか書けないサイズに、あえて小さく作りました。この表は綺麗に仕上げることが目的ではないので、あくまでもメモとして…

     今、見かえしてみるとミミズのような文字で『時間かかりすぎ』『時間切れ』『部品は直材!』『割賦販売×』『コレはOK』などの短い言葉が並んでいます。この表が数字や文字で埋まっていけばいくほど、自分が勉強した時間が量として目に見えて、実感が沸きました。

    試験日の1日の流れ

     当日は、普段通りに起床・朝食。昼過ぎからの受検のため、午前中は家で最後の過去問を解き、答え合わせ。早めの昼食を軽く食べてから、試験会場へ向かいました。

     持ち物は、試験の必需品以外で「あって良かった!」と思ったのはホカロン。2月の受検でしたので、会場へ到着した時は手袋をしていても手先が冷たく動かしにくくなっていました。それから、あたたかい飲み物。私はミルクティーを持参。試験前の緊張を和らげる効果があったと思います。

     試験会場には40分位前に到着。受検番号と照らし合わせて自分の席を探すと…なんと、中央の最前列の席。これで緊張感が一気に増してしまいました。とりあえず席に着き、持参した仕訳カードをパラパラとめくる。でも心ここにあらず。

     その時、職業訓練校で同じクラスだった人が会場に到着し、私の席まで来て声をかけてくれました。少し話をして、いくらか平常心を取り戻し、最後の仕訳カード確認。

    • 試験開始!

     開始の合図とともに、問題用紙・解答用紙を一読。「落ち着け、落ち着け…」と、自分に一生懸命言い聞かせるのですが、問題が思うように頭の中に入ってこない。その時、隣の席の受験生(50歳代?の男性)が「はぁ~…」と、私にも聞こえるような大きなため息をついたのです。(座席は、3人掛けの長机の真ん中を空席にして、左右に1人ずつ座るようになっていました。)

     私の視界に入る限りでは、隣の席の人は鉛筆を動かす様子も、電卓を叩く様子もありません。エッ!?この人、どうしたんだろう?と、ビックリ。そして「あぁ、隣の人に気を取られている場合じゃなかった、自分の世界に入らなきゃ!」と、なぜか逆に冷静になれました。

     時間配分は、工業簿記に思ったよりも時間がかかってしまったので(←解答用紙に答えの手がかりが載っていたのですが、それに気付くまでに時間がかかってしまいました)、最後に着手した第3問は途中で時間切れになるかと思いましたが、何とか解答用紙を埋めることだけは出来ました。この時点で、残り時間は15分ぐらい。

     実は、第2問の伝票問題も、第3問の本支店会計も、どちらも最終合計の数字が一致していませんでした。どちらも途中のどこかが間違っている。どちらを優先して見直すべきか…?

     過去問を解いていた時、第3問は満点が取れたことが3回しかありませんでした。それに対して、第2問の満点は7回。苦手な穴埋めではない、シンプルな伝票問題だった第2問を見直して、何が何でも間違いを発見する!!と決め、必死に電卓を叩き直し。

     そして残り5分くらい?(時計を見ている余裕はなかったので…自分の感覚ではそれくらい)で間違いを見つけ、左右の合計金額を一致させることが出来ました!残りの時間は第3問を見直しましたが、間違いを見つけることは出来ず、終了時間となりました。

    試験結果

     過去問では最後の頃には85~90点が取れていたのですが、本番は難しかったです。わかっているのに、焦ってしまって上手く答えられませんでした。

     問題用紙に自分の解答を写す余裕は全くなかったので、家に帰ってから計算用紙の走り書きを見ながら何とか解答を思い出し、自己採点をした結果は78点。でも、そんなに点数が取れたようには思えません。なんとなく、68点ぐらいで落ちるんじゃないだろうか…次回の勉強を始めなきゃ、そう思っていました。

     合格発表の日。Web発表で受検番号を確かめて、自分の番号があるのにビックリ!合格証を受け取りに行き得点を聞いたところ、なんと70点ちょうどでした。(こんな点数で、合格体験記を書く資格は無いのかも。。)とりあえず合格にはしていただきましたが、簿記を本当に身につけるには、まだまだ勉強が必要です。

    • 第1問 自己採点…12点 → 得点… 8点
    • 第2問 自己採点…20点 → 得点…20点
    • 第3問 自己採点…12点 → 得点…10点
    • 第4問 自己採点…20点 → 得点…20点
    • 第5問 自己採点…14点 → 得点…12点
    • 合 計 自己採点…78点 → 得点…70点

    簿記の勉強をしてよかったこと

     私の場合は、職業訓練校という場で講師の先生に教わることが出来たので、疑問点もすぐに解決できて良かったです。もし独学でチャレンジしていたら、工業簿記のテキストを開いて『X』の文字を見ただけで諦めていたカモ。訓練の時間に方程式の解き方が分からないのは恥ずかしいと思い、事前に大学生の次男に聞いて解き方を思い出してから訓練に臨みました。

     それから、職業訓練校で同じクラスだった人が同じ試験会場に数名いたのも良かったです。同じ目標に向けて共に頑張ってきた仲間が試験会場に居るというのは、心強いものでした。

     そして、家族が協力してくれたことも嬉しかったです。休日には夫が昼食を作ってくれたり、試験直前には、自分も中学校の定期テスト最中だった三男が、私のあまりの余裕の無さを見るに見かねて夕食にチキンライスを作ってくれました(私は発熱の為丸2日間をロスした後で、本当に切羽詰っていました。。)

     これで三男のテストの結果が悪かったらどうしよう…と心配でしたが、毎日リビング机で勉強する私の隣で、三男もコツコツ勉強をしていたおかげで、前回のテストよりも点数が上がるという結果になりました。その後、三男は「英検と漢検を受けてみる」と言い出し、現在勉強中です。「子どもが勉強しなくて…」と嘆くお母さんは、自分が机に向かって必死に勉強してみて下さい。効果絶大ですよ!

     今回の受検で、勉強は何歳になってからでもやれば出来ると自分に自信がつきました。(ただし、体力的には相当キツイです。。)簿記の資格が取れたことで、就活も「努力すれば、道は開ける」と思えるようになりました。ご縁のある仕事に就けるよう、頑張ります。ここまで読んでいただき、有難うございました。

    管理人から3だんごの母さんへ追加の質問

     3だんごの母さんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
     私の場合は、ハローワークの担当者を見返してやりたい!という執念…カナ?(笑)結果として、自分に自信がつき再就職にも前向きになれたので、発破を掛けてくれた担当者に今は感謝しています。

     それから、一生懸命に教えて下さった職業訓練校の講師の先生(私より5歳年下の女性)に、「合格しました!」と報告したい一心で勉強しました。あとは、職業訓練校で同じクラスだった訓練生と、お互いに分からない所を教え合ったり、模試の点数を競い合ったりしたことが、良い刺激になったと思います。

     もうひとつ、よく家に遊びに来る次男の小学校時代からの友人I君(大学の経済学部に通学中)が偶然、大学で簿記の講義を受けていたので、彼と簿記談義が出来たことも励みになりました。

     そしてI君と次男の共通の友人である、ちょっとユニークなN君が、実は高校時代に簿記2級を取得していたことを知り(N君のお母さんは簿記1級取得者だそうです)、I君と私は「N君が高校時代に取れたんだ!俺にも(私にも)取れる!」を合言葉に「絶対に2級に合格しよう!」と約束。

     I君は、第130回は試しに3級を受検しましたが、大学の講義だけで検定試験対策をしていなかったので、残念ながら不合格でした。次は時間配分等の戦略を練り、過去問もきちんと回数をこなして、就活が始まる3年生までに必ず2級に合格する!と頑張っています。

     ちなみに。 3級商業 → 2級商業 → 2級工業 と勉強していて、いちばん辛かったのは、2級商業の勉強をしていた頃でした。3級の知識定着も完璧ではないのに、その上にどんどん2級の知識を積み重ねていったので、少し前の単元に戻るとすっかり忘れてしまっている…の繰り返し。なぜ、こんなに忘れてしまうのか?自分は簿記に向いていないのでは?と悩んでいました。

     そんなある日、またいつものように「忘れてる…こんな簡単なことを…」と落ち込んでいる私の目に留まったのが、『サクッとうかる日商2級商業簿記トレーニング』のP176のイラストとセリフ。

    『簿記は読んで覚えて問題を解いて忘れてまた覚えて…の、くり返しでだんだんと身についていきます』

     この言葉に出合って「みんな、そうなの?私だけじゃないんだ!」と、忘れることを極端に恐れなくても良いと思うようになりました。「忘れたら、また覚えればいいや!」良い意味で、開き直れたと思います。

     他にも、このトレーニングのイラストとセリフには、悩んでいるピッタリのタイミングでアドバイスをもらい、随分と救われました。テキストもトレーニングも、隅から隅まで読んで活用することをオススメします。

     ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
      受検勉強というのはいくら時間があっても足りないものだとは思うのですが、もしもう1度受検をするならば、テキスト・トレーニング終了後に、過去問を最低でも10回分×2巡は解いてから本試験に臨みたいです。試験問題独特の言い回しに慣れるには過去問を解くのが一番だと思いますし、過去問で確実に合格ラインを取れるようになっていれば、それが本試験での自信に繋がると思います。

     それから電卓は、出来れば簿記の勉強を始める際にテキスト類と一緒に買い揃えて、初めから同じ電卓を使い続けて手に馴染ませて下さい。私は当初、家にある電卓を使用していたのですが、計算にスピードを要するようになってくると、その電卓では追いつかなくなったので、3級の学習終了時に新しい電卓に買い替えました。(価格1790円)

     使い始めてみると、新しい電卓のタッチの心地良さにビックリ!2千円程度の電卓なら、最初から買って使っていれば良かったなぁ…と後悔しました。

     あとは、自分がどの設問が得意で、どの設問が苦手なのかを、過去問の点数のデータを取って分析しておくと良いです。今回の本試験で「第2問も、第3問も合計額が合わない!時間はギリギリ、どうしよう…」という場面で、「過去問で満点が取れた回数の多かった第2問を優先して見直そう!」と、咄嗟の判断をつけることが出来ました。

    管理人コメント

     3だんごの母さん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!育児と勉強の両立は大変だったと思いますが、職業訓練制度を有効活用して見事に一発合格されました。

     職業訓練に限らず、学校へ通学して勉強することのメリットは受験仲間ができることだと思います。分からない問題を質問したり、おしゃべりして気分転換したり、試験の情報交換をしたり、仲間の頑張る姿を見て自分を奮い立たせたり、世間話をして試験前の緊張を和らげたり…数えたらきりがありません。

     独学の場合、常に自分自身との戦いになりますので、意志が弱いと途中でドロップアウトしてしまう可能性が高いです。よって、時間的・金銭的余裕があれば、学校へ通って勉強することをおすすめします。なお、学校選びについては、TACか資格の大原のどちらかを選べばまずハズレはありません。

     あと、電卓については「Canon HS-1220TUG」という人気電卓が2,000円弱で買えるので、安いものを使っている方は一度チェックしておいて損はないと思います。簿記電卓「CANON HS-1220TUG」の詳細レビューページに詳細をまとめましたので、興味のある方はぜひご覧ください。

    3だんごの母さんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第130回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.96

    子育てと勉強の両立のカギは朝勉にあり!

    • 投稿者:ぴぽぴぽさん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約6か月

    はじめに

     幼稚園児と未就園児がいる30代無職です。再就職を目指しています…といっても、小さな子供が2人ではすぐに就職が決まるわけでもないので、128回で3級取得後、ごく自然に2級取得を目指すこととなりました。

    自分に課したこと

     無職で費用をかけられないことと、子供達が小さく外出は難しいので独学となりました。独学はさぼろうと思えばいくらでもさぼれるので、やる気の維持が鍵と思います。私の場合、時間の捻出が思うように取れないことや、どうせ勉強しても…のネガティブ思考にとらわれだらけそうな不安があったので、自分にノルマを2つ課しました。

    1. 絶対に129回か130回のどちらか1回で合格すること
    2. 費用は1万円まで(教材費、検定料、取得に関わる交通費含む)

    使用教材

    1. サクッとうかる日商2級商業簿記テキスト
    2. サクッとうかる日商2級商業簿記トレーニング
    3. サクッとうかる日商2級工業簿記テキスト
    4. サクッとうかる日商2級工業簿記トレーニング
    5. 合格するための過去問題集日商簿記2級
    6. 入門原価計算
    7. 簿記ナビの仕訳問題対策

    ※1から4は中古品購入、5は最新版を図書カード使用、6は図書館を利用

    勉強スタイル

     勉強時間は3級取得時と同じ、夜は子供達を寝かしつけつつ自分も寝てしまい、早朝4時起床にして5時半までを充てました。下の子も少し大きくなり、朝まで眠ってくれることが多くなったので、以前より確実に勉強時間を確保できましたが、依然としてアイロンがけや縫い物など、子供がいては危ない家事をこの時間にすることも。

    勉強のすすめ方

    • インプット期

     3級でも学習したなじみのある商業簿記から工業簿記の順ですすめました。テキストを読み、ひとつの論点が終わればトレーニングを解くを繰り返しました。テキストとトレーニングを一巡した段階で感じたことですが、商業簿記はある特定の論点がわからなくて苦労するということが多く、工業簿記はとっつきにくく、何のどこがわからないかさえ自分でもわからないという感じでした。

     それでも、テキストをとにかく全部読むとなんとなく全体像が見えてきて、よく言われる「工業簿記は流れをイメージして考えることが大事」ということを実感しました。

     工業簿記はテキストとトレーニングを終えても理解不足感が残っているところ、図書館で「入門原価計算」という本を見つけました。この本のおかげでいろいろなパターンの原価計算に接することにできました。

     ただし、わかりやすい図やイラストはなく、テキストが主体であること。例題や問題もあるものの、詳しい解説はないので、テキストを終えてからでなければ、わからない!と投げ出していたと思います。

     そして、この時点で129回の受験申請期限が間近となってきていましたが、過去問は手つかずの状態であり、試験までに自分の確保できる勉強時間を考えると、129回で1発合格の可能性は低い気がして130回にかけることにしました。129回の試験は見送りましたが、某専門学校の無料講義と無料模試には参加しました。

    • アウトプット期 過去問題集1周目

     129回受験者用の無料模試終了後は、過去問題集に取り組みました。1周目は時間は計りましたが、特に制限時間は設けず自力で解くことに重点を置きました。考えてもわからない時は、問題の解答解説を読みながらでも解くようにしました。

     この時、必ず手を動かして考えるように心がけました。また、理解が不足していると感じた時は、その論点のテキストを再度読みました。ちなみに、得点は記録しませんでした。計上すると、情けない得点に気持ちがへこみ、勉強を投げ出しそうでしたので…(苦笑)

     129回受験者用の無料模試でケアレスミスをしなければ合格点という結果でしたので、それを励みに「過去問に慣れればなんとかなる!」と信じて、勉強を続けていました。

    • アウトプット期 過去問題集2周目

     2周目は下記の2点を目標に取り組みました。また、得点も記録するようにしました。

    1. 過去問題集に大問ごとに記載されている目標時間内になるべく解答できるようにする。
    2. 下書き用紙をスリム化する。

     この時点での得点は、回によって合格点に達したり達しなかったりでした。下書き用紙のスリム化は、簿記ナビを参考にさせていただきました。この時期は、解答時間の長さと得点が見事に反比例していました。ケアレスミスも多かったです。試験範囲も広いせいか、スムーズにアウトプットができていないとも、感じていました。

     対策として、「まちがいノート」を作るのが最良だと思いましたが、私の場合、二人の子供が同時に静かになるのは夜の睡眠中だけであること。子供達はすでに昼寝をしない。起きている限り、数分たりとも集中することは難しく、せっかく作った「まちがいノート」を読み返すことが、まずできないことから、過去問題集の解答解説ページの余白に「まちがいノートもどき」を作ることにしました。

     そこに、ケアレスミスをした箇所や原因(計上忘れ、数字の読み違え、転記ミス)など、解けなかった問題を理解するためのメモや図などを書き込み、次に過去問に取り組んだ時に嫌でも目につくようにしました。

     特にケアレスミスの原因記入は役に立ちました。記録するうちに自分がどういうミスの傾向があるか把握でき、注意するようになります。初見の問題でも、ケアレスミスを減らせば合格できると信じて取り組んでいました。

    • アウトプット期 過去問題集3周目

     3周目は、2周目の目標にプラスして得点アップを図りました。最初のうちは同じような箇所で同じ原因のケアレスミスをして落ち込みましたが、箇所と原因を過去問題集の解答解説ページに書き込むうちに、問題を読んだ時に自分のケアレスミスのしやすい箇所を想定しやすくなり、ケアレスミスを減らせるようになったと思います。

     また、問題に指示されている数値や解答の仕方などの注目すべき箇所を、○印などで囲んで目立たせるなどの対策も練りやすくなります。ただし、過去問題集の問題ページには、何度も解くために書き込みは避けました。問題への書き込みは、問題のコピーや大原が無料配布している問題・解答集のみで。

     あと、この時期にもインプット期に参加した、某専門学校の無料講義と無料模試に参加しました。

    • アウトプット期 試験当日まで

     130回受験者用の無料模試の結果は、前回の無料模試の結果よりも悪い60点でした。風邪をひいて体調が悪いなか受験したとはいえ、試験が迫っているところにかなりの心理ダメージでした。

     初見の問題で確実に合格点を叩き出すには、自分の苦手論点を知る必要を感じました。そこで、試験までは本試験時に出そうな苦手論点の克服に力を入れることにしました。

     まず、過去問題集の得点記録から自分の苦手論点を把握した後、自分の苦手論点と簿記ナビや市販の予想問題集で取り上げられている出題予想論点を照合し、出題の可能性が高い苦手論点から順に取り組んでいきました。

     この時、トレーニングと過去問題集の苦手論点の問題をまとめ解きしました。まとめ解きは問題の比較ができて、理解を深めるのに役立ちました。なお、予想問題集は残り予算の都合で購入せず、論点確認の立ち読みですませました。

    • アウトプット期 補足

     アウトプット期の全てを通して過去問を解いた後、家事を開始するまでの半端時間に簿記ナビの仕訳問題対策を解きました。

    試験日の1日の流れ

    • 4:00

     起床。最後まで苦手だった論点の問題、簿記ナビの仕訳問題のうち正解率の悪い問題を解く。

    • 5:30~

     家事。子供の世話。試験の持ち物つくり。

    • 11:30

     早めに昼食を摂り、出発。

    • 試験開始40分前

     会場着。トイレをすました後、開始時刻まで持参のお茶とチョコ2粒を食べながら、「まちがいノートもどき」を読む。

    • 試験開始直前

     問題用紙が配布されると、解答用紙に受験番号と名前を記入されるよう指示されました。記入しながら解答用紙を見て、どんな問題か推測。同様に、問題用紙も透かし見できる部分からどんな問題か推測。

     第2問が得意の伝票問題っぽそうなのが透かし見えたので、工業簿記より先に解こうと決意。下書き用紙をA5サイズに折って、表裏の各面を第2問から第5問に割り当て準備。

    • 試験開始~終了まで

     開始の合図とともに、まずは問題用紙をさっと見て解答順を決めました。基本的に1→2→4→5→3の順で解くことにし、残り時間や難易度の状況に応じて臨機応変に対処することにしました。

     第2問は最初、集計が合いませんでした。自分の得意な問題だけに焦りましたが、原因を探すのは後にして、先にまだ手をつけてない問題の解答を埋めることにしました。

     残りの問題は多少とまどうところもありましたが、落ち着いて考えられたせいか、最終的には全て解答できました。まだ時間が余っていたので第2問を見直したところ、計上忘れのケアレスミスをしている箇所を発見して修正。その後、終了時刻まで念入りに見直し、問題用紙に解答を写して提出。

    最後に

     結果は自分でも驚きましたが、満点合格でした。残念ながら「2級取得費用は1万円まで」の課題はかなわず、800円超。私自身は費用を抑えるために中古の教材を使用しましたが、お勧め度は低いです。特に、短期間での合格を望まれる方には効率性が悪いと思います。(私の場合、商業簿記トレーニングが会社法改正前の内容で、少し混乱しました。)

     また、模試は、2時間まとめて時間を取れない方にとっては、非常に有意義だと思います。時間配分や会場の雰囲気に慣れておけるので、適度な緊張感を持って本試験に臨めました。皆さん、学業やお仕事で大変でしょうが、毎日少しずつでも続けて頑張って下さい!

    管理人からぴぽぴぽさんへ追加の質問

     今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
    ・サクッとうかる-テキスト(80点
    図やイラストを多用して、わかりやすく簡潔にまとめられていると思います。ただ、全試験範囲を網羅していないので、載っていない論点は個別に調べたこともあります。

    ・サクッとうかる-トレーニング(75点
    同シリーズのテキストと併用するのであれば、良いと思います。

    ・合格するための過去問題集日商簿記2級(90点
    解説が詳しく、大問毎に解答の対策ページが割かれています。また、巻頭に過去数年分の試験出題論点がまとめられていて、出題傾向が一目でわかります。解答用紙をダウンロードできるので、繰り返し答練できるのもいいです。オススメです。

    ・入門原価計算(60点
    機会があれば…というところでしょうか。

    ・簿記ナビの仕訳問題対策(100点
    なぜそういう仕訳になるのか、背景までとても丁寧に記述されていて、丸暗記でないきちんと理解できる簿記脳になれると思います。この内容で無料というのは本当にすごいですし、大変ありがたいです。

     ぴぽぴぽさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
     まずは「簿記2級を取るゾ!」と他人に宣言する!…です。宣言する人は自分を応援してくれる人にしましょう。他人に宣言して頑張らねばならない環境にしました。複数の人に宣言すると効果的かもしれません。

     またモチベーションが下がってきたら、めでたく合格する自分をイメージします。合格して、宣言した人に合格を報告する自分をイメージします。「合格」のハッピー妄想にふけり、妄想で終わらないよう、頑張ろう!と気合いを入れました。

     ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
     とにかく、少しずつでもこつこつ続けること、あきらめないことだと思います。たまには勉強場所を変えて、無料講義や無料模試に出かけるのも良い刺激になりました。特に会場で、年配の受験者の方を目にするのは大変励みになりました。少し後悔している点は、新しい教材を使えばもう少し短期間で合格できたかも?!

    管理人コメント

     ぴぽぴぽさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!育児と勉強の両立は大変だったと思いますが、朝の時間を有効活用して見事合格されました。朝はテレビなどの誘惑が少なく、頭もすっきりした状態で勉強できるので管理人もおすすめしています。

     また、資格の大原TACなど、大手学校が試験前に開催している無料講義や無料模試に参加するのも良いと思います。なお、参加したからといって強引に勧誘されたり、DMがたくさん届いたりはしませんのでご安心ください。

     最後に教材選びについてですが、ぴぽぴぽさんもおっしゃっていますように版が古いものはおすすめできません。特に商業簿記は基準変更の影響を受けやすいので、必ず最新版の教材を使って勉強するようにしてください。

    ぴぽぴぽさんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第130回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.95

    30点は間違えても大丈夫!発想の転換をして緊張を和らげよう!

    • 投稿者:エトペンさん
    • 勉強形態:専門学校(通学)
    • 受験回数:2回
    • 勉強期間:約3か月(5年)

    はじめに

     私は日商簿記1級の勉強をしています。それなら2級には受かって当然だろうというのが世間の一般的な考え方だと思います。それなのになぜ私があえて2級を受けたのか…その理由や合格に必要な勉強方法などを紹介します。

     今回は受験2回目で、初めて受けたのは大学生の頃でした。当時、予備校の講師に上位資格の勉強をしているのだから2級は受かるだろう!と言われるがまま申し込むも残念ながら不合格。全く知らない論点も出題されていたので全範囲の知識を網羅していなかったかもしれませんが、それでも不合格は不合格。苦い思い出ですが、これが私の日商簿記試験との出会いです。

     しばらく2級のことは忘れていましたが、もう一度基礎から簿記と向き合ってみたいと思い書店で関連書籍を立ち読みしていました。そしたら基礎知識に漏れがあるのを発見し2級だから!と考えず、もう一度2級レベルの勉強から始めました。

     …とはいっても、この段階で一通りの内容は勉強済みだったため、苦手な工業簿記はテキストと問題集を購入し、商業簿記は過去問ベースで勉強しました。

    勉強の基本方針

     勉強をするにあたり、まずは目標(目的)と計画を設定しました。

     目標は試験を受けるからには合格ですが、それと同時に目的の明確化に努めました。なぜ2級を受けるかです。会計に興味を持ったから、会社で必要になったから…人それぞれだと思いますが、私は基礎知識の再確認のためです。このため、合格だけを目標とするなら過去問を解くのが効果的ですが、苦手な工業簿記はテキストと問題集を購入しました。

     計画は目標を達成するために必要な時間設定です。永遠とテキストと問題集をやっていても効率的ではないので、いつまでに終わらせ、いつから過去問に移るかという時間設定を行いました。

     幸い試験日までに時間があったので、二週間前にテキストと問題集が終わるように設定しました。ただ、あくまでも計画は計画で、実際に終わったのは一週間前で、そこから過去問を解きはじめました。

    使用電卓

     SHARPのEL-G36を使用していました。資格受験用の電卓のため、サイレントキーや早打ち機能などは一通り揃っています。昔使用していた電卓はクリアキーが電卓の左下に位置し、0や1を押す際に間違ってクリアキーを押すことが多々ありました。なので、最終的にはキーの配置が決め手となりました。

     電卓を選ぶ際には、上述のサイレントキーや早打ち機能が付いているものがオススメです。日商2級では必要ありませんが、上位資格や経理を目指すなら√キーが付いているかを確認して下さい(1級ではEOQなど)。信じられないかもしれませんが、有名メーカーの電卓で√キーが付いていないものを見かけましたので…。

    使用教材

     TAC出版の合格テキストおよび合格トレーニング、過去問もTACのものを使用していました。基礎知識の確認が目的だったため、実際に書店で吟味し一番説明や図表が充実しているものを選びました。価格だけ見れば割高ですが、自分の目的に合致したものだったので迷わず決定しました。

     私は受験経験者で、改正論点の経緯もある程度は把握していたため、中古書店に足を運び過年度のものを探しました。幸い問題集は100円で見つけたので購入し、テキストのみ新品にしました。工業簿記はほとんど改正がないため、特に問題なく使用できました。

     しかし、はじめて受験される方は改正論点に加え出題内容や傾向に変化が生じていますので、最新のものを購入するようにしてください。特に商業簿記は頻繁に改正されているため、ご注意下さい。書店で10年前のものも置いていましたが、いったい誰が購入するのでしょう…。間違っても手を出さないようにしてください。

    試験日の1日の流れ

    • 試験前夜~翌朝

     自分の中では受かって当然だという意識があり、これが却って緊張してしまいました(試験当日よりも前夜の方が緊張していました)。前夜は問題集の間違えたところをざっと見直すに留め、しっかりと睡眠をとりました。

     翌朝に持ち物の確認(電卓、筆記用具など)と試験会場の確認を行いました。申し込みの際に試験会場の地図は頂きましたが、念のためインターネットで場所の確認を行いました(方向音痴なので迷える自信がありました)。

    • 試験会場まで

     試験会場に向かうときは、テンションの上がる曲を聴くようにしていました。巨人の沢村投手は試合前に音楽を聴いて士気を高めるといいます。受かって当然であっても、落ちる可能性もないとも言い切れないため前向きになれる曲を選びました。

     試験会場に余裕もって到着すると、特に見直しは行わず身体や指のストレッチを行っていました。2時間は座りっぱなしになるため、ベストパフォーマンスを発揮するために軽めのストレッチを行いました。指のストレッチというのは、電卓の1から9を叩くと45になるのでこれを何度か行いました。

    • 試験開始

    試験が始まると、まずは問題をざっと見渡し時間配分の計算を行いました。私は第一問→工業簿記→第二問→第三問の順に解きました。なかには工業簿記→商業簿記の順で解く方もいると思いますが、私が第一問から解き始めたのは当日の気分です。この方法だと商業簿記→工業簿記→商業簿記と頭を切り替える必要があるため、一般的な工業簿記→商業簿記の順が良いと思います。

    第130回・試験問題についての雑記

     第一問 (1)有価証券の購入という論点です。なかには、手数料の処理・端数利息の処理など様々な論点が含まれていました。端数利息については、指示がなかったのでもし過去問を解いていなかったら月割りをしていたでしょう。

     当日は、うるう年の今年に限って366日で計算なんてことはないよな…と考えながら電卓打っていましたが、365日で計算したら綺麗な数字になったので一安心しました。

     見直し段階で気付きましたが、平成○○年表記で平成23年となっていたのでうるう年の366日で計算するなというメッセージだったのでしょう。

     (2)(5)電卓を叩く必要もなく、類似問題が過去問でも繰り返し出題されていたので確実に正答したい問題です。(3)生産高比例法の問題です。トラックの台数と間接法の指示を見落とさなければ正答にたどり着けたでしょう。

     (4)株式発行の問題です。テキストや過去問で繰り返し出題されており、ひねりもありませんでした。創立費に類似の開業費を語群に含めていたら難易度が少し上昇していたかもしれません。

     第二問 過去問でも繰り返し出題されている伝票会計です。論点としての難しさはないため、いかに集計ミスを防止するかにかかっていたと思います。私は仕丁番号を一部書き忘れてしまいましたが、許容範囲内でした。

     第三問 本支店問題です。前T/Bの一部が空欄になっており、貸借差額でしか求まらない数値があるのかと思いました。しかし、実際に解いてみると自分で直接算出することも出来れば貸借差額の金額と自分の算出した金額を比べることも出来ました。

     たとえば、期首の繰延内部利益の金額を算出出来なくても、貸借差額で求めることが出来たのでこの論点を忘れていた方も救われたのではないでしょうか。

     未達事項の発送未達は、内部利益が含まれているものか明示がなかったため本店仕入勘定と支店売上勘定を照会して確認しました。また、為替手形の振出しというあまり見かけない論点も出題されたため、面食らってしまった方もいたでしょう。

     前受家賃の月割計算も難易度の高いものとなっていたと思います。単純に12で除すと割り切れないことから、ここから月割りの論点に気付かれたと思います(実は私も)。この手の論点は、線表を書いて前T/Bの金額が何ヶ月分の金額なのか算出するのが一番ミスが少なくなります。私は線表に加え、丁寧に前期末・当期首・期中・当期末の仕訳を書いて解きました。

     P/Lは単に売上原価と表示せずに、期首・期末商品棚卸高と当期商品仕入高に分かれていたので点数を拾いやすかったのではないでしょうか。

     第四問 補助部門がある場合の工程別総合原価計算でした。見慣れない問題で、この問題を解けたかが合否を大きく左右したのではないでしょうか。問題文だけ見たらよく分からない問題ですが、解答用紙まで見たら解き方を示してくれていたようなものでした。

     なので、解答用紙にまで目を向けて全体像をつかめたかがポイントとなったでしょう(解答用紙も問題の一部だということです)。

     第五問 単純総合原価計算の問題です。仕損の処理を問われていないので、材料Bの平均投入の処理に気を付けながら解けば満点を狙えた問題でした。

    本試験時の下書き用紙1
    本試験時の下書き用紙1
    本試験時の下書き用紙2
    本試験時の下書き用紙2

    試験結果・目標点数との乖離

     結果は、自己採点で第一問・第四問・第五問が満点でした。第二問は一部仕丁を忘れ、第三問は繰越利益剰余金がB/S貸借差額とP/Lの当期純利益を使用し求めた金額と合わなかったため、どこかケアレスミスをしたと思います。

     合否のみで、点数は開示してもらえませんでしたが最終的には9割弱に落ち着いたと思います。これは自分の目指していた点数とほぼ同じでした。70点で合格の試験で100点を狙うのは効率的ないので、受験経験者の私でも100点を狙った勉強はしませんでした。

     もちろん狙うことは出来たでしょうが、あえてそれはせずに30点分は間違えられる!という気持ちで挑みました。こうすることで、過度に緊張することを避けられました。

    合格するための勉強法

     商業簿記と工業簿記に共通していえることですが、全体像を把握するということです。とくに工業簿記は日常との関連性が薄く困難ですが、趣旨・目的と仕訳・計算をリンクするのが全体像の把握に役立ちます。仕訳はもちろん大事なのですが、その背後にある考え方や処理を併せて理解することでより大きな視点での理解が可能となります。

     たとえば、工業簿記の部門別計算です。部門別計算は、費目別→部門別→製品別という流れの中の第二次の計算段階です。まず、何を部門別に計算しているのかという計算に必要な大前提のイメージをつかみます(主に製造間接費です)。

     次に、部門別の目的の一つに製品原価の正確な計算があります。なぜ部門別計算を行うことで計算が正確になるのかを計算とリンクさせて抑えます。その上で、各論ともいえる部門費の第一次集計から第三次集計の理解や、その段階の一部を予定原価で計算するとどうなるかまで抑えたら理解としてほぼ十分です。

     このレベルに達したら計算で何をやっているかをすんなり理解出来るはずです。問題集で第二次集計の補助部門配賦表の問題が解けても(直接配賦法や相互配賦法)、仕訳や勘定記入になると突然解けなくなるという症状に身に覚えがあれば、これは全体像の理解が不十分ということです。

     本試験では、計算さえ出来れば問題は解けるため全体像を抑えるのは一見遠回りにも思えますが、全体像を抑えた上で計算を抑えるのとそうでないのとでは天と地の差があります。これが出来ていれば今回の工簿第四問は難なく答えられていたのではないでしょうか。

    さいごに

     現在は日商1級に向けて勉強していますが、日商2級の理解が大いに役立っています。仮に2級の勉強をせずに1級の勉強をしていたら全体像をつかめないまま電卓を叩いていたでしょう。

     2級の内容を理解出来ていれば、1級の応用論点に関しては積み重ねていくだけなのでそれほど難しく感じません。逆に、2級の基礎的前提ともいえる内容を理解しないまま1級の勉強をしていたら今ほどの満足感は得られなかったでしょう。

    管理人からエトペンさんへ追加の質問

     エトペンさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
     計画や目標は少し緩めに設定(理想標準でなく一定のアローワンスを加味した現実的標準)すること及び勉強のやる気が起きない時は思い切って休息をとることです。

     前者については、計画(特に中長期的な計画)通りに勉強が進むというのは稀なので、少し余裕を持たせたスケジュールを立てました。たとえば、一週間が終了して予定の範囲まで勉強が進んでいないとそれだけでモチベーションが下がってしまうため、達成可能だけど少し緩めな水準に計画を設定しました。

     少し緩めな水準というのは勉強計画だけに限らず、本試験の目標点数も同様です。満点でなくて90点辺りを目標にすることで、第三問の繰越利益剰余金の金額が合わなくても焦らず他の問題にあたることが出来ました。完璧にしなくて良いんだ!という気持ちが芽生え試験勉強も苦になりませんでした。

     後者については、勉強のやる気が起きないのに嫌々机に向かっていても非効率なので少し長めに休憩をとったりその日はオフにしました。休憩中は天気が良ければ散歩をしたり、そうでなければ書店で様々な書籍を読み漁っていました(日商簿記関連の書籍含む)。

     TACの合格トレーニング(問題集)は他の問題集に比べボリュームが多いため、他の参考書と比較したり、苦手論点の説明を見比べたりしていました。オフにするときは、主に家族や友人との時間にあてました。これが程よい息抜きになりモチベーションを低下させることなく勉強を継続出来ました。

    管理人コメント

     エトペンさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!勉強計画の策定の仕方、教材・電卓の選び方、効果的な勉強方法などを分かりやすくまとめていただきました。

     まず、教材についてですが、エトペンさんもおっしゃっているようにゼロから勉強を始める方は最新版を購入するようにしてください。商業簿記は特に、安さにつられて中古品に手を出すと後でつらくなります。

     また、SHARPのEL-G36という電卓は私もおすすめです。ただ、この電卓はTACの窓口等でしか買えませんので、個人的にはほぼ同等機能のSHARP EL-N36-Xをおすすめしています。

     価格は5,000円前後とちょっと高めですが、その分だけ操作性・打鍵感も良く、また静粛性も高いです。

    エトペンさんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第130回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.94

    悔しさをバネにして、5回目の挑戦で合格!

    • 投稿者:チョビさん
    • 勉強形態:高校や大学
    • 受験回数:5回
    • 勉強期間:約1年

     私は、商業高校出の大学2年生で、第130回日商簿記検定2級に合格することができました。私の体験記が読んでくださった方々の励みや参考になればうれしいです。

    勉強方法(2011年4月~2012年2月26日まで)

    • 大学内の検定対策講座(4月~6月12日の検定日まで)
    • 大学の授業(9月~2月上旬まで)
    • 自習 平日(1日平均3~4時間)・休日(1日平均8~9時間)

     私の通う大学では、検定取得を目標とする人の為に検定対策講座があります。4月に入学した際にその講座を受講しました。しかし6月の検定試験では惜しくも「68点」であとわずかに合格点には達しませんでした。

     この結果を受けしばらく悔しさから抜け出せずに勉強を辞めてしまったので、11月の検定試験を受験してもしょうがないと思い受験しませんでした。この結果、合格までの学習期間が約1年と長期になってしまいました。

     2月の検定試験合格を目標に本格的に勉強を開始したのは10月頃です。勉強をするきっかけになったのが、「(以前検定講座でお世話になった講師の先生が)心配していたよ。」と友達から言われたのが勉強を再開するきっかけになりました。

     私は、その時複雑な気持ちでした。自分を心配してくれている先生がいるのに、その期待に応えられない自分が情けなく思えました。6月の検定試験の後先生は私に「受からせてあげられなくて申し訳ない。」と言いました。

     この言葉を聞いたとき、私は泣きました。自分の力が足りなかっただけなのに、先生にこんなことを言わせてしまったのだと思ったからです。その時のことを思い出したら、もう逃げたくないと思いました。遅いスタートではありましたが、もう一度挑戦しようと思いました。

    使用した問題集など

    • 大原合格作戦シリーズ 日商簿記2級商業簿記テキスト(大原出版)
    • 大原合格作戦シリーズ 日商簿記2級工業簿記テキスト(大原出版)
    • 日商簿記検定 模擬試験問題集 平成23年度版 2級(実教出版)
    • 第130回を完全予想! ラストスパート模試(ネットスクール出版)

    勉強の仕方

     やはり、基礎が大事なので基本をしっかりと抑えられるような勉強をしていきたいと思いました。理解できてきたら応用問題を解くといった、その段階での自分のレベルに合わせて解く方法が一番いいと思います。

     早く次に進みたいと焦る気持ちはありましたが、地道に学習していくことが一番の近道だと思ったので、上記で紹介したテキストを記載順にやりました。「今日は、精算表を完成させる!」などの小さな目標を立てて取り組むのがお勧めです。

     また、商業簿記・工業簿記ともに、テキストは2回解くようにしました。2回目解くことで、本当に理解できたのか再確認することができます。更に、自己分析をすることができます。

     よく間違えてしまうところなどリストなどにピックアップすれば効率よく勉強できますし、苦手なところを探す手間が省けていいと思います。あと、語呂合わせで覚えられそうな公式は、自分でオリジナルの語呂を作って覚えました。

    検定前の学習方法

    • インターネットなどを使って出題予想の情報を得る
    • 予想問題を繰り返し解く

     私は「今回は、どんな問題が出るのだろうと」すごく気になっていました。このような不安な気持ちになるのは仕方ないと思いますが、私の場合、簿記の出題予想をしているサイトを見たりして情報を収集しました。

     また、的中率が高いというクチコミを信じて、ネットスクール出版の「ラストスパート模試」を購入しました。予想問題を解くだけでなく、過去問の類似問題を探して解いたりもしました。予想をもとにいろいろな問題に慣れておくことも大切だと思います。

    試験日当日の流れ

     朝6時に起床。8時半頃電車に乗り、試験会場である(自分の通っている)大学に10時過ぎに着きました。試験会場ではまず予想問題を一通り確認しました。特に工業簿記は、絶対押さえておきたいと思ったので念入りにやりました。また、緊張から指が動かなくなるといけないので、伝票会計などで指慣らしをしました。

     12時に昼食をとりましたが、試験中に腹痛を起こさないように脂っこいものを控えました。そして試験開始30分前には着席して最後の確認をしました。以上が当日の流れです。

    合格発表

     3月12日に合格発表がありました。期待と不安を胸に、紙が張り出されるのを今か今かと待っていました。自分の番号を見つけた瞬間は喜びで訳がわからなくなりました。「いままでやってきたことは間違っていなかった。努力が実を結んだ。」と素直に思えました。

     数日後、合格証書が届きました。本当にうれしかったです。額縁にいれて飾っています。

    合格までの軌跡

    • 過去の成績
    • 124回 21点 (平成22年02月)高校2年
    • 125回 46点 (平成22年06月)高校3年
    • 126回 55点 (平成22年11月)高校3年
    • 128回 68点 (平成23年06月)大学1年
    • 130回 90点 (平成24年02月)大学1年

     私は商業高校に通っていたので、高校時代にも受験しました。私のように何回落ちてもあきらめずに勉強を継続できれば、きっといつかは結果を残すことができると思います。私自身、負けっぱなしでしたが、最後には90点という高得点で合格を勝ち取ることができました。自分のやり方次第で道は開けると思います。

     4月になり私は大学2年生になりました!今後は、日商簿記検定1級を目指したいと考えています。また、検定取得講座に入会して日々努力していきたいです。そして、将来的にはFPの資格も取得して金融機関で働きたいです!読んでくださり、ありがとうございました。

    管理人からチョビさんへ追加の質問

     今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
     教材に点数を付けるならば大原出版のαは100点です。基礎の問題だけではなく応用問題があり、ちゃんと力が身についているかを確認することができるのでいいと思います。また、分野事のまとめの問題もあり、短い時間で勉強することもできるので使い勝手が良かったです。お勧めします。
     今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
     私の使用している電卓は、キャノンの12桁ある電卓です。この電卓の利点は、千・万・億のボタンがあることです。大きい数字を打つときは非常に便利です。逆に弱点は、ルート機能などがないことです。それ以外は別に困ったことはありませんでした。他の人にはあまりお勧めしないです。やはりそれなりの機能がある電卓の方が長く使えていいと思います。
     チョビさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
     私の得意なのは、工業簿記の等級別です。問題を解いているうちに好きになりました。苦手な論点はCVP分析です。何回も同じところを間違えてしまったりしていました。そこで私はスケジュール帳の余白やメモ欄に公式や図形を書いたりして見直していました。

     スケジュール帳は毎日持ち歩くものなので荷物にならないのでいいと思います。また、すぐに取り出せるから電車での移動中などでもチェックできました。苦手を克服するために、解説を読む時間を多く取るようにしました。解説を読み、どういう計算をして間違えたのか考えられるからです。

     チョビさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
     私は、勉強計画を立てて勉強していました。このことが勉強のモチベーションを上げてくれたと思います。自分のペースで焦らずに解くことで無理なく続けられました。また、今日何しようと余計なことを考えなくていいので計画的に勉強することが好きです。

     あとは、無理をせずにしっかりと息抜きをすることです。20分くらい横になったり、お茶飲んだり、音楽聞いたりと少し勉強の合間に好きなことをするのが一番いいと思います。

    管理人コメント

     合格体験記のご投稿ありがとうございました!5回目の挑戦で合格されたとのことで、喜びもひとしおだったと思います。

     チョビさんもおっしゃっていますが、簿記3級・簿記2級は諦めずに勉強を続ければ必ず合格できる試験です。なかなか合格できずに悩んでいる方もいると思いますが、トンネルは「出口の直前が一番暗い」と言われています。今は真っ暗闇の中を不安を抱えて進んでいる状態かもしれませんが、諦めずにがんばれば必ず合格という名の光が見えてくるはずです。

     あとは…追加の質問の一番下でもお答えいただきましたが、効率よく勉強するためには適度な息抜き(休憩)が必要です。人間が集中して勉強できる時間は1時間程度と言われていますので、こまめに息抜き(休憩)をとるように心がけてください。

    チョビさんが使われた教材や電卓のまとめ