「勉強時間」をきちんと管理してモチベーションの維持を!

  • 投稿者:アメムラさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約2か月半

受験までの経緯

 教養として簿記3級を受けてみようと思ったのが大学生のころ(5年前)です。商学部の友人にテキストを借りたはいいものの放置して…放置して…4年たち、ブームの断捨離でいろいろ本などを整理していました。

 そこで借りっぱなし3級のテキストが出てきたのですが、借りたものだから捨てるわけにはいかない。返したいけど、5年もたっていて何かきっかけがなくては返しづらい。「そうだ、「うかった!」っていって返そう。」こんな変な動機で去年の10月、3級の受験を決意しました。

 1度落ち、2度目の受験で3級に合格したのが今年の2月の試験です。へんなきっかけで始めた簿記の勉強でしたが、受験勉強をつうじて、職場でよく耳にする会計関連の言葉の意味がはっきりと理解できるようになりました。

 SEなので、おもな業務に会計知識は必要ないのですが、業務中の話の中にはっきり理解できるものが増えるというのは仕事をこなすうえでも自信につながっていました。そんなところに手ごたえを感じ、4月のはじめのころ、2級の受験を決意しました。

使用テキスト・問題集

  1. 日商簿記2級 最短合格テキスト 商業簿記【新2版】
  2. 日商簿記2級 最短合格テキスト 工業簿記【新2版】
  3. 日商簿記2級 最短合格問題集 商業簿記【新2版】
  4. 日商簿記2級 最短合格問題集 工業簿記【新2版】
  5. 日商簿記まるごと過去問題集 2級
  6. ラストスパート模試 日商簿記2級
  7. 日商簿記検定 仕訳問題対策(簿記検定ナビ)
  8. 無印良品 電卓・大 12桁

 テキスト・問題集は、DAI-X出版のもので揃えました。書店で吟味して、図が多くてわかりやすそうだと思い選びました。10日30時間でうかる!というふれこみです。頑張れば10日でこなせる100時間、このシリーズをつかって勉強して過去問をといたところ、合格点相当の正答率でした。

 合格した後から感じるのですが、DAI-X出版の最短合格シリーズは、「簿記3級合格レベルの人が、60~100時間くらいの勉強量で、合格率が30後半~くらいの難易度だった場合、70点ぎりぎりで合格できる」くらい(笑)を想定してまとめられているのだと思います。

 しかし、さすがに30時間はいいすぎではないでしょうか(笑)このテキストを購入された方は、「本番レベルの問題に取り組むのに必須なところをささっとみにつけて、あとはのこり時間があるかぎり過去問・模擬問題集で穴を埋めていき、合格を確実なものにしていく」という方針をとるとよいと思います。

 過去問題集も、DAI-X出版のものでした。これは、意図してテキスト・問題集とそろえようとしたわけではなく、15回分と多く、最新の127回のものが掲載されていたので選びました。ほとんどの出版社で、過去問の出版は年1回のようです。

 時期によって、発行が新しい出版社が違いますので、過去問題集をえらばられるときは注意したほうがよいと思います。テキスト・問題集と過去問題集が同じ場合、解説も似たような感じになってしまいますから、過去問題集は別の出版社のものを選んだほうがよかったかなと、今では思っています。

 模擬問題集は、ネット各所で評判がよかったネットスクールのものをえらびました。難易度は、本番と同等か少し難しいくらいでやりごたえがあり、「これが出そう」と自信がある感じで書いてあるので、解いた後に未知の試験への自信が増しました。

 電卓は、無印良品のものです。SHARPのOEMだといわれています。ノートなども無印良品なので、よく文具コーナーで見かけていました。簿記3級受験のとき、「電卓をかおう」と思って、最初に思い浮かんだのがこれでした。簿記受験に必要な機能はついています。シンプルなデザインで気に入っています。

勉強の流れ

  • ~30時間 テキスト読み込み 4月1日~中旬

 テキストを読みこみました。1周目は「2冊で10時間程度の速さ」で、ざっと。細かい理解は二の次にして、頭の中に目次を作るイメージで読みました。2週目はキーワードをコピー用紙の裏に書き出しながら、すこし詳しく。この時も細かい理解は二の次にして、頭の中に索引を作るイメージで読みました。

  • ~100時間 問題集をテキスト見ながら 4月中旬~5月初め

 テキストを2回読んだあと、テキストをいくらでも見てよいという条件で問題集を解きました。簿記検定の問題の形式にも慣れることができるのと同時に、テキストの理解・記憶が深まりました。簿記の勉強をするときにはオススメの勉強法です。この勉強法をするため、テキストと問題集は同じ出版社のものでそろえたほうがいいと思います。

  • ~200時間 過去問・問題集 5月初め~6月初め

 100時間ぴったり勉強したところで、113回の過去問(DAI-Xの採点基準で76点)を解きました。過去問をやって有意義になるレベルに達したと感じたので、以降、過去問に取り組むことにしました。休日には時間を計って過去問を解き、平日はまとまった時間が取れないので、問題集の2週目にとりくみました。

 このころ悩んでいたのが、電卓のグランドトータル(GT)キーを使おうか、アンサーチェック(AC)機能を使おうかということです。自分が使っている電卓では、GT・ACのどちらか選ぶようになっていたのですが、このころまではグランドトータルキーをつかっていました。

 しかし、思うようにグランドトータルキーを使いこなすことができず、さらにメモリ機能や紙+鉛筆メモリ(笑)でも十分代用できると考え、アンサーチェック機能にきりかえてみました。自分が使っていた電卓のアンサーチェック機能の動作は、単に「=」キーを押して出た結果が2回連続で同じかどうかだけ確認できる機能です。

 これが意外と便利で、商業簿記では貸方・借方の合計が合うかどうか、工業簿記では総合原価計算の縦と横の合計があっているかどうか、などなど検算に大活躍でした。グランドトータルキーをうまく使いこなせないな…と考えている方は、アンサーチェック機能に乗りかえてみるのもいいかもしれません。

  • ~試験当日 模擬問題集・仕訳 6月初め~6月12日

 全分野を再確認したいと思い、問題集の3周目にとりくみました。3周目が終わったあともう1周する時間はなかったので、間違えたところはしっかりとノートにまとめ、このノートを勉強を始める前のウォームアップに、寝る前に、細切れ時間などに使って復習していました。

 模擬問題集をはじめたのは、10日前からです。またこのころの昼の休憩時間には、簿記検定ナビの仕訳問題集をときました。試験前日には難しいと感じた模擬問題集を2回分と、自信喪失しないために比較的簡単かつ3回目の問題集付属の模擬問題を解きました。

全体を通じて

 簿記3級のときは1回落ちてしまい、2回目の受験で合格しています。2回目の受験のとき、モチベーションの上がらなさに苦労しました。覚えていたはずの知識を一度忘れてもう一回覚えなおすという勉強は、新鮮味がなく自分の性格にはあっていなかったのかもしれません。

 こういう自分の性格を簿記3級を通じてしったので、簿記2級は絶対1回で合格しようと思って必死になって勉強しました。勉強の進度というのは、自分が苦手なところやつまるところが分からないのに事前に決めるのは、なかなか難しいと思います。

 そこで、進度についてはあらかじめ決めておくのは「4月基礎」「5月演習」「6月本番対策」という感じにおおざっぱにとどめました。そして、自分の理解に応じて何度も何度も頭の中で勉強計画をたてかえました。

 一方、勉強時間については、この日までに何時間というのを初期の段階からしっかり決めて毎日記録していきました。理解や知識の深さや広さと違い、勉強した時間というのは正確に記録できます。自分の努力をいつでも目に見える形にしておくというのはモチベーションを管理するうえで非常に重要だと思います。

 また、時間を常に計っていると、問題集を1周解くのにどれくらいかかるかなどがわかるので、勉強計画を作りなおすときに役にたちました。最終的に222時間勉強したのですが、これだけ勉強したということが本番試験のときに自信につながりました。

過去問・模擬試験点数管理表
過去問・模擬試験点数管理表
勉強時間管理表
勉強時間管理表

問題集の正誤管理
問題集の正誤管理

 また、twitterで、勉強の内容や進度や意気込みなどなどをつぶやいていました。近しい人に勉強やっていることを宣言することで、落ちたときの微妙な感じが想像でき、「合格しなくては!」という気持ちになりました。

 簿記のハッシュタグ(#boki、#簿記)をつけて試験について発言している人がたくさんいて、「がんばらなくては!」という気持ちになりました。また、わからない点をつぶやいたら答えてくれた人がいました。他の人が気づいた点の書き込みもとても参考になりました。

 間違いノートは、A7のメモ用紙にまとめました。A7くらいの小さなノートだと、そのページを理解したかしていないかを自信をもって判断することができ、覚えたページについてはどんどん削っていくことができました。似ているノートが近くなるように並べ変えたり、重要度別に分けたり、携帯性もよいです。

間違いノート
間違いノート
間違いノート(安全余裕率)
間違いノート(安全余裕率)

間違いノート(委託販売での荷為替手形)
間違いノート(委託販売での荷為替手形)

間違いノート(株主資本等変動計算書)
間違いノート(株主資本等変動計算書)

間違いノート(経費の分類)
間違いノート(経費の分類)

間違いノート(貸借対照表の表示科目)
間違いノート(貸借対照表の表示科目)

間違いノート(特殊仕訳帳)
間違いノート(特殊仕訳帳)

間違いノート(別段預金)
間違いノート(別段預金)

間違いノート(法人税等)
間違いノート(法人税等)

試験日の1日の流れ

  • 6時~

 栄養ドリンクを飲みました。簿記3級の1回目の試験で、1時間を超えたあたりでトイレに行きたくなってリタイアして不合格だった経験から、この日の水分摂取はこれ以降、口をゆすぐ程度にしようと思いました。

  • 7時~

 これまで土日などは2~3回分の過去問・模擬問題を解いていたのですが、朝の1回目は点数が悪いことがわかっていました。そこで、事前に「当日は簡単な問題を解いて、自信をつけつつウォーミングアップしよう」と決めていました。問題集付属の模擬問題をやりました。3回目なので高得点でした。

  • 9時~

 家と会場の間くらいにある、いつも勉強している図書館までいき、模擬問題集の一番簡単だったものを解きました。

  • 12時~

 すこし早めに会場に向かいました。駅から反対方向にあるいてしまい、席についたのは13時ころでかなり焦りました。3級の時は家から直接、試験会場へ向かったのですが、今回は図書館経由だったので、乗ってから何駅…という感覚がずれていたのかもしれません。

 降りる駅が前回と違う最寄の駅だったことに気づかず、前回と同じ方向にあるいていたのでした。余裕をもって会場に向かってよかったです。3級と同じ試験会場で、行きなれていたとしてもスタート地点が違うと迷ってしまうかもしれませんので、会場への道のりの確認はしておいたほうがいいと思います。

  • 17時~

 予備校の解答速報で、ざっと解説をみて安心したり不安になったりしましたが、合格発表までの2週間は簿記2級のことはすっかり忘れようと思いました。

管理人からアメムラさんへ追加の質問

 アメムラさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 苦手な論点は、工業簿記の標準原価計算でした。最終的にはシュラッター図をまる暗記することで対応しました。自分が使っている参考書では、シュラッター図が解説の一部として掲載されてはいましたが、丸暗記すれば原価差異の問題を解けるようになる便利ツールであるということまでつっこんで書いておらず、たくさんの公式をなんとか暗記しようと頑張っていました。

 勉強が進むにつれて、この論点がどうも苦手なのでインターネットでこの論点についていろいろと検索しました。すると「公式ではなくシュラッター図を暗記して活用することで解けるようになる」ということがわかり、それからは原価差異の問題にも対応することができるようになりました。

 1級では対応できないよ!という意見もありましたが、とりあえず便利ツールを使って解けるようになって、問題を解きながら原理を身につけるというのもいい方法だと思います。

 得意な論点は、特にないです…。本支店会計が得意だと思っていたのですが、過去問127回の問3でみごと撃沈してしまいました。直球な出題時に得意だと思う分野でも、変化球でこられると大きく点を落としてしまうこともありますから、慢心せずにしっかり勉強する。簡単だなと思ったときでも、より深く理解するつもりで問題にあたるのがよいのではないかと思います。

 ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 ほとんど本文のほうに書いてしまったのですが、勉強方法だけあらためてまとめます。まず、頭の中に目次をつくるつもりでさらっとテキスト1周、索引をつくるつもりでテキストをもう1周、さらに、テキストをいくらでも見ていいルールで問題集1周、あとは問題集・過去問・模擬問題をひたすらこなす。まちがえたところはテキストまでもどって確認。

 こういう感じの流れで勉強しましたが、なんとかうまく周りましたので、他の方にもおすすめしたいです。「テキストをいくらでもみていいルールで問題集を解く方法」は他の資格試験ではあまり聞かれない方法ですが、手を動かして問題を解き出すとテキストの理解力も解答力もどんどん身についてくる簿記の試験にはばっちりな勉強方法だと思いますので、特に強調しておすすめしたいです。

 こうしたら良かった点は、テキスト・問題集と過去問の出版社を違うものにするということでしょうか。今回、テキスト・問題集・過去問集はDAI-X出版のものをつかって試験に挑み、内容にもとくに不満はないのですが、ネットスクールの模擬問題集を利用して、違った視点での解説を読んで理解が進んだということもあり、過去問題集も別の出版社のものを使うと、違った視点の解説が読めてさらに理解が進んだのではないかなぁと思っています。

 あとは、勉強時間を確保する方法でしょうか。家に帰るとどうしても、入浴したり食事したりでリラックスモードにはいってしまって、勉強を始めるハードルがとても高くなってしまうので、職場から自宅までの間のドトールコーヒーやマクドナルド等のファーストフード店を転々としながら1時間程度勉強しました。直前期には、簿記2級の勉強している人が隣の席にいたりもして、いい刺激になりました。

管理人コメント

 アメムラさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!たくさんの画像を提供していただきましたので、かなり読み応えのある合格体験記に仕上がったと思います。

 まず、参考にしていただきたいポイントは、「テキストと問題集は同じ出版社のものでそろえたほうがいい」というところです。テキストと問題集は、基本的には並行して使うものですので、必ず同じシリーズのものを選ぶようにしてください。

 ただし、テキスト・問題集を一通り終えた後に、問題集を追加でもう1冊購入する場合は、あえて他の会社(シリーズ)の問題集を選ぶというのもひとつの手だと思います。例えば、ネットスクールのサクッとうかるシリーズのテキスト・問題集を使っている場合は、TACの合格トレーニングなどを選ぶ…というような感じです。

 特に、あっさり系(ネットスクールのサクッとうかるシリーズ、TACのスッキリわかるシリーズ)の教材を使っている場合は、こってり系の問題集(上述のTACの合格トレーニングや、ネットスクールのとおるゼミ)で不足論点を補うと良いと思います。

 あと、勉強時間を管理することはとても良いことだと思います。アメムラさんのようにきちんと管理するのが難しい場合は、メモ書き程度でも構いませんし、簿記検定ナビでも勉強予定表をPDFで無料配布していますので、興味のある方は一度チェックしてください。

アメムラさんが使われた教材や電卓のまとめ