カテゴリー: 簿記2級

  • 第133回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.108

    学習の予定と進捗を毎日確認し、適宜修正することが大事です!

    • 投稿者:イルカ船長さん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約8か月

    はじめに

     昨年6月施行の第131回/3級に合格後、すぐに2級の学習を開始し、第133回の2級検定に合格しました。3級は個人商店をテーマとした簿記ですが2級は株式会社が前提であり、会社勤めの身としてはより身近に簿記を感じられると思い期待感いっぱいで取り組みました。

     工業簿記は初めて学ぶことで不安でしたが、商業簿記は3級の延長線のようだし頑張れば大丈夫だろう…そのような気持ちで2級の学習を始めました。しかし、現実は甘くありませんでした。商業簿記で習う仕訳が格段に複雑になっていること、工業簿記ではイメージを描けなかったこと、大きくこの2つの点で苦労の連続でした。

     独学の自由さを活かし、テキスト類は少し多めに使用することにはなりましたが、試行錯誤しながら自分なりに解決の道を模索し、結果に結びつけることができたことは私にとって良い経験となりました。これから簿記検定を目指される方にとって、わずかでもお役に立てることができれば嬉しいです。

    学習開始から試験日までの動き

     6月21日より学習を開始しました。約2か月で商業・工業の学習範囲を大まかに把握し、2巡目から本格的にテキストと問題への取り組みを行うつもりでした。しかし予定通りには進められませんでした。8月中旬以降は工業簿記に対する苦手意識から勉強に嫌気がさしまして、約1か月ほど全く勉強しない日が続きました。

     9月下旬より、初めからやり直す気持ちで勉強を再開。テキスト、講義DVD、基本問題をしっかり仕上げることに注力しました。12月より商業簿記の過去問に入り、1月より工業簿記の過去問を始めました。

     1月20日以降は2時間で1回分の過去問を解く作業を行い、本番での時間配分の感覚を養いました。2月10日から試験日当日の午前中まで直前予想問題集に全力を注ぎ、総仕上げを行いました。

    学習予定と進捗の確認、行動の修正

     1ヵ月後、自分はどうなっていたいのか。そのためにはこの1週間で何をこなせばよいのか。その1週間のために、今日何をどこまで勉強するのか。日記をつけて実現したい自分のイメージをしっかり持ち、週間計画を確認し、日々の行動を修正しました。

     日記の最後にはどんなに小さな事でも実行できたことははっきりと明記します。小さな事でも学習を積み重ねた事実に変わりありません。とにかく日記の最後は明るい内容で締めくくります。継続するための小さなポイントだと思っています。

    テキストについて

     使用した教材を列挙し、感想を書かせていただきます。

    • 1.すいすい♪簿記2級 マンガみてGo!(商業/工業)

     3級でお世話になった本の2級版です。イメージをしっかり作りながら学習できる本です。サクッとテキストとの相乗効果は抜群だと思います。工業簿記が取っつきにくいと感じる場合に助けとなってくれるはずです。

    • 2.サクッとうかる日商2級テキスト(商業/工業)

     3級学習でとても相性が良いテキストだったため、迷わずこのテキストにしました。文体が柔らかく、丁寧な表現で統一されているため、読んでいて苦痛を感じることはありません。タイトルから軽い印象をお感じになるかもしれませんが、内容の手加減はありません。

     重厚なテキストは網羅性も高く一見して安心感はありますが、学習者がこなせなかったり消化不良となってしまっては何の意味もありません。そうなるくらいなら、たとえ網羅性が多少低くても自分に合う教材をしっかりこなして、ものにすることの方が現実的ではないでしょうか。

    • 3.サクッとうかる日商2級トレーニング(商業/工業)

     テキスト完全準拠の問題集です。基本→本試験レベルと段階的に難易度が少しずつ上がり、この1冊を解きこむことで、試験に必要な基礎は得られます。学習段階で3回転することをおすすめいたします。

    • 4.サクッとうかる日商2級対応・講義DVD(商業/工業セット)

     サクッとシリーズの講義DVDです。商業簿記は桑原知之先生、工業簿記は山田裕基先生が担当です。テキストに沿って講義は進められますが、両先生の講義は具体例を多く用いて、簿記上の取引の意味を非常に詳しく、丁寧に説明して下さいます。従って理解は格段に深まります。

     理解が伴うと無理して憶える必要はありませんから、結果的に学習そのものは楽しくなると思います。「わかる→やる→できる→もっとやりたくなる。」このように自分の中で好循環が出来ると、独学だろうとなんだろうと学習スタイルはさほど関係ないのではないかと思います。

     自分の意志で、自分が主体性をもって勉強することがなによりも大切なことですから。サクッとテキスト&トレーニング&講義DVDのセットで約2万円ほどですが、はるかに超える価値を頂けたと感謝しています。

    • 5.日商簿記2級「仕訳攻略ナビ」

     3級でとてもお世話になった仕訳に特化した問題集です。2級商業簿記の基本論点が簡単、簡潔に示されていて読みやすいです。本試験レベルの総合問題は全部で60題掲載されています。各問題に対する詳しい解説はとても勉強になります。

     携帯性に優れていますから通勤時やスキマ時間でも仕訳に触れることができます。私はこの本の掲載問題を解く際は全て頭の中で仕訳をしました。イメージで仕訳を切る訓練によって得た力は、本試験において私を多いに支えてくれました。

    • 6.7日間でマスター!2級重要仕訳40

     これは公認会計士の柴山政行先生が、ご自身のブログで無料提供して下さっている仕訳トレーニング教材です。本来、この教材は日商1級や税理士簿記論受験生の基礎力確認のために、柴山先生が作成されたものですが、上級から見て重要と思われる2級商業簿記の仕訳を学べることに期待を感じて勉強させていただきました。

     簿記論レベルの計算力が必要となる問題も含まれていますので内容は充実しています。柴山式総勘定元帳という図を用いた解説によって、複雑な仕訳も勘定連絡を追いながら見ていくことですっきり理解できるようになりました。

     40問の仕訳を7日分に割り振り、レジュメと柴山先生の音声講義がセットで提供されます。私は往復2時間の通勤時間を有効に使うために、音声講義をMP3プレーヤーに入れて学習しました。

     初めの数回転はレジュメで問題を読みながら音声講義を聞きますが、何度か繰り返すうちに問題は覚えてしまいます。以降はレジュメ無しで音声講義のみに集中します。問題を聞き、取引の状況を素早くイメージし、頭の中で仕訳をします。この作業を50回転ほど繰り返しました。

     仕訳がどれだけできるようになったのかを確認するために、過去問の仕訳問題だけをまとめて解いてみたところ、以前は全くできなかった問題がすらすら解けるようになっていました。

     印象に残った柴山先生の言葉がありますのでご紹介させて頂きます。「基礎力は瞬間的に出せなければ意味が無い。」「いちいち確認しながらつっかかっている状態だから上級レベルで出来なくなる。」「3級が疎かだと2級が出来なくなる。2級が疎かだと1級や税理士簿記論で苦労する。従って基本は大事です。」

    • 7.プラス8点のための問題演習(TAC出版)

     過去問と同時並行で進めました。問題のバリエーションが豊富で、解説と計算過程が豊富な図解とともにかなり丁寧に書かれています。過去問を解いてみてハードルが高いと感じる場合は、この問題集でじっくり時間をかけて考え方を確認してみるとほとんどの悩みは解消されると思います。

    • 8.出題パターンと解き方 過去問題集(第133回対応版)

     解説がとても詳しいので助かります。解説はできれば声に出して実際に読みます。先生が自分に教えてくれているように思え理解度が違います。分野別に本試験問題が組み替えられていますので、苦手を潰すためのまとめ解きには最適です。

     学習時間が取れない時でも、1問選んで解くだけでしたら20分前後で済みますので、あまり気持ちを構えることなく過去問に触れる環境を作ることができるはずです。

     まず学習初期に過去問を見ておくことをおすすめします。解くのではありません。本番でどのような問題が出題されるのかを知ることが目的です。早い段階で本番のイメージを持っておくと、学習の進め方を見直すときの拠りどころになると思います。

     第1問は仕訳5題が定型です。収載された過去12回分の第1問をまとめて解くと弱点が明らかになります。各回10分~15分を目安に全問正解できるようになれば、本番で恐れることはありません。

     全ての問題に共通しますが、一度解いて出来た問題でも再度じっくり復習することで知識の定着が確かなものになります。2度目に解く時は出来るだけ丁寧に、詳しく下書きを書いてみるのもいいかと思います。さらにもう1人の自分に対して説明する作業を入れると効果的です。

     「この問題はこういう処理を聞いているから、このように資料を整理して、特にここに注意をして、こうやって計算するんだよ。」面倒な作業のように思われるかもしれませんが、説明しようとすると以外と難しいものだと気が付きます。

     スムースに説明できないということは、理解が不十分な可能性があります。順を追って自分に説明することにより、知識が整理され腑に落ちていくと思います。

    • 9.ラストスパート模試(ネットスクール出版)

     様々な出題形式が収載された直前予想問題です。内容は簡単すぎず、難しすぎずでちょうど良いと思います。

     ラストスパート模試を使用してインターネット上で開催される試験直前イベントがありますが、ここではネットスクール社の先生より、学習進度別の直前期学習プランについてレクチャーを受けることができます。インターネットを使える環境があれば参加をおすすめします。

     ラストスパート模試は4回分が用意されています。本番までに4回転しました。多くの問題を粗くこなすことよりも、問題を絞って何度も繰り返す方が力は付くように感じます。

    • 10.会計学入門(桜井久勝先生/著)

     日経文庫の本です。桜井先生は「財務会計講義」の著者です。桜井先生が会計を初めて学ぶ人のために、基本となる部分を柔らかい文章で記述してくださっています。小さくて薄い本です。

     日商簿記2級の試験対策として直接関係しない本ではありますが、2級を学習するうちに感じた素朴な疑問に対する答えが書いてあったりしますので気分転換に読むのによいかと思います。簿記処理の背景にある会計学を意識することで、簿記を学ぶ意味をより深く認識できると思います。

    試験日の1日の流れ

    • 起床時間

     午前6時に起床。消化のよい朝食をとり、7時~9時までは「ラストスパート模試」の復習を行いました。第1予想の「本支店会計」を中心に、ウラ予想までまんべんなく目を通しました。また苦手ではない分野には特に注意を払い、抜けがないかどうかを確認しました。

     9時30分~11時30分までは、「プラス8点のための問題演習」の復習です。工業簿記の問題のみを復習して、自宅での学習は完了としました。

    • 試験会場に到着

     12時40分に会場入り。市内の私立高校です。当日は強風で電車遅延が予想されたため、早めに自宅を出て家族に車で送ってもらいました。案の定、電車は遅れていました。

     とても寒かったので、上着のポケットに携帯用カイロを入れておきました。試験直前まで手を温めました。電卓をスムースに打つために…

    • 教室に入る

     すでに4~5人ほどの受験生が入室していました。黒板に書かれた受験番号を見ると、私は一番前の席でした。後ろに人がいる状況が好きではないので、ちょっとだけ嫌な気持ちになりました。

     机の上に置いたものは受験票、運転免許証、電卓、シャープペンシル(クルトガ0.3ミリ、芯はB)、消しゴム、ラストスパート模試。予備の筆記用具は落下防止のために、シャープペンシルと消しゴムを輪ゴムでまとめて滑り止めをしておきました。

    • 試験開始15分前

     トイレに行く。試験開始後は手洗いが理由でも一旦退室すればその時点で試験終了となるため、ぎりぎりまでトイレに行く時間を引っ張りました。頭に栄養を与えるため、ブドウ糖を飴替わりに口に含みました。

    • 試験監督が入室

     受験上の諸注意について説明を受ける。鼻をかむためにティッシュペーパーを使用する場合は、事前に申し出ることを強調していました。まだ花粉症の症状が出ていなかったのでほっとしました。

    • 13時30分、試験開始

     解答用紙に受験番号と氏名、生年月日を記入。合わせて出題形式を推測して、時間配分を組み立てました。

     試験開始の合図とともに、一斉に問題を広げる音が教室に響きます。この一瞬のために重ねた学習を出し切る時がきました。私はすぐに問題を見ません。背筋を伸ばし、目を閉じて、静かに深呼吸を数回。

     深呼吸をする間「3級で一度は挫折を味わった自分が今日、2級の試験を受けようとしている。この状態になれたことが夢のようだ。この日を迎えられる環境を整えてくれた家族や先生方に感謝。」このように思い心を整え、努力をしてきた自分を褒めた後、問題にとりかかりました。

    • 解答開始

     解答順序は第1問→4問→5問→2問→3問の順に決定。

     第1問は迷わず解答。所要時間は12分。第4問、第5問は苦手としていた工業簿記。時間をかけてしっかりと下書きを作ったため、40分以上を費やしました。一つひとつの処理を確認しながら解答することを実践しました。第2問は伝票会計・仕訳日計表の推定型。過去問で何度もやり込んだ問題です。ストレス無く解くことができました。

     第3問は商簿のメインテーマでもあります。今回は「本支店会計」でした。決算関連の出題形式では他に単体での精算表や財務諸表を作成させるものがあります。本支店会計は前段階のプロセスがポイントとなる少しだけ特徴がある形式ですね。1級を目指している私としましては思い出に残る出題だな…などと余計なことを考えながら解答しました。

    • 試験終了

     全ての問題を解き終えるのに2時間を要しました。従って見直しが全くできませんでした。一つひとつの処理を正確に行うことに集中しただけで試験が終了してしまいました。不安な気持ちで会場を出ました。

    試験結果

     3月7日、商工会議所より合格発表がありました。試験で見直しが出来なかったため不安でしかたがありませんでしたが、合格していました。私が申し込んだ商工会議所では、試験の得点については受験者本人の申し出に限り検定センターにて閲覧できるためすぐ確認に行きました。70点ギリギリを予想していましたが、得点は96点。第3問で4点を失点しました。

    今後について

     すでに1級の学習を始めていますが、3級、2級で学ぶ内容はとても大切だと痛感しております。学習においては時間がかかっても理解することを重視した姿勢で取り組み、会計の考え方と計算をつなげて、簿記を通じて会計を学び続けていこうと思います。

    合格に欠かせないこと

     合格は、「良き師との出会い、自分の努力、周囲への感謝」によって、必ず成就するものと信じます。有難うございました。

    管理人コメント

     イルカ船長さん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

     合格体験記をまとめていて思うのは、短期間で合格する人の多くはきちんと勉強スケジュールの管理をしているということです。イルカ船長さんも日記を使って勉強のスケジュール管理をされていますが、最初にゴール(=合格)を決めて、逆算的にスケジュールを組んで、あとは適宜修正を加えながら黙々とこなしていく…というスタイルが一番良いと思います。

     また、イルカ船長さんは試験日当日の天気から「電車のダイヤが乱れるかもしれない」と判断し、車で試験会場に向かわれています。2月試験は全国的に雪の影響を受ける可能性が高いので、最初から複数のアクセス方法を考えておくと万が一の時に慌てなくて済みます。

     最後に、開始の合図とともにすぐに解き始めるのではなく、一度、深呼吸して気持ちを落ち着かせるという行動もおすすめです。すぐに解き始めると、どうしても周りの雰囲気(電卓の音や紙をめくる音)が気になってしまいますが、あえて深呼吸して開始のタイミングをずらすことによって、周りの雰囲気に飲まれるのを防ぐことができます。

    イルカ船長さんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第132回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.107

    簿記2級は過去問対策がとっても大事!あと、腕時計は忘れずに。

    • 投稿者:Milchmanさん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:3回
    • 勉強期間:約1年

    はじめに

     私は33歳の会社員です。事務や経理とはまったく関係ない職種ですが、ビジネス書に啓発されて簿記の学習をはじめました。

     第124回試験で3級に合格。その時点では2級を目指すつもりはなかったのですが、最近になって事務職へ転職したいという思いが強くなり、2011年12月から2級への挑戦を始めました。

     受験の履歴は以下のとおりです。

    • 第130回 不合格(点数不明)
    • 第131回 不合格(62点)
    • 第132回 合格 (88点)

    使用した電卓と教材

     電卓は、家にあったテンキー入力用の端末を使用しました。教材は、以下のとおりです。

    • 第130・131回受験時
    • 10日30時間でうかる! 日商簿記2級 最短合格テキスト 商業簿記【新2版】
    • 10日30時間でうかる! 日商簿記2級 最短合格問題集 商業簿記【新2版】
    • 10日30時間でうかる! 日商簿記2級 最短合格テキスト 工業簿記【新2版】
    • 10日30時間でうかる! 日商簿記2級 最短合格問題集 工業簿記【新2版】

     上記4冊はいずれもダイエックス出版のものです。第131回試験後、2度目の不合格が確定した時点で、「手持ちの教材では本試験レベルに対応できない」ことに気付き、以下の教材を追加しました。

    • 第132回受験時

    学習方法

    (1)第130回・131回対策(不合格時代)

     平日は30分×2回の通勤時間と、会社の昼休み1時間が主な勉強時間でした。出勤前後や休日は育児や家事があるので、会社にいる時間の方が学習しやすい状況でした。

     毎日「通勤時間にテキストを読み、昼休みに問題集を解く」「通勤時間に問題集を少しずつでも進める」といった方法を取っていましたが、ラッシュアワーの通勤電車内で問題を解くのはなかなか大変で、【電卓が使えないから暗算】→【計算の答えがなかなか出ないor出ても間違っている】→【学習が進まない】という不毛なループを繰り返していました。

     それでも試験直前には、家族の協力を得て2時間まとまった時間を確保。問題集付属の模擬試験や、ダイエックス出版から提供された予想問題を、3種類×2回程度は解いていました。

     第130回はまったく歯が立たない状態で受験しましたが、第131回は受験前に「初回60点台、2回目80点前後」ぐらいには持って行くことができました。でも不合格でした。

    (2)第132回対策

     不合格2回を経て、「仕訳に苦手意識はないのに、第1問で点が取れない」「第2~5問で見たことのない用語や形式に出遭い、慌ててしまう」という自分の弱点が分かりました。

     仕訳については、ダイエックスの問題集は基礎レベルの問題が多く、本試験レベルの問題はほとんど載っていませんでした。また、勘定科目が指定されていない問題が主だったので、「提示された勘定科目で答えていない」というミスも何度かしていました。

     第130回不合格時には「4冊の教材を使い切れていない」感じがあったのですが、第131回不合格で「4冊の教材だけでは合格に届かない」気がしましたが、受験料を結構使ってしまっているので、さらなる教材代の捻出は厳しい…という事情から、簿記検定ナビの仕訳問題PDFを頼ることにしました。

     仕訳問題PDFは問題だけを印刷し、別の紙に答えを書く形で取り組みました。会社の昼休みにはパソコンが自由に使えるので、答え合わせはパソコンの画面を見ながら行いました。

     間違えた問題は、正解を解答した紙に書き込みました。2回目に解くときは、その自作解答用紙を見れば答え合わせができるので、パソコンが使えないときにはこちらを学習しました。試験までの間に3周解きました。

     第2~5問対策については、新たに問題集を買わなければと考えました。既に過去問2回分を持っている自分には、過去問題集ではなく模擬試験問題集のようなものが良いと思い、「薄くて安い本」を探して『網羅型完全予想問題集』を購入しました。

     1,000円を切る値段が一番の決め手でしたが、難易度のバランスが非常に良く、私には最良の選択だったと思います。本番の試験に慣れるつもりで、深夜や早朝に時間を取り、キチンと2時間測って解きました。2時間取れないときは、「20分以内に第2問を解く」など範囲を区切って取り組みました。

    工夫したこと

     私はちゃんと「まとめノート」とか作っていなかったのですが、後述する「公式を丸写ししたアンチョコ」を作って、覚えるまで持ち歩いていました(覚えたら捨てました)。紙はミスコピーの端っことか裏紙とかで、書いては捨てる、忘れては書く、ということを繰り返していました。

    公式を丸写ししたアンチョコ
    公式を丸写ししたアンチョコ

    ※アンチョコ…教科書を予習するのに、いちいち調べたり考えたりせずにすむように作られた、手軽な参考書。虎(とら)の巻。

    試験日の1日の流れ

    • 6:30 起床

     いつも通り起きて、家族が起きてくるまで仕訳問題を解きました。家族が起きてからは普通の日曜日と同様、家事に追われました。

    • 12:00 昼食

     家族分の食事を作り、自分も食べました。

    • 12:30 出発

     片付けは家族に託して出発。遅刻だけはしないように…と毎回思うのですが、毎回ギリギリです。第131回の受験時に腕時計を持って行かなかったら、試験会場にも時計がなくて大変な思いをしたので、今回は腕時計を忘れないように留意しました。

    • 13:15 到着

     試験会場(大学)の構内に入ってから教室までが思いの外遠く、想定以上にギリギリになってしまいました。

    • 13:30 問題用紙・解答用紙配布
    • 13:50 試験開始

     普段は1→4→5→2→3の順で解くのですが、第2問に大の苦手・T字勘定が見えたので(商簿で見るのは3級以来だったので「何でここに!」と本気で思いました)回避。第3問を先に解き、残り40分程度で第2問に取りかかりました。

     第1問は、第130・131回より易しかったように思います。「何か落とし穴があるんじゃないか…」と勘ぐりつつ、そんなに時間を掛けずに終了。

     第4問は、苦手な「工業簿記での仕訳」かつ「原価差異分析」付きだったので、もう「苦手がひとまとめになって良かった!」と、半ばやけっぱちに思いながら解きました。難易度がそれほど高くなかったので助かりました。

     第5問は、「部品」が直接材料か間接材料かでものすごく悩みましたが、直接材料と見なして全部解きました。CVP分析自体は得意分野だったので、それ以外に悩みはなかったです。

     第3問は、仕訳を丁寧に、記入漏れのないよう慎重に…と解きました。賃借差額が微妙に合わなかったのですが、こだわって第2問を未着手にするわけにいかなかったので、一旦保留して第2問に進みました。

     第2問は、見たことのないパターンで驚きましたが、とにかく一回仕訳を書き出してみました。仕訳自体はそれほど難しいことはなく、如何に解答欄の数字を導き出すかの勝負だったかと思います。日付を手がかりに埋められるところを埋め、賃借が合わないところは放置。

     残り5分で、第3問の賃借差額が合わなかった理由を見つけ出し修正。制限時間いっぱい見直しをして、試験終了。第2問に明らかに違う数字のところがあるものの、スッキリした気持ちで試験を終えました

    帰路

     会場を出たところで大原簿記の解答速報をもらい、第1問と第5問は満点が取れたようだと分かりました。残り3問で30点落とすことはないんじゃないか…と期待しながら家路につきました。

    管理人からMilchmanさんへ追加の質問

     Milchmanさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
     あまり「論点」ということを気にしていなかったので、的外れな回答かもしれませんが…。工業簿記のCVP分析はたいてい解けます。なので、直接原価計算は得意な論点だと思います。あと、商業簿記の精算表作成や本支店会計は結構好きです。

     苦手なのは、工業簿記の「○○差異分析」です。標準原価計算そのものはそれほどでもないのですが、「シュラッター図を書きましょう」と言われるアレは最後の最後まで苦手でした。

     求めるべき差異をどの式で出せばよいのかが覚えられなかったので、しばらく公式を丸写ししたアンチョコを使って問題を解いていました。その甲斐あってか、試験間近になって何とか問題の解ける率も上がりました。

     Milchmanさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
     意地ですね(笑)。2ch系の掲示板なんかで「日商2級なんてカス」みたいな書き込みを見て、「見てろこんちくしょう」とか思ってました。直接言われたわけでもないのに、モチベーションには結構貢献してくれたと思っています。

     あと、幸か不幸か、日常が仕事と家事と育児でほぼ埋め尽くされていたので、そもそもの学習時間がかなり少なく、学習へのモチベーションが下がること自体あまりなかったです。学習時間を見つけることに関してはかなりハングリーでした。

     ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
     私が使ったテキストは論点を一つ一つ学習していくスタイルだったのですが、実際の試験ではそんなにひとつの論点に特化された問題は出ないので、「1.まず過去問や模擬試験を中心に学習」「2.特に苦手なところは基本のテキストに戻って学習」という流れで学習した方が、合格する力は早く身についたのではないかと思います。

     基本的なテキストを二度三度繰り返すより、実践的な問題集を何度もやる方が良かったのではないかと思います(ということに、私は2回目に落ちたときに気づきました)。

     基本事項を一通り押さえるだけでも、テキスト2冊・問題集2冊になってしまうので、なかなか最初から実践的な問題集を買う気にならないのですが、先に過去問など「最終目標」を見ておく方が、何のための勉強か(学習のゴールはどこか)が明確にできていいんじゃないかなと思います。

    管理人コメント

     Milchmanさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

     Milchmanさんは1回目・2回目の不合格の原因をきちんと分析・対策し、3回目で見事合格されましたが、この不合格の原因を分析・対策することはとても重要だと思います。

     簿記に限らず資格試験はなんでも同じですが、「得意分野を伸ばす」よりも「苦手分野を克服する」ほうが点数は伸びるので、特に勉強が長期化している方は一度、きちんと不合格の原因を分析してください。

     あと、試験会場の時計についてですが、時計がない(または丁寧に外されている)試験会場もたくさんあるので、必ず腕時計を持っていってください。なお、携帯やスマホで代用することはできないので気をつけましょう。

    Milchmanさんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第132回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.106

    本試験では臨機応変に対応するのがポイントです!

    • 投稿者:スミレさん
    • 勉強形態:専門学校(通信)
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約8か月

    はじめに

     私は32歳の現在専業主婦です。娘が来年3歳で保育園に入るため、いずれ就職する際に有利な資格として簿記取得を決意。

     今年の2月に3級を受験し、問題が簡単だったせいもあり満点合格。2級は勉強量が倍になるとのことで、6月受験は自信が無く、11月受験を目指すことにしました。

    使用した電卓と教材

     電卓は「Canon HS-1210TU」で、教材は大栄教育システムのCD-R通信教育を利用しました。教材の内容は以下のとおりです。

    • 商業簿記の講義16回(CD-R16枚)+問題集1冊+添削問題2回
    • 工業簿記の講義16回(CD-R16枚)+問題集1冊+添削問題2回

     1回の講義はだいたい2時間程度でした。先生が黒板に書いた内容がまとめられたレジュメがプリントされていて、講義を聴きながらいちからノートをとる必要が無くとても便利でした。大栄はテキストは文字ばかりだし、言い回しも小難しいのですが、先生の講義はとてもわかりやすかったです。

     ひと通り勉強した後は、以下の答練を受けました。

    • 商業簿記・単元別答練全5回(CD-R5枚)
    • 工業簿記・単元別答練全5回(CD-R5枚)

     今度は商業簿記から工業簿記まで、それぞれ単元ごとに5回に分けて細かく復習していきます。1回につき、基本問題・応用問題・宿題問題と分かれていて、時間を計って問題を解いたり、単元を深く理解したり、苦手箇所を見つけてつぶしていく期間でした。

     CD-Rの内容は解答解説で、これまた先生が復習を兼ねて細かく説明してくれます。あらためて講義を聞いているような感じになるので聞くのは長いですが、忘れてしまっている箇所や苦手科目についてはありがたかったです。

     さらにその後は、「模擬試験1回」「直前ゼミ全10回」「仕訳問題集」というボリュームたっぷりの内容でした。

     3級は、大栄教育システムの授業をアビバに通って聞いていたので2級も大栄にしましたが、今回は通学ではなく自宅でCD-Rで講義を聞くという通信にしました。

     私は育児休業を取得していて、退社してから1年以内に勉強を始めたので、教育訓練給付金制度が利用できるコースを選択しました。

    2012年4月~8月

     4月から勉強を開始しました。パソコンで講義を見聞きし、テキスト・レジュメで確認。メモはレジュメに直接書き込み、自分でノートなどは作りませんでした。ひとつの講義が終わるとその単元の問題集を解く…という流れです。

     大栄では、1週間に2講義のペースで進めていって無理のない内容となっているとのことだったので、このペースを念頭においてはじめに学習計画を立てました。

     計画では商業簿記のひととおりの講義が2ヶ月ほどで終わる予定だったのですが、自宅ということでついだらけたり、子供を寝かしつけてからの勉強になかなか慣れず、結局、商業簿記の講義16回と添削問題で3ヶ月もかかってしまいました。

     また、3級とのあまりの難度の違いに先制パンチをくらったような気分になり、早くも自信喪失しかかってしまいました。3級では大得意だった仕訳が2級は苦痛で仕方が無く、ちっとも頭に入りませんでした。

     特に特殊商品の仕訳はこの頃は全くできてなかったと思います。何とか学習計画があまり狂わないように…という考えが先に立っていました。

     その後、商業簿記がひととおり終わると、工業簿記の講義を聴き始めました。だいたい1講義は2時間程度でしたが、まるっと2時間講義が聴けないときは1時間ずつ2日に分けて聞き、3日目に問題集を解くというやり方にしました。

     工業簿記は「予定価格」がいまいちよくわからず、なんで実際価格が出ているのに、予定で計算するのかなぁ…などと考えすぎて、訳がわからなくなることがたびたびありました。

     ただ、商業簿記よりもはるかに早く理解できたのでやる気が出て、勉強のペースもアップしました。特に総合原価計算は楽しく勉強できました。

    2012年9月~10月

     単元別の復習に入りましたが、この時期が一番苦しかったです。商業簿記のいちばん始めに戻り、復習~応用をコツコツとやります。まず、自分の書き込みをしたレジュメを読み返して自力で思い出し、基本の問題を解きました。その次は何も見ず、応用問題に取り掛かりました。

     1問につき15分と時間が決められているので、時間内に解けないものは付箋を貼り、後でまた復習をする目印としました。すっかり忘れてしまっていた「本支店会計」や「標準原価計算」などは、再度講義を聞きなおすところから始めました。

     大栄の通信にはパソコンから質問できるシステムもあるので、それを利用することもたびたびありましたが、私は質問して理解するよりも、テキストを読み返したり問題集に戻ったりして自力で理解する方がその後も絶対に忘れないので、なるべく自力で頑張るようにしました。

     ひとつでも理解できない問題があれば、つくづく「逃すものか」という気持ちで絶対分かるまでしつこくしつこく考えました。これは意外に良かったです。

    2012年11月~試験前日

     10月の最終週から2回に分けて、模擬試験・直前ゼミ10回分・仕訳問題集が届きました。試験形式になっており、過去問から色んな問題がピックアップされているのだと思いますが、試験と同じく2時間はかって取り掛かりました。もっとボロボロの点数かと思っていたら、意外にも最初に68点取れたのが、私のやる気に火を付けました。

     私のネックはいちばん大事な仕訳でミスが多いことだったので、仕訳問題集をひととおり解いて仕訳力のアップを図りましたが、その後にゼミをやると、10回のゼミのうち数回は合格点が取れるようになっていて、その効果にびっくりしました。

     また、単元ごとの復習の時点では理解が浅いと思っていたのに、実際に過去問を解きだしてからはまるでパズルのピースがカチカチはまっていくように、ぐんぐん理解できるようになっていったのです。

     すごく不思議な感じでしたが、「もしかして、合格できるかも!」と希望を持てるようになりました。直前の時期になって、自分のモチベーションがぐんと上がったのは、すごく良かったです。

     試験1週間前からは、2時間計っての試験形式と、132回の問題予想で苦手な箇所(特殊商品売買・個別原価計算・本支店会計・標準原価計算・直接原価計算など)を重点的に個別で復習しました。

     それと復習のたびによく間違える箇所を、忘れないよう思いつくままにノートに書きました。忘れっぽい箇所ばかり書きなぐるように書いたのですが、それが「間違いノート」のようなものになりました。

     あと、簿記検定ナビにも書いてありましたが、試験1週間前からがいちばん伸びる時期というのは、全くそのとおりだなと思いました。

    試験日の1日の流れ

     試験前日の夜~試験当日までは、簿記検定ナビの日商簿記検定 前日・当日マニュアルの流れのとおりに動きました(笑)前日の夜はシャワーのみ。深夜1時半には布団に入りましたが、体は疲れているのに、緊張しすぎてなかなか寝付けず…

     ほとんど眠れないまま9時に起床。アドレナリンのせいか、まったく眠くありませんでした…。熱めのシャワーを浴びて、緊張で食欲もありませんでしたが、無理矢理朝食を食べて最後の勉強に取り掛かりました…といっても、仕訳問題集をまたひととおりやっただけで、過去問などには手をつけませんでした。お昼ごはんはウィダーインゼリーにしました。

     試験会場は車で20分ほどの場所でした。駐車場がない会場だったので家族に送って行ってもらいましたが、早く着きすぎて12時45分くらいに着いてしまいました。ちなみに、会場には書きなぐったノートと直前ゼミを持って行きましたが、読み返したのはノートだけでした。何度も繰り返し読んでいました。

     着席したのが早い時間だったからか、開始まで時間が経つのがものすごく遅かったです。この時間がイヤでした。

     13時30分になり、試験官から簡単な説明と答案用紙に名前と受験番号、生年月日を書くように言われましたが、答案用紙を広げた時に第2問が総勘定元帳になっていたのを見て、冷や汗がでてきました。「あれっ伝票でも特殊でもない!!??」と焦っていると、13時40分になりました。

    • 試験開始!

     仕訳の解答を書く手が緊張のあまり震えて、何回も消して書き直しました。普段の倍の時間を掛け何とか第1問を終えて、第2問を見た瞬間、今まで見たことの無い問題に頭がパニックになってしまい、問題を読もうにも全く頭に入りませんでした。

     いつも1→2→4→5→3の順番で解くのですが、とりあえず落ち着こうと思い、先に第4問へ。しかし、第4問も最初はさっぱり問題の意味がわからず、ここでもパニックで頭が真っ白になりました。完全に「神様は私を見放した」と思い、こんなかたちで終わるのか…と涙が出そうになりました。

     しかし、問題を繰り返し繰り返し読むうちに、「あっ!」とまさかのひらめきがあり、時間がかかりましたが何とかクリア。少し落ち着きを取り戻して第5問へ。これは予想通りの直接原価計算でした。

     次に第3問へ行きましたが、こちらも予想通りの精算表でした。割と簡単な感じがしましたが、私は電卓の打ち間違いが多いので、計算は丁寧に丁寧にやりました。

     2回計算しても最後の合計があわなかったのでとりあえず飛ばして、最後の第2問へ挑みました。この時点で残りあと40分ほどになっていましたので、もう時間との闘いでした。

     問題を読んでみると、さほど難しいことは言っていないということがわかりました。幸いにも特殊商品売買のなかでは比較的覚えている委託販売と試用販売だったので、とにかく時計を確認しながら解き進め、全てを解き終えたのは終了15分前くらいでした。

     2時間フルに頭を使い切って、精も根も尽き果てました。自分がやれることは全てやったけれど、合格する自信は全然ありませんでした。終わって数日間は落ち込んでいました。解答速報を見る気もせず、試験問題もその後一切見ませんでした。

     27日の合格発表は見るのが本当に怖くてまたも緊張しましたが、意外にも82点で合格することができました。合格の文字を見たときは恥ずかしながら泣けてきました。

    試験勉強を振り返って

     私は、独学では絶対理解できないと思っていたのと、小さい子供がいるので通学は難しいため通信を選びました。しかし、独学も同じだと思いますが、通信教育も本当に孤独だなぁ…と思いました。モチベーションの維持が本当に大変でした。

     また私は、平日にあまり勉強時間がとれなかった分、週末に1人家にこもって勉強をすることが多かったので、家族とは週末別居のような状態になってしまっていました。

     子供にも寂しい思いをさせているという負い目があり、絶対に一発で合格しなければ…という気持ちがモチベーションにつながったと思っています。

     大栄の通信教育については…添削問題の返信にも、特に何もコメントなどをつけてくれないため、もうちょっと励ましなどがあれば心強かったのにな、と感じます。

     1級をとるつもりはありませんので私の勉強はひとまずこれで終わりますが、あきらめず合格を取れたことは私の自信になりました。直接の武器となれば一番ですが、就職の際にも少しは評価してもらえたらいいなと思っています。

    管理人からスミレさんへ追加の質問

     ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
     少しの時間でも毎日勉強を続けること。仕訳を苦手としないこと。過去問題をたくさんやること。簿記検定ナビや他の簿記サイトなどにも書かれている、基本の勉強方法が一番大事だなぁとつくづく思いました。1日休むとあっという間に忘れます。

     あとは、私は勉強期間が8ヵ月もかかったので、長くても6ヵ月くらいまでにできたらもう少し楽だったかと思いました。長すぎて途中何度も心が折れそうになりました。人間のモチベーションも、そうそう長くは続かないものだと思いました。

    管理人コメント

     スミレさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

     まず、スミレさんの合格体験記で参考にしていただきたいのは、試験日当日の流れのところに書いていただいた「いつも1→2→4→5→3の順番で解くのですが、とりあえず落ち着こうと思い、先に第4問へ」という部分です。

     解く順番については、練習段階から「自分に合う組み合わせ」を考えながらやることをおすすめしていますが、この解く順番はあくまでも仮のものなので、本試験では問題の難易度に応じて弾力的に変更・修正してください。

     たまに、解く順番を完全に固定されている方がいらっしゃいますが、このやり方ではドツボにはまって解答時間を浪費してしまう可能性が高くなるので、必ず試験開始直後に第1問~第5問の全てに目を通して、解く順番の確認をしてから問題を解き始めるようにしてください。

     あとは「(第2問の)問題を読んでみると、さほど難しいことは言っていないということがわかりました」と書いていただきましたが、これも大事なポイントです。

     本試験の緊張状態の中で未知の問題に遭遇すると、スミレさんのように頭の中が真っ白になると思いますが、こういう状態で無理して解いても余計に混乱するだけなので、さっさと飛ばして他の簡単な問題を解いてください。

     その後、気持ちが落ち着いた状態でもう一度戻って問題を考えてみると…冷静さを失っていた時とは問題の見え方が違うと思います。未知の問題については満点を取る必要はないので、「取れるところだけ確実に取ればいい」と気楽に考えて取り組むようにしてください。

     本試験で未知の問題に遭遇したときのポイントをまとめると、「ひとまず飛ばす(無理に解かない)」「気持ちを落ち着かせた上で再チャレンジする」「満点は狙わない、むしろ必要ない。粘り強く部分点を積み上げていく」の3つです。

    スミレさんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第132回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.105

    捨てる分野を作らないで全ての分野を丁寧に取り組むことが合格への近道!

    • 投稿者:しろにゃんさん
    • 勉強形態:専門学校(通学)
    • 受験回数:2回
    • 勉強期間:約8か月

    はじめに

     こちらに掲載されております合格体験記は私から見るとどれも短期間で1発合格や独学で合格などの方が多いので、本当に凄いなぁと思いながらいつも拝読し、また「私もここに書けたらいいな」と目標の一つにしておりましたので、こちらに投稿いたしました。

     私は計算がとても苦手で商業簿記のテキストを見ただけで吐きそうになった事もありましたし、TACに通いながら8か月かかりましたので、どこまでお役にたてるかわかりませんが、少しでも誰かの役に立てたら良いなとと思います。

    簿記2級を受けようと思ったきっかけ

     会社で部署の経理をしており、3級合格で勉強はやめる予定でしたが、合格した時にとても嬉しかったことと社内評価もあがる様でしたので2級の勉強することに決めました。

    独学か通信か通学か?

     計算は苦手ですので独学は元から考えておらず、3級は通信(LEC)で自宅学習でしたが、2級となると約250時間も苦手な計算を一人ですることに耐えられないし、疑問が出た際のサポートや切磋琢磨できる友人ができるかもしれないと思って迷わず学校に通うことにしました。

     会社帰りに立ち寄れるLECかTACの2校で迷いましたが、自習室が無料であることと、会計系の講座が充実していたTACにしました。

    131回を受験するか?132回にするのか?

     3月後半から学校に通うことにしたのですが、学習に必要といわれている250時間からTACの総授業時間である80時間を引いた合計170時間を4月5月で消化するのは予定的に厳しく、11月の受験を第1に一旦は考えました。

     しかし、TACは一度不合格になっても2回目までは無料で受講できる合格保証制度があることと、11月を第1目標にして受けるよりも6月を第1目標にすることで学習にメリハリがでるのではと思い、6月受験を決めました。

    使用教材・電卓など

    • TACで頂いたもの
    • 合格テキスト(商業・工業)
    • 合格トレーニング(商業・工業)
    • ミニテスト(商業・工業各9回分)
    • 直前答練(全4回)
    • 的中答練(全4回)
    • 自分で用意したもの

     電卓については、私は3級のときから「000」のキーのついた電卓を探し求めて納得いくまで家電量販店を何店舗か回りました。

     そして、最終的に本屋さんの簿記コーナーで「簿記会計専用電卓」という電卓に出会いました。これは「000」のキーが左下にあり、とても打ちやすかったのでこれにしました。

     お恥ずかしながらこの電卓に出会うまで5台くらい買いました。家族に「あんた、電卓屋でも始めるの?どうするの?」と言われる位、電卓が机の上に並んでました(笑)

    電卓を叩く手

     普段は右利きなのですが、130回の3級受験を決めた時に「左手で電卓を打ち、右手で鉛筆を持つスタイルの方が効率が良い」と習ったことと、左手を使うことで脳細胞が活性化するかもしれないと思い(笑)左手で打つ練習をしました。

     上記の電卓を2台買って会社と家に置き、打ち間違えてもいいので左手しか使わないことを徹底したところ、左手で打つことにドーパミンが出たようで楽しくなり、130回の3級試験までに間に合いました。

    131回(不合格)までにしたこと~3月から6月~

     とにかく時間がなかったので、解いていて楽しかった工業簿記と仕訳で満点を取るプランを立てました。授業には出て次回までに復習し、ミニテストで満点を目指しました(※実際に満点をとれたのは工業簿記の数回のみでした)。

    • 合格テキスト例題(商業・工業ともに授業の復習として1回)
    • 工業簿記トレーニング(2回)
    • 工業簿記ミニテスト(2回)
    • 商業簿記トレーニング(1回・仕訳部分は2回)
    • 簿記ナビさんの仕訳帳1回

     直前答練と的中答練は1・4・5問目だけを直す事にしましたが、ほとんど消化できず受けっぱなしの状態でした。この作戦は4・5問目は満点でしたが、1問目が12点しかとれず(特殊商品売買を落とす)合計64点で失敗に終わりました。

     商業簿記の2問3問をほぼ捨てて合格できる程甘い試験ではありませんでした。そして的中答練で取っていた点数がそのままだったので、日ごろの積み重ねがいかに大事かということと、的中答練は本試験より難しいといわれているのは甘えであることを痛感しました。

     学習時間はこの時点で177時間(授業80時間を含む)でした。

    132回(合格)までにしたこと~6月から11月~

     2問目3問目対策と苦手な特殊商品売買の仕訳を中心に勉強することにしました。工業簿記は好きだったので132回も満点を取ることを心に決めて商業:工業=7:3くらいの割合で勉強をしておりました。

    • 合格テキストの例題(2回目)
    • 合格トレーニング(3回目)
    • ミニテスト(3回目)

     上記の3つは、いずれも商業簿記・工業簿記でわからないところがなくなるまで取り組みました。

    • 131回 直前答練(2回目)
    • 131回 的中答練(100点を取るまで徹底的に潰しました)
    • 132回 直前答練(授業の後に間違えた箇所のみやり直しました)
    • 132回 的中答練(授業の後に間違えた箇所のみやり直しました)
    • 過去問(10月~1回だけ)
    • 簿記検定ナビさんの仕訳帳(3回+α)

     簿記検定ナビさんの仕訳帳は、持ち歩いて時間があれば解いていたのと、直前期は答練・過去問等で間違えた箇所の類題を解いていました。

     解説に「この問題は過去問の●回と●回でも出題されています」と書いてくださっていたのはありがたかったです。そのおかげで間違えた問題の関連する回を解くことができ、苦手な仕訳を効率よく解くことができました。

    仕訳帳1
    仕訳帳1

    仕訳帳2
    仕訳帳2

     3月からの合計勉強時間は約277時間で、131回受験時+約100時間(うち授業40時間)でした。

    直前期の過ごし方(10月~)

     9月までは休みの日もカラオケやライブに行って遊んでおりました(学習時間:1日平均すると1.5~2時間位)。10月からは誘いを全部断り、TACの自習室に通いつめました。

    勉強が嫌になる

     学習時間が250時間を越えた10月15日あたりから、過去問や答練などで80~100点を取れるようになりました。それと同時に中だるみが始まりました。「あと1ヶ月もこの勉強を繰り返すのか」と思うと苦痛になって勉強する気が全く起こらなくなりました。テキストを見るのも嫌になりました。

     友人との誘いは全て断っていたので、気分転換を図ろうとDVDを借りてみたり、ファッション雑誌を読んだりしましたが、やる気は起こらず「今日もできなかった」というストレスだけが溜まっていきました。

     このままの精神状態で受験すると絶対にうまくいかないと思い、簿記の試験が終わったら勉強しようと思っていた法律系の資格の勉強を並行して始めることにしました。この時点で10月26日。

     直前期にもう1教科を始めるという事にかなり悩んだのですが、「何もしないよりはいいかな」と思って始めました。結果「両方落ちたら本末転倒」という危機感も生まれましたし、計算→暗記→計算→暗記という風に勉強することでメリハリがつき、とても良かったと思います。

     また法律系の資格の試験範囲に会社法や割賦販売や委託販売が含まれていましたので、相互に理解を深めることができ、少し楽しくなって再び勉強することができました。

    簿記を楽しく勉強するために気をつけたこと

     私の場合、一人で勉強するにはとても厳しいと思ったので、簿記検定ナビさんのオフ会に参加させていただきました。そこで知り合った方々は皆さんそれぞれの目標を持ち勉強に取り組んでいらっしゃり、とても良い刺激になりました。

     たまたま同じ学校の方もいて、直前期に私が喘息で倒れたときも試験当日まで励ましてくださいました。自分で「勉強する」と決めたのですが、内容的に苦手な試験で、いつ挫折してもおかしくない状態でしたので、仲間がいなければきつかったと思います。

     簿記ナビさんがオフ会をしてくださったことに心から感謝をしています。ありがとうございました。

    体調管理について

     当日、電卓で計算する作業が伴う簿記試験においては体調管理はかなり大事です。受験生は驚くほど免疫力が低下すると思いますので、当日ベストパフォーマンスを発揮するためにも体調管理には十分気をつけてください。

    学習管理(スケジュール)について

     トップページに1年の目標を書き、1週間見開きのもので、左横に1週間の目標を書きスケジュールを調整していました。ちなみに、シールの色は「緑…仕事」「赤…遊ぶ」「青…簿記の勉強」「黄…買い物など」です。

    手帳1
    手帳1

    手帳2
    手帳2

    手帳3
    手帳3

    手帳4
    手帳4

    試験日前日・当日の過ごし方

     試験日の前日は過去問で間違えたところだけをやり直しました。緊張してしまいなかなか眠れず、深夜の4時頃にようやく眠れました。

     試験日の当日は、11時起床→12時出発→13時到着→13時半説明開始…という感じでした。試験開始前に答案用紙をミシン目で破る作業があるのですが、その時に2問目と5問目の解答欄を見て少し不安になりました。でも、今まで答練で80点以上をとっていたので、絶対に落ち着いて解けば大丈夫だと言い聞かせて問題をめくりました。

    • 13時40分 試験開始

     問題は「5→4→1→2→3」の順に解きました。

     5問目(25分):直接原価計算と費目別計算を合わせた様な問題でした。この問題については予備校や色々なところで予想されていたので、5-3まではスラスラとけましたが、5-4の質問のされ方がいつもと少し違っていたため(単価ではなく売上が与えられていました)少し戸惑いました。

     ただ、この問題を解かないと5-5も落としてしまうことは明白でしたので、「なんとしてでも解くんだ」と言い聞かせて問題に向き合いました。

     5-4の損益分岐点売上高の求め方については、私はいつも単価×個数を「X」と置いて計算しているので、少し迷いましたが、頭の中で軽い例題を考え、「X」とおいた場合と「S」とおいた場合で数式を計算用紙で計算して答えが一致したので、考えたことに間違いはないと思えて5-5まで取り組みました。この時点で25分くらいかかってしまいました。

     4問目(20分):いつも答練で勉強している内容でしたので、スラスラ解くことが出来ました。ただ、最初に解いた5問目が合っているのかやや不安でしたので、この問題も絶対に落とすわけにはいかず、何度も見直しをしていたので20分くらいかかってしまいました。

     1問目(20分):1~4題は過去問等でも繰り返し問われている仕訳でしたので、特に問題なく解けました。5の委託買付については掘り下げて勉強しておらず、落としてしまいました。しくみを理解していないと暗記の勉強では駄目だと思いました。

     2問目(30分):特殊商品売買に重点を置いた問題でした。最初は少し戸惑いましたが、答練に似たような問題が出ていたことと、過去問でも「難しいと思った箇所の配点は意外と低い」ということや「難しいであろう問題がでたら他の問題で調整してくる」ということが頭にあったので、この問題についてはとにかく仕訳さえしっかりできたら、あとは問題の指示にしたがって転記するだけだと思い仕訳をしっかりすることにしました。

     仕訳は全部できましたが、特殊商品の決算整理の部分でつまずいてしまい、部分点狙いで埋められるところだけ埋めました。この問題終了時点で残り25分になってしまい、かなり焦りました。

     3問目(25分):標準的な精算表の問題でした。25分で解かないといけないので、細かい仕訳問題だけ下書き用紙に書いて、あとは直接精算表に書き込みました。横一列に配点が来ると教えられていたので、仕訳した該当箇所のみをひたすら横に埋めていきました。

     なんとか仕訳の記入が終わった時点で残り5分しかなく「当期純利益」まで出せませんでした。さらに修正記入欄の合算が左右合わない事にも気づきました。

     下書き用紙に書けなかったので、仕訳を見直すことも今からやり直すこともできないので、とにかく書いた問題の記入欄を書き間違えていないかということだけ見直していた所、仕入欄の左右が逆になっていることに気づきました。でも、この時点で試験が終わってしまって、書き直すことが出来ませんでした。

     今まで時間が足りないことはなかったので、試験が終わった瞬間「もうダメだ」と思ってかなり落ち込みました。今回3問目は満点が狙える問題だと思ったので、こちらから先にとけば良かったと後悔し、また2月に向けて勉強しないといけないのかとも思いました。

     解答速報会にも行かず、答えを合わせる気力もなくこの日は家で落ち込んで過ごしました。でも、法律系資格の試験が3週間後だったので、一眠りしてからそちらの勉強をすることで気を紛らわせておりました。

    結果発表当日

     試験から結果発表までは10日ほどあったのですが、もう一つの試験が直前に迫っていたため、そちらに没頭し落ち込む暇もなくこの日を迎えました。

     当日の朝、合否の通知メールを開けるのも怖くて、べランダに住み着いている野良猫の「しろにゃん」に話しかけながら開けたところ、合格の文字が見えたのでぽろぽろ泣いてしまいました。

     部分点狙いの2問目は14点、ボロボロだと思っていた3問目は書けなかった当期純利益と仕入以外は全て合っていたので16点を取れていました。仕訳を徹底して練習していて本当に良かったです。

    成績

    • 131回
    • 直前答練:72~86(TACの目標は80点:1度しか取れませんでした)
    • 的中答練:62~64(TACの目標は70点:1度も取れませんでした)
    • 本試験成績(12・4・8・20・20 合計64点→不合格)
    • 132回
    • 直前答練:88~100
    • 的中答練:78~98
    • 本試験成績(16・14・16・20・20 合計86点→合格)

    最後に

     簿記2級は基本のしくみを「暗記」ではなく「理解」すれば絶対に合格できる試験だと思います。理解さえすればあとはひたすら仕訳の練習です。

     「ベストキッド」という空手を描いた映画で基礎の型をひたすら練習する際に「WAX ON!WAX OFF!」という有名なセリフがありますが、簿記もそれと同じようにひたすら仕訳の練習をされることが大事だと思います。

     「仕訳をして(ON)間違ったら消して(OFF)また書いて(ON)」この繰り返しに勝る王道はないと思います。

     また、過去問を通じて「捨てようかなと思った論点」や「苦手な論点」が2つ以上組み合わさって出題された場合、一気に70点を切ってしまう試験だとも思いました。繰り返し言われていることですが、捨てる分野を作らないで全ての分野を丁寧に取り組むことが合格への近道だと思います。

     簿記2級は合格後、半径3メートル以内の人の反応が少し変わる資格だと思いますので、少しでも興味があれば是非TRYされてください。最後までお読みいただきありがとうございました。

    管理人からしろにゃんさんへ追加の質問

     TACの簿記講座に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
     90点です。他の方にもオススメします。理由は…先生はとても親切丁寧でしたし、自分自身が望めば勉強に関して大抵の事は叶う環境が整っているからです。

     また、無料講座のお知らせはあってもその他の勧誘は一切なく、プリントを頂く程度でした。上記を含めてもTACは完全に「学校」だと思いました。

     あとの足りない10点は「1年に1度でも簿記の合格祝賀会があれば良いなぁ」という期待点です。

     しろにゃんさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
     まず、簿記学習に対して全般的に苦手意識がありましたので、テキストに自分の好きな柄のカバーをかけて、問題集と教科書と思わない様にしました。視覚から認識を変えました。

     得意な論点は工業簿記全般で、どの問題でも「百ます計算」をしている様な感覚になりまして楽しく解くことができました。特に部門別個別原価計算と標準原価計算が好きでした。

     一方、苦手な論点は商業簿記全般で、中でも特殊商品売買が苦手で何回解いてもなかなか正答率が上がりませんでした。対照勘定だの所有権留保だの(民法?)ややこしい概念を数値化して計算しないといけないのが苦手でした。

     苦手克服のために、先生にできるだけ質問に行く様に心がけましたが、この特殊商品売買の論点については「この問題はどんな回答を求められているのかが全くわかりません。手も足も出ません」と質問に行った事もありました…。

     でも声に出して質問することで頭の中の知識が整理されて、だんだんと特殊商品売買の世界観に慣れたのだと思います。とにかく苦手意識をなくすように心がけました。

    管理人コメント

     しろにゃんさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

     私が編集していて一番共感できたところは「簿記2級は基本のしくみを「暗記」ではなく「理解」すれば絶対に合格できる試験だと思います」という一文です。

     時間的制約によりある程度、暗記で対処することも必要だと思いますが、しろにゃんさんのように「理解」にこだわって学習を進めるクセを付けておくと良いと思います。

     例えば「簿記上の現金」に「配当金領収証」や「郵便為替証書」がありますが、これらを丸暗記するよりも「簿記上の現金=銀行や郵便局に持って行ったらすぐに換金してもらえるもの」と理解しておくと、他の「期限が到来した公社債の利札」や「送金小切手」等を知らなかったとしても「すぐに換金してもらえそう→現金として処理」と弾力的に対応できます。

     また「捨てる分野を作らないで全ての分野を丁寧に取り組むことが合格への近道」と書いていただきましたが、これも大事なポイントです。

     人間、苦しいことから逃げたくなるのはみんな同じですが、(簿記に限らず)資格試験に関しては「得意論点をさらに伸ばす」よりも「苦手論点を克服する」ほうが得点に与えるインパクトは大きいわけで、この苦しい勉強に耐えられるかどうかが合否のカギになります。

     なお、苦手論点の克服にはまとめ解きが最適です。同じ分野の問題を集めて、集中的に解くだけの簡単な方法ですが、費用対効果はかなり良いので、直前期に伸び悩んでいる人は騙されたと思って試してみてください。

    しろにゃんさんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第132回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.104

    教材は「狭く・深く」やること、何度も反復することが合格への近道!

    • 投稿者:コーヒーアレルギーさん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:2回
    • 勉強期間:約4か月

    受験までの経緯

     私の勤務先の業種は半導体の製造業でして、工場の管理会計についての勉強会が社内で開催されたのですが、いまいち理解できず自分でも勉強してみようと思ったのが簿記受験のきっかけです。第130回に3級を取得し、第131回に2級を受験したのですが、あえなく不合格。今回2回目のチャレンジとなりました。

    これまでの学習状況

     3級はかなり勉強をやりこんだという手ごたえもあり、結果は満点でした。第131回に2級を受験した際は、66点とあと一歩合格には及びませんでした。工業簿記に重点を置きすぎたのが敗因でした。3級の成績が良かったので、商業簿記は何とかなるというおごりもあったように思います。

     この時の勉強期間は2ヶ月半ほどでしたので、今回の勉強期間の1ヶ月半と合わせると、2級に割いた学習時間は合計で4ヶ月ほどとなります。

    使用した電卓

     「CASIO DS-20eco」です。特にこだわりはなく、家にあったものを用いました。ボタンは押しやすく、特に不満はなかったです。「000」ボタンがあればなお良いと思います。

    使用した教材

    • サクッとうかる日商簿記2級 商業簿記 テキスト(ネットスクール出版)
    • サクッとうかる日商簿記2級 商業簿記 トレーニング(ネットスクール出版)
    • サクッとうかる日商簿記2級 工業簿記 テキスト(ネットスクール出版)
    • サクッとうかる日商簿記2級 工業簿記 トレーニング(ネットスクール出版)

     3級からの流れで「サクッとシリーズ」で学習を行いました。使用した教材は上記4冊と簿記検定ナビのみです。学習を進めるにあたって、「サクッとシリーズ」はよくもわるくも分量が少ないので、3級の学習では気にならなかったのですが、2級の学習では何度かつまづきました。

     その時は「なぜそうなるのか」「どうしてこんなめんどうなことをするのか」などを考え、「こっちのほうがよいのではないか」などと、勝手に会計のルールを自分で変えてみて検証するなど、とことん考え抜きました。

     どうしても自分の納得する答えが見つからないときは、ネット上でヒントを探したりもしました。このように自分で考えたおかげで力がつきましたが、ルールを覚えるだけでなく、なぜそうなるのかまでを考えるための教材としては分量が足りなかったように思います。

    学習スタイル

     片道30分程の電車通勤の時間を利用してテキストを読み、家でトレーニングの問題を解くスタイルです。勤務時間が不規則なのと、家では1歳児の息子がおり、息子が起きている間は学習より育児を優先したく、家での勉強時間が確保出来るかどうかが非常に不確かでしたので、スケジュールについては、ざっくり始めの4週間を商業簿記に、あとの2週間を工業簿記にあてるくらいしか決めてませんでした。

     テキストは前回の受験時にもある程度勉強していましたので、読み直すところから始めました。今回の勉強で商業簿記を4回、工業簿記を2回ほど読み直しました。

     トレーニングは、今回は「基本問題」は省略し、「本試験レベルにチャレンジ」を一通り解きました。前回の学習では解説ページは間違えた問題を見直す程度でしたが、今回は問題を解いた後、正解・不正解に関わらず、解説ページをしっかり読み込むことに重点をおきました。解説ページには結構いいことが書いてあることがあります。

    トレーニングの答案用紙
    トレーニングの答案用紙

     上の画像はトレーニングの答案用紙です。私は間違いノートは作りませんでしたがその代わりに答案用紙に、間違えた箇所はなぜ間違えたかを、また解説ページを読んでためになったことなどを赤字で書き出しました。試験会場にもこの答案用紙を持っていき、間違いノートの代わりに直前の確認用に用いたりしました。

     なお本書の「本試験レベルにチャレンジ」のレベルは本試験より、質・量ともに簡単なので、これが解けたからといって油断は禁物です。ただ、同じ問題を見直し理解を深める方が重要だと考え、他の問題集に手を広げることはあえてしませんでした。最後にトレーニングの「模擬テスト」で最終確認を行い、本試験に臨みました。

     これから学習する方へのアドバイスですが、ついつい初めにテキストを理解してからトレーニングに取りかかりたくなるのですが、初めはテキストはさらっと流して、一度トレーニングの問題を解いてからテキストを読み直す方がはるかに理解しやすく効率がよいです。

     理解できないところがあってもあまり立ち止まらず、何度もテキストとトレーニングの学習を繰り返し行ったり来たりしていると、いつの間にか自然と理解出来る時が来るように思います。反復が一番の近道です。

     あと、ためになったのが簿記検定ナビの「仕訳問題対策」です。特に解説がすばらしく、類似問題の説明などもあり、体系的に理解するのに大きな助けとなりました。

    試験日の1日の流れ

    • 7:00 起床

     試験開始時間から逆算すると、昼食をちょっといつもより早めに取る必要があったので、朝もいつもより30分くらいはやく起きて朝食を取りました。

     その後、10:00くらいに20分程度これまで解いた問題の解答用紙をさっと見直しました。ここではあまり体力を使わないようにし、試験に体力を温存するようにこころがけました。

    • 11:00 昼食

     家で昼食をとってから出かけました。あまり食べ過ぎないように注意しました。また試験中はトイレに行けないので、このあたりから水分の摂取を控えました。

    • 12:40 試験会場到着

     会場につくと多少なりとも緊張状態を強いられるので、30分前くらいの到着が理想だと考えていましたが、利用する電車の本数が少ない関係で、50分前の到着となりました。

     会場でもう一度さらっと解答用紙を見直しましたが、ここでもあまり体力を使わないよう気をつけました。ずっと机に座っているのも疲れるので、廊下などに出てリラックスしていました。試験開始までにトイレには3回ほど足を運びました。

    • 13:30 問題用紙・解答用紙配布

     解答用紙に名前と受験番号を記入する際に、解答欄をちらっと見てどのような問題か確認しました。簿記検定ナビの試験問題予想が大体当たっていたので、少し気が落ち着きました。

    • 13:45 試験開始

     第2問は特殊商品売買の繰越を扱う問題で、あまり見慣れないものでしたが、きっちり仕訳をきればなんとかなると信じ、当初の予定通り1→4→5→2→3の順番で解き始めました。

     第1問は開始直後ということもあり、ついつい丁寧になりすぎて時間をかけすぎてしまう癖がありましたので、とにかくスピードを意識しました。また、これまで一度下書き用紙に仕訳を書いていましたが、これが結構時間をロスしていることに気づき、直接解答用紙に記入するようにしました。

     第4問はスタンダードな問題だったこともあり順調に解答出来ました。第5問は、簿記検定ナビの予想問題を見て直前にCVPの復習をしたのがばっちり当たりましたので、思わずガッツポーズをしたくなりました。一度計算間違いをしましたが、第5問を解き終えた時点で、開始から40分程と順調なペースでした。

     第2問は、見慣れない問題でしたが、とりあえずすべて仕訳を行いました。仕訳をきってみると、勘定記入への道筋が見えてきました。やはり簿記の基本は仕訳なんだと改めて感じました。また普段からルールを覚えるたけでなく、本質は何かを考えてきたことが、実を結んだ瞬間であったと思います。

     第2問を解答し終えた時点で60分経過、残り60分と十分な時間を残して第3問にむかえることになりました。

     第3問は決算の標準的な問題でしたので、きっちり仕訳をきって解いて行きました。ただ時間が十分あることに油断して丁寧に行き過ぎたのか、仕訳を終えた時点で残り15分と少し厳しくなって来ました。

     精算表に記入してみると賃借差額が合わなかったのですが、簿記検定ナビの電卓使い方講座の「賃借差額が合わなかった時の電卓テクニック」に助けられ、間違いを無事に見つけることが出来ました。

     すべて解いたところで残り4分。見直す時間はなかったので、とりあえず今後の自己採点のために解答を下書きにざっくり写したところで試験終了となりました。

     さすがに4分では解答の書き写しがあやふやで、試験当日の自己採点では正確な点数はわかりませんでしたが、合格の手ごたえはありました。その後、96点で合格していたことがわかり、喜びを噛みしめました。

    本試験の下書き_第1問・第4問・第5問
    本試験の下書き_第1問・第4問・第5問
    本試験の下書き_第2問・第3問
    本試験の下書き_第2問・第3問

     上の2枚の画像は本試験の下書きです。すべての取引の仕訳をきっちり切っているのは、多少参考になるかと思います。

     第3問の精算表の問題では、仕訳を精算表への転記する際の漏れを防ぐために、仕訳と仕訳のための下書き・計算を分けて、仕訳だけをまとめて記載しています。

    最後に

     簿記検定の合格をゴールだと思わず、スタートだと捉えて、今後の自分の仕事に活かしていきたいと思います。

    管理人からコーヒーアレルギーさんへ追加の質問

     コーヒーアレルギーさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
    【商業簿記】
     得意な論点は精算表です。3級の学習をみっちりやったのが活きていると思います。一方、特殊仕訳帳や本支店会計が苦手でした。対策としてはトレーニングの問題を繰り返し解いて、解説ページまできっちり読み込みました。

     その結果、特殊仕訳帳や本支店会計は問題自体の難度は高いものの、その出題パターンは限られていることに気づき、それからは苦手意識がなくなりました。

    【工業簿記】
     総合原価計算が得意でした。仕事がら、工場の管理会計に触れる機会が多々ありますので、全般的に工業簿記はとっつきやすかったです。

     ただ、仕訳問題は苦手でした。商業簿記では費用は主に借方だったのに、工業簿記では頻繁に貸方に仕訳されるのがいまいち腑に落ちませんでした(例:借方 仕掛品、 貸方 賃金 など)。

     克服するための勉強方法としては、やはり重点的に仕訳問題を繰り返し解いて解説ページを読み込みました。また、テキストとトレーニングを行ったり来たりしました。それにより、費用が貸方に仕訳されるのは、費用の置き換えをしているのだという流れを理解することが出来ました。

     コーヒーアレルギーさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
     勤務先での管理会計の勉強会が開催された際にあまり内容が理解出来なかったのが簿記の学習を始めたきっかけですが、その後簿記の学習を進めるにつれ、ひとつの大きな目標が見えてきました。それはエンジニアに正しい会計知識を促すことによる「ものづくり日本」の再生です。

     私自身エンジニアですが、周りを見渡すと、エンジニアに正しい会計知識が浸透しているかというと、そうでないのが現状です。多少の差はあるにしろ、おそらく多くの日本の製造業が同じ問題を抱えているのではないかと思います。

     10年ほど前までしたら、高品質で高い信頼性の製品をつくっていれば多少高くても売れた時代でしたのでそれでもよかったのでしょうが、もうすでにエンジニアがコストと真摯に向き合わないければいけない時代は到来しています。

     文系と理系の垣根を越えて、エンジニアも高度な会計の知識が要求されるなかで、日本のものづくりの現場は、時代に遅れをとっているように思います。

     そこで自分が何を出来るかを考えた時に思いついたのは、まず自分が正しい会計知識を身につけること、そして社内で勉強会な どを主催し、エンジニアに、エンジニアである自分が、エンジニアにわかる言葉で説明をすることです。

     ゆくゆくは独立して、いろいろな企業にセミナーの講師として渡り歩き、日本のものづくりの現場を会計から変えていければなどと夢見ています。

     簿記の勉強はその大きな目標を実現するための小さな1歩だと思うと、モチベーションは上がることはあれど、下がることはありませんでした。

     大風呂敷を広げてしまい恥ずかしいですが、そう思うことでやる気が出たのは事実です。あまり参考にはならないかもしれませんが…。

    管理人コメント

     コーヒーアレルギーさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

     一般的には、試験に合格するために必要な教材は「テキスト」「トレーニング(問題集)」の他に、「過去問題集」「予想問題集」と言われていますが、コーヒーアレルギーさんは前者の2つをきっちりこなすことによって見事合格を果たされています。

     私自身は過去問対策は必須だと考えていますが、いろんな教材に手を広げすぎて全てが消化不良になってしまうよりも、「深く・狭く」学習することによって理解を深めるという勉強スタイルもあるんだな、と合格体験記を編集していて勉強になりました。

     あと、追加の質問に対する回答のところに書いていただいた「特殊仕訳帳や本支店会計は問題自体の難度は高いものの、その出題パターンは限られていることに気づき、それからは苦手意識がなくなりました」はとても大事なポイントです。

     この「気づき」を得るのに最適な勉強法がまとめ解きです。同じ分野の問題を集めて、集中的に解くだけの簡単な方法ですが、費用対効果はかなり良いので、直前期に伸び悩んでいる人は騙されたと思って試してみてください。

    コーヒーアレルギーさんが使われた教材や電卓のまとめ